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地下鉄のザジ(ニュープリント) ▲149

地下鉄のザジ’60年、ルイ・マル
原題:Zazie Dans Le Metro
監督:ルイ・マル
原作:レーモン・クノー
脚本:ルイ・マル、ジャン=ポール・ラプノー

カトリーヌ・ドモンジョ  ザジ
フィリップ・ノワレ  叔父ガブリエル
カルラ・マルリエ  叔母アルベルティーヌ
ユベール・デシャン  トルーランドット

すごく痛快なコメディでした。
なんて言うのか、もう衝撃的とすら言えますよ。
スラプスティック・コメディも、フランスがやるとこんなに違う!この感覚がとっても面白いのです。
なんだかお洒落なような、それでいながら、お洒落で格好つけた人に向かって、上からバケツの水をひっくり返すみたいな。もう溜まりません。
ザジと一緒になって、大人の世界をしっちゃかめっちゃかにしてやりたい!
そんな気持ちで見てしまったものですから、もう愉快で仕方がないのです。

ザジは、ほんの一泊だけ叔父さんのところに連れて来られた、悪戯好きの少女。
大人顔負けの毒を吐き、大人を困らせるのが大好きでしょうがない子なんですね。
パリで何がしたかったか、と言えば、地下鉄に乗りたかったザジなのだけれど、パリの街はストで交通渋滞がものすごいことになっています。
この、ストの間に繰り広げられるのが、ザジのいたずら。ここがポイントなんじゃないか、と思うわけです。

街は渋滞し、車だらけ。いい大人が何か声高に自分の権利を主張して、街に普段流れる平穏をストップさせちゃうストライキ。これをひっくり返しちゃうのって、なんだかお祭りみたいに思えちゃいました。

私たちの生活には、ケとハレがあって、普段真面目に生活しているからこそ、お祭りの時にどかーんと騒ぎますよね。
それはまるで、真剣な顔した普段の社会生活が見せない、また別の顔みたいなんです。

はじめにザジは、「ヌーヴェルヴァーグ、尻でも喰らえ」、「ナポレオンも尻でも喰らえ」なんてけちょんけちょんに否定してみせます。
もしかしたら、この作品の立ち位置というものは、この辺にあるのかもしれません。それを、こんなに楽しいコメディで表現しちゃう。ここも、フランスの幅の広さと言えるのかしら、なんて私は思ってみたりもします。

ザジのいたずらで、とても音楽的に映像が動き回る様が楽しいのです。
あちこち駆け回ったり、早回ししてみたり、コマ撮りみたいにピコピコ切ったり、楽しくて楽しくて。
大人も一緒になって、変な格好で走ってたり、
エロに走る人もいたり、彼のことを考えて人の電話を全然聞いてなかったり。
さらに、レストランを破壊したり、お皿をみんなでぶつけ合ったり、ビンタし合ったり、もう本当にメチャクチャで、とにかく楽しいんです。

悪戯好きな女の子は、私の大好きな映画『アメリ』を思い出しました。
アメリと少女の髪型が似ているからだけど。

こんなかわいい映画は大好き。
腹を抱えてケラケラ笑いましたよ。

ストーリー・・・
母親とパリにやってきた少女ザジ。駅に着くなり、母親は迎えに来ていた叔父のガブリエルにザジを預け、恋人と消えてしまう。ザジの楽しみは地下鉄に乗るこ とだったが、あいにくストで運休中。口が達者で奔放なザジは、大人たちを翻弄する。翌朝、ガブリエルの家からパリの街へ飛び出したザジは、謎の男ペドロに 付け狙らわれたり、エッフェル塔に上ったり、仕事に出かけたガブリエルを怪しんで追跡したりと冒険が続く・・・

地下鉄のザジ:完全修復ニュープリント版@映画生活

 

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コメント(16件)

  1. 『ザジ』の映画館鑑賞オメデトウございます!!
    私も大きな画面で観たいなー
    ニュープリントってどのぐらい鮮明になっているのかしら?
    ザジぐらいの時にテレビで鑑賞してました。
    あのムール貝を食べるシーンが衝撃的で、忘れられない!(フランス映画は食べるシーンあってこそ。
    フランスパンのかじりつきとか・・etc
    ジーンズがフランスにも浸透してき始めた頃なのよね。
    エッフェル塔での撮影なんて、もうルイ・マル最高!!
    フィリップ・ノワレはパラダイスと同じぐらい素晴らしい演技だし。
    40年経っても、好きな映画のベスト10に入ってます。
    ザジ、大好き!ヌーヴェル、ヌーヴェルよ!

  2. ああ、ザジ、私ビデオでむかーし観ただけなんです。観れたらいいなあ。これってオリーブ少女(死語)の元ネタみたいな作品ですよね。
    ところで、話し違ってごめんなさい。とっても観ずらいライズXですが「ライアン・ラーキン」という映画都合がついたら是非ご覧になってくださいまし。泣きながらつたないレビューも書きました(笑)

  3. 「地下鉄のザジ」ルイ・マル 再観

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    地下鉄のザジZAZIE DANS LE METRO
    1960フランス
    監督:ルイ・マル
    原作:レイモン・クノー
    脚本:ルイ・マル、ジャン=ポール・ラプノー
    出演:カトリーヌ・ドモンジョ、フィリップ・…

  4. こんばんは〜
    正常な?文体の破壊はコメディに限りなく近い、のがわかる作品でしたね。
    字幕ではなんでしたっけ?「ケツ食らえ」でしたっけ?忘れてしまった・・
    >大人も一緒になって、変な格好で走ってたり
    このノリがたまらんですよね^^

  5. カルメラさんへ
    こんにちは〜♪わわっ!カルメラさん、超お久しぶりです!コメントありがとうございました!うれしいです〜!
    カルメラさんはこの作品、そんなにお好きなんですね!なんと!
    うわあー、ザジくらいの時にTVでご覧になったなんて。
    そんなに昔から、好きな映画のベスト10に入っているなんて、すごいですね〜!
    劇場で見れるのってやっぱり幸せですね。
    場内のあちこちから笑いが漏れたり、すごく幸せな気分になって劇場を後にしました。
    その後のワインも本当に美味しく感じましたし^^*
    ムール貝のシーンは本当に心に残りますね!
    あのシーンは、ベタなんですがもうゲラゲラ笑ってしまいました。
    私もムール貝を食べる時は、あんな風に下品に、ビシャっと男前に貝を食べたいものですねえ♪
    この作品は、本当に個性的で、見る人を選びますね^^*
    腹を抱えて心から楽しめる面白さが、同時に鋭い感性の映画作家の、彼なりの理論を表現しているところに驚きます。
    こういう離れ業が出来る作品こそ、本当に素晴らしいと言えますよね。

  6. シリキさんへ
    こんにちは〜♪コメントありがとうございました。
    >オリーブ少女
    これ、いったい何だろう?と思って、検索したら、こんな風に出ていました。
    >「パリのリセエンヌのように「お金はそんなになくっても、センスを生かして可愛い格好をしたい」と考え、文学をたしなみ少女マンガなども愛し、ボランティアや自然環境問題のことも考え、雑貨やサブカルチャーなどに「小さいけれど身近な幸福」を見いだして暮らしていた……かつての少女たち(たぶん)」
    なるほどー。雑誌のoliveぐらいしか知らなかったのですが、だいぶそれとは違ったものだ、ということが分かりました。
    私ももしかしたら、ちょっとだけオリーブ少女に似たところがあるかもしれません、雑貨に興味はありませんが^^;
    >ライアン・ラーキン
    これ、予告チラシを見る度、面白そうだな、と思っていたんですが、残念ながらライズXなんですよね。
    うーん、私ライズXがどうにもこうにも嫌いなんです。。><
    でも、DVDになったら必ず見たいと思いますが。。。これ、DVDになるんでしょうか?。。ああ、他の映画館でやってくれたら絶対行くのに。。。
    ああ、残念残念です本当にごめんなさい
    関係ないんですが、「ライアン・ラーキン」て音が「アラン・アーキン」に似てますよね(殴

  7. すごくかわいいパンフ(?)の映画ですね♪
    こんなにかわいいのだと、普段映画はみない私もみたくなってしまいます★
    このおかっぱ頭、(・・・それだけなんですけど)私もアメリを思い出しちゃいましたw
    うちの近所、ツタヤみたいのがないので「おうちに宅配レンタル」っていうのをやってみようかなw
    そうそう。下のフレッシュネスのハンバーガー!!
    おばけきのこみたいなの是非食べたい!!
    これまた近所に食べられるところがないけど、お仕事帰りとかに食べれそうなところを発見したら食べちゃおうかな♪

  8. manimaniさんへ
    こんにちは〜♪コメントありがとうございました。
    >正常な?文体の破壊はコメディに限りなく近い、のがわかる作品でしたね。
    おや、もしかしてま兄さんはこちらをコメディとは思っていらっしゃらない?
    それとも、「コメディに限りなく近いが非コメディである」モノが、正常な文体を破壊したことによって起こった事象?
    >ケツ食らえ
    そーなんです、小さい女の子が「ケツ食らえ」なんて汚い言葉を使うんですね。
    私はザジぐらいの年頃は、チンコマンコ言って来る男の子は嫌いでした〜。

  9. さえさんへ
    こんにちは〜♪コメントありがとうございました。
    おー、さえさんもコチラを見てみたくなりましたか!
    これ、すっごく楽しかったんですよ!
    さえさんも『アメリ』をご存知だったんですね。私、アメリ大好きだったんですよ〜。
    アメリの話をしていたらクリームブリュレが食べたくなってしまって、こないだクリームブリュレを食べに代官山に行きましたよ。
    すっごく美味しかったです〜あ〜、幸せ
    さえさん、宅配レンタルは私もやってますよ。ウラヤマちんは、DMMが一番レアな旧作がいっぱいあってイイって言ってました。
    私はTSUTAYAですが、最近TSUTAYAは、店頭レンタルの価格破壊が進んでいるので、それに比べるとどっちの方が得なのか、分からないとは言えます
    フレッシュネスのハンバーガー、すごいっしょ?
    こんなデカすぎるキノコ・・・キノコ好きには、ネタとして行っとくべき使命を感じました。
    サン牧は、一面のキノコ畑を目指したいです

  10. >>正常な?文体の破壊はコメディに限りなく近い、のがわかる作品でしたね。
    >おや、もしかしてま兄さんはこちらをコメディとは思っていらっしゃらない?
    むむっさりげなく書いたら食いついてきましたね!ww
    そうですね〜コメディであろうとしたというよりは、文体破壊であろうとしたものだと思うので、コメディにあらず(?)
    コメディにおいては文体破壊もひとつの手法ではあるのでしょうが、はなからコメディをめざして破壊を試みるのと、ただ破壊を旨とするのでは性質が違うだろうということで。
    ワタシもチンコマンコいう男子は嫌いです。(いまでも)

  11. manimaniさんへ
    こんにちは〜。コメントありがとうございました!
    そうですね、フフフ、さりげなく食らいついてみましたYO!
    そうですか、ま兄さんはこれをコメディではないと定義したいのですね、やはり。
    私は、ガハハと笑って人々が楽しむべく作られたものを、喜劇と呼んで然るべきと思うのですが。
    文体の破壊という側面があるのは確かですし私も同意します。だがしかし、こうした大騒ぎの喜劇というのは、
    ハリウッド系娯楽作品の典型的な現代的なコメディばかりでなく、喜劇の歴史だって古いではありませんか、と。
    私は、言われて嫌がる人に向かって、チンコマンコ言いたくなります♪(いまでは)

  12. なおもつきまとう。
    そうですね〜もちろん喜劇の歴史だって古く、その系譜でこの作品を見てもいいと思いますです。
    ただ、文体破壊の結果がシリアスな荒野ではなく喜劇に似ちゃった、という方がなんとなく面白い感じがするので、そう思おうというわけで。
    原作があって、それがレイモン・クノーだというのもあるかもしれません。
    チンコマンコいう女の人は好きなんです♪

  13. manimaniさんへ
    こんばんは〜。コメントありがとうございました。
    たくさん構ってくれてありがとうございます♪
    ついでに、牧場の虫入れと動物脅かしも、暇な時には、よろしくお願いしますね〜^^*
    >ただ、文体破壊の結果がシリアスな荒野ではなく喜劇に似ちゃった、という方がなんとなく面白い感じがするので、そう思おうというわけで。
    この作品は、楽しみ方が二つあると思います。一つは、manimaniさんのように、腕を組んで「ふーむ」と納得する楽しみ方。人によっては、これは何だろう?と熟考する人もいるかもしれません。
    も一つは、私のように腹を抱えてただケラケラと笑う楽しみ方です。
    単純な人間ほど、後者の楽しみ方をし、そこに微塵も疑問を抱かないのでしょう。
    そんなわけで、私は心からハッピーになり、心が軽くなりました。
    もしかしたら、気質の違いという受け手側の問題かもしれません。
    ただ、私は、ここにある音楽的なリズム感や悪ふざけの連発、映画技術的に一風変わった試行に、ダリが舌を出しているようなお茶目さを感じました。
    人々が笑うこと、驚くことを目的としている、と考える方が、自分にとって数倍楽しいことなのかもしれません。
    でも、レイモン・クノーの原作は、面白い実験精神に溢れたものなのですね。
    文体を操るのを得意とした人のようですし。
    チンコマンコ言われて怒らずに居てくれるなんて♪
    manimaniさんは私のともだちんこだと思いまん^^

  14. こんばんは。そうですねー 深い意味を探っていけばいろいろでてくるのだろうけど、単にお気楽極楽な映画としても楽しめてしまうところが素晴らしいと思います
    「当時は『おしゃれ映画』としてもてはやされた」なんて記事も目にしました。うーん。お洒落っていえばお洒落か?(^^;
    わたしが特に気に入ったのは、ちょこっとだけ出て来る白熊の人。最初エッフェル塔のてっぺんにいて、そのあとおじさんのクラブで火の点いたバトンなんか回したりしてる。この白熊にも、きっと深い意味がある・・・はず
    先日原作本をさらっと立ち読みしてみました。さぞかしメチャクチャにアレンジしたんだろうなー、と思いながらページをめくってみたのですが、意外とこの映画、原作に忠実でした(笑) フランス、奥が深いっす

  15. パリの変人たち ルイ・マル 『地下鉄のザジ』

    気がつけば都心の方は今日が最終日じゃないか[E:coldsweats01] ぐず

  16. SGA屋伍一さんへさんへ
    こんばんは〜♪コメントありがとうございました!
    これは楽しかったですね〜!
    そうなんですよね、笑いながらも、そこには何か別モノもありそうなんですよね。
    「シュールなドタバタコメディ」とおっしゃってましたけど、確かにその通り。
    「シュールなコメディ」と見る人も居れば、「コメディの形を借りたシュールな映画」と見る人もいるんですね。
    とは言え私は腹から笑いましたw
    白熊の人も居ましたね^^
    何か意味があるはずってw・・あれは普通に出し物だったんじゃ(爆
    へえ、原作本、売っているのを見つけましたか。原作に忠実だったんですね。
    リズミカルさ、映画の中でなされた様々な実験的表現、この辺りが文句無く面白いと言えそうです。




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