rss twitter fb hatena gplus

*

クリスマス・キャロル ▲174

クリスマス・キャロル’09年、アメリカ
原題:Disney’s a Christmas Carol
監督・脚本:ロバート・ゼメキス
製作:ロバート・ゼメキス、スティーブ・スターキー、ジャック・ラプケ
原作:チャールズ・ディケンズ
撮影:ロバート・プレスリー
美術:ダグ・チャン
編集:ジェレミヤ・オドリスコール
音楽:アラン・シルベストリ
声の出演:ジム・キャリー(スクルージ)、ゲイリー・オールドマン(マーレイ、ボブ・クラチット、ティム爺)、ロビン・ライト・ペン(ベル、ファン)、コリン・ファース(フレッド)、ボブ・ホスキンス(フェジウィッグ、ジョー老人)

小学生の頃に一番好きで、忘れられない物語は?と聞かれたら、まず私にはコレ。(次は、『レ・ミゼラブル』)。
もう、原作の大大大ファンなんですよ。小学校の頃、お父さんがクリスマスのプレゼントに買ってくれた本だったな。当時の私は、子どもだったので、この作品の影響をモロに受けてしまった。
「クリスマスとはどういうものか」と言われたら私は、チャールズ・ディケンズの描いたクリスマスの世界を、即座に頭の中に思い描く。そしてそれは私的には、「恋人同士が愛を語り合う日」では全然ナイのです。

この物語の映画化は、半年前にデカデカと渋谷のビルに広告が打たれてたな〜。それ以来、私はすっかり楽しみにしてた。
楽しみついでに、3Dで見ることを決心してしまいました。
いやー、3Dは、最初の方こそ感激するものの、だんだん慣れてきて、
むしろ画面が暗かったり、目が疲れたりするのが嫌。あんまり好きじゃないなあー。
3D映画は最近どんどん増えてきたけれど、実は私が3Dで見たのは、実は『超立体映画 ゾンビ3D』以来。

この作品『クリスマス・キャロル』は、もうすっかり大人になって見たからなのか、昔に本で読んだ時のような感激は、得られたとは言い難いけれど。ああ、でも私この原作は、本当に好きだったから、また出会えたってそれだけで、もう感激してしまって・・・!

どのエピソードも本当に好きだったんだ!死んだマーレイ(生前一緒に事業をやっていた片割れ)がたくさんの鎖をつけたまま現れた時は、子供の頃、急に本気で恐ろしくなってしまったのを覚えている。スクルージが怯えたのと同じくらい、私も飛び上がってしまった。

それから、感激したのは、一人目の過去のクリスマスの精。彼が、風にさらわれたような、囁き声で話す様には、とても崇高なものに出会った気がして、思わず鳥肌が立ってしまった。
「私が与えようという光を、お前はすぐ様消し去ろうと言うのか」
この言葉には、思わずハッとしてしまった。私たちは、気高いものに出会った時に持つべき謙虚な気持ちを、時に忘れてしまう。傲慢な私たち。。。

あと、昔の恋人との別れのシーンもとても印象的。
スクルージは、愛というものを知らないがために、心が冷たくなっていったのではなかった。この点には思わず考えさせられてしまう。
もともとは温かい、普通の人間だったスクルージの姿があった。大人になり、社会で生きていくうちに、利潤ばかりを追求し、だんだんと人間らしさを失って、利己的になっていったんだと思い知らされる。老年になってあれほど冷たい人間であるスクルージも、決して初めから冷酷な人間だったのではなく、次第に人間らしい温かさを失っていったのだ・・・。
私たちは、スクルージになってしまうかもしれない可能性を秘めているのだ。

ただ、ストーリーは、全体的にはやっぱり子ども向きかな。
大人が堪能するには、少々ストレート過ぎるような気もしてしまった、というのが本音。絵の凄さ、CGの迫力は感じるけれど。
でも、原作のものすごいファンなら、それだけで楽しめてしまうかな?

ストーリー・・・
主人公のスクルージにとって、人生は金が全て。家族を持たず、人との絆に背を向け、ただ己の金銭欲を満たすためだけに生きる彼は、町一番の嫌われ者。ある クリスマス・イブの夜、かつてのビジネス・パートナーの亡霊が世にも恐ろしい姿で彼の前に現れ、「お前は3人の亡霊にとり憑かれるだろう」と予言する。そ れは、幸福な思い出とは無縁のスクルージにとってさえ、人生最悪のクリスマス・プレゼント・・・

 

関連記事

『沈黙』 日本人の沼的心性とは相容れないロジカルさ

結論から言うと、あまりのめり込める作品ではなかった。 『沈黙』をアメリ...
記事を読む

『エブリバディ・ウォンツ・サム!! 世界はボクらの手の中に』 アメリカ亜流派のレイドバック主義

80年代の映画を見るなら、私は断然アメリカ映画派だ。 日本の80年代の...
記事を読む

『湯を沸かすほどの熱い愛』 生の精算と最後に残るもの

一言で言えば、宮沢りえの存在感があってこそ成立する作品かもしれない。こ...
記事を読む

『ジャクソン・ハイツ』 ワイズマン流“街と人”社会学研究

去年の東京国際映画祭でも評判の高かった、フレデリック・ワイズマンの3時...
記事を読む

『レッドタートル ある島の物語』 戻ってこないリアリティライン

心の繊細な部分にそっと触れるような、みずみずしさ。 この作品について語...
記事を読む

2,702

コメント(13件)

  1. 映画『Disney’sクリスマス・キャロル<デジタル3D/日本語吹替版>』(お薦め度★★★)

    監督・脚本、ロバート=ゼメキス。原作、チャールズ=ディケンズ『クリスマス・キャロ

  2. こちらにもお邪魔するデス。『クリスマス・キャロル』は恥ずかしながら今回初めてちゃんとしたストーリーを知りました
    「必要以上にホラーっぽくアレンジしてるんじゃないかなあ」と思ったのですが、他でも「原作にかなり忠実」とい意見を聞きました
    してみると、原作もちょっとホラーじみたところがあるんでしょうか
    小さいころ親に買ってもらった本のことって、よく覚えてるもんですよね
    偶然にも私が一番よく覚えてるのが、『三銃士』と『ああ無情(レ・ミゼラブル)』です
    両方とも、繰り返し繰り返し読んだっけな
    ただ、子供向けだったので、どちらもストーリーが少々改変されていたんですよね
    原典をいつかちゃんと読もうかと思いつつも、『レ・ミゼラブル』はそのボリュームについ気後れしてしまいます(^^;
    「なんでも気前よく人にあげましょう」というメッセージは、『クリスマス・キャロル』にも通じるものがあるかな?

  3. スクルーじいさんの空飛ぶ夢 ロバート・ゼメキス 『Disney’s クリスマス・キャロル』

    ♪くーりーすーますきゃろるがー なーがーれーるーころにはー 稲垣潤一の名曲ととも

  4. SGA屋伍一さんへ
    こちらにもコメントありがとうございます〜♪
    そうですか、「ホラーっぽかった」ですか。確かに少し怖そうな感じで、ほのぼのした物語を想像した人には、ちょっと印象の違う感じを与えてしまうかもしれませんよね。
    SGAさんも子供の頃『三銃士』と『ああ無情』を読みましたか!
    私は三銃士は大学になってから読んだのですが、『ああ無情』も私すっごく好きでしたね〜!
    でもそうなんです、児童書って、分かりやすく改変されているんですよね。
    『ああ無情』に関しては、オリジナルストーリーを読むと、思ったよりずっとずっとシビアな物語であるのに、驚くと思います。
    重いですけど、私はすごく好きでしたねー。これも大学になって読み返したものの一つでした。ユゴーって、ヒューマニズムの人だと思うでしょう?でも実際は、全然ヌルイ話を書く作家ではないんです。

  5. [遅ればせながら、映画『Disney’sクリスマス・キャロル 3D』を観た]

    ☆・・・今回、途中から、文学作品評論になります^^
       ◇
     タイトルで「遅ればせながら」としましたが、公開から遅れての鑑賞となりましたが、シーズン的には、それほど遅れてはいませんね^^;
     素晴らしかったです。
     物語は文豪ディケンズの名作で、丁寧に…

  6. Disney’s クリスマス・キャロル・・・・・評価額1600円

    「Disney’s クリスマス・キャロル」は、デジタルアニメーション映画の世界で、独自のスタイルを追求しているロバート・ゼメキス監督による最新佮..

  7. 思いのほか原作に忠実に作っていましたね。
    私は幼い頃結構怖かったな、この話。
    特に未来のクリスマスの部分なんて、結構ホラーに感じましたね。
    しかしこのテーマが未だにリアルなのが人間の社会なのだなあと、貧乏人としては思うのでした。

  8. ノラネコさんへ
    こちらにもコメントありがとうございました♪
    へえ〜、ノラネコさんはこの話、怖かったですか。
    自分は子供の頃、「こんなに心にしっくり来る物語は初めて読んだ!」というぐらいの、大好きな物語でしたが、確かにこうして見るとちょっぴり怖いかもしれませんね。
    (私は小学校低学年から、『ドラエもん』より『怪物くん』派、『忍者ハットリくん』より『ゲゲゲの鬼太郎』派なんです。お化け大好き!)
    おっしゃる通り未だにこのテーマは心に沁みますね。
    人間がどう生きるべきか、何を求めて生きるべきかという、深いテーマが描かれているから感動出来るんだろうなあ、と思います。
    ノラネコさんがこの作品、評価が高くてとても嬉しいです

  9. Disney’sクリスマス・キャロル

    Disney’sクリスマス・キャロル’09:米
    ◆原題:A CHRISTMAS CAROL◆監督: ロバート・ゼメキス「ベオウルフ/呪われし勇者」「バック・トゥ・ザ・フューチャー」◆出演: ジム・キャリー 、 ゲイリー・オールドマン 、 ロビン・ライト・ペン 、 ボブ・ホスキンス 、 コリン・…

  10. クリスマス・キャロル

    「こんな顔では嫌われる」
    強欲が顔に出る。笑顔がなくては自分も人も幸せに出来ない。
    【STORY】(シネマ・トゥデイ様より引用させていただきました。)
    金銭欲を満たすために生きる男が、クリスマス・イブの夜の不思議な体験を経て、本当の幸福の意味を悟る奇跡と感…

  11. とらねこさん。こんにちは。
    素適な思い出のある作品なんですね。
    そういうのないな。
    ボウズにもしてやってないな。
    絵が綺麗でした。
    何度か映画化されて言うようで、「3人のゴースト」も観たので物語自体は承知してました。
    確かに大人が見るには、ストレート過ぎますね。
    だけど、いい話ですね。

  12. de-noryさんへ
    こんにちは〜♪コメントありがとうございました!
    お返事がだいぶ、遅くなってしまって、申し訳ありませんでした!
    ちょっと最近飲み会やら、仕事やらが大変で、いっぱいいっぱいでした・・・。
    今後気をつけます〜!
    そうですね、自分はこの作品の原作は、とっても思い入れの深いものでした。
    でも・・もしかしたら、日本ではそれほど思い入れのある人は、いないのかしら?なんて思います。
    きっとイギリスやアメリカでは、昔から人びとに親しまれた物語に違いないと思うんですが。
    絵がとても綺麗ですね!ああそっか、『3人のゴースト』って、確かにこの作品の原作と話が同じなのかもしれませんね!

  13. 映画:Disney’s クリスマス・キャロル

    > 昨年2009年のクリスマスにDisney’s クリスマス・キャロルを観てきました。
     記事にするのが年越しになってしまいました・・・。年を越しちゃうと正直記事にする気力が・・・。なのでちょっと手抜き記事になっちゃうかも知れませんがご了承のほどを。




管理人にのみ公開されます

日本語が含まれない投稿は無視されますのでご注意ください。(スパム対策)


スパム対策をしています。コメント出来ない方は、こちらよりお知らせください。
Google
WWW を検索
このブログ内を検索
『沈黙』 日本人の沼的心性とは相容れないロジカルさ

結論から言うと、あまりのめり込める作品ではなかった。 『沈黙』をアメリ...

【シリーズ秘湯】乳頭温泉郷 鶴の湯温泉に泊まってきた【混浴】

数ある名湯の中でも、特別エロい名前の温泉と言えばこれでしょう。 乳頭温...

2016年12月の評価別INDEX

年始に久しぶりに実家に帰ったんですが、やはり自分の家族は気を使わなくて...

とらねこのオレアカデミー賞 2016

10執念…ならぬ10周年を迎えて、さすがに息切れしてきました。 まあ今...

2016年11月の評価別INDEX & 【石巻ラプラスレポート】

仕事が忙しくなったためもあり、ブログを書く気力が若干減ってきたせいもあ...

→もっと見る

【あ行】【か行】【さ行】【た行】 【な行】
【は行】【ま行】【や行】 【ら行】【わ行】
【英数字】


  • ピエル(P)・パオロ(P)・パゾリーニ(P)ってどんだけPやねん

PAGE TOP ↑