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66★ゴッドファーザー・オブ・ゴア

’10年、アメリカ
原題:Herschell Gordon Lewis: The Godfather of Gore
監督:フランク・ヘネンロッター、ジミー・マルソン
キャスト:ハーシェル・ゴードン・ルイス、フランク・ヘネンロッター、デヴィッド・F・フリードマン、ジョン・ウォーターズ、マル・アーノルド

『バスケット・ケース』、『バッド・バイオロジー 狂った性器ども』の監督、フランク・ヘネンロッターによる、ハーシェル・ゴードン・ルイスのドキュメンタリー映画。
ホラー好き必見!の素晴らしいドキュメンタリー。なんたってホラー映画の誕生に、立ち会ったような気になれるのだから!

今の時代の私達にとっては、ホラーなんてありふれていて、特に珍しいものではありません。十把一からげにいつでも大安売りされていて、十本見て面白いものが一つでもあればラッキー、といったところ。ホラーコーナーはどこのレンタル屋でも端っこの方に集められていて、申し訳ない思いをしながら覗きに行く(ところで私の最寄りのTSUTAYAは、キャッシャーの真ん前にホラーコーナーがあるんですけど、あれは何の羞恥プレイなの?階段の真裏のせせこましい場所な上)。しかし、そうした恥ずかしさにも、ホラーという分野が初めて見た時に与えてくれた強烈さも、だんだんと慣れてしまうのです。
この作品は、ホラー飽食の現代に、原点に立ちもどるための必見のドキュメンタリー。きっとこの作品を見て、ホラーが好きだった一番最初の気持ちを思い出すはず。この作品を世に出してくれたフランク・ヘネンロッターにも、印象的な言葉で一生懸命説明してくれたジョン・ウォーターズにも、感謝の気持ちでいっぱい!
ここで見聞きした色々なトリビアについては、ハーシェル・ゴードン・ルイス作品のそれぞれの部分に、ちょこちょこと入れてしまったので、良ければ各作品の感想の方もお読みください。
ちなみに、私はこの作品を今回のハーシェル・ゴードン・ルイス映画祭の私的トリ作品として最後に見たけれど、ハーシェル・ゴードン・ルイス映画を見たことのない人にもオススメだし、この監督作品を見る気のない人にも是非見て欲しいもの。

個人的に一番印象深いのは、『血の祝祭日』が初めて上映された辺りのエピソード。これまでスプラッタ映画など見たことない人達が、初めて見るこの作品にビックリし、吐く人が続出したという話など。スプラッタ生誕のその瞬間を立ち会えたかのよう。それなのに当時大ヒットするなんて、いや、だからこそ面白い。オタク界のアメリカン・ドリームのよう!こうした当時の話が聞けるなんて本当に貴重で、想像しては喜んでしまう。

ハーシェル・ゴードン・ルイスはこんな「ゴア映画の父」などと言われてるけど、本当は知的な人なんですよね。何よりホラー映画を撮り始めたのは商売のためというドライさ。初めはヌード映画を撮っていたけれど、だんだん誰もがやるようになって、ゴア映画を思いついた。誰もやっていないことで人の興味を引こう、それこそが商売につながると思った、そんな先見の明からスプラッタは生まれたという。

ジョン・ウォーターズが自分の持っている『2000人の狂人』のオリジナル小説版を、「これはレアだろう」と自慢げに見せていたのが微笑ましいw。しかも2冊も持ってるとか。ちなみに、『血の祝祭日』の小説版は散々探したけれど、全然見つからないんですって。

ところで私は今回の「ハーシェル・ゴードン・ルイス映画祭」で初めて彼の作品を見たと思っていたのだけれど。実はこの作品を見て、『悪魔のかつら屋』を見ていたことに気がついた。というかこれがH・G・ルイス監督作品とは知らなかった。カツラの人形の不気味さとチープさには笑ったけど、あそこはアレはアレでシュールで、なかなかおもしろいシーンなんですよ。

 

 

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