ミレニアム・マンボ ▲145
’01年、台湾、フランス
原題:千禧曼波
監督:ホウ・シャオシェン
製作総指揮:ホワン・ウェンイン、ジル・シマン
製作:チュー・ティエンウェン、エリック・ウーマン
撮影:リー・ピンビン
音楽:リン・チャン
美術:ホワン・ウェンイン
スー・チー ヴィッキー
ガオ・ジエ ガオ
トゥアン・ジュンハオ ハオ
竹内淳 淳
竹内康 康
2011年現在の自分が、ミレニアムの時期の自分を回想する、という形で語られる物語。
自分について、「彼女は〜」などと三人称で語るのだ。
この物語は作られたのが’01年だったのだけれど、私は偶然にも、見たのが’09年。ちょうど、この物語で設定されている「その先の未来に居る自分」とほぼ同じくらいの時期と言える。
そのせいか、私には、ミレニアムの頃の自分を懐かしく思いながら、見ることが出来た。
その頃の未熟で、馬鹿だった自分を思い返しながら・・・。
ちょうど、主人公ヴィッキーのように。
私もこの頃、遊んでばっかり居たなあ、なんて思い出す。呑み仲間とツルんで、しゅっちゅう朝まで飲んだり、クラブ周りをしたり・・・。
その時の思いだけで「今が良ければいいや」とばかりに、毎日を過ごしていた。
さすがに、ヴィッキーやハオのようにドラッグをやったり、全く働かずに過ごしたり、などとそこまで酷くはないけれど。
ヴィッキーは、異常なまでに嫉妬深いハオとの関係に嫌気が差していて、今度こそハオと別れよう、と思いながらも、なかなか別れられずに居る。
こういう馬鹿さ加減というのは、若い頃特有なんだろうか?何かに憑かれたように、何も見えなくなってしまい、お互いを堕落させる関係になってしまう。
こんな経験は、誰もが一度は経験する・・・とは言わないまでも、「自分に決してプラスにならない関係性」をなかなか断ち切ることが出来なくなってしまうことは、誰しも少なからずあるかもしれない。
青春の残り滓のように、昔に夢見たはずの関係ではなくなった後も、その底をすくって何か光るものを見つけようとする・・・。
いや本当は、自分にとってプラスにならないと分かっていて、
いつか終わりが来る、と心のどこかで感じているからこそ、余計に、
そこにしがみつきたい思いもあるのかもしれない。
ヴィッキーが東京に来ると、東京に雪が降る映像がある。
そう言えば台湾には、雪が降らないそうだ。
雪がまるで、世界を清浄するかのように映る。
その後、北海道の「夕張シネマ通り」が映るのが印象的。
主人公は、長いトンネルを抜けるように、ようやく大人になっていく。
「成長する予感」を淡く描いたラスト。

台北に暮らすビッキー(スー・チー)は、同棲中の恋人、ハオ(トゥアン・ジュンハオ)との生活に嫌気がさしていた。ハオには仕事もなく、嫉妬深くて、毎日 ビッキーの体中の匂いをかぎ、バッグを探り、財布の中のレシートまで調べ上げる。ある日ビッキーは、生活のためにホステスの仕事を始め、常連のヤクザ、ガ オ(ガオ・ジェ)に出会う。ガオの元で次第に自分を取り戻していくビッキーだった・・・
・ミレニアム・マンボ@映画生活
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コメント(2件)
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お久しぶりです。
大阪に左遷されたLongislandだす。
この作品撮影がリー・ピンビンなんですよね。
冒頭のシーンは永遠に続いてほしいと思うほどの素敵な映像。
中盤のスー・チーの白いブラが・・・失礼
侯孝賢監督作品では『悲情城市』よりも本作が一番好きです。
Longislandさんへ
こんばんは〜♪コメントありがとうございました!
Longislandさん、またまたお久しぶりです!
私のTIFFは、今さっき終わりました。9本でした。
大阪は、もう慣れましたか?九条ネギの入った「ネギ焼き」は食べましたか?
大阪は、でんぷんグルメが充実しててうらやましいです。
>リー・ピンビン
この方、ホウ・シェオシェンばかりでなく『空気人形』も撮影してるのですね!
『花様年華』といい『夏至』といい・・・、心に残る映像を撮る人ですね。
>スー・チーの白いブラ
ふむふむ、Longislandさんは白いブラが好きとな。。。メモメモ。
出だしの映像は、本当にウットリするようなシーンでしたよね。思わず、クラクラしました。