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49★遊星からの物体X ファースト・コンタクト

’11年、アメリカ
原題:The Thing
監督: マティス・ヴァン・ヘイニンゲン・Jr.
脚本: エリック・ハイセラー
製作: マーク・エイブラハム、エリック・ニューマン
製作総指揮: J・マイルズ・デイル、デビッド・フォスター他
原作: ジョン・W・キャンベル・Jr.
キャスト:メアリー・エリザベス・ウィンステッド、ジョエル・エドガートン、アドウェール・アキノエ=アグバエ、ウルリッヒ・トムセン、トロンド・エスペン・サイム

ジョン・カーペンターの最高傑作にして、後の世代の多くの人に膨大な影響を与えた、後世に残る傑作SF、『遊星からの物体X』。私の年代だと子供の頃にスピルバーグのSFの影響で「もっとSFが見たいな、よーし、見るぞ!」と見た人が多いんじゃないかな。今思えば全然違うんだけど、「遊星」というのが楽しそうに思えたんですよね、子供の頃には。アハハw。30年前のこの作品の「リメイクがやる!」ということで、超楽しみにしていた。『ザ・シング』というオリジナルまんまのタイトルと聞いていたのに、公開前に変更になり、オリジナル邦題を思わせるものへ。しかもリメイクじゃなかったんですね、これ。ご丁寧に前日談であることが分かるタイトル作成。

都内中心部では有楽町の日劇1館(封切り)、しかも一日一回!このパターンて珍しいんですよね。時間は19:50〜という「レイトにはならないけれど、仕事帰りにはサラリーマンが来れそう」な時間。668席も入るスクリーン2が、オッサンサラリーマン達でわんさか溢れ返った場内は壮絶でした。銀座というと普段は、昼から映画の街。小綺麗なマダムが昼間は映画を見に来て、夕方6時台の回にもなれば、OLさんたちがたくさん集まる。(小綺麗にしていないと浮くので、銀座は出来るだけ避け、渋谷に行くことが多い私ですが。)この作品の時間設定は、見に来る観客層を正確に判断した結果のおかげで、こんなに大きな劇場が埋まったんだなあ。そう考えて、素直に嬉しい私でした。(と思ったら、こんな人も。埼玉では上映無かったのね、これ‥)

で、この作品の感想ですが。確かにカーペンター版と、「全く同じことをしている」と言えばその通り。リスペクトの度合いが相当に凄くて、あの暗っぽい映像やら、クリーチャーやら、美術やら、何から何まで勉強している感じがする。安易なリメイクが多くてガッカリする中、「絶対ガッカリさせないぞ!」という意気込みを感じる。というか、リスペクトが大きすぎるために、下手に変えることが出来なかったのかも?^^; なんて。

それから、見ていて全く退屈しないのは立派。たとえば見ながら、オリジナルで言えばカート・ラッセルに当たる、我らがヒーローはどの人だろう?と考えながらつい見てしまう。しかしこの作品では、その人物がどの人に当たるのか、すぐに判明しないように計算されていた。これは前半の印象を変えるのに大分役に立っていた。何より女性が加わっていて(これは意外!)、それだけで男たちに与える影響が随分と違っているのだ。

とは言え、人間同士の心理劇であった前作と、全く型が同じ。‥であるけれども、中身の人間が全く違うので、また違ったダンジョンに迷うことが出来る。そんな感じだった。迷路は迷路で同じだけど、今回もまた懲りずに観客を迷わせることが出来るダンジョン。つまりこれだけでも、充分いろんなものをクリアしてると思うんですよね。

あとクリーチャーたちの造形は、オリジナルより弱冠弾けていた。オリジナルを見てビックリし、恐怖した時のあの感情が淘汰されて、「アハハ〜出た〜♪」と登場を喜んじゃう感じ。クリーチャーとの追い込み劇も面白かったし、ウン、良かった、楽しかった!あとはですね、宇宙センターがオリジナルより精巧に出来ていて今の技術ならでは。何より、これがキチンと「前日譚」として機能しているところを見ればもう満足、満足なのです。

喩えて言うなら、随分前に潰れたラーメン屋が、同じ場所で同じ名前で、だけど違う兄ちゃんが経営している。先代と同じような味を作り出すのに、精一杯努力したことが感じられる♪ そりゃ先代には適わないけど、ただ‥先代ってば、今は違う土地でラーメン作っているんだけど、先代のラーメン最近ちょっと味落ちたんだよね・・。みたいな。

 

※ストーリー・・・
考古生物学者のケイトは、偶然発見された未知の生命体調査のため、南極ノルウェー観測隊基地に降り立つ。そこにあったのは、一見するとただの氷塊だった。しかし、そこには襲撃した相手に自在に擬態できるという恐るべき能力を持った“それ“が潜んでいた・・・

遊星からの物体X ファーストコンタクト@ぴあ映画生活

 

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コメント(4件)

  1. 記事にしていただきありがとうございました
    この記事がないと公開されていることに気付いていませんでした
    非常に助かりました!

  2. よしはらさんへ

    こんばんは〜♪お返事遅くなってごめんなさい!
    良かった。そう言っていただくと書いた甲斐があるってもんです。
    私もムカデ2には、よしはらさんの影響を大分受けています♪




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