24★世界最古の洞窟壁画 3D 忘れられた夢の記憶
’10年、アメリカ、フランス
原題:Cave of Forgotten Dreams
監督・脚本: ベルナー・ヘルツォーク
製作: エリック・ネルソン、エイドリエンヌ・チウフォ
製作総指揮: デイブ・ハーディング
撮影: ペーター・ツァイトリンガー
音楽: エルンスト・レイジガー
ナレーション: ベルナー・ヘルツォーク
日本語版ナレーション: オダギリジョー
キャスト: ベルナー・ヘルツォーク
個人的には、3D映画ベスト1。
正直、3Dが苦手なんですよね。映像技術としても、わざわざ3Dにして見るべき価値があるものが多いとも思えず、無意味に劇場で見る料金が高くなるだけにしか思えない。そればかりか、頭が痛くなってしまう、という個人的な理由も。2Dで見られるのであれば、間違いなく2Dで見る私。・・・にも関わらずあえて言わせてもらえば、3Dで見るだけの価値のある映画はどれか?と言われたら、間違いなくこれなのでした。多分、今後もずっとそう。てことで、オールタイム・3D映画ベスト1。
3万2千年前のこの世界最古の洞窟が南フランスで発見されたのは、1994年。これまで一番古いとされていた「ラスコー壁画」が1万5千年前なので、それを軽々と超えるこの”世界最古”ぶり。ショーヴェ洞窟の名は、発見者のジャン=マリー・ショーヴェにちなんで名付けられたのだという。たくさんの人が入ると、それによって二酸化炭素のため洞窟が崩れてしまう可能性があるため、一般人の見学は禁止されているのだという。今回、初めてフランス政府の許可が降り、そこに3Dカメラが入ることを許されたそうだ。こんな映画って他にありますか!?間違いなくないでしょう。
調査団ですら、時期と一日の時間が決められていて、また思うままに洞窟に入ることを許されては居ない。最新の放射線炭素年代測定技術を用いて、壁画の一つ一つを緻密に調べ、いつ作られたのか、徹底的に調査されている。決して肉眼で見ることの適わない場所なのだから、それを3Dで見ることが出来るのは、本当に至福の時間でした。「歴史の一瞬を垣間見た!」という気持ちに、トンデモなくなれる映画。考古学好き、歴史好き、科学好きにはたまらないと思う。
映画は時に、わざわざ出かけることなく、旅行した気持ちになれるけれど、この映画ほど歴史的資料価値のある映画も、そうないのでは。映画を見ながら、思わず暗闇の中で、必死にノートを取りながら見てしまった。
自分の常識外のものを見るのって、本当に楽しい。
※ストーリー・・・
“世界最古の洞窟壁画“といわれているフランスのショーヴェ洞窟での撮影にフランス政府が初めて許可を出した。ヴェルナー・ヘルツォーク監督らスタッフたちは特別に洞窟内に潜入。カメラは3万年前に描かれたという美しい壁画の数々をつぶさに捉えていく。
・世界最古の洞窟壁画 3D 忘れられた夢の記憶@ぴあ映画生活
2012/04/29 | :ドキュメンタリー・実在人物 ヴェルナー・ヘルツォーク
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『世界最古の洞窟壁画/忘れられた夢の記憶』(2010)
1994年に発見された南仏のショーヴェ洞窟、そこには3万2千年前と推定される世界最古の壁画が残されていた。政府によって厳重に管理され、一部の学者や研究者以外は立ち入り禁止の場所…