36★愛と誠
’12年、日本
監督: 三池崇史
原作: 梶原一騎
エグゼクティブプロデューサー: 井上伸一郎、椎名保
製作: 池田宏之、藤岡修、遠藤茂行、平城隆司他
プロデューサー: 杉崎隆行、鷲頭政充、山崎美春
キャスト:妻夫木聡、武井咲、斎藤工、大野いと、安藤サクラ、山田真歩
『クローズZERO』meets 『サウンド・オブ・ミュージック』!?
なんて言ったら、後者のファンに怒られるかしら(爆)。
ミュージカル部分はトコトン面白くて、マサラムービーのノリの良さに、日本の昭和ムード歌謡の古臭さが見事にマッチし、暴走する作品。これは楽しい!
初めから笑い転げっぱなし。「恥ずかしいほど愛の歌」っていう、古臭さが逆に新しい辺り、ピンポイントで命中しすぎ。『テルマエ・ロマエ』の前半のギャグが大好きな人にもオススメかも。
日本でここまで振り切った感覚のミュージカル作品て、まず思いつかない。「今度は、こう来たか」、思わずニヤリとする。またまた今回もビックリさせてくれた。
「一人自転車操業」と言われるぐらい、軽々といろいろな作品に着手し、かっ飛ばしてきた三池さん。最近はビッグネームに落ち着き始めて、そうそう下手を飛ばさなくなって来た感じもある。新しいことにチャレンジはするけれども、前よりずっと狡猾に狙ってきてる。そんな感じ。でも、今回は私的には大当たり!
三池作品の、どことなくB級っぽい香りがするところが大好き。和製タランティーノと言ってもいいかもしれない、バイオレンスとカッコ良さと馬鹿らしさ。この配分がたまらない。
中途半端にかっこ良かったりしてはダメで、とことんダサさを突っ走るぐらいがイイ。良くわかってやってる職人技って感じ。『ジャンゴ』の頃にイマイチだった部分を感じた人は、腕の上げようにビックリしたでしょ。
エンドロール後に、「真樹日佐夫に捧ぐ」の一文が。そう、そう言えば真樹日佐夫はこの間亡くなられたけれど、その時に思わず三池さんのことを思い出したのを覚えている。三池さんとは交友関係が深かったよなあって。『探偵物語』の時に舞台挨拶で真樹日佐夫も来ていたなあ。「本物のヤクザが来た」みたいな紹介のされ方だったけどw。『46億年の恋』も、ナニゲに原案が梶原一騎と真樹日佐夫なのよネ。『悪 WARU』なんかもそう。
いやあしかし、妻夫木が本当、イイ味出してるの。30過ぎて、学生役が似合っちゃう童顔っぷりも天晴!・・・きっと、なで肩だから余計若く見えるのかもしれない。あんなにイケメンなのに、ちゃんとカメレオン俳優だしね。演技も本当に上手い辺り、『悪人』を見て惚れ直した人も居そう。あと、武井咲が本当に可愛くて、精一杯演じている辺りも、とっても好感度高い。「あの素晴らしい愛をもう一度」なんかは、カラオケで「愛・愛・愛」の手の振りをやる人も居そう(自分もすっかりヤル気満々だがな)。
それよりも!今回はやっぱり、『SR サイタマノラッパー』の主役の二人の女の子、特にガム子の大抜擢に大喜びしちゃった。彼女の名前は安藤サクラ。今回、一番記憶に残る美味しい怪演ぶりを見せてくれました。斉藤工も良かったけどね。SRサイタマノラッパーの主演のメガネっ子は、ガム子が出てるなら、きっと彼女も居るはず、って探しちゃったよ。メガネ取って化粧してるとまるで別人。台詞があってようやく、「あ!メガネっ子だ!」て思い出した。(彼女の名前は山田真歩。)
メガネっ子と言えば、「メガネを馬鹿にする奴は、メガネに泣くぞ!」とか「メガネは顔の一部なんだぞ!」の岩清水君の阿呆な台詞も忘れられませんね。
『あしたのジョー』は見てないけど、三池さんがやった方がずっと面白かったんじゃないか。・・と、『あしたのジョー』の酷評っぷりを聞いてそう思った私が居ましたとサ。
※ストーリー・・・
幼い頃の事故がきっかけで、額に一の字の傷を負った誠と、彼に命を救われた愛。成長したふたりは再会を果たすが、誠は不良少年になっていて、誰も信じず拳を武器にひとり戦っていた。彼を純粋に愛する愛は、なんとか更正させようと献身的に愛情を注ぐが・・・
2012/07/11 | :三池崇史(今月の三池さん), :音楽・ミュージカル・ダンス 三池崇史, 妻夫木聡, 武井咲
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コメント(3件)
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こんばんは!
そうそう真樹日佐男先生、亡くなっちゃいましたね。
一時期サンジャポに出ていて、「ジョークだよ」なんて軽妙な持ちギャグを披露されていましたが、まさか亡くなるとは夢にも思っていませんでした。三池作品とは関連が深い方ですものね。『シルヴァー』(ちょっとタイトルうろ覚え)なんて女子プロレス映画もなかったっけ?
でも真樹先生、この映画に出演していましたよね?
花園学園での乱闘シーンのギャラリーとして学ラン姿の真樹先生がいらっしゃったような気がしてならなかったのですけど・・・幻なのかな??
なんだか映画を観終わった後にカラオケに行きたくなりましたね。
とらねこさんはこの映画に出てくる昭和歌謡曲の中でならどの曲を歌われます?
『あの素晴らしい愛をもう一度』でチロリロリンと変な動きをした後に、『夢は夜開く』でガツンと一発って感じでしょうか(笑)?
じゃあ『酒と泪と男と女』の選曲は僕に譲ってください。よろしくお願いします(笑)。
蔵六さんへ
こんにちは~♪コメントありがとうございました。
真樹日佐夫先生に捧ぐの文、一番最後に出てましたね。エンドロール最後まで見て良かった、危うく見逃すとこでしたよ。本当、驚きましたね。三池さんもガッカリされたでしょう。
ハハハ一人、ものすごく老けた学ラン姿の人が居ましたけど、よく気づきましたね!私はアレっ?と思ったんですが、蔵六さんのブログを読むまでうっかり忘れてました。
そうそう、一度私、銀行で務めてた時に、私の窓口に真樹日佐夫事務所の人が来ていましたよ。さすがにブログに書くのはどうかと思って省いてしまいましたが。支店名とか書かなければいいよね。
蔵六さんとカラオケ、久しく行ってないですねー!いいな、また行きたいですね。前回、嫌々歌っていたのをうっすら遠ざかる意識の中で聞いたこと、思い出します(爆
カラオケ、部屋に入った途端に寝てしまってすみませんでした、その説は…今頃だが。
「あの素晴らしい愛をもう一度」は、中学生の時に合唱コンクールで歌ったことがあるので、得意なんですよー!「夢は夜開く」、思わずエロい替え歌をしたくなるタイトルですね。替え歌バージョンで歌ってもいいですか?「酒と泪と男と女」、蔵六バージョンの本気をオーダーしますよ!
「愛と誠」
ミュージカル好きな私だから、基本的に、まず嫌いなわけがない。