珈琲時光 ▲147
’03年、日本
原題:珈琲時光
監督:ホウ・シャオシェン
脚本:ホウ・シャオシェン、チュー・ティエンウェン
一青窃 陽子
浅野忠信 肇
小林稔侍 父
余貴美子 義母
萩原聖人 セイジ
小津安二郎生誕100周年を記念して作られた作品。
特に何が起こる、というわけでもない、日常風景を淡々と映し出す。この何気ない日常が、非常に心地よい空気感と光の映像でもって、淡く心に沁みる様が心地いいのだ。
東京の風景も、都電や古い山手線など、東京に住む私たち自身が、立ち止まって見たことのないような、新鮮な思いがする。なんだか懐かしいような、なんとも言えない味わいがあるのだ。
神保町の古本屋の若店長、肇(浅野忠信)との関係も、親しい友人として、主人公・陽子は、仲良くしてはいる。けれど、特に彼らが深い愛情で結ばれている、といった様子は描かれない。だが、台湾から日本へ帰って来た、フリーライターの陽子は、台湾で妊娠し、そのことを東京の父と義母に告げる。陽子は、子供を産み、一人で育てるつもりだった。こんな複雑な環境に実は居る。
それぞれの人、一人ひとりが陽子を責めたりする事を決して言わないのだ。陽子の突然の妊娠発言に、父も義母も問い詰めたりは決してしない。義母は、陽子の好きなもの、肉じゃがを作る。
肇は密かに彼女を想ってはいて、胎児に自分を似せたような絵を描き、彼女の具合の悪い中、部屋を訪問する。
彼女と彼とが、もしかしたらこの後、仲が進展するのではないか、と思わせる1シーンがある。
淡い光のあたる喫茶店で、一人PCを開く陽子が、電話をかけるシーンだ。電話は通じず、だが、彼女の様子から、肇に電話をかけたこと、それをうっすらと感じるだけだ。
そこには、ドラマはなく、うっすらとした予感しかない。
電車が縦横無尽に走る、東京の風景をもう一度映し出し、物語はアッサリ幕を閉じる。
私たちが住んでいる東京の姿が、本来なんだか優しいものに、今までとまるで違ったものに感じることが出来たら。それは、なんて素敵なことだろう。
私も、大事なものほど、軽々しく口に出したくないものだ、などと思う。

フリーライターの陽子は、生みの母が台湾人で、日本と台湾を行き来している。高崎で暮らす実の父と義理の母とはいい関係だ。古書店の二代目、肇とは親しく 付き合っており、台湾の音楽家、江文也の資料も探してくれた。肇は陽子に思いを寄せているが、その気持ちを伝えられない。ある日陽子は、自分が妊娠してい ることを高崎の両親に告げる。相手は台湾の男性で、陽子はひとりで産むつもりだ・・・
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コメント(8件)
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ハスミ先生がちらと出演する映画ですな。
映画『珈琲時光』
故小津安二郎監督のオズワールドに台湾人監督のホウ・シャオシェンが挑む。台湾人の父親と日本人の母親を持つ一青窈が主演をつとめるこの映画、あまりに日常的すぎる気だるく無口で静かな時が流れている。
物語の軸は陽子(一青窈)の妊娠と未婚の母になる思い、そし…
manimaniさんへ
こんにちは〜♪コメントありがとうございました。
>ハスミ先生がちらと出演する
こちらのことですな。
http://www.mube.jp/pages/milkhall_7.html
『珈琲時光』
監督、ホウ=シャオシェン。2003年日本。ヒューマンドラマ映画。出演、一青窈(陽
【澎湖島の田舎町、風櫃の美しい映像を是非ご覧に なって下さい!】
はじめまして。東京で映像作家をしている逢坂と申します。
そして、台湾大好き人間です.
私は今、台湾観光局主催の「世界で最も素晴らしい旅 行」という企画に参加しています。世界中からエントリーした旅人達が、ビデオと写真と ブログで台湾の魅力を伝えるという企画です。
私達のチーム「Taiwan Explore」は、台湾映画をテーマ に、澎湖(ポンフー)島にある、映画のロケ地を巡っ てきました。また、台北では巨匠・侯孝賢に会うた め、彼の事務所へ訪問してきました。
この旅の模様は以下のページでご覧になれますので、 是非!
「Taiwan Explore」 ハイライトページ
http://www.taiwanbesttrip.net/group/te/final/the-best-trip-to-taiwan-of-taiwan-explore?lang=ja
ビデオ「再現風櫃」本編
http://www.youtube.com/watch?v=Q3aDKpxPTQU
日本語字幕版http://www.youtube.com/watch?v=X8vbdS8-nrI
【コンテスト】また、私達はこのコンテストで優勝を争っています。 日本参加チームとしては今一番健闘しています。(10 月22日時点で第2位です!)
そして最終的には、本コンテストの優勝チームは台湾の観光大使に任命されます!
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宜しくお願いします_vv_
逢坂さんへ
こんばんは!初めまして、コメントありがとうございました。
早速YouTube見させていただきましたよ。
とっても奇麗に撮れていますね。
ホウ・シェオシェンの映画ロケ地を巡るなんて、素敵そうですね!監督その人にはお会いできたのでしょうか?
コンテストでの優勝、応援しています。
どうぞ頑張ってくださいね。
澎湖島は風櫃だけでなく、吉貝島とか漁翁島とかいろいろなところでロケが行われているきれいな島ですよ。
甘ちゃん@台湾さんへ
あけましておめでとうございます〜!コメントありがとうございました。
澎湖諸島、なかなか綺麗なところみたいですね!
サンゴに囲まれた島だなんて、すごいですね。