62★アイアン・スカイ
’12年、フィンランド、ドイツ、オーストリア合作
監督:ティモ・ブオレンソラ
製作:テロ・カウコマー
音楽:ライバッハ
キャスト:ユリア・ディーツェ(レナーテ)、クリストファー・カービー(ジェームズ・ワシントン)、ゲッツ・オットー(クラウス・アドラー)、ペータ・サージェント(ヴィヴィアン・ワグナー)、ステファニー・ポール(アメリカ合衆国大統領)、ウド・キア(ウォルフガング・コーツフライシュ総統)、ティロ・プリュックナー(リヒター博士)
ナチスでコメディだなんて!トンデモSFコメディ、こういうの私大好き。
ナチスが月の裏側へ行き、そこで第4帝国を作っていた・・という設定なのだけれど、まずこの設定からして最高!私は学生の頃、落合信彦など読んで、ナチスの第4帝国の存在を信じていた時代があるのだけれど、そんな自分にはもうツボってしまい、そこかしこで、笑った笑った!
娯楽としてはとても良く出来ていて、設定以外はありがちな物語展開ではあるけれど、コメディとしてはそれで充分。設定が面白いってだけで、逃げ切れている感がある。1945年にナチスが月の裏側に行き、彼らはそれ以来時間が止まっているのだから、現在の我々が当然手にしているスマホを「そんなものはPCじゃない、PCというのはこれだ!」と馬鹿でかい機械を指して言ったりする。はては、地球侵略のためスマホを盗む計画を立てたり。国連の会議を皮肉ったり、アメリカに対する痛烈な皮肉もあったりして、ここもまた爆笑ポイント。こんなにきわどいジョークは、アメリカ製作映画ではさすがに見られないという。
1945年の設定なのだけれど、これはおそらくナチスが戦争に負けた後だか、負けが確定した時かは分からないけれど、月の裏側に行った人達の情操教育の中では、ナチスの鉤十字が平和のシンボルだとされている。レナーテなどはナチスが行なってきた残虐行為を知らずに、情報操作された世界で育てられて来たため、彼女の繰り広げる天然さもまたコメディポイントになっていたり。
で、このレナーテ役のユリア・ディーツェが最高に可愛くて、後半のストーリーの中だるみも、彼女にノックアウトされてしまうことで映画をブン回していく元気があって、彼女一つで、映画は大分救われている。まるで白人のジェシカ・アルバ、もしくはレイチェル・マクアダムス。ジェシカ・アルバの健康セクシーさと、レイチェル・マクアダムスの弾けるキュートさを兼ね備えている。で、この人何人?と思ったら、何とフランス人なのね。この作品で大ブレイクしそう。彼女はこの作品で、ドイツ語と英語を話していたけど、まだフランス語は喋っていないから、彼女がフランス語を喋る映画が次は見たいわーん。あと、キャストではウド・キアが出ていてビックリ!
『チャップリンの独裁者』が何度か出て来たけれど、この作品以外にナチスをコメディにした物語って、実はあまりないのでは?知っている人が居たら教えてね。
『プロデューサーズ』の中の劇中劇がナチスのコメディモノで、「最低のミュージカルを作ろう」と意図して選んだ「最低の脚本」。私はここでも大爆笑!この作品を気に入った理由が、このどうしようもないミュージカルのタブーを破る面白さ。私はこのナチスのコメディ路線が、案外イケるな!なんて当時思っていて「こういうの作ればいいのに」と期待していたんですよね。『ミケランジェロの暗号』は確かにナチス物でコメディタッチな部分はあるけれど、娯楽として面白いけれど基本は人間ドラマであって、「コメディ」と言われるとちょっと違うもんね。
※ストーリー・・・
2018年。米大統領の選挙PRで月に送られたワシントンは、月面に謎の基地を発見する。しかし、彼はナチス親衛隊クラウスによって拉致されてしまう。彼はそこでナチス軍が第二次大戦後、月へ逃亡し、地球への反撃の準備をしていたという事実を知り・・・
2012/10/17 | :コメディ・ラブコメ等, :SF・ファンタジー ウド・キア, ティモ・ブオレンソラ, フィンランド映画, ユリア・ディーツェ
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コメント(12件)
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なにより、多国籍連合軍の各国の立ち位置を見事に捉えていて爆笑モノでした(笑)
ここでもやっぱり北の国の扱われ方は想像通り(爆)
真面目に非核を守ってるのがフィンランドだけってのも可笑しかったです。
こういう系の映画ならどんどん作ってもらいたいです。
ちなみに、これ2回鑑賞しました~(笑)
itukaさんへ
こんばんは〜♪コメントありがとうございました。
itukaさんは、こちら2回も見たんですね!よっぽど気に入られたようで^^
多国籍連合軍のあの部分は面白かったですね〜。北朝鮮を笑いにするところも最高でしたし、アメリカに対するキツ〜イ諷刺が結構お気に入りですw
フィンランドは、やっぱりって感じであそこ笑いましたよねw
私もこういうの大好きです。トンデモSFって、最近だと・・やっぱり、日本以外全部沈没ぐらいまで遡るのかなあ〜。
ぼくは科学的裏付けのないSFがけっこう好きで、
思えばジュール・ヴェルヌなんて
そんな感じのものばかりだったような…。
こういう荒唐無稽な映画、
どんどん作ってほしいです。
えいさんへ
こんにちは~♪コメントありがとうございます。
「科学的裏付けのないSF」、なるほどです。私も好きです!
その言葉や、えいさんのコメント返しを読ませていただいて思い出したのが、「ウォレスとグルミットのチーズ・ホリデー」で。あの作品の宇宙船なんて、それこそ手作りで適当にトントンとんかちを叩いて、ホイっと宇宙船が出来てしまって、それでぶいーんと宇宙に行ってしまうんですね。あそこにすごく夢を感じて、ワクワクしてしまいました。
「あえて科学にこだわらない」というのは手法の一つにもなり得るのですねえ~。
ジェシカ・アルバとレイチェル・マクアダムスといったら、どっちも好き! てことで、ユリア・ディーツェもOKなのか、わたしゃ。
なんだか名前からしてもドイツ人と思っていましたがフランス?
アイデア勝負の愛すべき作品ですね。
ボーさんへ
こんばんは〜♪コメントありがとうございました。
私も私もー★ジェシカ・アルバもレイチェル・マクアダムスも、どっちもホット系美人ですよね。クールビューティの逆、マリリンタイプがホット系。ボーさんはさぞかし、ユリア・ディーツェのことを書いているのでは・・?と思いきや、そうでもなかったので、あれれ?と意外でしたよ^^
本当、アイディア勝負でしたね!