rss twitter fb hatena gplus

*

79★Virginia ヴァージニア

’11年、アメリカ
原題:Twixt
監督・脚本・製作:フランシス・フォード・コッポラ
製作総指揮:アナヒド・ナザリアン、フレッド・ルース
音楽:オスバルト・ゴリジョフ
キャスト:バル・キルマー、ブルース・ダーン、エル・ファニング、ベン・チャップリン、ジョアンヌ・ウォーリー、デビッド・ペイマー

スティーブン・キング的に始まって、エドガー・アラン・ポーへと転換していく物語に魅せられた。デヴィッド・リンチテイストと評する人もいるかもしれない。私にとってものすごく好みな「夜の夢こそまこと」なポーの世界。この世とあの世が錯綜するミステリー。終わった後、少しモヤモヤが残るし、疑問もない訳ではないけれど、この物語について反芻する材料を残す終わり方、と言えるかもしれない。オチをつける辺りの展開が今一つでも、充分に雰囲気を楽しめてしまう。

ヴァル・キルマーがブクブクに太っていて、まず衝撃を受けた冒頭は置いておくとする。お、重そうな体!顔がミサワ状態ってこういうことか、と思ってしまった。(顎や頬に肉がつきすぎたせいで、顔が大きくなりパーツが中に寄っちゃってる。)とにかく、それ以外に関しては、ゴシックホラーの雰囲気がバッチリ。B級ホラー的、いかにもキングっぽく始まる出だしの後、唐突に霊に導かれる夢の中。エル・ファニングちゃんが白いビスチェとワンピースの組み合わせで登場し、一風変わったメイクで、もうズキュン。虜になってしまいました!

いやあ、何故エルちゃんはあんなに“間違い無し”な子なんでしょう?この今の状態のエルちゃんが完璧なんですね。今のエルちゃんを、もっともっと見たいと思わせてしまう。“女性”になる前の“少女”の状態の女の子って、品が良くて何にでも染まりそう。今一番注目すべきアメリカの少女女優は、彼女かもしれないと私は思ってる。このツカミ美味しすぎる。(エル・ファニングちゃんをまだ知らない人は、是非『SUPER8』あるいは『Somewhere』を観てみて!特に前者がオススメ♪)

この時のエルちゃんのメイクと衣装がこの作品の一番の見所かもしれない。ゴスな衣装で白しか使わないというのは、とても素敵。メイクも、白塗りに赤を際立たせた隈取(くまどり)風。歌舞伎を思わせながらもスパモの雰囲気になっている、カッコイイ系の美メイク。ゴルチエ辺りのファッションショーに、このまま出れそう。オマケに加えたのが、美を著しく損ねるはずの、歯列矯正。この残念感を逆に手玉に取れるところが、意外性があってセンス良すぎ。

物語が進むうちに、まさかのエドガー・アラン・ポーの登場。彼がどんな風に関わってくるのかが楽しみになり、さらにさらに興味をそそられる。映像が美しくて、勿体ぶった雰囲気が最高。

この先、ネタバレ**************************************************************

ポーは、妻を壁の中に閉じ込める。この世界のポーはそうした犯行を行った、と。彼の妻役をVが「この世界で」演じることが出来るのは、この場所が「この世とあの世」の境目の場所であるから。彼女は霊であり、同時に一人の女性だけではなくなる。あの場は彼らそれぞれが最後に、有罪か無罪かを確定する場所。神父が犯した殺人事件と13人の子供たちについて、結末を最後まで聞く度胸と引換に、自分の物語(彼らが心の内に抱えこんでいる問題)の結末について、語らなければならない。神父と子供たちの物語は、12人殺されて最後に生き残った少女が、湖の向こう側の輩と逃げた後、ヴァンパイアになり、杭を打たれていた。これは始めにチカリング・ホテルで出会ったフォークを歌う女性店員とその客が言っていたように、「12人殺されて1人は呪われた」ということと合致する。

ヴァンパイアとしての彼女を殺したのは、ボビー・ラグレインジ保安官だ。ウィジャ盤で「B」と打ったように。最後のパートは、一体どこまでが創作だっただろう?保安官と助手が殺され、保安官に「有罪」と書いてあったのは本当だったかもしれない。でも、もしボルチモアがVの杭を抜いてしまったとしたら、どうやってそこからボルチモアは抜けだしたのか?そこだけはよく分からない。次に出版社のシーンへと変わっていく。あと、エドガー・アラン・ポーこの事件と関係なくね?・・まっ、いいか。要は、夢先案内人(やっぱり彼も有罪!)、ということかな。

 

※ストーリー・・・
ミステリー小説家のボルティモアはある街を訪れる。そこでは、数日前に胸を杭で打たれた少女の死体が発見されていた。ボルティモアはミステリー好きの保安官に、この事件を基にした小説を共著しないかと誘われる。その後、彼は街で起きた過去の事件を知り・・・

・Virginia/ヴァージニア@ぴあ映画生活

 

関連記事

『エル・クラン』 ブラックテイストな犯罪一家物語

アルゼンチンで大ヒットした、と聞いて思い出すのが去年の『人生スイッチ』...
記事を読む

『ヘイトフル・エイト』 密室の曲者揃い踏み!!

エンニオ・モリコーネのオスカー、おめでとう。この作品で獲りましたね。 ...
記事を読む

『ヴァバンク』ポーランドの国民的娯楽作

今年のポーランド映画祭でかかった81年の作品ですが、ポーランドでは誰も...
記事を読む

後味の悪い映画と言えばコレ! 『ファニーゲーム』

史上最強に後味の悪い映画として、悪名高き作品。 私は、DVDで見た時は...
記事を読む

『ピエロがお前を嘲笑う』 ドイツ発のサイバーサスペンス

ドイツ発のサイバークライム/ハッカーを描いたスリラー。 ギークな童貞主...
記事を読む

2,483

コメント(5件)

  1. これ・・・。
    ヒュートラのレイトだけって時に観に行きまして、見事にほぼ寝落ちしてしまいました。
    大体の筋はわかるんだけど。
    もう疲れてて撃沈したんで、いろんな感想読んでふんふんうなずいてます(笑)

  2. rose_chocolatさんへ

    こちらにもありがとうございます♪
    あー、寝ちゃいましたか。夢とか無意識の世界を描く物語って、普通に見ていても自然と同化して見るため、意識レベルが低下するんですよね。
    だから、そのせいで眠くなっちゃうんです。
    夢分析についての本を読む時は、もう気がつくと寝ててビックリですよw

  3. けっこう好きです~。不可思議もやもやで。
    エルちゃんは、この時期だけのモノをスクリーンに残せて、かなり幸せと思ひます。

  4. ボーさんへ

    こんばんは〜♪コメントありがとうございました。
    「不思議なもやもや」。そのとおりですね。
    エルちゃんは、この時代が一番いいのかなあ。とにかく彼女の勢いは止まりません!




管理人にのみ公開されます

日本語が含まれない投稿は無視されますのでご注意ください。(スパム対策)


スパム対策をしています。コメント出来ない方は、こちらよりお知らせください。

前の記事:

次の記事:

Google
WWW を検索
このブログ内を検索
『沈黙』 日本人の沼的心性とは相容れないロジカルさ

結論から言うと、あまりのめり込める作品ではなかった。 『沈黙』をアメリ...

【シリーズ秘湯】乳頭温泉郷 鶴の湯温泉に泊まってきた【混浴】

数ある名湯の中でも、特別エロい名前の温泉と言えばこれでしょう。 乳頭温...

2016年12月の評価別INDEX

年始に久しぶりに実家に帰ったんですが、やはり自分の家族は気を使わなくて...

とらねこのオレアカデミー賞 2016

10執念…ならぬ10周年を迎えて、さすがに息切れしてきました。 まあ今...

2016年11月の評価別INDEX & 【石巻ラプラスレポート】

仕事が忙しくなったためもあり、ブログを書く気力が若干減ってきたせいもあ...

→もっと見る

【あ行】【か行】【さ行】【た行】 【な行】
【は行】【ま行】【や行】 【ら行】【わ行】
【英数字】


  • ピエル(P)・パオロ(P)・パゾリーニ(P)ってどんだけPやねん

PAGE TOP ↑