65★ゴールデン・スランバーズ
’11年、フランス、カンボジア
監督:ダヴィ・チュウ
プロデューサー:ジャッキー・ゴルドベルグ
撮影監督:トマ・ファヴェル
音響:ヴァンサン・ヴィラ
私の今年のTIFF参戦は、この作品から。かつてカンボジアはホラー・ファンタジーの宝庫だったけれど、ポルポト政権下に変わり、当時の映画黄金時代が失われてしまったらしい。この時代のカンボジア映画に関するドキュメンタリーということで、好奇心を大いに刺激され見たくなった。
ただ、残念ながら「カンボジア・ホラーのドキュメンタリー」という触れ込みは言い過ぎだった様子。それが目当ての私としては、ホラーに関しての記述なんてほんの少ししかなかったのが残念だし、中には「ホラーのドキュメンタリー」と書くことで、見る気を失ってしまった人も居たのでは。そう思うと複雑。
でも見ていく内に、カンボジアの粛清の酷さには圧倒されてしまった。当時山のように作られたという400もの映画のうち、現存するのはその内の30本だそう。とても貴重な時代を知る人達による、証言で作られたドキュメンタリー。ポルポト派が粛清を始め、映画監督や俳優が「人民の敵」として殺されたらしい。プノンペンにあった映画館は全て閉鎖。なんていう時代だろう!と、心を揺り動かされてしまう。
当時の700万人の人口の内、この時170万人もの人々が殺されたという。現在生きている人達はほぼ、両親の時代のスターを知らず、当時を知っている人も居ない、だなんて。当時の生き残りの人は、「父親も親戚も友人も殺された。彼らの顔は忘れてしまったけれど、当時の俳優の顔は覚えている」などと言う。その言葉がとても心に残った。
2012/10/23 | :ドキュメンタリー・実在人物 TIFF, カンボジア映画
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コメント(2件)
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この季節、うきうきしてきちゃいます^^ なんだかんだあるとは思いますがやっぱりTIFFの規模は大きいしね。
この作品も観たかったんですよ。
しかーし。他とかぶっていたりとか、初日の朝10時台(!)など、私にはハードル高く。
でもポルポト時代の話ならやっぱり行っておけばよかったなあ・・・とこれ読んで思いました。歴史ものは好きなんです。アジアの歴史とかね。
rose_chocolatさんへ
こんにちは~♪コメントありがとうございました。
本当、この時期ウキウキしちゃいます~!ちなみに今日私はすでにTIFF入りしとりますよ♪
毎日4本映画見ても全然飽きないし、また行こう!って思っちゃうんですよね。この時に見ておかないと、後で見れない可能性がある、っていう気持もあって。
そうですね、この作品は割と人入ってなかったです。おっしゃる通り朝の一番の回というのもあったせいかもしれませんね。月曜でしたしね。
roseさん、歴史物お好きなんですね。ふむ