小谷元彦展 幽体の知覚
森アートミュージアムで開催中の、「小谷元彦展 幽体の知覚」を見て来ました。
期間は、2010年11月27日〜2011年2月27日まで。
痛みや恐ろしさ、見ているものに知覚を感じさせることを目指した「幽体の知覚」、ファントム・リム。
目の前に現れたものの奇妙さに、思わず興味を引かれ、気づけば夢中になって堪能してしまいました。
現代アートって勝手なイメージで、難解で退屈そうなイメージがあったのですが、全くそんなことはなく。退屈知らずであまりの面白さに驚きました。
ここにある彫刻や映像は、極めて自分たちの世界に近しい今あるものから、スライドさせて芸術の世界を垣間見せるという感じです。私たちにもふと日常に訪れるようなバッド・イマジネーションや、今後思わず見てしまいそうな悪夢で溢れていました。とにかく、ここにあるイメージの数々が自分に近しいものに感じるのです。
まず初めに出てきたのが、少女の写真。これがまた、いきなりエロいのです。東京都の児童ポルノ改正案だとか、青少年健全育成条例改正案だとかが盛んに行われている真っ最中。そしてそれがとうとう施行されてしまった、そんな最中だということに、驚くと思います。アニメでなく「アートならば良い」のですから、堂々としたもんです(爆)
髪の毛で作られたドレスには思わずギョッとしてしまいます。日本人にとって、髪の毛がいかにホラーの中で効果的な使われ方をするかを考えたら、自ずとその恐ろしさが伝わるでしょう。怨念がこもってそうなドレスは、そこにあるだけで禍々しくて、なかなかに素敵です。
左は「New Bone」。螺旋はすぐさま遺伝子の構造を思い出しますし、渦巻く姿は太古の生き物の姿を感じさせます。
小谷自身が撮ったという映像も飾られていますし、他には少女が奇妙なジャングルでロリポップキャンディーを舐めるだけの映像は、展示の仕方が面白いのです。タワレコなどのCD店にあるような、CDやDVDを試聴するような機械が設置されていて、楽しむようになっています。私たちが慣れ親しんだ商業音楽を楽しむ形を踏襲しているのは、何かの狙いを感じさせます。
最後にある滝の部屋は、周りを滝の映像で取り囲まれた小さな部屋になっていて、下は鏡になっています。滝の映像も上から流れるだけではなく、逆回転したり、静止したり、スローモーションになったり。中には酔って気持ちが悪くなってしまう人もいるというのも、分かる気がします。
今回の展示のタイトルの『幽体の知覚』。「アアーーーーー」という「ラ」の音と同じ音程の人声が、あの部屋の中でBGMに流れています。
この六角形の部屋も、聖徳太子が作った『夢殿』を思い出しました。
ここは、「映像」と「音」それらを360度に堪能する「建造物」のアートなんですよね。さらに、自分がその中に入るという「参加型」であるところが面白い。
そして、それらが鏡になっているところから、4次元どころか、6次元まで見れる場所。
滝の中に入ったらどんな気持ちがするか、そしてそれが逆回転したらどんな思いがするか。下を見れば吸い込まれそうな気持ちにも。奇妙な人の声が流れる中、滝の映像が降り注ぐ奇妙な空間。私はこんな悪夢を想像しました。自分が滝で自殺した後、精神だけの存在となって、異界をさまよう姿。この部屋に入るだけでも、ここに来た価値があったと感じさせるような奇妙な体験でした。
↓ How To Make A Jacket Out Of Human Hair
こちらは髪の毛で作られたジャケット。
小谷の「髪の毛ドレス」画像がなかったのでせめてジャケットをどうぞ。
もう一つ。小谷元彦自身による解説『小谷元彦展 幽体の知覚』
参照リンク:
・小谷元彦展 幽体の知覚 HP
・ドM How To Make A Jacket Out Of Human Hair
2011/02/10 | アート・美術関連
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コメント(10件)
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うぉいっすー!もいっちょ、寝違えた!うぉいっすー!
これさー、髪の毛のジャケット?
小学校の頃にアウシュビッツ収容所展でみた、
髪の毛の毛布思い出してブルーになっちゃったよー。(その他、皮脂石鹸とかもあり)
動画だと、YES!アート☆みたいな感じだけど、結局、人の発想は同じなのかのーう。
この人のコンセプトがよーわからんけどさー。
ちなみにバーレスクは話の内容は陳腐極まりないYO☆
よくありすぎる、田舎娘の上京サクセスストーリー・夢も恋も☆的な鼻糞が3トン程出そうな感じだけど
バーレスクのSHOWが!SHOWが!素敵なのよぅ!
シェーラが64歳ってマジターミネーターな。
こんばんは♪
永遠の非実在青年ことバッドテイスト好きのわたくしが駆けつけますヨ!
>「アートならば良い」
真紅に染まった手の赤は初潮のメタファーか…みたいなアート解釈アプローチも分からんではないけど『ファントム・リム』で小谷氏が一番こだわったのはワンピの丈とみたね!絶対領域のこの絶妙なギリギリ感が素晴らしい(笑)
メカフェチのわたくし的には『バンビ』が一番グッときたんですけどそっち系熱く語ると周りがドン引きするので割愛(笑)
>自分が滝で自殺した後~
いやもーとらねこさま解釈やっぱ面白れーわー(尊敬してます)
「萬有の眞相は唯だ一言にして悉す、曰く不可解」の藤村操かっつー(笑)
『バブルへGO!!』でドラム式洗濯機に入れられた広末嬢はこんな感覚だったのかなーとかボンヤリ考えてた自分が恥ずかしいっす…
でも、俺はまだ大丈夫!と自信が確信に変わったですよ
(↑)アウシュビッツ収容所展
ごめんwwwフイたwww
その発想の飛びはなかったなー
白鬚タンへ
おはようございまぷー♪おいっすうぉいっす!何度でもクライマックス!
(訳:コメントありがとうございました。)
>小学校の頃にアウシュビッツ収容所展でみた、髪の毛の毛布
ブッハ~!!鬚っち、上↑でもみさんがフイてるけど、私も噴いた!
なんか急に怖くなってきたし、リアル感アリアリだね!素晴らしい。
ただ単に髪の毛のジャケットやワンピース作って
「YES!アート☆」してる輩が、け、けしからんヤツに思えて来た(笑)
そうそう私もこないだTVのニュースで、「お小遣い稼ぎに自分の髪の毛を売る中国の寒村の子供」っていうのを見たけど、アウシュビッツゆーたらそらその何倍もマジモノな訳で・・・(滝汗)ひえーー
>皮脂石鹸
おお!皮脂石鹸て言ったら、そら『ファイト・クラブ』じゃないですか!
なるほど、アウシュヴィッツからアイディアを得ていたのか!
ファイト・クラブだと、エステサロンのゴミで出た皮下脂肪を盗んで、
それを金持ちに売りつける(まさに彼らに自分のブツを還元する)っていうところが素晴らしかったけど・・・。
その辺をアイディアにするフィンチャー、ニクいね!
バーレスクは鬚タンがアツく語るので、ついに見たけど
私が長々書くより、鬚っちのその数行のコメントの方が面白いみたいだYo☆
うぉいっすー!エクスプレスうぉいっすー!
ネコタン、踊っちゃった?踊っちゃってくれた?
とらねこ先生!
>そっち系熱く語ると周りがドン引きするので割愛
とか、大嘘ぶっこいてる、変態大将み がいるよ!
今さら気にする体面もないのにネ!
確かにそのマニアックリビドー溢るるコメントを右から左へ打ち返せるのは、
とらねこタンぐらいだろうけど?
それを抜きにしたって、ぬぁ~にを、カワイコぶってんだと!
多分、アウシュビッツとかも回って一通り記念写真(謎の写りこみアリ)
とり終わってるだろうにさー。
つかさー、ファイトクラブの皮脂石鹸は、ブタどもの切り取った脂だったじゃん。
アウシュビッツは死体焼却時の・・・・
白鬚、今よりさらに純粋極まりない地上に降りた最後の天使期だったから、
本当に本当に衝撃を受けてあんま正確に覚えてないんだよねー
金歯を抜くとかいうセオリーはもちろんコンプリだしさー。
でも、毛布はね、生地に髪を織り交ぜる(つっても量が量だけど)っつーちょっと
「好きな人にセーターを編むときは、あなたの髪を混ぜると想いが届くよv」
的な思春期病が施すオカルティックなおまじないのハード版みたいな感じで、
ジャケットみたくモッサはしてなかったよ。
みさま
こんにちは〜♪コメントありがとうございました!
>永遠の非実在青年ことバッドテイスト好きのわたくし
ブブッ!いつも最高の書き出しですけど、いつも決まってますネ!
>『ファントム・リム』で小谷氏が一番こだわったのはワンピの丈とみたね!
ですよね〜!両手に血がついているのがすぐに目に入り、初潮のオマージュかと思うんですよね。
ところが次に目に入るのはそのスカートの丈から覗けそうな、ギリギリラインの足の間でw。
私は、その後もう一度両手の血を見て、もしかしたら初潮のオマージュではなく、ロストバージンの血なのかもしれないとの疑念を抱きました。
入って一番最初がこの作品なんですよねしかもw。「こンのペド野郎〜!」が私の感想で、友人にそう呟いてましたw
芸術と言いつつ、やりたい放題の表現力を見せつけるヤツだな、と(爆)
>メカフェチのわたくしにはバンビが
バンビのようなキュート極まりない生き物が、跳ねることが出来なくなる装置・・。じわじわ来ますよね。私『鉄男』をすぐに思い出すんですけど、『マーターズ』のフライヤーとか思い出してゾゾっとしました。
相変わらず変態っすね大将♪
【バンビの画像】ここ見た人で、展示見てない人のために
http://rezavoircats.tumblr.com/
>自分が滝で自殺した後~
ありがとうございます!みさんもそう思います?今回の展示のタイトルからして『幽体の知覚』だし。
あの「アアーーーーー」って人声があの部屋の中でBGMに流れてますよね、あれも霊界っぽくて。
あの部屋、六角形でしたっけ、聖徳太子が作った『夢殿』を思い出しました。
「映像」と「音」それらを360度に堪能する「建造物」のアートなんですよね。さらに、自分がその中に入るという「参加型」であるところが面白い。
そして、それらが鏡になっているところから、4次元どころか、6次元まで見れる場所。
それが「滝」の映像である理由を考えてましたが、もはや霊界としか思えなくなりましてw。
白鬚タンへ
こんにちは〜♪おいっすおいっす〜!コメントありがとうございました!
踊っちまったよぅ!遅らばせながら。白鬚タンが納得出来るような記事が書けるかどうかは分からないんだけど。私はもともとクリスティーナ・アギレラがそれほど好きじゃなくて申し訳ないんだけど、ショウのシーンはカッコ良かったよネ。
>ぬぁ~にを、カワイコぶってんだと!
くぷぷ・・変態大将 み は世間に順応し、絶妙なバランスを取ったまま生きていける特殊能力を身につけているけど、それもこうして時々カワイコぶってるせいなんよね。きっと(笑)
私のサブカル好きなんて、所詮は大したことないなあ、とみさんの知識を目の当たりにすると思います。マトモな文芸派シネフィルにはなりきれず、かといって変態大将にもなれない。なんだかとっても中途半端。
>アウシュビッツは死体焼却時の・・・・
ぎゃー。うわっ、それ呪われた石鹸だ><
想像すればするほど恐ろしい・・。ごめんなさいごめんなさい。
そっか、髪の毛毛布は生地に織り込まれてるんだ。
確かに、それを思い出したら思わずブルーになるかも・・。
やー、すみません!言い直しますwww
そっち系熱く語るとリビドーにターボかかり過ぎてコメント欄が足りなくなるので…
だって、か弱きもの、メタル、関節、ディシプリンて俺の喜び組が揃ってるんだもん
でも、ひとの家で俺節炸裂させるのはいくない!て モ ラ ー ル も持ちあわせてる常識人なので割愛します(笑)
>ロストバージン疑惑
ウハハ!そう言われて写真見直すと左から4番目あたりが怪しい!
一番右の写真のアンニュイさは情事後だから(笑)
でもやっぱり「夜明け前」だと思うのですよ
破瓜にしては血の色の赤みが足りないようなので
>地上に降りた最後の天使期
ん??「降ろされた」の言い間違いですね
そしてまだ帰れないでいると(笑)
みさま
おはようございます~♪コメントありがとうございます。
えとー、モラールという寝言は置いとくとして、みさんが以前教えてくれた、超絶変態志向な性癖について、
なんだっけ、専門用語を忘れてしまいましたー。
内容は完全に覚えてるんですけど。うーんnnnn
今『リンガー☆替え玉選手権』と『マーダーボール』と『jackass number2』のコメント欄を読み返してみたら、みさんコンプって下さってはいるんですが、ここにはないようですね・・どこだったかなあ?
世にも恐ろしい変態性癖だったんですが・・。むむー
>でもやっぱり「夜明け前」だと思うのですよ
うーんそうかなあ?おっしゃる通り、4番目で表情が変わってるところにドキっとするんですよね。でも確かに股の間に血が垂れていたりはしないですもんね・・。んーじゃあ初潮でいっか☆
しかしそれより驚くのが、「破瓜はもう少し血が赤い」と言い切る辺りですよね・・・そうだったっけ?いやあ、最近の事だった割に忘れてしまいました。
では、もうちょっとマトモな解釈に戻って、「原罪」ってことにしときます。
「両の手のひらが、初潮時の経血で汚れているのは、これから女性が(未来に)男性を堕落させるという象徴。つまりは原罪」。
うーん、みさまの(変態性癖の)発言を聞いて、こんなマトモな解釈が出てくる私って、なんて天使なんでしょう(爆)
白鬚タンの天使発言を汲みとってくれてありがとうございます(ププっ)
私あれ汲み取り忘れてました・・。
>でも、俺はまだ大丈夫!と自信が確信に変わったですよ
あれ?今最初のコメントを読み返してみたら、何が大丈夫なのだろう?w今頃気づいてしまった~^^;;;
こんばんは♪
>超絶変態志向な性癖
あー、それはおそらく、、、
Amputee-philiaかCoprolagniaのどちらかじゃないかと
>「原罪」
そ、それだwww!!
貫通前だ後だとゲスい話から軽やかに飛翔のち見事に着地させる豪腕ターム(笑)
ドヤ顔の天使が見えた気がしたッス(笑)
>俺はまだ大丈夫!
発想のベクトルについて、自分そんなに偏向してないし飛距離も凡庸だと思ってます
でも、ちょいちょいヘンと言われるので、んー目盛りがくるってんのかなーと考えてたところに…「アウシュビッツ」「皮脂石鹸」「夢殿」「滝で自殺」とかフリーダムなワード達をみて、あー俺はまだ大丈夫!とwww
みさま
こんにちは~♪コメントありがとうございました。
みさんに餌を与えられて、片っ端から食べ尽くしていたところでつ☆
x51なる素晴らしいサイトに出会えてしまって、わ、わたしブログやる前に
このサイトに出会ってたら、ちまちま映画ブログなんぞやってなかったわー。自分の情報弱者ぶりを日々痛感する毎日でございます・・。
超絶変態指向のところで、そどむ(←鬚タン発言)に繋げてくる辺り、思いっきりフイた!ブッハー
もー、みさんてばオ☆チャ☆メ!
>ドヤ顔の天使が見えた気が
ダハッ!私の分の天使発言までご丁寧に拾ってくれてありがとうdeathmetal
>発想のベクトルについて
フリーダムな用語かあ・・いやあ、いいですね。うん。みさん、褒めて(?)くれてるハズなんだけど。
みさんでも、そんな風に考えることあるんですね。私も最近悩んでて(え?そんなことは言ってない?)。
なんだか、最近自分の書く文がツマンナイなって。昔に比べて、皆が納得できることを書こう書こうとする余り、キレてるっぷりが遠慮がち。
結果、なんてマトモなことばかり書く、つまんない人になってしまったんだろう。。って。
まあ長い間、嫌と言うほど書きまくっていたので、さすがに燃料不足なんでしょうね。本でも読むかな。