71★目隠し
’11年、インドネシア
原題:the Blindfold
監督:ガリン・ヌグロホ
脚本:トゥリ・サソンコ
プロデューサー:アサフ・アンタリクサ、ウンダン・ティルタナ
撮影監督:アンギ・フリスカ
キャスト:エカ・ヌサ・プルティウィ、ヤヤン・C・ヌール、M・ディヌ・イマンシャ
現在、インドネシア国内でも問題が大きくなってきているという、NII – Nagara islam Indonesiaを取り上げた鋭い目線の作品。国民の7割がイスラム教徒だというインドネシアでは、インドネシア国家を取り外して、今ではNIIの国旗を揚げるところもあるらしい。現代のインドネシアに鋭く切り込んだ作品で、2週間で作ったという。事実を元にして作られた、3家族の物語とのことでした。NII内部に関する描写は、実際にNIIだったという人に内実を聞いて作ったとか。冒頭で女子大学生がいなくなるという設定だが、実際にNIIに引きぬかれていくのは、大学でも上位10%に居る学生ばかりとのこと。
妊婦の女性の一家が、貧しさのために病気が蔓延するのを防げない箇所などがあるけれど、あの妊婦の女性とその赤ん坊がどうなったのか、描かず終わっているのだけれど、もう少しその辺見たかったと残念。せっかくNIIにおける女性の扱いの描写に疑問を抱く女性を描くのであるから、そこは省略しないで欲しかった。それほど良くできた作品ではなく、短時間で作られた作品であるように感じたけれど、政治的にも深刻な今の問題を扱ったものとして、個人的には満足でした。
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