29★宇宙兄弟
’12年、日本
監督: 森義隆
脚本: 大森美香
原作: 小山宙哉
製作統括: 塚田泰浩/プロデューサー: 阿部謙三/撮影: 栢野直樹
音楽: 服部隆之/主題歌: コールドプレイ
キャスト: 小栗旬、岡田将生、麻生久美子、濱田岳、新井浩文、井上芳雄、塩見三省、堤真一、野口聡一、バズ・オルドリン、中野澪、中島凱斗
夢がある話だなあ〜。
そもそも、「宇宙に行く日本人」を題材にしたというだけで、大分テンションが上がっちゃうじゃない?毛利さんが宇宙に行った時を思い出す。あれは本当に「夢を叶えた人」という眩しいイメージだった。ニュースの一つ一つを追いかけるのがすごく新鮮で。(私には何故か、秋山さんの時は、それほど感動はしなかったのです。報道関係の人だったからか。技術職でスペースシャトルに乗った毛利さんに、何といっても憧れた。)
宇宙飛行士の「毛利さん」のキラキラ眩しい活躍と、「タッチ」を足したような感じ。言うことがいちいち古いって?(笑)「兄弟葛藤」は、基本のストーリーモノとして、皆が好きな話だろうと思うのだけれど、「ダメな兄キが弟を追いかける美談」と来ると、どうしても「タッチ」を思い出しちゃう。だから、原作がすごく人気があるのも分かるなあ、という感じなのです。
単純に、NASAやJAXAを描いた物語だった、という設定そのもの、これがとても気に入ってしまって。7割方心を奪われた感じ。セットがショボかったり、美術がいかにも作り物っぽかったりすると、ウンザリしてしまうところ。しかーし、この作品では、この辺に何より満足度が高かったのでした。つまり、「邦画なのに、ここまで映像の進歩が見られる作品もあるんだあ!」と感動。
画的に「すごく無理のある馬鹿馬鹿しいショット」が一つも無いんですよね。これ大事。例えば、アマルフィでは、単純に風景の綺麗さを見せるためだけに、ロングテイクを撮りましたー!どうだー?!映像、綺麗だろう!お金かけて居るだろう!みたいな阿呆なこと、こういうことはしていない(笑)。ちゃんと、「スペースシャトルが飛ぶのを下から映像で映したら、こんな画が撮れるだろうな」、と思えるような画が出来上がっているのです。いやあ、日本のCG技術も進歩してるのね。この作品といい、『テルマエロマエ』といい、香川旅行に行った時に時間つぶしのためにシネコンで見た「2連続邦画」だったのだけれど、この2つには邦画のCG技術の進歩といった部分に満足させられましたネ。
ただ、難しく感じさせる部分もあって。おそらくは、とても長くて見所満載の原作を、キュっとまとめるのに苦労をしてしまったのだろうなと。たとえば、兄弟がテーマな割に、それほど兄弟の絆を感じさせる部分があったように思えないし。それから、六太のコンプレックスを描くのに、時間をかけ過ぎに思えて退屈した。あの程度のことであれば、上手な脚本なら、2、3のエピソードで充分描くことは可能だし、もっと物語がサクサク進んで欲しかった。時間を見たら、次の展開に物語が行くまでに、つまり六太が重い腰を上げるために、40分ぐらいかかってる。そのぐらい時間をかけたかったのは理解出来るけれど、意外に思える部分がないから退屈に感じちゃうんですよね。
私にとっては、JAXAの試験を内部まで描き始めたところで、だんだん面白くなっていった。こういうのって見たこと無いぞって。六太の試験がどうなるのか、楽しみになってきて。
そうそう、先日はこの映画を見て影響を受けて、実際にJAXAに行ってきたのだけれど(笑)、宇宙服を着て説明をしてくれたお兄さんに、私質問しちゃいました。「JAXAの面接は実際に、あんな風に泊まりがけで1週間ぐらいかけて行われるものなんですか?」って。実際そうなんですって。本当に、JAXA内の建物に泊まって面接が行われたのだそう。でもさ、こういう質問は、小学生が率先して訊いてくれればいいのに…。誰もしないものだからw。しかも一番前に座って質問しちゃいましたよ^^;
※ストーリー・・・
星空を追い続けていた兄弟─天然パーマの兄・南波六太とツンツンヘアの弟・日々人。幼い2人は「2人で一緒に宇宙に行こう」と約束を交わす。時は過ぎて2025年。ヒビトは約束通り宇宙飛行士となり、世界中の注目を集めながら月へ旅立とうとしていた。一方、ムッタは勤めていた自動車会社をクビになり意気消沈。そんなムッタのもとに、宇宙航空研究開発機構(JAXA)から宇宙飛行士選抜試験の書類選考通過を知らせる手紙が届く。・・・
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コメント(6件)
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原作は漫画喫茶でざっと読んだ程度で、それほど想い入れも無かったのが良かったのか、かなり楽しめました。
画作りのセンスも良かったし、俳優も良かった。こういうストレートにポジティブな話もたまには観たくなります。しかしつくば宇宙センターまで行っちゃうとは(笑
おはようございます♪コメントありがとうございました。
お、原作読んでても楽しめましたか。私は原作読んじゃうと大抵うーん…てことになっちゃうので、原作モノは先に読まないに限る、が信条だったりします笑。
そうそう、俳優も良かったですよネ。小栗くん、岡田将生、麻生久美子、あとちっちゃい濱口、なかなか演技達者が揃ってました。時々、小栗くんにはこの役合わないように思えましたが…
JAXA、なかなか良かったですよー!前、火星が地球から見えた時は、国立天文台に三時間以上並んで、ヘトヘトになりましたけど、それよりはずっと楽でした笑。
とらねこ姉さん、こんばんは~☆
姉さんがこの映画観たのがちょっと意外に感じたり・・・。(^^ゞ
でも思いのほか好評価なのが嬉しいな♪
「ムッちゃん、行かないの?」
「行ってやるよ! それまで下見しとけ!」
このやりとりがたまらなくいい!(* ̄▽ ̄*)
なんか男兄弟って感じの会話なので。
3社による“はやぶさ”の映画化がどれも見事なガッカリぶりで
「邦画で宇宙ものって無理なんぢゃね?」と思ってたけど、ここに
きて「なんだ!邦画だってちゃんと凄いの撮れんぢゃん☆」って
思わせてくれた一本って感じです。(* ̄▽ ̄*)
オイラも観た順番こそ逆ですが、テルマエとこの映画を観たら
同様に「邦画だってまだまだ元気あんだぜぇ!」と期待したく
なりますね♪
・・・まぁどっちも“原作付き”って事で手放しでは喜べませんが。
あ、長々と書いちゃってごめんなさい。
それでは、また☆(^O^)ノ
ガンヘッド♪さんへ
こんばんは〜♪お久しぶり!コメントありがとうございました。
うんうん、思いの外高評価でした。夢がある話はいいですよねー♪
>「なんだ!邦画だってちゃんと凄いの撮れんぢゃん☆」って思わせてくれた一本って感じです。(* ̄▽ ̄*)
ですよね〜。邦画って、まず美術で大方ガッカリしてしまうことが多すぎて。今回もどうせそうなんだろうな〜と思って見たので、そうでなかったことに「おっ」と驚きました。
テルマエも、ちゃんとローマの風景のCGに満足して見れましたよ。邦画って明るすぎる光を多用する傾向が多いですよね、でもテルマエだと、ローマの部分の光をちゃんと暗め設定にしていたりするところも納得でした。「邦画のCG、だいぶ進化したなあ」と実感した人、多いんじゃないかと思います。
>あ、長々と書いちゃってごめんなさい。
いあいあ。いつも丁寧なコメントありがとうございます♪