■7. オーシャンズ
’09年、フランス
原題:Oceans
監督:ジャック・ペラン、ジャック・クルーゾー
製作総指揮:ジェイク・エバーツ
製作:ジャック・ペラン、ニコラス・モベルニー
脚本:ジャック・ペラン、ジャック・クルーゾー、フランソワ・サラノ、ステファン・デュラン、ロラン・ドゥバ
音楽:ブリュノ・クーレ
編集:バンサン・シュミット、カトリーヌ・モシャン
日本語吹替え版ナレーション:宮沢りえ
ネイチャー・ドキュメンタリーは何かと好きで、よく足を運んでしまう。
二年前のお正月に公開された、『アース』や『グレート・ブルー』、『ミーアキャット』のような イギリス・BBC制作のもの。一方、この作品、ジャック・ペラン監督の『WATARIDORI』や、『皇帝ペンギン』、『バグズ・ワールド』のようなフランスのネイチャー・ドキュメンタリーも・・どちらも自分には興味深く、面白く見れたものが多かった。
海洋生物を見るのも好きだし、人間が踏み入れることの出来ない領域の映像、というのがまず、迫力満点だ。
特に前半は素晴らしくて、見ごたえのある映像にすっかり見入る。
海イグアナやホオジロザメ、有り得ない距離にまで近づいた映像は、まるですぐそこに居るかのような臨場感が凄くて。
ムラサキダコがゆらゆらと海中をさまよう姿、全体像が1つの画面では収まりきらないほどにカメラが寄っていく。
ハタハタと、その体は一枚布のように動き、風にたなびく洗濯物であるかのよう。赤フンどしにも見えて、思いのほかユーモラスに思えたり。
シロナガスクジラ、マッコウクジラなどの雄大な姿にも喜ぶ。(『ヴェルクマイスター・ハーモニー』が思わず楽しみ!)
ただこれらの感激も、後半、人間の行う残忍な行為や環境汚染について言及する辺りから、話のトーンが変わってくる。
少々強引なナレーションや、言葉の選び方。映像表現や、音響効果まで、なんだか急に色褪せて見えてしまうことに、歯止めがかかることはなかった。
だが、本来私自身は、環境破壊については、人間がどれほど着目しても足りないほどの重大なテーマだと思っている。ただ、ナレーションの展開の仕方が、あまりに性急すぎて、もう少し丁寧に描いてくれていたら、どれだけ良かっただろう、と少々残念に思ってしまうのだった。
重要なテーマであるからこそ。
ちなみにこの作品、こどもキャンペーンを行って居て、子どもは500円で入場出来るそうです。『オーシャンズ』に特別協賛しているボートレースのページはこちら
この記事は、CyberBuzz会員であるとらねこがお送りしました。
2010/02/07 | 映画, :ドキュメンタリー・実在人物
関連記事
-
-
『沈黙』 日本人の沼的心性とは相容れないロジカルさ
結論から言うと、あまりのめり込める作品ではなかった。 『沈黙』をアメリ...
記事を読む
-
-
『エブリバディ・ウォンツ・サム!! 世界はボクらの手の中に』 アメリカ亜流派のレイドバック主義
80年代の映画を見るなら、私は断然アメリカ映画派だ。 日本の80年代の...
記事を読む
-
-
『湯を沸かすほどの熱い愛』 生の精算と最後に残るもの
一言で言えば、宮沢りえの存在感があってこそ成立する作品かもしれない。こ...
記事を読む
-
-
『ジャクソン・ハイツ』 ワイズマン流“街と人”社会学研究
去年の東京国際映画祭でも評判の高かった、フレデリック・ワイズマンの3時...
記事を読む
-
-
『レッドタートル ある島の物語』 戻ってこないリアリティライン
心の繊細な部分にそっと触れるような、みずみずしさ。 この作品について語...
記事を読む
コメント(10件)
前の記事: とらねこのゼロ年代ベスト
次の記事: 1月の評価別INDEX
映画 『オーシャンズ』
{/m_0058/} 映画『オーシャンズ』@日劇
ジャンル : ドキュメンタリー
製作国 : フランス
監督 : ジャック・ペラン 、 ジャック・クルーゾー
ナビゲーター : 宮沢りえ
オーシャンズ – goo 映画
構想10年、撮影期間4年、使用したフィルムは470時間――
『WATARIDORI』で…
とらねこさん、こんにちは。
鳥が海に突っ込んで行く場面だけが印象に残りました。
その他はNHKドキュメントを編集した方が良かったと思いました。
tatsuさんへ
こんにちは〜♪コメントありがとうございました。
そうですね、鳥が海にバッサバッサと突っ込んでいくシーン、臨場感が凄かったですね。
NHKのドキュメンタリーは出来がいいんですよね。何を伝えるか、どんな表現をするか、そうしたところで疑問を感じさせるなんて、あり得ないですから・・・。
とらねこさん、こんばんばん
フランスの自然ドキュメンタリーって『皇帝ペンギン』といい『バグズワールド』といい、ちょっとヘンテコ系に寄ってると思うんですよね。『ミクロコスモス』も確かフランス製だったし
この映画もいろいろヘンテコ系が出てきて楽しかったです。特にムラサキダコね。あそこまで来るともうタコじゃないのでは? と言いたいけど、学者さんが「タコ」と名づけてるんだからタコなんだろうなー
あなたが前につぶやいてたご神体のタコもすごかったけど、タコ・イカ系は本当に奥が深いな、と。しかも食べてもおいしい! 生命の神秘というか地球の奇跡というか
今度フランスの皆さんには、ぜひイカタコだけでドキュメンタリーを作ってほしいですね。ロケット噴射で空を飛ぶというトビイカとか見てみたいなあ
SGA屋伍一さんへ
おはようございます〜♪コメントありがとうございました。
>フランスの自然ドキュメンタリーって『皇帝ペンギン』といい『バグズワールド』といい、ちょっとヘンテコ系に寄ってると思うんですよね。『ミクロコスモス』も確かフランス製だったし
うん、こうして並べてみるとそうですよね♪中でも私は一番好きなのは『皇帝ペンギン』だなあ。
自分はかなり『ディープブルー』の印象が強くて、そのせいで海洋ドキュメンタリーに妙に惹かれてしまうんでしょうね。
『ミクロコスモス』は見てないんですよ。でも『バグズ・ワールド』で、顕微鏡サイズの映像をカメラに映し出す!ってのはもう飽きちゃったんですよね(汗)
ムラサキダコ、どっちかというと赤っぽかったですね?あれ、海から上がると赤いのかな?
タコやイカというと、ついついお好み焼きとか思い出してしまうんだけど、こうやってみるとかなり見た目的にグロテスクよね。
>ロケット噴射で空を飛ぶトビイカ
それなあに?なんか、『ジャッカス』を地でいくようなタコだねー
なまもの地球紀行 ジャック・ペラン ジャック・クル??ゾー 『オーシャンズ』
自然系のドキュメンタリーを扱うのは久しぶりですなー 2006年の『ホワイト・プラ
こんばんは♪
インチキドキュメンタリーは何かと好きでよく足を運んでしまう
そんなわたくしですが、たまには真っ当なのも観とくかのぉと鑑賞(笑)
オタリアの仔をシャチ爆食!や軍艦鳥のウミガメの仔踊り喰いなど捕食シーンマニアを唸らす画ヅラの数々にトキメいてたらば…
アザラシ in 汚れちまった海w
ロボ鮫、ヒレもがれて海底沈下ww
ハイ、キタヨコレ!
ちょッww、ぺランたん、インチキ臭まきちらながらそんなに全速力で俺テリトリーに突っ込んでこなくても(笑)
「海ってなあに?」て子供の問いには答えずに説教オチで返す大人気のなさに心震えました
多様性賛歌しておきながらの視野狭窄かつペランペランなうっすーい主張も素晴らしい!
褒めてないかな
でもこーゆーの大好き!モンド映画カテで(笑)
>トビイカ
横ヤリイカ失礼します
http://research.kahaku.go.jp/zoology/kaisei/hp-7/nigeru/tobu.html
死ぬまでに生で一度は見たい光景ランキング27位くらいですねぇ
トビイカの編隊飛行(笑)
みさま
おはようございます〜♪コメントありがとうございました!
そうなんです(爆)>「海ってなあに?」の子供の問いには答えない
「あれ?その質問どこ行ったの?」って・・・ねえ?(笑)
もう、最初から無理なら言わなきゃいいのにー(ばしん)
そしてうやむやにしたまま、おもむろに「俺ワールド」へ転調・・・。あの冷水の浴びせ方は底意地が悪いというか、「フランス人のブラックさ」を感じたり・・・。
>多様性賛歌しておきながらの視野狭窄かつペランペランなうっすーい主張
見事な一撃!(爆)いやあ、ぐうの音も出ないほどその通り!さすがみさんだなあ。
いや、ジャック・ぺランさんはまさに「最右な環境保護推進派」なんですよね。
環境保護を大事にするあまり、「人間こそ地球にとって一番有害である」的な考え方をする人たち、ってやつです。
まあ本音を申し上げますと、私自身実はそれに近いタイプでしたね、長年。お恥ずかしながら
手塚治虫『火の鳥』(鳳凰編?)の「次の人類に期待しよう」の一言に、グワーンとやられて以来・・・。人類が一番有害という思いはどうしても払拭できなくて。
だから正直ぺランさんの主張は気持ちが分からないタイプでは全然ないんですが
それにしてももうちょっと言い方があるだろう、ってw
いやあ、本当この強引さ加減はある種のモンドですよ・・・。
それにしても、トビイカ!(爆)すごいですねww
イカがロケットみたいに飛ぶなんて、重いだろうに・・・
なんか、船を回すエンジンそのものみたいに見えますね♪
『オーシャンズ』
□作品オフィシャルサイト 「オーシャンズ」□監督 ジャック・ペラン、ジャック・クルーゾー □ナレーション 宮沢りえ■鑑賞日 1月24日(日)■劇場 チネチッタ■cyazの満足度 ★★★☆(5★満点、☆は0.5)<感想> 環境保護の大切さを、物言わぬ動…