rss twitter fb hatena gplus

*

47★ベルフラワー

’11年、アメリカ
原題:Bellflower
監督・製作・脚本・編集: エヴァン・グローデル
撮影: ジョエル・ホッジ
音楽: ジョナサン・キーヴィル
キャスト:エヴァン・グローデル、ジェシー・ワイズマン、タイラー・ドーソン、レベッカ・ブランデス、ヴィンセント・グラショー

めちゃくちゃ好みだった。恋に落ちるシーンはロマンチック過ぎる、と思う人も居るかもしれない。失恋して世界が終わることを望んでいる男は青臭すぎる、そうも言うかも。全体としてどこかしら稚拙な部分がいくつも見受けられ、主人公の惚れる女はブスな上にビッチ。さらに、現在公開されたばかりのアメリカ映画とは思えないようなセンスは、まるで’80年代の映画のようにも感じさせる。

でもここには勢いがある!そのため目が離せなくなる。自分の思うがままに自分の思いをそのまま映画にするような、馬鹿な勢いが。自分の撮りたいものを思いきり撮れている、この力み感、はみ出し感が良くて、この映画を愛おしく感じてしまう。観客に喜んでもらおうと、盛んなサービス精神から、ステージの向こうから飴玉を振る舞うことはない。代わりに肩を抱き合って、「お前ら本当馬鹿だな!!」と笑い合いたい気持ちにさせられる映画。

『マッドマックス2』に憧れて、火炎放射器を日々作り出すかと思えば、女と恋に落ち、振られた途端に自暴自棄になる馬鹿者・・。「もう駄目だ、女なんか信じられない」の映画の宣伝文句、これはまたピッタリなんですね。マッドマックス用の車「メデューサ号」で男同士繰り出すことで、ボロボロなまま、辛うじて明日に向かってゆく。それは『マッドマックス』で望んだような破滅後の世界にも似通っている。自分たちの生きた世界が壊れていったのを目の当たりにした若者たち。

「お前は俺か!」と言いたくなる気持ちでいっぱいになる。でも私にとって皮肉なことに、『マッドマックス』が大好きだった男と分かれてから、死にそうな目にあったのだった。くっそー、思いも寄らないところで、ビター過ぎる味わい!余計なことまで思い出させられて辛いぜチキショー。(『北斗の拳』好きの私は、「『北斗の拳』は『マッドマックス』の世界を真似たものだ」と猛プッシュされた。)

この作品、ウッドローを演じたエヴァン・グローデルが、監督以下ほぼ全て一人何役もこなし、作り上げた作品らしい。悪友エイデン役のタイラー・ドーソンも、’03年からの友人だそう。ちなみに、「コオロギの食べ放題」シーンでは、エヴァン・グローデルも、ジェシー・ワイズマンも、あのシーンの撮影でコオロギを実際に何匹か食べたらしいw。

 

※ストーリー・・・
『マッドマックス2』の世界に心酔しているウッドローとエイデン。ふたりは、日々火炎放射器の改造に明け暮れていた。そんなある日、ウッドローはミリーという女性に出会い恋に落ちる。順調に交際が続くのだが、ある時ウッドローはミリーの裏切りを知り・・・

ベルフラワー@ぴあ映画生活

 

関連記事

『沈黙』 日本人の沼的心性とは相容れないロジカルさ

結論から言うと、あまりのめり込める作品ではなかった。 『沈黙』をアメリ...
記事を読む

『エブリバディ・ウォンツ・サム!! 世界はボクらの手の中に』 アメリカ亜流派のレイドバック主義

80年代の映画を見るなら、私は断然アメリカ映画派だ。 日本の80年代の...
記事を読む

『湯を沸かすほどの熱い愛』 生の精算と最後に残るもの

一言で言えば、宮沢りえの存在感があってこそ成立する作品かもしれない。こ...
記事を読む

美容師にハマりストーカーに変身する主婦・常盤貴子 『だれかの木琴』

お気に入りの美容師を探すのって、私にとってはちょっぴり大事なことだった...
記事を読む

『日本のいちばん長い日』で終戦記念日を迎えた

今年も新文芸坐にて、反戦映画祭に行ってきた。 3年連続。 個人的に、終...
記事を読む

2,069

コメント




管理人にのみ公開されます

日本語が含まれない投稿は無視されますのでご注意ください。(スパム対策)


スパム対策をしています。コメント出来ない方は、こちらよりお知らせください。
Google
WWW を検索
このブログ内を検索
『沈黙』 日本人の沼的心性とは相容れないロジカルさ

結論から言うと、あまりのめり込める作品ではなかった。 『沈黙』をアメリ...

【シリーズ秘湯】乳頭温泉郷 鶴の湯温泉に泊まってきた【混浴】

数ある名湯の中でも、特別エロい名前の温泉と言えばこれでしょう。 乳頭温...

2016年12月の評価別INDEX

年始に久しぶりに実家に帰ったんですが、やはり自分の家族は気を使わなくて...

とらねこのオレアカデミー賞 2016

10執念…ならぬ10周年を迎えて、さすがに息切れしてきました。 まあ今...

2016年11月の評価別INDEX & 【石巻ラプラスレポート】

仕事が忙しくなったためもあり、ブログを書く気力が若干減ってきたせいもあ...

→もっと見る

【あ行】【か行】【さ行】【た行】 【な行】
【は行】【ま行】【や行】 【ら行】【わ行】
【英数字】


  • ピエル(P)・パオロ(P)・パゾリーニ(P)ってどんだけPやねん

PAGE TOP ↑