28★ドライヴ
’11年、アメリカ
原題:Drive
監督: ニコラス・ウィンディング・レフン
脚本: ホセイン・アミニ
原作: ジェームズ・サリス
製作: ミシェル・リトバク、マーク・プラット、ジジ・プリッツカー、アダム・シーゲル、ジョン・パレルモ
製作総指揮: デビッド・ランカスター、ビル・リシャック、リンダ・マクドナフ、ジェフリー・スコット、ゲイリー・マイケルズ・ウォルターズ
撮影: ニュートン・トーマス・サイジェル
音楽: クリフ・マルティネス
キャスト: ライアン・ゴズリング、キャリー・マリガン、ブライアン・クランストン、クリスティーナ・ヘンドリックス、ロン・パールマン、オスカー・アイザック、アルバート・ブルックス
ちょうど時間が合っていたから、というだけの理由で、ごくテキトーに観に行ったわけです。そしたら、メチャメチャ面白かった。全く期待していなかったので、本当に意外。
デンマーク出身のニコラス・ウィンディング・レフン監督、全然知らなかったけれど、この作品が面白かったので、同時期に公開されていた『ヴァルハラ・ライジング』なんかも、すぐさま観に行った。そしたら、『ドライヴ』でカンヌ監督賞受賞してたのね。後から知ってしまった・・・。『ヴァルハラ・ライジング』は、’09年のイギリス・デンマーク映画。つまりハリウッド以前の作品。こちらの、意外にもグロさ全開で、さらに風変わりなテイストには驚いてしまったけれど、よく考えてみればこちらの作品も案外グロいシーンなんかもあったしね。などと思い当たる。『ヴァルハラ〜』は、「難解でアート風なアポカリプト」というところ?
で、こちらの映画。自分は、つくづくこういうテイストの作品が好きなんだよなー、と。台詞で説明せず、映像だけで語るタイプの映画が大好物なもので。主人公は寡黙なんです。そこもまた好きだったな。余計なクチを叩かず、黙々とやるべきことをこなす主人公。素性のよく分からない男だけれど、自分の心がときめく女に、真っ直ぐに心を開くところも、なんだか泣ける。
で、そんな風に物語を追っていると、途中で気づくのは、これ、実はよくある「巻き込まれ型サスペンス」なんだなあ、ということ。でも、そう気づいた時には、すでにガッツリとこの世界に入ってしまっている。なるほど、「巻き込まれ型サスペンス」って、実は、主人公を中心にした物語に入り込むことに抵抗があると、全く面白くないものなかもしれない。私の大好きな、『トゥルー・ロマンス』を少し思い出したりして。あそこまでヒップな作品ではないけれど、不器用な男がしょうもない女を愛することによって、巻き込まれていく話。ああ、好みっぽい。
物語そのものは至ってシンプルな話なんです。それなのに、映画の効果か、あらゆるシーンにすごくワクワク感を感じる。今まで食べたことのある味のものを、すごく上手な料理人が作ったおかげで、まるで新鮮に感じさせるような。よくある話をここまで面白くさせる要因は、一体何だったんだろう?何となく『タクシー・ドライバー』も思い出したりして。
主人公が犬みたいに純粋なところもいい。あの、いかにも「愛されることに経験がない」ことを感じさせるような、主人公の一途さが苦しくて、思わずハマってしまう。
ライアン・ゴズリングが本当にいいんだ!!彼が演技をすると、途端に血肉の通った人間を感じさせるのは何故だろう。すっかり、夢中になってしまった。『きみに読む物語』、『完全犯罪クラブ』辺りから見始めて、『ラースとその彼女』、『ブルー・バレンタイン』!この辺の作品選びの上手さは抜きん出ている。この後、すぐに『スーパー・チューズデー』を観に行った。おかげで、『幸せの行方…』とか、『ラブ・アゲイン』なんて、全く興味湧かなかったけれど、すっかり見たくなっちゃったし。ゴズリングに加えて、キャリー・マリガンも、『SHAME シェイム』に続いて見たけれど、本当キュートな人。
※ストーリー・・・
昼はカースタントマン、夜は強盗を逃すプロの逃し屋を営む“ドライバー“は、偶然出会ったアイリーンに一目惚れ。徐々に彼女と仲良くなる中、服役中だった彼女の夫が戻ってくる。そして、ある事件によってふたりは一緒に仕事をすることになるのだが・・・
2012/05/21 | :サスペンス・ミステリ キャリー・マリガン, ニコラス・ウィンディング・レフン, ライアン・ゴズリング, ロン・パールマン
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コメント(4件)
前の記事: 27★SHAME シェイム
>『幸せの行方…』とか、『ラブ・アゲイン』両方観ました。『ラブ・アゲイン』は傑作、昨年マイベスト4位にしてます。
ライアン、赤丸急上昇ですね。
この作品はとてもシンプルだけど、色彩遣いなどが効果として抜群に効いてますね。
cucuroseさんへ
おはようございます〜♪コメントありがとうございました!
おお、roseさんはどちらも見られたんですね。素晴らしい。私はラブコメはすっかり疎くて、『幸せの行方』や『ラブ・アゲイン』も、何となく見た目でスルーしてしまいました。ラブ・アゲインがベスト4にまで挙がってたなんて!そんなに面白かったんですね。早速DVDで見てみます♪教えてくれてありがとう〜。
私はこの作品すごく気に入ってしまいました。おっしゃるとおり、色遣いも良かったですね。何よりカメラワークが好きだったなあ〜。
とらねこさん こんばんは
お久しぶりです 先にコメントTBありがとうございました。
お返事にお邪魔したら,な,なんととらねこさんご結婚なさったのですね~~
それもマチュピチュ!素晴らしいです~~
自分はきっと一生行かないだろうな~と思いますが
素敵なお写真見てたら,ちょこっとだけ行った気持ちになりました。
旦那様も素敵な方ですね。お幸せに!
・・・と,こちらの記事よりそちらの方に激しく反応してしまいましたが・・・
この作品は役者の上手さと監督の手腕が冴えわたり
抗いがたい魅力がありました。ストーリーは確かにありがちなのですが。
でもすべての場面が魅力的で寡黙な主人公に目が釘付けでしたね。
なな
ななさんへ
おはようございます〜♪コメントありがとうございました。
お久しぶりですー。そうなんです、結婚したのですー、ありがとうございます。マチュピチュ良かったですよ〜!
この作品、よくあるストーリーを、これほどまでに新鮮なものに見せる映像が、強烈で素晴らしかったんですよね。