■35. インセプション 『パプリカ』の方がずっと面白い
’10年、アメリカ
原題:Inception
監督・脚本:クリストファー・ノーラン
製作:エマ・トーマス、クリストファー・ノーラン
製作総指揮:クリス・ブリガム
撮影:ウォーリー・フィスター
美術:ガイ・ヘンドリックス・ディアス
編集:リー・スミス
音楽:ハンス・ジマー
レオナルド・ディカプリオ コブ
マリオン・コティヤール モル
渡辺謙 サイトー
ジョセフ・ゴードン=レヴィット アーサー
エレン・ペイジ アリアドネ
キリアン・マーフィー ロバート・フィッシャー
マイケル・ケイン マイケル
トム・ハーディ イームス
ディリープ・ラオ ユスフ
正直、自分にとっては、「クリストファー・ノーランも手を変え品を変え、大変だな、アイディア勝負って・・・」という薄らボンヤリした感想しか抱けませんでした。
『メメント』が大好きだったので、『フォロウィング』もすぐに見て、自分にとって大注目の監督だったこともありました。例えばその辺りの自分の思い入れに関しては『プレステージ』に詳しく書いたことがあります(のでソチラを読んでいただければ幸い・・・)。
一般的には『プレステージ』はそれほど芳しい評判ではなく、どちらかと言うと賛否両論、それも見た人はそれほど多くなかったのですが、『ダークナイト』で知名度もグンと上がり、かなりの評判を博した後での作品になるのですよね。
今回は、本来のノーラン節で創り上げた作品だったはず。CGも廃し、こだわり抜いた出来になってるはず・・・そうは思うのですが、自分には何とも薄味の、難解とは名ばかりな浅い作品にしか思えなかったのです。
元々はこうした作品が大好きだっただけに、何故こんなにノレなかったんだろうとは随分考えたのですが・・・。
始まって間もなくのところで、夢についての説明をしながら、同時にこの映画を楽しむ上でのルール説明を行っている箇所があります。
でも、そのルールというものを、この映画の中で存分に楽しめるような作りに出来上がっているとは到底思えなかったのです。始めに説明した夢の面白さは、それも随分表面的で一元的な説明だったけれど、後から出てくるのはほとんど夢の構造のみ。何より夢についての描き方が、全くもって浅くて、たとえば私は最近ガンで亡くなった今敏の『パプリカ』の方が、何十倍も夢について当を得た表現になっていたと思うし、ずっと面白かった、と言いたい思いでいっぱいです。
今敏監督、R.I.P…
この作品はCGを使わず表現した、というのがこだわりの一つなのだとは思うのですが、その映像も今ひとつ楽しめなかったというのが本音です。
私は夢というものに長年惹かれていて、夢についての心理学書は漁るように読みました。夢というものが好きで、夢について映画で描くことや、まるで夢みたいに思える作品というものも片っ端から大好きなのですよね。
夢のその複雑さや、難解さ、根源的な恐怖や集合的無意識・・・。夢にまつわる表現を描いた、全ての芸術作品が好きです。
でもこの作品は、夢を描くにはあまりに浅く、物足りないとしか思えませんでした。
たとえば、自分の頭の中で見る映像というものが、視点を変えれば全く違って見える・・・
そんな、SF的に世界観がガラっと変わる面白さ、という点は、マトリックス1を思い出しましたが、『マトリックス1』であれほどワクワクした感じの映像には全く及ばず、想像性の貧弱さばかりが目につきました。
また、夢の世界、もう一つの世界に耽溺するあまり、現実世界から背を向け、価値観を転倒させてしまうモルも居ましたが、コブもそうした幻想を抱き続ける人生であると分かる、そんな物語でした。
そんな「自分の甘い妄執に囚われた人」ということであれば、タルコフスキーの『惑星ソラリス』にアイディアを発していたかもしれません。
『惑星ソラリス』はやはりSF的世界観を、あくまで大仰なSF的舞台装置を使わずに近未来を描き、同時に人の心に「自分にもある」と思わせるような、心象風景的な映像を作り上げることに成功した作品でした。この点を参考にしているのだろう、とは思うのですが、自分にはあのタルコフスキーの甘美な映像と妄執には、足元にも及ばないだろうと思ってしまいました。
役者の魅力、という点で言うなら、何を演じさせても自分の魅力を役に映しだすことのできるレオナルド・ディカプリオですが、今回は残念ながら『シャッターアイランド』をまるきり思い出させるような役どころ。奥さんをまたしても殺してしまう役でした。
「まさか、また同じ役なんじゃ・・・?」と思ってしまって、面白さも半減。レオのトレードマークの眉間の皺も、有難味を失って味気ないものに感じられてしまいました。
女優を美しく撮ることに関しては、高い評判を得たことのないノーラン監督ですが、今回はマリオン・コティヤール。その美貌も演技を貶すところものない女優さんなんですが、まあフツーと言ったところでした。
それより、あれほど存在感を発揮するエレン・ペイジが、今回活躍どころがそれほど見当たらず、冒頭で期待させられた割に、少々不満が残りました。
唯一良かったのはジョセフ=ゴードン・レヴィットで、まるでヒース・レジャーを思い出させるような風貌に、心踊りましたね。
こんなところでした。この映画を気に入られた方、ごめんなさい。この作品が斬新なアイディアだと思う方は、『パプリカ』の夢装置をもう一度見てみて欲しいです。
『パプリカ』の方が夢の本質について存分に描けていると思うので。
2010/08/31 | 映画, :SF・ファンタジー
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浅き眠りは夢を呼ぶぅ〜
『パプリカ』(マッドハウス、DVD)
お薦め度★★
{/rokuro/}大人向けのアニメは終盤になってよくわからないまま、
一応のハッピーエンドを迎えるというのが多い。
このアニメもその一つで、
結局敵は誰でなんであんなことしたのか、どうしてやっつけたのか、という
事件…
インセプション
『お前の頭へ侵入する─』
コチラの「インセプション」は、クリストファー・ノーラン監督、レオナルド・ディカプリオ主演の7/23公開のSFミステリーなのですが、7/17〜19は先行上映ってことで、その先行上映の初日のレイトショーで早速観て来ちゃいましたぁ〜♪一昨年の….
ははーー、とらねこさん!「インセプション」に花丸を付けた私ですが、とらねこさんのレビューとっても興味深く読ませていただきました!ふむふむ、厳しいですね。でも、とらねこさんにとって「夢」を題材(?)にした以上、ハードルが高い事もわかりました。前、とらねこさんが持つ夢知識の事教えてくれましたよね。もっと聞きたいです!実は!笑
この作品、以外と好きと嫌いという意見がまっぷたつに別れている気がします。ファンタジーや想像力が観る人にとってどういうものか凄く影響されるんでしょうかね?とらねこさんがあんまりっていうのは残念ですけど、これだから映画って本当に不思議で素敵なものなんですよね。
ディカプリオの演技!私も思いました!彼じゃなきゃ良かったと思う一方、年齢を考えると変わりがあんまり思いつかない、、、。ウォールバーグとかゴスリングとかどうかな〜って結構考えました。無駄に。笑
ちなみに、とらねこさんのブログで今さんの事知りました!ええ!びっくり、、、。ショック、、、。「パプリカ」もう一度見直そうかな、これをきに。はぁぁ。そうか、、、。RIPですね。
クリストファー・ノーランというのは、非常にロジカルな理系脳で、たぶん間違いなく滅茶苦茶頭の良い人なんでしょう。
テーマ性の強かった「ダークナイト」を例外に、ぶっちゃけこの人の映画からはあまり物語を感じません。
この映画も話自体は一行で説明できちゃう(笑
むしろスクリーンを挟んで、観客と監督が勝負するゲームというのがノーラン映画の感覚かなあ。
「メメント」も「プレステージ」もそんな印象でした。
夢というモチーフも、夢の持つ意味とか神秘性とか、それ自体を追求したいとは思ってないでしょうね。
この作品の場合の夢は、完全にコンピューターネットワークを夢に置き換えた構造ですから、彼の“ゲーム”にあわせてセッティングされた舞台装置という位置付けでしょう。
物語を期待すると、ちょっとがっかりかもしれませんね。
インセプション・・・・・評価額1750円
「ダークナイト」の大ヒットで、名実共にハリウッドのトップディレクターとなった、鬼才クリストファー・ノーランの最新作。
デビュー以来、…
アヤさんへ
こんにちは〜♪コメントありがとうございました。
アヤさん、この作品大好きなんですよね・・・それなのに、こんな激辛なレビューに、コメントまでつけてくださり、本当に感謝します!
ごめんなさい、アヤさん・・・今回はどうもノレませんでした。
そうなんです、アヤさんがおっしゃるように、自分は夢に対するコダワリが異常なまでに高くて、ハードルが高すぎたためノレなかったんだと思います。
『メメント』の頃はこういう「ノーラン節」が本当に大好きだったんですよ・・・。
『フォロウィング』や『プレステージ』も本当に大好きで。
夢の世界って本当に面白くって。勉強したくて、もう一度別の学部に入って、院では夢分析について勉強したいなあ、と思って準備してたんですが、結局お金がなくてそのまんまになってます・・・。
私の夢の話を面白がってくれて嬉しかったです。そうそう、カリフォルニアで生まれ育ったアメリカ人の友人が、ユングの名前も知らなくて(私の発音が悪いのかなと思って、スペルを言ったんですが、それでも分かってもらえなくて)ビックリしました。
アメリカではユングは有名じゃないんでしょうか?
ディカプリオの代わりに、マーク・ウォルバーグとかライアン・ゴスリング・・・いい!その二人だったらどっちも似合いそうですね。でも確かにあんまり代わりが思いつかないですね。
今敏、あまりにも早い死ですよね・・・。まだ46歳なんて、若死ですよ。
ガンで気づいたらもう手遅れだったらしいです。やっぱりガン検診は大切ですね><
ノラネコさんへ
こんにちは〜♪コメントありがとうございました。
映画監督って、みんなロジカルで頭がいい人が多いんでしょうね。
アメリカ人だと、個人差が激しいから、本当に頭が飛び抜けていい人もいるんだろうな、って思います。
映画監督に求められる頭の良さって、ロジカルな理系脳で物語構築をして整理立てることができるばかりでなく、
発想力のすごさとか、画として秀でるものを見せることのできる芸術的センスだとか、人々の心を揺さぶるようなフックを見つける・・・などの右脳的なセンスも必要としているんじゃないか?と思う私だったりします。監督には本当にいろんなものが求められますよね。
クリストファー・ノーランばかりでなく、リチャード・リンクレイターとか、ダーレン・アロノフスキーとか、本当頭いいなーなんて思ったりします。
おっしゃる通り、この作品はゲームとしての装置的役割を担っているのが夢だっただけで、何も夢でなくても良かったんですよね。
「コンピュータープログラムとして置き換えた装置」という言葉運びが、とても素敵だなあ、と思います。確かにそのとおりですね!
ですが、自分にはそういう夢の描き方、特に夢の本質を描こうとは思っていないところがとてもイヤだったんです。
夢について、分析してみようともしてないだろう、そんな表現でしたから。
『メメント』も『フォロウィング』も『プレステージ』も本当に好きでしたし、テーマもほとんど一緒なのに、納得出来なかったのはそこなんです。
あ、夜分すんません。。。日本においてクリストファー・ノーランの映画の擁護を一手に引き受けているものです。。。
まずノーランはもう誰とも比べられないのではないか、ノーランの新作はノーランのすべての旧作と比べるべきである、という大胆な提言をしている優れたブログを見つけましたので、見てみてください。。。
http://ameblo.jp/marukawa-gum/entry-10599012986.html
夢のことはとりあえず置いといて、映画の面白さのことなのですが、、、こないだDVDで『アバター』を見たらけっこう面白かったんですね。でもメタレベルでこれをぜったいに面白がりたくない、へそ曲がりな自分がいるのです。万人受けする面白い映画って大体フォーマットが決まってたりするわけじゃないですか、そういうのって方程式じゃん、って思っちゃうのね。『パプリカ』だと黒幕がけっきょく所長で、、、やっつけてめでたしめでたし。。。
ノーランは『バットマンビギンズ』でそういう段階を卒業したと思うんです。で、あの『ダークナイト』があって、つぎはなにをどう撮るのかな? と楽しみにしていたわけなのですが。。。複合的になっていくのかな?
ミッションの遂行とは別にデカプーのプライベートなトラウマを用意して、それを同時進行で描きつつしかもお互いが密接に影響を与え会いながら、、、あのラストシーンだもんなぁ。。。この脚本は、やっぱり良く出来てると、思いますよ。。。
お正月に『アバター』に絶望したボクにとって、こういう新魔球みたいな娯楽大作が同じ年に出現してくれたのは、『救済』以外のなにものでもないと、二回も足を運んでしまったのです。。。
ウラヤマチン@ノーラン財団日本支部さんへ&
こんにちは〜!コメントありがとうございました。
>こないだDVDで『アバター』を見たらけっこう面白かったんですね。
なんで突然『アバター』が出てきたのかなあと思ったのですが、
確かにアバターは、現実世界とは別の世界を同時に生き、結局もう一つの別の世界を選んでゆく物語でした。
それと全くテーマが一緒ですね。
なのに『アバター』をケナしておいて、こちらの『インセプション』を絶賛する・・・
それで後から「言い過ぎたかなあ」などと反省して、『アバター』のことを思い出されたという訳ですね。
>『パプリカ』だと黒幕がけっきょく所長で、、、やっつけてめでたしめでたし。。。
所長が黒幕だったのは確かにその通りだけど。暴走する夢たちが現実に流れ出し、混沌とした現実世界の描き方が圧巻だったラスト。それを止めるにはどういうやり方をしたか・・・
その辺がパプリカはとても新鮮だったなあ。
>お正月に『アバター』に絶望したボクにとって、こういう新魔球みたいな娯楽大作が同じ年に出現してくれた
新春かくし芸大会風に、芸の競い合いをしている映画だったら、『プレステージ』の方だよ。
>ノーランは『バットマンビギンズ』でそういう段階を卒業したと思うんです。で、あの『ダークナイト』があって、
『プレステージ』が『バットマンビギンズ』の次だけど。お互いにそのライバルに勝とうとする激烈な戦いの後に、肥大化した超人意識が最後にリアルの世界をどんな風に裏切ってゆくか・・そこが面白かったな。
>ミッションの遂行とは別にデカプーのプライベートなトラウマを用意して、それを同時進行で描きつつしかもお互いが密接に影響を与え会い
それもうすでに『メメント』でやってたこと。
むしろミッションの遂行そのものを裏切る展開の『メメント』、
本当に素晴らしい脚本だったなあ。
白き鬚のひとのマネっこで入ってみました↑
人非人←メトロン星人の顔文字っぽいところがちょと気にいってます(笑)
http://www.mpsnet.co.jp/hobbynet/photos/xplus-000331L.jpg
>夢ナメてッじゃねーぞゴルァ!(意訳)
ウハハ、いやさすがです!
巷間かすまびしく賛否ある作品ですが、その斬口での否っぷりはとらねこさまオリジナルじゃないかなぁ(笑)
わたくしは絶賛派ですよ〜
『レボロド』『閉島』そして本作!
でかぷーの病みヨメトラウマ三部作のトリを飾るに相応しい傑作として!
そんなでかぷーに捧げます
http://www.youtube.com/watch?v=iD5I34dAK90
夢の中にヨ〜メ〜♪包丁持ったヨ〜メ〜♪
て、どんだけヨメが怖いのよと…
足りないものはきっとロケンローですよ(笑)
こんばんわ〜。
いやいや、激辛でもとらねこさんの気持ちが伝わるだけに、面白いと思いましたよ。何気にこの作品を、「途中で飽きた」とか「特に新しく無いから面白く無かった」って言う人が周りにいたんですよ。でも、何で?って聞いても、具体的な理由が出てこないので、ちょっとイライラ〜こんなに良い作品なのに〜って思ったんですよね。笑 でもとらねこさんの場合、ははぁ〜んって思いましたよー。
ユングについてはちょっとだけ習いました。フロイトについてちょっと習った時にユングの事も勉強した記憶がありますが、、、私も実は高校の時の論文で夢分析について書いたので、何気に憶えてますが、あんまり学校では教わらなかったと思います。がっかりしないでください〜!今でも夢について独学してますか?
ノラネコさんとのコメント会話を盗み読み(?)したんですけど、ノーランが頭良いのはすごーくわかりますよね。ロジカルを人間化したらノーラン、みたいな。ちょっとフィンチャーに似てると思うんですけど、どうでしょう??
あ、また夜分すんません。。。どうもここだと言葉が足りなくなってしまって、、、やっぱ一回会ってとことん話し合わねばならないようですね(殴りあいながら)、、、年末あたりに、またできたらお願いしま〜す。。。
『アバター』はたまたまDVDが出てたので見たまでじゃ。。。大ヒットした大作映画の一例として引用したのじゃ。。。
>それもうすでに『メメント』でやってたこと。むしろミッションの遂行そのものを裏切る展開の『メメント』、
いや、そこはやってねーと思うっちよ。用語の定義がオリジナルでごめんだけど、『メメント』ではミッションとトラウマはワンセットだったはず。で、問題は『むしろミッションの遂行そのものを裏切る展開』が斬新でよかったのは、しょせん『メメント』がインデペンデント映画だからだと思うのだ。
マスを相手にした商業大作だと、そうはいかないんですよ。それが途中までめちゃくちゃ面白かった『インソムニア』の偽善的ラストへの不満だったのですが。。。
そこも『インセプション』で完全に超越してしまったなぁという。。。
スタジオシステムみたいなのがもうなくて、映画監督が世に出るのにインデペンデントムービーで一発当てる、、、みたいなおかしな流れが00年ころにあって、『メメント』もそのようにして現れたと思うのです。あとは『SAW』とか『es』とか。しかししょせん一発アイデアですから誰もろくに後が続いてないじゃないですか。。。
そんな中でノーランの歩みは強かですよ。完全に娯楽大作映画畑に軸を移し、その中でインデペンデント魂を忘れずに映画を作っているんだなぁ。そこに惹かれる。。。
まあそんなもの、映画の評価に関係はないですけれどね〜。。。つづく。。。
じゃ、最後に夢問題ですけれど。。。音楽家で映画ファンで最近は大学講師として活躍中の菊地成孔さんが『アフロディズニー』という本の中で、すごい指摘をしてるんです。
夢にはBGMがない。そしてブニュエルの晩年のラスト三本にも、やはりBGMがまったくないところから、こう結論づけるのです。。。
『シュールレアリスムのオリジナルメンバーであるブニュエルは、夢の作品化という古典的な目的を愚直に果たすために、つまり夢の写実として、劇音楽を総てカットした』
もちろんブニュエルのラスト3本が、『パプリカ』のようでないのは容易に想像がつくことと思うのです。夢を描くのに、せめて晩年のブニュエルが持ちえたくらいの節度を、クリエイターは持つべきだ。と、ターセムとか見てると、つい思っちゃうんですよ。。。
見たことのない影像とかいうと、すぐあのCMでも使われてる街がぐる〜んってなるところとかをフューチャーするんですけれど、見たことのない影像なんて、まだまだいっぱいあるんですよ。
あのゴードン=レヴィットのホテルのシーン。上の層で車が水没したから寝てる人たちがプカプカ浮いちゃう。それで困って束ねるでしょ。寝ているみんなを。
いっぱい映画見てきたけど、あんなシーン見たことないよ。
頭と足をかさばらないように束ねるから、あのキモチワルイ、キリアン・マーフィの足の間から、可憐なエレン・ペイジの寝顔が覗いているという。。。これ何フェチ?
そこがこの映画の最大の見どころであり、この映画の裏テーマは『梱包』だとボクは思いました。。。
み@雅号凶人改め人非人さま
こんばんは〜♪コメントありがとうございました!
白鬚タンみたく入ってきてくれるんなら、パラシュートでチラリズム、さらに「おいーっす!」のゴキゲンな挨拶も真似っ子アリだったのにん
>人非人←メトロン星人の顔文字っぽい
出た!久しぶりに「オリジナリティありすぎる顔文字シリーズ」!
>その斬口での否っぷりはとらねこさまオリジナルじゃないかなぁ(笑)
ありがとうございまーす!私の文は全部自分のオリジナルですー。誰かと同じこと言ってるかもしれませんが。そうですか、誰も夢のことは言ってなかったのですね。
ふーん、みさんもこれ絶賛でしたか。でも、これ私のtwitterのTLでも絶賛の声ばかりが聞こえてきましたよ。
>でかぷーの病みヨメ3部作
確かに(笑)にしてもデカプー、続き過ぎだろうっていう。
デカプーの出演作片っ端から見てたんですが、私実はナニゲに『ロミジュリ』から全部劇場コンプしてたんですね。へー、私ってデカプー好きだったんだなあ!
ちなみに、私的お気に入り「デカプー3部作」は、(近年作のみ)
『ブラッド・ダイアモンド』、『キャッチ・ミー・イフ・ユー・キャン』、『ワールド・オブ・ライズ』でっす!
「世界が相手だ、騙せ、盗めシリーズ」♪
『インセプ』は嫌いだから入れたげないっ!
ヨメの歌は笑いました〜♪
これ、ピストルズまがいのなかなかの良作パンク。
これで演奏がもうちょっと良ければカッコいい歌なのにナ〜
アヤさんへ
こんばんは〜♪コメントありがとうございました!
そうなんです、分かってくれましたか〜。ありがとうございます!
でもね、本当人の感想って十人十色ですよね。
しかし、アヤさんの周りでは、この作品を全くケナしている人もいたのですね!
私のTLでは、本当に絶賛の声しか聞こえてこなかったんですよ。
アヤさんも高校生の時に、夢分析を少し勉強されたことがあったんですね。
私は、今は全然独学はやってないですね、残念ながら。時間が出来たらまた読みたいなあ、とは思います。
>ノーランが頭良いのはすごーくわかりますよね。ロジカルを人間化したらノーラン、みたいな。ちょっとフィンチャーに似てると思うんですけど、どうでしょう??
そうですね!私もどこか、フィンチャーを思い出すような部分があると思います。
アヤさんの年代の人って、フィンチャーの『ファイトクラブ』がすごくお気に入りな人、多くないですか?w
正確にはアヤさんよりもう少し上ですね。アラサーぐらいの映画好きの人に、『ファイトクラブ』の話を振ると、大体食いついてきますw
私にはフィンチャーと言えば『セブン』なんですけどね♪
誰かが言ってたんですが、「その世代にとってのフィンチャーの持つカリスマ性、これがノーランに通じるもんがあるんじゃないか」、と。
ウラヤマチン@ノーラン財団日本支部さんへ
おはようございます〜♪コメントありがとうございました。
>どうもここだと言葉が足りなくなってしまって、、、やっぱ一回会ってとことん話し合わねばならないようですね(殴りあいながら)、、
ハハハ、君にはコメント欄じゃあ足りないかー。これ最高が800字なんだ(400字って書いてあるけど)。
殴り合いながらってそれ、ガラかめだね★
じゃあ、私が亜弓さん。君がマヤね。天然ボケだから!
>『メメント』ではミッションとトラウマはワンセットだったはず。
ああ、私はどう描かれているか、というのを着眼点に置いているんだよ。
ミスリードされるように描かれているからね。その点で言うと、『シャッターアイランド』なんて全く『メメント』と同じでしたね、その展開。
でも、コブの深層の中でだって、ミッションとトラウマが絡みついてしまっている箇所があるとは言えないかい?
さらに、この点に関しては、この映画をより味わい深くしているところではなかったかな?
>しょせん『メメント』がインデペンデント映画だからだと思うのだ。
>マスを相手にした商業大作だと、そうはいかないんですよ。
私がマスに向けた商業大作より、常日頃からインディペンデントを選ぶタイプ、と知りながら、あえてその言い方をするのかい?
実はその言い方をされるのが一番嫌いだったりして。
でも、インディペンデントらしさとか、個人的でオリジナリティ溢れる変てこな世界を描いた作家って、結構今は普遍的になってるように思うんだけど。ティム・バートンとか、彼が扱っているところは、本来は一般受けしそうにないものなのに、彼はとても多くの人に受け入れられているよね。
(つづく)
ウラヤマチン@ノーラン財団日本支部さんへ
(つづき)
>スタジオシステムみたいなのがもうなくて、映画監督が世に出るのにインデペンデントムービーで一発当てる、、、みたいなおかしな流れが00年ころにあって、
サンダンスが映画監督への登竜門だった時代のことを言っているのかな?それって90年代からの流れだよね。ゼロ年代に入ってからはむしろ、だんだん落ち目になっていったよ。
『メメント』で脚光を浴びたノーランは、確かにそうやって出てきた一人だよね。サンダンスのカリスマ性に関して言うと、私はもう『SAW』の頃にはすっかり面白くなくなって、というかもう飽きてしまっていた。『SAW』は『メメント』以来の衝撃だとか何だとか言われていたけれどね。
『es』は実際に起こった心理学実験を元にした映画だったね。あれはあれで、とても成功していたように自分には思えたな。
ジョセフ=ゴードン・レヴィットがプカプカ浮いている人を束ねるシーン、
そこが気に入ったのか。
こういう細部が気に入るところはきっと、この映画によほどのめりこんで見ている人だろうね。それ以外の人には、それほど面白いシーンとは言えないな。
ちなみに夢を描いた作品として、ルイス・ブニュエルを教えてくれてありがとう。今度機会があったら、見てみることにするよ!
ちなみに私は、夢を描いた作品で、リアルな人生に覚醒効果を起こさせる珠玉の作品として、『ウェイキング・ライフ』が何より好きだ!
私もブニュエルのラスト3作品をそのうち体験するから、君は代わりにこれを見て、思うところをいつか語ってくれないかい?
それより、『惑星ソラリス』が全然意味が分からなかったという君は、ターセムなんかよりタルコフスキーのところについて言及してはくれないのかい?
ちなみにこの作品に関しては、これ以上君が何度来てくれたって無駄だと思うよ。
夢の中、いまも クリストファー・ノーラン「インセプション」
インセプション
お嫁様も一緒に行くとゆー。いや ムリやろお嫁様にクリストファー・ノーランは。
絶対ややこしいて 絶対寝るって・・・
だってややこしくすんのが好きやねんもん あの人
「メメント」とかぁ
案の定 話は途中から始まるのね そして展開と構成がメメ…
『インセプション』’10・米
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