アンストッパブル #16
’10年、アメリカ
原題:Unstoppable
監督・製作:トニー・スコット
製作:ミミ・ロジャース、エリック・マクロード、ジュリー・ヨーン
脚本:マーク・ボンバック
撮影:ベン・セレシン
音楽:ハ リー・グレッグソン・ウィリアムズ
デンゼル・ワシントン : フランク・バーンズ
クリス・パイン : ウィル・コルソン
ロザリオ・ドーソン : コニー・フーバー
イーサン・サプリー : デューイ
ルー・テンプル : ネッド
エリザベス・マティス : ニコール
ミーガン・タンディ : マヤ
すごく爽快な佳作!ここまでストレートかつシンプルに、思いのまま身を任せて堪能出来るアクションもそうないんじゃないか?『スピード』を思い出させる傑作。
暴走列車を勢い良く走らせ、そのまま走りを緩めない、文字通りジェットコースター映画。って簡単に言うけど、このテンポ感を維持できるのってすごく職人技がいるはず。にもかかわらず、この安定した実力を見よ!どんどん危険性が増していくテンポ感もいい、実写にこだわった映像もいい。ぐうの音も出ない。こうまで頭を空っぽにして楽しめるアクションは、私的にここ近年の中でピカイチ。キャッホーイ、楽しかったよ~!
ベテラン機関士のフランク(デンゼル・ワシントン)がリストラに合い、コネで入社した新入社員(クリス・パイン)が後釜を継ぐ。この関係性の亀裂から始まっていくのだけれど、この設定にも現代性があって、リアリティを感じてまた良し!列車に残された時間はあと90分程。このタイムリミットの中で変わっていく何かを描く、こういうのがちゃーんとあるんですネ。もちろん彼らが自らの身の上話をするに至る下りなんかも面白いんだけど、例えばウィル(クリス・パイン)が少し離れたところで合図を送る時に、フランクが「でも、黄色いベストは脱げよ。(新人であることを示す)そのジャケットの黄色が目に入ると、オレがパニックを起こす」なんていう台詞があるのね。こういう気の利いた台詞が嬉しいわけ。単に設定だけで終わらせずに、そのキャラクターの現在の状況を考えたユーモアや、何気ない台詞なんかで、映画全体が組み立てられていく上手さ。こんなものを見るのが楽しくて。
正直、ラストで「ん?」と個人的にはズッコケてしまったり、それほど危険な物を積み運ぶのに、街中に入る手前にそんなカーブがあるって、本当かな?だとしたらアメリカの列車って何て恐ろしい・・なんて思ってしまったりもしたけど。まあそんなものは全く気にしない。エンドロールでその後の彼ら一人ひとりについて言及する辺り、事実を元にした物語ならではの面白さ。しかも原因を作ったデューイのその後がファーストフード業界へ転職、というのも笑える。
トニー・スコットは私は『トゥルー・ロマンス』が好きで好きで。おかげでリドリー・スコットよりトニー派。それこそタランティーノ作品と比べても、『レザボア・ドッグス』を抜かして、この作品の方が好きなほど(※『トゥルー・ロマンス』はタラちゃん脚本)。寂れた場末の映画館で一人、カンフー映画を見る主人公に、逆ナンを装って近づくコールガールっていう設定からして最高にイケてるし。コトを済ませた後、「好きな色は何色?」「黒」「好きな数字は?」何ていう純情会話に、ボンクラハートを射抜かれちゃうでしょ(”先”じゃないんだよ、”後”なんだよ。それもラブラブなムードなの!)あと、殴られてボコボコになりながらも、中指を立てるパトリシア・アークエット、これ萌えたよ!「好きな恋愛映画は何?」って訊いて、「『トゥルー・ロマンス』」って答えが返って来ただけで、惚れたことあるのは、大声では言えないケドな。
他の作品も好きなんだけど、特筆すべきは『スパイ・ゲーム』かな。全部が終わった後、ロバート・レッドフォードが「夕食作戦、完了」って言うんだけど、それを聞いてボコボコな傷だらけのブラピの顔が、一瞬で泣きそうになり顔が歪む。あのシーンが好きで、また見たくなってしまう。・・・近年は、『デジャブ』以来見てないので、『サブウェイ123 激突』、これはまだだった。これは近い内に見ようっと。
※ストーリー・・・
ベテラン機関士・フランクと新米車掌のウィルは初めてコンビを組むことに。そんな中、危険化学物質とディーゼル燃料を大量に積んだ貨物列車777号が、小 さな人為的ミスにより暴走。それを食い止めるために、フランクとウィルは命懸けの無謀な作戦を実行する・・・
2011/02/22 | :アクション
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コメント(9件)
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単純明快、それでいて工夫は凝らされていて、実に楽しい90分でした。
これぞハリウッド映画、これぞエンタメですね。
あのカーブは実在しますし、ビックリするくらいマヌケな事件の発端も実話そのままです。
事実は映画より奇なりですね。
ノラネコさんへ
こんばんは〜♪コメントありがとうございました。
分かりやすいエンタメで良かったですよね〜。
こういうのだったら歓迎ですね。
あのカーブが存在するんですね!発端もそのまんまだったなんて。
をを! 姐さん『アンストッパブル』好評価してる☆
嬉しいなぁ~。(* ̄▽ ̄*)
以前TVで放送してた日本未公開映画『アトミックトレイン』
みたいなの予想してたけど(恐らく元ネタは同じと思われます)、
観に行ったらかなり満足した一本でした♪
長~い貨物列車の迫力ある映像だけでなく、車やヘリや小道具が
ワジャワジャ活躍して、もちろんいろんな人達が職人魂にかけて
頑張っちゃうのがいいぢつに!
スカっと終わって、でも観終わって「仕事ってなんだろ?」とか
ちょっと自問自答する楽しみも残してくれるのがまたステキ!
早くもオイラは今年のベスト候補入れたい作品です☆
ガンヘッド♪さんへ
こんにちは〜♪コメントありがとうございました!
ガンヘッド♪さんもこちらの作品、ご覧になっていらしたんですね!
うんうん、ガンちゃんだったら絶対好きだと思いました^^
へー、この作品、『アトミック・トレイン』に似てたんですね。
ただこれ、’01年に実際にあった列車事故を元にした映画だったんですが、
『アトミック・トレイン』はそれより前の’99年製作なのですよね。
でも列車暴走モノ、というところがそう思い出させるのでしょうね。
職人魂を感じる映画でしたよね〜!こうしてミニマムに映画の面白さを
ギュッと詰め込んだ映画というか。やっぱりいいです!
もうベストですか!早いなあ(笑)
私は大体、2月頃にベストとか言うと、絶対それを裏切ってしまうんですよw