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スペイン一家監禁事件 #52

’10年、スペイン
監督:ミゲル・アンヘル・ビバス
キャスト:フェルナンド・カヨ、マニュエル・ベレ、アナ・バジュネール、ギレルモ・バリエントス

 

その名もズバリ『スペイン一家監禁事件』。監禁事件の有様を克明に綴っている。

見知らぬ訪問者が家に突然やって来るという、「見知らぬ訪問者モノ」だ。

HPによると、スペイン本国では30秒に一回押し入り強盗事件が起きていて、年間300万件あるという。深刻な社会問題になっているということだ。見終わった後に知ったことだけれど。

押し入り強盗ということで、大体次の展開が読めてしまい、そのままに進んでいく物語。サプライズやふとした展開がないので、観客は少し退屈してしまう。序盤の早いうちに、「もしかしてこの作品は、最初から最後までこんな風に、事件のあらましを追っていくだけなんだろうか」という、嫌な予感が的中する。物語の早い時点で、ラストまでの展開がすぐさま予想がついてしまうというのは、困ったことである。長回しを多用するのは、個人的には決して嫌いではないはずなのだけれど。

冒頭のシーンで「玄関のリモコンを取られた」というセリフや内容から、ついつい『ファニー・ゲーム』を思い出してしまう。(リモコンが印象的に使われてましたよね。)嫌悪感を異様なまでに抱きながら、それでも映像から目を離すことが出来なかったあの作品と比べてしまうと、イライラさせられたはずのあの『ファニー・ゲーム』が、いかに面白かったか、ということになるかもしれない。それから、他の見知らぬ訪問者モノでは、『屋敷女』も私は思い出した。こちらのフランスのゴアホラーでは、押し入ったのが一人の女で、それなのに見事なまでに凄まじい悪夢が起きていく。こちらもまた出色の出来だった。

こうした「押し入り強盗・殺人モノ」は、見た人に嫌悪感を抱かせるものなのである上、退屈である。・・・とここまで言って、そう言えばトルーマン・カポーティの『冷血』も、それからチャールズ・ブコウスキーの『レイモンド・ヴァスケス殺し』も同じだった、などと考えた。

まるで淡々と事実を追うように、ドキュメンタリータッチとすら言えるやり方で描いているのは嫌いではないけれど。前半はほとんど押し入ったのみ、後半にかけて展開していくのも丁寧に追っているとは言える。

 

※ストーリー・・・
働き盛りの夫とその妻、年頃の娘が一家揃って郊外の新興住宅地へ移り住む。引っ越し初日の夜。突然、静寂を破り、覆面を被った3人組が押し入ってくる。目的は金品だというが、それは執拗な暴行と凌辱が繰り返される、長く、過酷な夜のはじまりだった・・・

 

スペイン一家監禁事件@ぴあ映画生活

 

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