14★フラメンコ・フラメンコ
’10年、スペイン
原題:Flamenco, Flamenco
監督・脚本: カルロス・サウラ
撮影:ヴィットリオ・ストラーロ
音楽: イシドロ・ムニョス
キャスト: サラ・バラス、パコ・デ・ルシア、マノロ・サンルーカル、ホセ・メルセー、ミゲル・ポベダ、エストレージャ・モレンテ、イスラエル・ガルバン、エバ・ジェルバブエナ、ファルキート、ニーニャ・パストーリ
疲れていた精神に、思いっきり堪能したフラメンコダンス。何のストーリーも台詞も無く、ドキュメンタリーでもない。まさに、フラメンコの舞台そのもの。とにかく、ダンスにこだわり続けたこのカルロス・サウラの、究極の作品といった感じの濃密さ。『サロメ』以来の鑑賞でした。
カメラはヴィットリオ・ストラーロ。何とも贅沢なフラメンコ空間でした。とにかく心を研ぎ澄まし、目の前のダンスにだけ集中した時間でした。
照明は、光と影とをくっきりと映し出す。ダンサーの姿に、一つとして影が映らない踊りはなかった。光よりもその存在が印象的な“影”は、このフラメンコというダンスに似合っている。自然光のような光の柔らかさよりも、影の濃さが勝つ神秘的なダンス。夕闇が始まるその時間は、「フラメンコの時間がやってくる!」というかのような、心踊るメロディ。
歌詞は特に目で追う必要もなくて、むしろ目の端に流していく方がちょうどいい。フラメンコの旋律はとても真剣で悲しげ。音楽は本当は全て生音が良かったけれど、ダンスが中心だからか、そうもいかないのかな。ダンス同様に音楽の好きな自分としては、音楽がライブでないのは、少し残念。
一番好きだったのは、雨の中ダンスをする1シーン。濡れながら踊る女性も男性もとてもエロチックで素敵なの。
テーマは、人の誕生から晩年、その再生なのだそうな。
※ストーリー・・・
“生命の旅と光“をテーマに、スペイン映画界の巨匠カルロス・サウラが人の誕生から晩年、甦りまでを全21幕の構成で描く。“誕生“を意味する“アンダルシアの素朴な子守唄“で幕を開け、幼少期から死期までを華麗な音楽と多彩なフラメンコの演目で魅せる。
2012/03/09 | :音楽・ミュージカル・ダンス カルロス・サウラ, ヴィットリオ・ストラーロ
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コメント(3件)
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これ、日本公開バージョンは歌詞があるんですね。
LBFFは歌詞なしなので、ひたすら映像のみ。 それでもいたく感動しました。
素晴らしかったです。
cucuroseさんへ
こちらにもありがとうございます♪
そうなんです、日本公開バージョンには歌ってる詩が字幕になって読めるようになってます。
歌詞が特に無くても、歌を聞いているだけですごく心に突き刺さるものがありますよね。逆に無い方がまっさらな気持ちで聞けて良いかもしれません。意外と変な歌詞だったりするので…。