X-men: ファースト・ジェネレーション #43
’11年、アメリカ
原題:X-men: First Class
監督:マシュー・ヴォーン
製作:ローレン・シュラー・ドナー、サイモン・キンバーグ、グレゴリー・グッドマン、ブライアン・シンガー
製作総指揮:スタン・リー、タルキン・パック
脚本:マシュー・ヴォーン、ジェーン・ゴールドマンストーリー:ブライアン・シンガー
撮影:ジョン・マシスン
美術:クリス・シーガーズ
編集:リー・スミス、エディ・ハミルトン
音楽:ヘンリー・ジャックマン
キャスト:ジェームズ・マカヴォイ、マイケル・ファスビンダー、ケビン・ベーコン、ローズ・バーン、ジャニュアリー・ジョーンズ、オリヴァー・プラット、ジェニファー・ローレンス、ニコラス・ホルト、ゾーイ・クラヴィッツ、ルーカス・ティル、ジェイソン・フレミング、キャレブ・ランドリー・ジョーンズ、エディ・カテギ、アレックス・ゴンザレス
実はこのシリーズはアメコミの中でも何故かとても好きな方。『Xメン』1stが大好きで、2ndは楽しみにして待ってた。この最新作を見た後に、改めて1〜3を見返してみた。この作品を見るまでは1が一番面白くて、2はまあまあ、3と、去年の『ウルヴァリン〜』は、正直個人的にはそれほど好きではなかった。
結論から言うと、全体のシリーズの中でも一番良く出来ているのがこの作品だった。監督は「今、もしかしてノリにノってる?!」マシュー・ヴォーン。監督作品は『レイヤー・ケーキ』、『スターダスト』と来て、『キック・アス』で大ブレイクした感のある人。
このシリーズのどこが好きだったかというと、それぞれのミュータントが各種様々な個性ある特殊能力を持っているところ。そこがどうやら楽しかったみたい。 改めて見返してみると、それほどストーリーが突出しているというほどでもなかったかも。各ミュータントがバイプレイヤー的で、皆一様に同じ能力を持っているわけではない。 ここが、子供の頃から『ドラえもん』よりずっと、『怪物くん』や『ゲゲゲの鬼太郎』が好きだった私の心にヒットしたみたい(『オバQ』はまあまあ。とりあ えずお化けが出てくるから)。
最新作はシリーズものによくあるビギニングモノ。1よりさかのぼった物語で、どうやら長い葛藤のストーリーがありそうな、プロフェッサーXとマグニートーの出会いから。今までで一番美味しいストーリーになりそうなのは、間違いない。
この作品の方向性は1に近い。このシリーズの面白かったところである、「特殊能力を持つのは、世界には自分だけではないか?」。そんな孤独感とコンプレックスに近い自意識を抱えていたミュータント達が、自分一人ではないと知る喜び。一人では生きられない疎外感を感じる者たちが、生きるべき場所を得る。それぞれのバイプレイヤーたちの個性ある特殊能力の楽しさ。シリーズを通してほぼ面白い部分はこの辺りなのだけれど、この作品で突出しているのはやはり、マグニートーとプロフェッサーXがそれぞれの思惑から一緒に戦う。その不思議な友情の奇妙なバランス。これが一番の見所だった。これまで、このシリーズを通して、プロフェッサーXって凄い人という設定だけど、何がどう凄いのか分からないし、どちらかというと足を引っ張る存在になったりもして。悪の魅力のあるマグニートーと比べて、「プロフェッサーXが好き」という人はほぼ皆無なんじゃないのかな?だからこの作品ではプロフェッサーXがちゃんとカッコいいところが素晴らしい。ジェームズ・マカヴォイといういい役者を使っているところも嬉しいし。
それよりも個人的に嬉しかったのは、ミスティーク萌え!な私にとって、ミスティークが大フィーチャーされていたのが嬉しい。なんたって、1からずっとミスティークが好きな私ですからね!このシリーズで一番素敵なのは、何よりミスティークじゃないですか?ってずっと言ってたんですよ。彼女が初めて会ったのがプロフェッサーXで、彼との友情が初めにあった、という意外性もツボだったし。若い頃のミスティークの真っ直ぐさや見た目に対するコンプレックスは、女性にとっては当然理解できるもの。
あと、彼女の本名がレイヴンというのも納得ですよね。なるほど、彼女のアクションは1でも、鳥のようにヒラっと舞うような動きがあったの。このアクションがカッコ良くてね。パワー押しのアクションタイプじゃなくて、むしろ不気味な強さを感じるところも、シツコいですが、1からずっと好きだったんですよ私!あと、彼女がいつも若い理由がちゃんと明かされたよね。プロフェッサーXもマグニートーもおじいちゃんなのに、ミスティークだけ細胞レベルでいつまでもずっと若々しい、というのがちゃんと描かれてた。なんて羨ましい!w
※ストーリー・・・
名門大学に通うチャールズはテレパシー能力を持ったミュータントで、自分と同じような超能力を持った者たちの存在に気付き始めていた。そんなある日、あらゆる金属を操る力を持ったエリックと出会う。ふたりは親友同士となり邪悪なミュータント軍団と戦うことに・・・
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そうなんですよね、このシリーズは他のマーベル物と違って絶対的な主役がいない群像劇。
特殊能力も利点であると同時にコンプレックスでもあって、一人ひとりがどう社会と折り合いを付けるのかという点で悩みながら成長する。
プロフェッサーXとマグニートの対立も、その葛藤から生まれたものですから、その始まりを紐解くという本作のコンセプトはなかなかに興味深いものでした。
旧シリーズも好きでしたが、このビギニングシリーズも期待できそうです。
ノラネコさんへ
こんばんは〜♪コメントありがとうございました。
ですねー、群像劇スタイル。もちろん、ウルヴァリンの頭一つ抜きん出たカッコ良さも楽しいですが、いろんな人がいろんな能力を持っているところがいいし、それぞれのストーリーがバックグラウンドにあるところが、グッとくるんですよね。
プロフェッサーXとマグニートーも、元々のシリーズからして深い因縁がありそうでしたし、今回のストーリーの核になる部分もきちんと面白かったですね。
彼らの人間に対する考え方が違うという辺りも、その苦悩の深さがきちんと描かれていましたね。
>孤独感とコンプレックス
それだけでも生き難いというのに、突出した能力を持つもの・人間的でない能力を持つもの・異形のものは、“人類の敵”とみなされ攻撃対象となってしまうという部分に、凄く“人間”の独善的な弱さを見せられている感じがして・・・
本能的に、必死になって“人間”という種の保存のために、脅威となるであろうミュータントに対して排除行動をとっているんでしょうね。
>その不思議な友情の奇妙なバランス
一番の親友で、一番のライバルで、その考えに同調は出来なくても一番理解しあってる2人。
続編がますます楽しみになりました。
哀生龍さんへ
こんばんは〜♪コメントありがとうございました。
なるほど。「“人間”の独善的な弱さ」という言葉を選ぶ辺りにも、すごくセンスを感じます。
実はそれすごく気になりますよね。だから、ミュータント同士が戦って傷つけ合ったりしているのがなんだか少し痛々しくも見えてしまったりして。
そうまでして人間をかばう必要ってあるのかなあ?なんて思ってしまうとこのシリーズ、微妙になってしまうんですけどね。特に3とか・・でも、1もこの作品でも、ずっと一貫して同じようなところありますよね。
>一番の親友で、一番のライバルで、その考えに同調は出来なくても一番理解しあってる2人
ですよね、3でああなってしまうから・・このシリーズの今後が楽しみでしすよね!
ウルヴァリンはその内出てくるんでしょうか?
こんばんは。お久しぶりです。
三部作とスピンオフを観ていたのでとても楽しめました。
主要キャラクターの若かりし日が観れたのが嬉しいです。
ミスティークが常に全裸なのか? とか、三部作の頃はおばあちゃん? とか、若かりし日のプロフェッサーXの「ハゲるぞ」とか、色々と楽しめました。
ワイルドなあいつも出てましたしね。
健太郎さんへ
こちらにもありがとうございます♪
私も全部見ました。このシリーズは割と好きなんですよ。
ミスティークは本来であるならおばあちゃんになるはずなのですが、この映画の中できちんと若い理由が説明されていましたね。
ミスティークの変身を行う細胞を調べていたビッグ・フットが、
「君の細胞の強さはすごい。40代になっても若者のように若々しいままだ。素晴らしい!」
と言うんですよね。