カーズ2 #58
’11年、アメリカ
監督:ジョン・ラセター
共同監督:ブラッド・ルイス
音楽:マイケル・ジアッキノ
キャスト:オーウェン・ウィルソン、ラリー・ザ・ケーブル・ガイ、マイケル・ケイン、ボニー・ハント、エミリー・モーティマー、ジョン・タトゥーロ、トニー・シャルーブ、グイド・クアローニ、ポール・ドゥーリー、チーチ・マリン、ジョン・ラッツェンバーガー、ジョー・マンテーニャ、ピーター・ジェイコブソン、ジェイソン・アイザックス、エディ・イザード、フランコ・ネロ、バネッサ・レッドグローブ、ルイス・ハミルトン、ジェフ・ゴードン、デビッド・ホッブス、ダレル・ウォルトリップ
続編でも面白い!見事な方向転換。
シリーズモノがあまり好きでない自分は、続編は続けば続くほど新鮮味が薄れたように感じる、最も飽きっぽい観客の一人だ。でもこの『カーズ2』は、予想していたものとは全く違う、2作目にして大胆な方向転換。まさかそう来るとは、さすがはピクサーだな、と。
前作(『カーズ』)では、ルート66を拠点に、忘れられていく小さな地域社会や、その温かみ、時々ゆったりと生きるのもすごく豊かな生き方であること、人の帰るべき故郷・・・などなど、「車」なんていう、この上なく便利な「文明の利器」でもって、こんなスローライフな物語を紡ぐのか!という、驚くほど完成度の高い物語だったけれど。
今回は、1の持っていたテーマ性をまるきりリセットしたかのよう。その小さな地域社会から完全に抜け出て、世界にその舞台を移していった。
冒頭で、フィン・マックミサイルの(文字通り)カーチェイス!に驚く。まるで007、ジェームズ・ボンドそのもの。しかもマイケル・ケインが声を担当しているのが嬉しい。お、今回は全く違うな、主人公はもしやフィン・マックミサイルか?と思いきや、メーターが主人公だなんて。完全に脇役キャラだと思っていた、オトボケのメーターが、素人スパイとして大活躍!
そもそも、メーターみたいなタイプが主役って、普通に考えても難しいんじゃないかと思うのね。脇役でこそ光りそうなキャラなのに、あえてこんな天然ボケな人(クルマ)を主役に持ってくるなんて!
一方、ライトニング・マックイーンは、ワールドグランプリで世界へ。東京、イタリア、そしてロンドン・・。世界のあちこちの景色が、ハッとするほど美しい。さすがのピクサー映像、1でのラジエーター・スプリングスの雄大な景色や、森林の様子が見ていてとても心地良かったけれど、こちらの2の映像もいいな。2でもやはり車を模しているところは同じで、世界のあちこちのモニュメントが、これもクルマ!あれもクルマ!と言っては喜ぶのでした。
1では車好きにハマりそうな、大人に向けたファンタジーだったけれど、2でもボンド好きな大人の方がハマりそう!相変わらず、「大人の子供心をくすぐる」、こんな辺りが大好きなのでした。3D映像としても大満足!私はだんぜん『トランスフォーマー』よりこっち。
ガソリンではなく、新しいバイオ燃料が台頭してくる・・など、近未来にありそうな設定になっているところも面白かった。そういえば、『ミツバチの羽音と地球の回転』では、スウェーデン人が「ガソリンのために、中東を始め世界で戦争が起きている。人を殺すモノで走る”車”には乗りたくない」と言って、バイオ燃料のエコロジーカーに乗ってる、という人が印象的だった。こういう視点がまるで感じられない点や、「バイオ燃料には欠陥があった」、しかもその新事業がマフィアっぽかったりして、この辺の設定が、ああ、アメリカ映画だなー、なんて。
※ストーリー・・・
最強のレーサーを決めるワールド・グランプリに出場するために、天才レーサーのマックィーンとピット・クルーを務めるメーターらは東京へ。そこで彼らは、グランプリに仕掛けられた陰謀に巻き込まれていき、マックィーンとメーターの友情にも亀裂が生じ・・・
2011/08/10 | :アニメ・CG等
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コメント(4件)
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なんかピクサーっぽくないって意見が多いけど、私は大好き!
これはまさにスパイ映画とクルマが大好きな大人のための映画ですよ。
もちろん子供が観ても楽しいだろうけど。
因みにバイオ燃料の問題云々のところも、実例に基いていて、バイオ燃料は樹脂を溶かす特性があるので、ガソリン車にそのまま使うと火災を起こす事があるんですよ。
ブラジルとか、バイオ燃料が普及している国で売られてる車は対策してあるんですけどね。
最近は樹脂への攻撃性の弱い燃料も開発されてる様ですが一時期問題になりました。
ノラネコさんへ
こんばんは〜♪コメントありがとうございました。
んねっ。「同じことやっても面白くないしね(ペロッ)」て感じが、ブラボー!でした。
私はジョン・ラセターが好きなようで、彼の映画は結構気に入ることが多いみたいです。特にクルマが好きなわけではない私でも、スパイ映画のワクワクぶりには楽しくなっちゃいました。
バイオ燃料は、なんと実例があったんですね。ガソリン車に使うと、・・ですか、なるほど。
エコカーは初めから作りが違うのですね。エコカーのレーサー車という日は来るのかなあ?
そういえばノラネコさんの車もエコカーでしたっけ。時代を先じてますね。
前作とまったく違う世界感でしたね。
まさかスパイ映画にしてくるとは、、、嬉しいサプライズです。
こうなってくると何でも出来そうな気がして
クルマのもつ既成概念を本作で完全に覆されたなって感じです。
ワタシの好きな車は1950年代のテールフィンのアメ車です。
『アメリカン・グラフィティ』に代表されるその時代の映画ってなんか好きなんですよ~。
itukaさんへ
こんばんは〜♪コメントありがとうございました。
こう来るとは思ってませんでしたよねー!5年かけて続編があるとは思いませんでしたが、こういうサプライズの仕方ならアリ!って思っちゃいました。
そうそう、何もクルマでなくてもいい訳なんですけど、逆に車でやるからこそ喜ぶ車好きなんかも居そうですよね。
へー、itukaさんはアメ車好きだったんですね。アメ車好きの人は、走り屋が多いってイメージだったりします。
改造に凝ってたり、集会とか行ったりみたいなw。
いえね、とある山梨出身の知り合いにそういう人が居たもので・・。
『アメリカン・グラフィティ』!あー、なるほど。自分は『グリース』の方が好きで、印象が強いのはそっちの方ですけど、トラボルタが出てるからかも。