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ジェイン・オースティン 秘められた恋 ▲172

ジェイン・オースティン’07年、イギリス
原題:Becoming Jane
監督:ジュリアン・ジャロルド
エグゼクティブプロデューサー:ニコル・フィナン、ジェフ・アベリー、ジュリア・ブラックマン、ティム・ハスラム
プロデューサー:グラハム・ブロードベント、ロバート・バーンスタイン、ダグラス・レイ
脚本:サラ・ウイリアムス、ロバート・バーンステイン
撮影:アイジル・ブライルド
音楽:エイドリアン・ジョンストン
編集:エマ・E・ヒコックス

アン・ハサウェイ  ジェイン・オースティン
ジェイムズ・マカヴォイ  トム・ルフロイ
ジュリー・ウォルターズ  オースティン夫人
ジェームズ・クロムウェル  オースティン牧師
マギー・スミス  レディ・グリシャム
ローレンス・フォックス  ウィスリー氏
アンナ・マックスウェル・マーティン  カサンドラ・オースティン
ジョー・アンダーソン  ヘンリー・オースティン

ジェイン・オースティンが大好きな私には、すごくツボに入って、感激でいっぱいだった作品。
ジェインとトム・ルフロイの恋が、まるで『高慢と偏見』のエリザベスとダーシーみたいで、彼らのそれぞれを比較しているだけで、面白くて仕方がなかった。なんだか感激して胸に込み上げるものがあった。

『ジェイン・オースティンの読書会』の感想の時に同じように、オースティンについて述べたのだけれど。初めてジェイン・オースティンという人の書く文を読んだ時に私は、何というか、反省すらしてしまった。彼女の書く文を読めば、彼女が良く出来た、尊敬すべき女性だということに気づき、驚く人が大勢いるはず。もし女性がそれほど好きではなく、女性作家なんて・・・と思っている人が読んだら、女性に対する偏見すら、無くなってしまうかも。
一番驚くのは、賢さというものにもし“理想の形”があるなら、彼女の賢さは完璧な姿をしているところ。彼女の賢さは、愛すべき性質であって、人に威圧感を与えたり、萎縮させるようなものではないの。とても賢いのに、その賢さを表立って外に出すことはほとんどせず、むしろ謙譲の美の中にそれは、秘められている。賢さというものを、女性としての本当の魅力に変えていくことができる、そんな女性だと思った。私は、ジェインのような人になりたい、と思った。大学生だった頃の私は当時の自分を、なんて傲慢で生意気な人間だったのだろうと、すっかり反省してしまった。

『高慢と偏見』は、今読んでも決して魅力が衰えない、忘れられない傑作小説の一つ。でも私は、オースティン自身のプライベートに関して、ほとんど詳しく知らなかった。この映画に関しては、興味津々な気持ちをずっと持続したまま、全ての場面を堪能することが出来た。

『高慢と偏見』の中のエリザベスとダーシーのように、ジェインとトム・ルフロイが惹かれ合い、何度もスレ違いをする様は、見ていてワクワクし通しだった!
ジェインの、冒頭での気の強さは、エリザベスその人のまんま!私が尊敬する「良く出来た女性」像のジェインとは全然違っていて、お転婆だったり、かなり生意気だったり。でも、原題が『Becoming Jane』なのだから仕方がないね(笑)
それに、若い頃のジェインは、昔の私みたいな、トンデもない跳ねっ返りだった、と知ってなんだか嬉しくって(笑)

この先ネタバレ注意








ただ、ラストは少し寂しい気持ちになってしまった。もちろん、史実を元にしていたのだから、「途中の展開が・・・」とか、「そのラストはちょっと・・・」などと言っても仕方がないとは分かっているのだけれど。ジェインが生涯を通して独身だったのは自分も知っていたけれど、愛より、家族を選んだあの瞬間には、とてもガッカリ。ロマンティックじゃ全然ないんだもん。
トムとの別れを選び、ジェインの作家人生は安定したものとなったし、法曹界で大成したトムにとっても、若い頃の恋人と別れたことは、結果的には当たりだった、と言えるのだろうか・・・。なんだか少し寂しい。
だって、「愛のある貧乏な生活」を選んだからと言って、彼女たちそれぞれの人生が成功しなかった、とは言い切れないじゃない?
『ココ・アヴァン・シャネル』のように、キャリアのために独身を望んだわけではなく、恋愛の末にそうならざるを得なかった、結果的に選んだ独身、とは分かっているけれど。でも、こうした物語が今求められることの背景には、世の流れがそうなっている、と言えるのかな。

ストーリー・・・
才気あふれる女性ジェインは、トム・ルフロイという男性と出会い恋に落ちる。しかし、階級を尊重する彼女の両親は、裕福な地元の名士ウィズリー氏を娘の結婚相手に選ぶ。しかし、ジェインはその結婚に同意せず・・・

ジェイン・オースティン 秘められた恋@ぴあ映画生活

 

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コメント(4件)

  1. ジェイン・オースティン 秘められた恋

     『それは、彼女を作家へと駆り立てた 生涯ただ一度の、激しくも切ない恋だった。』
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  3. ジェイン・オースティン 秘められた恋

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  4. 「ジェイン・オースティン 秘められた恋」(BECOMING JANE)

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