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マーターズ ▲128

マーターズ’07年、フランス・カナダ
原題:Martyrs
監督:パスカル・ロジエ
エグゼクティブプロデューサー:フレデリック・ドニギアン、マルセル・ジルー
プロデューサー:リシャール・グランピエール、シモン・トロティエ
撮影:ステファヌ・マルタン、ナタリー・モリアブコ=ビゾツキー
音楽:セップク・パラディグム、アレクシス・アンド・ウィルフリード・コルテ
美術:ジャン=アンドレ・カリエール
編集:セバスチャン・プランジェール

モルジャーナ・アラウィ  アンナ
ミレーヌ・ジャンパイ  リュシー
カトリーヌ・ベジャン  マドモワゼル
イザベル・ジャス  クリーチャー
エミリー・ミクスジャン  拷問される人
マイク・チャット  男性/死刑執行人
ガエル・コアン  女性労働者

今年最恐のホラー出ました。

こ・・・これはすごい!!!

こんなに残酷で悪趣味なものはないだろう、と思えるぐらいの強烈さなのに、
とてつもなく神々しいものを見た、と戦慄を覚える、この感覚。

私が見たのは、公開週のサービスデイだったとは言え、立ち見が出るほどの大盛況でした。
シアターNからの帰り、いつもの歩道橋を登りながらも、震えが止まらなかった・・・。
あまりに素晴らしい最恐ホラーの誕生に、戦慄してしまって。

いや、これはホラーの最終形態、かもしれない。
むしろ、ホラーを終焉させる“何かの幕切れ”。そんなものすら感じてしまう。

物語は、プロローグ・一幕・二幕・三幕・四幕・五幕・エピローグ、といった具合に、それぞれのパートがまるで別物の如く成り立っている。
序盤はまるでミステリーのような展開の仕方なのに、話が進んでいくに従って、また違う面をそれぞれ見せるところが、余りに素晴らしくて舌を巻く。

何より素晴らしいのは、オチのつけ方。
私は、ここで余りに、余りにやられてしまった。あっけに取られてしまう。

知的で深遠ですらある、フランス真骨頂のホラー舞い降りたり!

この作品で『SAW』を思い出す人が居るだろうけれど、あちらとは比べ物にもならないぐらいの本物の恐さを感じる。拷問の痛さ。妄想の恐さ。
リアルに、眼前に現れるかのようなこの痛み。半端なく素晴らしい。

ホラー好きと言いながら、毎回実は、ものすごい恐がって見ている私。
今回も本当、映画館の中で悶え苦しみながら、
それでも恍惚の表情を浮かべてしまった・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・。

普段、ホラーやスプラッタを好んで見る人の中には、余裕でスプラッタシーンを見ている人もいるけれど、「平気、平気」と言いながらその実、”感覚を遮断”して見ているのではないか、と私は思うことがある。
つまり、感覚を鈍らせることにより、共感もせず思い入れもなく、ただ自分の感覚を鈍らせることによって、その凄さを感じないで見てしまう。
その恐さも苦痛も感じることなく見れるから、その方が楽なのだ。

この作品では、そうしたことを出来るだけ許さないような作りになっている、と思う。
しかし逆に、“最終形態”のところでは、むしろ苦痛を感じることなく見れるように演出されている。つまりここまで計算されている。

この作品は本気で恐いし、お遊びのホラー作品たちが逃げ出していくような、真摯さがある。
ホラーは楽しいから見るものと思っている私だけれど、ここまで苦痛に正面から向かい合った作品はないと思う。
“苦痛というもの”“苦痛を描くこと”に対する奥深い理解度には、圧倒的なものがあって、マジで心が震えた。
これまで素晴らしいフランスのゴアホラーがいくつかあれど、この作品は頭一つ抜きん出ている。
ここまで凄惨なものを見たことがあっただろうか!?

P.S.ダリオ・アルジェントにこの作品、捧げられてました。

最高に恐かったです。

そして最高に気に入った!

今年のホラーベスト1、間違いナシ。

ストーリー・・・
70年代のフランス。行方不明だった少女リュシーが衰弱した状態で発見される。彼女は長い間、監禁され、そこで拷問や虐待を受けていたが、自力で脱出した のだった。しかし監禁の理由は不明のまま。リュシーは福祉施設で育ち、15年がたった。ある朝、森の中にある閑静な住宅を訪問したリュシーは持っていた猟 銃で一家4人を惨殺する。それはリュシーを虐待した家族だったのか。同じ施設で育った親友のアンナは死体処理を手伝うが・・・

マーターズ@映画生活

 

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コメント(15件)

  1. マーターズ / MARTYRS

    {/hikari_blue/}{/heratss_blue/}ランキングクリックしてね{/heratss_blue/}{/hikari_blue/}
    ←please click
    いや〜、何か知らないけどすごい強烈な映画だった{/m_0154/}
    『フロンティア』『ハイテンション』『屋敷女』…
    近年フレンチホラーの勢いが凄いなんて言われてる…

  2. とらねこさん
    お久しぶり〜☆
    あすかちゃんとこでお名前はみてたんだけど。。。
    ところで、やっぱりとらねこさんもこれ観てたんですね!
    しかも気に入られた様子。
    わたしも今年ナンバーワンホラーだと思うな!
    かなり強烈でしたね。
    どのシーンもスゴくて。
    ほんとアソビが一切ナシ。
    とらねこさん今、台湾なのね。気をつけて楽しんで来て下さいネ。
    (↑あ、睦月ちゃん元気そう 笑)

  3. migさんへ
    こんにちは〜♪不在にしていて、コメント返信遅れました。すいません><
    私の方も、migさんのコメントはいろいろなところで見かけていましたよ☆
    migさんもこちら、今年のナンバーワンホラーでしたか!
    これは神ホラーでしたもんね〜。
    実は「DVDになる前のお印程度の映画公開」なんて言われたりもしたのですが、
    私はそれは、コレ、公開するのがキツイレベルだからだと思ってます(笑)
    migさんも気に入ってくれて、すごく嬉しいです〜!
    台湾、メチャメチャ暑かったですよw
    睦月さんは、今はすごく忙しそうです!
    そして相変わらずでしたよ〜♪

  4. 完璧に凹んだ…(-_-;)☆フランス・ホラー映画『マーターズ / MARTYRS』☆

    今回の試写会場はアップリンク・ファクトリー。
    仕事帰りに行くには都合の良い渋谷にあるということで、映画の内容も確認しないで応募→当選!
    それから初めてどんな作品なのかと検索してみると、フランスのホラー。それもかなりコワくて痛い作品ということが判明。

  5. ども、お久しぶりです
    巷で噂の本作ようやく観てきました
    えれーもん観たなぁ…感がこの域まで達したの久々かもしれません
    容赦ない残酷描写に目を奪われがちですが
    語らずとも背景を理解せしめるオープニングの秀逸な編集とか、二転三転する話を破綻なく紡ぐ構成力とか、想像のやや右斜め上をいくオチとか、作劇自体の偏差値も総じて高いんじゃなかろかと感じましたです
    残酷描写は鉄仮面の外し方が一番きましたね
    アンナがマイナスドライバーを取り出したときは、六角ボルト固定だからボックスレンチ持ってこなきゃダメだよって突っ込んでたんですけど…
    うぎゃー!それそんな止め方なのー!チビリました
    なんつー凶悪なデザイン…
    爆笑ポインツはガブリエルの水道工事ですかねー
    主婦の日曜大工の域をはるかに超えた土木工事にちょとフイてもたw
    ま、死体投げ込むちょうど良い穴に早変りする訳ですがw

  6. みさま
    こんにちは〜♪コメントありがとうございました!
    おお、みさんは元気してるかな?なんてちょうど思ってたとこだったんですよ!
    それも、最近の私の傾向は、ちょっと偏りがちなのですが、みさんが来てくれるならここかな?ここに来てくれないなんて寂しいなあ、なんて思っていたとこだったのでした!
    ようやく見てくださいましたか!これ、本当に「えれーもん見た感」ありましたよね、ヤバいです本当に。
    >語らずとも背景を理解せしめるオープニングの秀逸な編集とか、二転三転する話を破綻なく紡ぐ構成力とか、想像のやや右斜め上をいくオチとか
    いやまさに。私、オチが来る前に、すでにすっかり心酔してしまってたんですよ。
    秀逸な編集とか、構成力とかは本当におっしゃる通りで、これがなくて、そのまま流れるような展開だとしてもなかなかなんですが、部分部分を際立たせる構成が優れていて、圧巻でした。
    >残酷描写は鉄仮面の外し方が一番きましたね
    >アンナがマイナスドライバーを取り出したときは、〜(中略)〜
    >うぎゃー!それそんな止め方なのー!
    うわあ、細かいいいツッコミされますね、相変わらず!確かにあの「マイナスドライバー」の使い方には、ちょっとカッコいいもんがありました!
    私もあそこが一番、来たかなあ。。。もう、場の椅子の上で、じたばたしてしまいましたもん。
    >爆笑ポインツはガブリエルの水道工事ですかねー
    おー、そうですか!これまたマニアックな
    私には、爆笑ポインツはマドモワゼルの風貌だったりしたんですが、それじゃまだまだでした。。。^^;;;;

  7. マーターズ。

     パスカル・ロジェ監督、『マーターズ』、10/10、シネテリエ天神にて鑑賞。2009年41本目。
     
     一昨日の記事で、ユナイテッドシネマが10周年メモリアルデーで鑑賞料金1000円だったので映画のハシゴをした、と書きました。
     でも実は『ワイルド・スピー…

  8. マータ―ズ(2007)◆MARTYRS

     MARTYRSとは?
    それは“殉教者”または“犠牲者”を指し、古くは“証人”を意味する言葉。
    2人の美少女を待つ、あまりにも過酷で凄惨な運命とは・・・
    京都みなみ会館にて鑑賞。一日一回のみの上映で今週の金曜日までということで、慌てて観に行きました。誰も来ないな…

  9. マーターズ

    「マーターズ」を観た。
    1970年初頭のフランス。少女リュシーが、傷だらけの衰弱しきった姿で路上を彷徨っているところを発見される。何者か…

  10. こんばんは〜・・
    最高級の賛辞レビュー!めちゃめちゃ琴線に触れてますね!でもわかるような気がします。私は鬱っぽくなってそれどころじゃなかったですが(笑)
    痛いシーン多いですけど、ホラーというよりスリラー?っぽかったですね。精神的にくる作品でした。肉体破壊のグロさには何も感じなくなってきてますが(ぇ)そっちよりもこういう理不尽な暴力を描いた作品のほうがよっぽど堪えますね・・(笑)

  11. baohさんへ
    こんばんは〜♪コメントありがとうございました!
    そうなんですこの作品、自分はとても気に入ってしまいました。
    まあ、思いっきり少数派ではあるんですが・・・。
    そうですね、この作品、普通に考える「ホラー」とは違ってますよね。
    そうそう、ラストの辺りがかなり壮絶ですし、この作品ダメだ、という気持ちも分かる気はします。
    ただ、その先まで描いているところがすごいな、と自分は思ってたり。

  12. マーターズ

    MARTYRS
    2007年:フランス・カナダ
    監督:パスカル・ロジェ
    出演:モルジャーナ・アラウィ、カトリーヌ・ベジャン、イザベル・シャス、エミリー・ミスクジャン、ミレーヌ・ジャンパノイ
    1970年初頭のフランス。監禁・拷問・虐待で心身ともにボロボロにされた少女リュ…

  13. マーターズ

    1971年、監禁されて虐待を受けていた少女が、自力で逃げ出し、保護された。少女の名前はリュシー。彼女が虐待を受けていた倉庫には、座ったまま排泄できるようになっている穴の開いた椅子。手足は鉄の鎖で縛り付けられ、もがいた少女の手首には化膿した傷があった。が、性的…

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    [parts:eNozsDJkhAMmJmMjAyYjU3NGJgszSyPTNEsLSyc3Yz/DQuPEjEi1jBzbrMR4rwC1tGJbQzUmODA0AhIWROmBms/EhKYbZAAAsAMX6A==]
    ↑ かなりショッキング!ホラーに免疫のない人は閲覧注意!!
    最近とっても威勢がいいフレンチホラー。その中でも昨年上映され特に話題となった一作…

  15. マーターズ

    1971年、監禁されて虐待を受けていた少女が、自力で逃げ出し、保護された。少女の名前はリュシー。彼女が虐待を受けていた倉庫には、座ったまま排泄できるようになっている穴の開いた椅子。手足は鉄の鎖で縛り付けられ、もがいた少女の手首には化膿した傷があった。が、性的…




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