イングロリアス・バスターズ ▲173
’09年、アメリカ
原題:Inglourious Basterds
監督・脚本:クエンティン・タランティーノ
製作:ローレンス・ベンダー、クエンティン・タランティーノ
製作総指揮:エリカ・スタインバーグ、ロイド・フィリップ、ボブ・ワインスタイン、ハーヴェイ・ワインスタイン
撮影:ロバート・リチャードソン
美術:デビッド・ワスコ
編集:サリー・メンケ
ブラッド・ピット アルド・レイン中尉
メラニー・ロラン ショシャナ・ドレフュス
クリストフ・ヴァルツ ランダ大佐
イーライ・ロス ドニー
ミヒャエル・ファスベンダー アーチー・ヒコックス
ダイアン・クルーガー ブリジット・フォン・ハマースマイク
ダニエル・ブリュール フレデリック・ツォーラー
ティル・シュバイガー ヒューゴ・スティーグリッツ
マイク・マイヤーズ エド・フェネラー
マルティン・ヴィトケ アドルフ・ヒトラー
ゾーイ・ベル → ショシャナ等のスタント
前作の『グラインドハウス』がすごーく面白かったので、「やったー!タランティーノ復活!」と物凄く嬉しい思いをしたのが早2年前なのね、もう。
「予告編つき二本立て興行」とか、ワクワクするようなアイディアを考えつくのがホント、上手だなって。
この『グラインドハウス』は、映画自体にムッチャ満足出来たので、自分的には「これでしばらくタランティーノ映画がつまらなかったとしても、とりあえず大丈夫」と、ホッと胸を撫で下ろした、そんな印象だった。ま、それぐらい私的には前作がツボだった、っていう。
タランティーノならではの、面白い企画は今回も健在で、それは「全額返金キャンペーン」。こちら、11月20日(金)〜23(祝・月)までの4日間行われていた、てことなんだけど。この企画、日本の配給会社の方に持ちかけられて、「面白いから、やろうじゃねーか」とやる気になったという。ま、上手いこと騙されているような気がしないでもないけれど、「前代未聞の企画」はタラちゃんに似合う、てことを考えると、日本の配給会社、エライぞ!って思っちゃうよね。
最近twitterを始めた私が、フォローしている、柳下毅一郎氏の、面白い動画を見つけたんでUPするね。この『イングロ〜』の「予習会」と銘打ってのトークショーなんだけど、内容的にとても勉強になるし、面白かったモンで。なんでも、「毎回、タラ映画の新作が来るたびにやっている」なんて言ってたよ。
トークショーの中にもあるように、『地獄のバスターズ』のリメイク、ということで始まったけれど、全く違う方向性に行ってしまったという今作。この作品のIMdbのページを見ても、本当、トリビア満載。こういうのがタラ映画ならではだな、って(笑)
戦争映画を書こうとしたけれど、普通の戦争映画はやりたくなくて、むしろ好きなマカロニ・ウェスタン風にしようと思ったとか。第一章を書いた時点では、この映画のタイトルも『ワンス・アポン・ア・タイム・イン・ナチ・オキュパイド・フランス』だったって。(長いよ!)
史実を元にした戦争映画でありながら、リアリティは決して無く、史実に対する忠実性はもちろん、復讐の是非を問うことすらしない、というこの潔さ。
実は私は、この辺りについて改めて考えて、自分がタランティーノにハマった理由を思い出した。ちょっと長くなるけど、暇な人は聞いてくれます?
私は、子どもの頃は、『インディー・ジョーンズ』やら『バック・トゥ・ザ・フューチャー』に心底夢中になったけれど、高校の途中から、違うタイプの映画を見始めるようになったんですね。ヒッチコックとか、フェリーニとか・・ゴダールはイヤになったけど。大学に入って、『トリコロール』を初日に並んだり、『ピアノ・レッスン』に感動したり、『ベティ・ブルー』とか『ジュ・テーム・モワ・ノン・プリュ』とか・・・『ジェイコブズ・ラダー』とか『裸のランチ』とか・・・まだ言う?パトリス・ルコントとかジム・ジャームッシュとか、ヴィム・ヴェンダースなんかを追いかけ始めていたんですね。『エド・ウッド』からジョニー・デップにハマったり。
そうこうするうちに、『レザボア・ドッグズ』が公開になったのです。一生懸命情報を追いかけていた当時の早耳の私は、「ルノワール映画の復興」なんて言葉に疑問を抱きながらも、モノクロっぽい色合いに惹かれて見てみた。で、自分的には、思いっきりヤラれてしまったのです、この、「ただ何も考えず、トコトン面白い映画」に出会ってしまって。ぐあーん!!ブン殴られたような気持ちになった。
今まで、ちょっと小難しい映画を追いかけ始めていたことを、すっかり反省してしまったのです。今後は、象徴とか小難しさなんかが、一切無縁の、凄まじく男らしい映画だけ、面白い映画だけを見ようと。(ロドリゲスの『エル・マリアッチ』、『ユージュアル・サスペクツ』なんかも好きだったな)
言わば、映画の見方をタランティーノに出会って、変えてしまったんですよね。
私に、映画的な「育ちの悪さ」なるものがすっかり身についているのは、つまりはタランティーノのせいなんですよ・・・ええw。
だから、私にとって、タランティーノとか三池さんとか、ホラ
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コメント(27件)
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QTの映画ってある意味ムチャがありまくりなんですけど、それを溢れんばかりの映画愛でフォローしているのがいいですよね。
この監督の映画からはいつも映画愛がイヤっちゅうほど感じられますよ。
イングロリアス・バスターズ
まさに『パルプ・フィクション』の再来。そしてクエンティン・タランティーノ短編集5本立てといった感じの映画でした。
暴力描写よりもシンプルな会話劇にその真の面白さを持つQT作品らしさに加え、今作ではナチのランダ大佐を演じたクリストフ・ヴァルツの魅力が満開。….
こんばんは。
タラちゃんの映画にしては分かりやすかった!
とくに音楽がいいわ〜最初に「アラモ」が流れてきたときはゾクゾクしてきました。
TVのスマスマに出たときのタラちゃんが可愛くて、映画をこのうえなく愛する気持ちが伝わってきましたよ〜
イングロリアス・バスターズ
『名誉なき野郎ども<イングロリアス・バスターズ>が映画界の常識をブチ壊す!』
コチラの「イングロリアス・バスターズ」は、当代きっての個性派監督の鬼才クエンティン・タランティーノが、当代きっての人気俳優のブラッド・ピットを主演に迎え、監督のキャリアの….
にゃむばななさんへ
こんばんは〜♪コメントありがとうございました!
QTと言ったらクエンティン・タランティーノですよねえー。私もです。
うん、「映画愛を感じる」って素敵な言葉ですね♪
そうそう、力んだ揚げ句に変なことになってるのって、なんか憎めないんですよね。
私も、ある意味アホは正しいと思います!
イングロリアス・バスターズ
イングロリアス・バスターズ’09:米
◆原題:INGLOURIOUS BASTERDS◆監督: クエンティン・タランティーノ◆出演: ブラッド・ピット 、 メラニー・ロラン 、 クリストフ・ヴァルツ 、 ダニエル・ブリュール 、 イーライ・ロス 、 ダイアン・クルーガー 、 ジュリー・ドレフ…
cinema_さんへ高校の時に見たはずなんですが><
こんにちは〜♪コメントありがとうございました!
そうですね、これ分かりやすいですよね。
『アラモ』のテーマソング、分かりましたか。私は残念ながら全く気づきませんでした
スマスマ、ご覧になりましたかw 私もYouTubeで見ました。スマスマの時のタランティーノ、すごく一生懸命喋ってましたよね!
でも中居くん、「タラはいいから」みたいな感じで、ちょっと感じ悪かったですね
タラに自ら話しかけていたのもキムタクだけだったし。
作品レビュー:イングロリアス・バスターズ
『タランティーノのセンスと技量の結晶による新境地を見た』 / クエンティン・タランティーノ×ブラッド・ピットの初顔合わせによる話題性十分な企画力を持った本作は、第二次世界大戦の対ナチ戦線を題材にした復讐劇という剛腕な歴史フィクションエンタテイメントである。…
イングロリアス・バスターズ
悪名こそ、彼らの名誉(グロリアス)。
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イングロリアス・バスターズ(ブラッド・ピット) 壁紙1
イングロリアス・バスターギ..
「そうだ!映画そのもので悪者をやっつけちゃえばいいんだ〜」
と、嬉しそうに史実を大胆アレンジする姿が目に浮かびます
かなり長尺でしたが、個々のパートが面白く、集中して見れました。
ランダ大佐役の方の演技が光っていたのも、その要因かもしれません。
この作品、タランティーノ好きな人には、大人しいくらいかも?しれませんが、
普段タランティーノ作品を見ないブラピファンが見たら、グロさに
驚くかもしれませんねぇ
私としては、ブラピはカッコいいスター的な作品より、
12モンキーズとか、バーン・アフター・リーディングとか、
クセのあるヘンな役をやってる時の方が楽しいです。
ochiaiさんへ
こんばんは〜♪コメントありがとうございました!
そうですよね!何と言ってもランダ大佐が光ってましたよね〜♪この人、私にはティム・ロスみたいに見えるなあ、なんて思ったんですが、とある人が「ティム・ロスと西村晃を足して2で割った顔」と言ってて、まさにしたり!と思いました^^*
うん、史実を大胆アレンジして、自分の好きなようにしちゃうところ、潔い感じがしましたね。
私には正直、この作品はちょっと地味かなあと思ってしまったんですが、この作品意外にも評判はいいんですよね!私ちょっと驚きました。
そうそう、ブラピは二枚目ではない役が似合っちゃうところがイイんですよね。
私、ブラピがイタリアのアクセントを全く学べない辺りは、『スナッチ』で、全く何を言っているのかわからなかったブラピの役柄を彷彿とさせる感じがしました。タランティーノはあれをイメージしたんじゃないかな、って。これ記事に書こうと思っていたのに、忘れてました・・・。
イングロリアス・バスターズ
「フィルムは燃える」
様々な人の反ナチスの心も燃え盛る。
【STORY】(goo映画様より引用させていただきました。)クエンティン・タランティーノ監督とブラッド・ピットがタッグを組んだ最強のアクション大作。ナチス占領下のフランスを舞台に、それぞれに事情を抱え…
とらねこさん。こんにちは。
タランティーノ大好きぶりが満載のレビューですね。
エグイシーンは苦手ですが、私も彼の作品はいつも新鮮で楽しみにしてます。
今回のもさすが!
ランダ大佐を軸に展開される物語の構成の仕方が面白い。それをはさむシリアス系の話とコメディー系の話。
本当に、上手いですね。
イングロリアス・バスターズ・・・・・評価額1650円
クエンティン・タランティーノと言えば、嘗て一世を風靡したサブカル系B級エンターテイメントを再解釈し、オマージュたっぷりに自分の世界の??.
この映画、結構評価が分かれているのですよね。
個人的にはタラ映画の中では「パルプフィクション」の次くらいに好きなのです。
正直、ここ数作のタラはコテコテが鼻について、ゲップが出ちゃいそうだったのですが、これはいい具合にマニアックさが内側に向いていたので、腹にもたれませんでした。
de-noryさんへ
こちらにもコメントありがとうございます〜♪
de-noryさんも、タランティーノお好きだったのですか〜!楽しめたとは良かったです!
そうそう、物語が意外なところで軸で合わさってくるという構成でした。
かなりこの人の暴力シーンはエグいんですが、今は結構エグイ映画も多いですもんね、これぐらい珍しくないのかも?
ノラネコさんへ
こちらにもコメントありがとうございます〜♪
へえ、ノラネコさんは、『パルプ〜』の次にこちらをお気に入りなのですね!
確かにコテコテが鼻につく感じはあるかもしれませんね。
私の場合は、前作をかなり評価しています。
柳下毅一郎の受け売りなんですが、『グラインドハウス』は「B級作品のままで、メジャーに殴り込みをかけ、正面突破する勢いを持った作品」。
ハリウッド大作主義の中、こんなやり方があったんだ、という目からウロコの落ちる感じがあって、とても好きでした。
そんな訳で自分は、『レザボア』の次に『グラインドハウス』が好きなんです。フフフ、ノラネコさんとは正反対な意見であるのは、自分でも分かっています・・。
こんばんは♪
>「何か違う磁場で生きている映画、それがタランティーノ映画だ」
けだし名言也
タラ映画の見所と言えば足フェチ描写ですが(笑)
こんな野郎率が高くてささくれだった話だと絡めようがないんじゃね?と思って観てたんですよね
そしたら…
拾ったネ!靴を!
シュッと入れたネ!ポケットに!
ランダ大佐殿、GJです
自分が「う〜!ビンゴぉぉ!」て言っちゃいましたよ
でもタラやんてば、どうやらはぐれエロ足指派なんですよね…
その磁場がまた微妙に地軸ズレてるという(笑)
みさま
こんにちは〜♪コメントありがとうございました!お返事がだいぶ遅くなってしまい、本当にすみませんでした〜!
ちょっと年末で忙しくなってました。本当にゴメンナサイ。結構ゼイゼイ言いながらのブログ運営になってました、最近。
ところで、みさまはツイッターはやられてないですか?もしやってたら是非とも、フォローしたいんですが。
私はちなみに、細々とやってるだけなんですけどね。
ハハハ!なるほど、ランダ大佐は靴しまってましたね。脱ぎ捨てられた靴、シンデレラのオマージュ関係あるのかなって一瞬考えた自分がバカみたいに思えました。
タラちゃん、脚好きですよね〜。
「はぐれエロ足指派」
確かに!うははは
このビデオみたいに、ビール飲んでたらたら喋るのが正しい楽しみ方ですね、きっと。「アラモ」とか突然の「キャットピープル」とかなんでやねんと、私も思いましたよ。デビッド・ボウイーをいきなりかけるのはカラックス的とも言える。パリだしな。とか。いや、それは考えてないだろうな、タラちゃん。
実は私はこれイマイチだったんですけど、ノーカット版のDVDは見たいかな。
denkihanabiさんへ
こんにちは〜♪コメントありがとうございました!
あーそうですね、この映画は、ダラダラくつろぎながら見るのが正しいのかもしれません。そうすると、家で・・・ということになってしまいそうですがw
>。デビッド・ボウイーをいきなりかけるのはカラックス的とも言える。パリだしな。とか。いや、それは考えてないだろうな・・・
えーまさか。だとしたら嫌ですよ(笑)でもなぜパリでって。
>いまいちだったけど、ノーカット版は見たい
あ、私もです
お久しぶりです。
とらねこさんのブログ名「レザボア〜」というのは
「レザボア・ドッグズ」からですか?
あの作品も好きな一作ですが
タランティーノさんのは「キル・ビル」がけっこう大好きで。
でもこの「イングロ」はそれを超えました〜
めちゃくちゃハイレベルの会話劇
個性的で魅力的なキャラたち
(とくにランダ大佐は秀逸!)
マカロニ・ウェスタン風味のカッコよさ!
最近観た作品の中では一番のお気に入りになりました。
イングロリアス・バスターズ
劇場で見逃して,DVD[E:cd]で鑑賞????。タラちゃんの作品は,好きなのもあれば苦手なのもある私。この作品もこわごわ観てみたが・・・なにこれ!すっごい面白い!めちゃくちゃ気に入りました! 一応ナチスものなのに,こんなに面白くて痛快でいいんだろうか???(不謹慎)と…
ななさんへ
こんにちは〜♪おおっ、ななさん、お久しぶりです!コメントありがとうございました。
そうなんです。私のブログタイトルは、レザボア・ドッグスからですよ。
ちなみに、私のタイトルの由来について書いたのは、この記事がありますー。
http://www.rezavoircats.com/archives/50396654.html
ななさんはキル・ビルがお好きでしたか!
最近見た中でイングロが一番とは!ずいぶん気に入られたようですね♪
イングロリアス・バスターズ 俺にゃ良さがわからねぇー
クエンティン・タランティーノ監督とブラッド・ピットが組んだ話題の戦争映画
「イングロリアス・バスターズ」を見ました!出来るだけ旧作料…
イングロリアス・バスターズ
= 『イングロリアス・バスターズ』 (2009) =
1941年、ナチス占領下のフランスの田舎町で、家族を虐殺されたユダヤ人のショシャナ(メラニー・ロラン)は、ランダ大佐(クリストフ・ヴァルツ)の追跡を逃れる。
一方、‘イングロリアス・バスターズ’と呼…
『イングロリアス・バスターズ』第2次世界大戦下で濃厚キャラが大暴れ!
映画の評価(5点満点) ★★★★☆ クエンティン・タランティーノ監督はほんと曲者である。戦争アクション映画『イングロリアス・バスターズ』は、ブラッド・ピットとタッグを組んだわけで注目されないわけがないのだが、ユダヤ人虐殺という重たい歴史的な事実に、タランティ…