91★スリーピング ビューティー 禁断の悦び
’11年、オーストラリア
原題:Sleeping Beauty
監督・脚本:ジュリア・リー
提供:ジェーン・カンピオン
製作:ジェシカ・ブレントナル
製作総指揮:ティム・ホワイト、アラン・カーディ他
撮影:ジェフリー・シンプソン
音楽:ベン・フロスト
キャスト:エミリー・ブラウニング、レイチェル・ブレイク、ユアン・レスリー、ピーター・キャロル、クリス・ヘイウッド
こちらは、シッチェス映画祭のラインナップ。私、川端康成原作のこちらの作品は、『眠れる美女』(’68年日本、監督:吉村公三郎)、『眠れる美女』(’05年ドイツ、ヴァデム・グロウナ監督作品)との2つをすでに見ていて、一つの答えが出来上がっていたのです。それは、「この原作物はどれもエロが少なくて物足りない」ということ。今回もその例に漏れず、やっぱりエロはそれとなくほのめかすだけだったのでした。うーん、欲求不満〜。
ちょっと変わった、シルバー向け介護サービスのバイトをすることになったヒロイン。豪華な屋敷で裸にコスプレで給仕したり、何も身につけず朝までグッスリ寝るというもの。これに付け加えたのが、彼女の普段の生活の様子で、同時進行で描かれる。優しいけれど少々物足りないボーイフレンド的存在がいる一方、彼だけに固執することはなく、出会った途端に誰彼構わず性行為にふける奔放な私生活。おとなしそうな顔をしたスリムな子だけれど、思うがままに振る舞う自由な暮らしぶり。その正体は大学生。
彼女の私生活を中心に描かれているだけというのもあり、少々散漫で冗長な印象なんですよね。ただ、よく脱ぐ、脱ぎっぷりはいい。誰だろう、と思ったら『エンジェル・ウォーズ』の主演女優さん。私はまだこちらは見ていないけれど、この作品で人気が出た人らしい。最後の演技はひどかったけど・・。
裸の若い女性の隣で寝るという行為は、老人にとってはいろいろな思いが溢れるようで、その様子をトツトツと語る、日本の『眠れる美女』とドイツの同作。こちらの方がまだ面白かったなあと。個人的に一番好きなのはドイツ版。エロとしては物足りないけれど、作品のテーマにまだ沿っていたから。今回のこちらのオーストラリアのものは、老人側から見た目線ではなく、女性の方にフォーカスを当てたおかげで、単にビッチな若い女性を描いたのみになっている。おかげで、深みや文学性がまるで無くなってしまった。「ジェーン・カンピオン プレゼンツ〜」なんて言ってるんだけど、何していたんですか、一体?と問い詰めてしまいそう。誰かこの「添い寝物」で面白く作ることは出来ないものか!?
2012/11/12 | :ピンク・ロマンポルノ オーストラリア映画, ジェーン・カンピオン
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コメント(4件)
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test
書き込みtest
提供:ジェーン・カンピオンというので、なんだか笑ってしまいましたが。
「エンジェル ウォーズ」が大好きなので、その主演のエミブラが出ているし、エロっぽそうで興味はあったのです。
でも、限定公開みたいで、なかなか観に行けないですよ~。(上映もう終わってたりして。)
ボーさんへ
こんばんは〜♪コメントありがとうございました。
>提供:ジェーン・カンピオン
笑ってしまいましたよねえ。全然その素振りもないというか・・。これ、長い間映画化されない「お蔵入り」になってたらしいですよね。
エミリー・ブラント、人気なんですね。いまいち地味な顔の子なんですね。『エンジェル・ウォーズ』、世間の評価は二分されてますよね。まだ見てないのです、私。
こちらは、普通に新宿シネマートで公開された後、シッチェス映画祭のラインナップにあったのです。もう公開は終わってますね。