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デーモンラヴァー ▲127

デーモンラヴァー’02年、フランス
原題:Demonlover
監督・脚本: オリヴィエ・アサイヤス
撮影: ドニ・ルノワール
美術: フランソワ=ルノー・ラバルト
編集: リュック・バルニエ
音楽: ソニック・ユース
製作: エドアール・ウェイル / ザヴィエル・ジャノリ

コニー・ニールセン  ディアーヌ
クロエ・セヴィニー  エリーズ
シャルル・ベルリング  ハーヴ
ジーナ・ガーション  エレーニ
大森南朋  ショージ(東京アニメ社員)
ドミニク・レイモンド  カレン
ジャン=バプティスト・マラルトル  アンリ・ピエール・ヴォルフ社長
Abi Sakamoto フランス語通訳

『クリーン』がいよいよ今度公開の、オリヴィエ・アサイヤス監督作品ということで予習を兼ねて見てみた。
ところがストーリーは驚くようなおかしなサスペンスで、上手く出来ているとも思えないし、これが本当に玄人筋に評価の高いオリヴィエ・アサイヤスなの!?ぬーべるヴぁーぐ直系って本当ですか?と目を見開かんばかりに驚いた。でもそんな変テコなものを作っちゃうところが天才ゆえ・・と他の作品を見たらそう思うのだろうか。

日本のアングラなエロティックアニメをフランスの大手一流企業が買い付け、これが成功したらシェアの80%が手に入る・・・というところがまず信じがたいストーリーではあるのだけれど、実はこれ、最近になって海外でも問題になった、日本の触手アニメ!
へー、触手アニメってこんな内容だったんだ。自分は初めて見たのでドギモを抜かれてしまった。

主人公のコニー・ニールセン演じるディアーヌは、この日本の触手アニメの会社と独占契約を結ぼうとしていて、実はスパイとして内部に潜入している。この触手アニメのために、命を狙われたり殺し合いまで起こる・・・という、ちょっと不可思議なイメージのサスペンスでなんだか可笑しい。

日本の料亭で契約のために会議が行われるシーンでは、「アニメに出てくる女性の陰毛が映っていないとチャイルド・ポルノ法に引っかかる」とフランス側が指摘し、日本側は「アニメの世界は現実の女性ではなく、ヘアが映っていると日本では逆に法に触れる」とか日本語とフランス語と英語の三ヶ国語で持って議論が行われる。
この後に翌日、“東京アニメ”の会社を訪ねて行くが、そこで初めて触手アニメの何たるかが分かる。裸の女性を襲ってくんずほぐれつ、というような強烈な映像がそのまんま出てきたりして、見るもビックリのシーン。「いよいよ変テコな映画だぞ」と逆に乗り気になってしまう。
東京のホテルにチェックインし、有料TVを一人部屋で見るコニー・ニールセンがまたエロティックで素敵だったりする。

この東京アニメのアメリカシェアのためにまた別の企業、デーモンラヴァーが傘入してくるのだけれど、このデーモンラヴァーという会社、『性の奴隷 ララ・クラフト』といって『トゥームレイダー』のララ・クラフトをモデルにした同人誌的なアニメを作っていたり、『裸のスター.com』と言って、スターの裸を顔だけ映し変えて放映するサイトを扱っている会社。しかし、よくよく調べてみると実はヘル・ファイヤー・クラブという、インターネットで拷問・スナッフフィルムを実況中継しているもっと怪しい会社と裏で繋がっている実態・・・ということでストーリーが錯綜してくる。

変なストーリーであるけれど、見所としては、コニー・ニールセンがひたすら美しいし、クロエ・セヴィニーが次第に豹変していく様も面白い。全体的には「フランス映画ってやっぱり変だよなあ」という印象が楽しい。

日本では、’05年にシアター・イメージフォーラムで劇場公開になっている。

 

ストーリー・・・
ディアーヌは、マンガトロニクス社に雇われた産業スパイとして、世界的企業ヴォルフ社に潜入した。目的は、ヴォルフ社が進める日本のアニメ企業の買収を阻止すること。マンガトロニクスは、ヴォルフ社のウェブサイト独占権をめぐりデーモンラヴァー社と対立していたが、買収が成功すれば、ヴォルフ社とつながりを持つデーモンラヴァーは市場を牛耳ることになる。様々な手段で交渉を遅らせるディアーヌだが、やがて彼女の正体を知る者が現れる・・・

 

デーモンラヴァー@映画生活

 

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コメント(3件)

  1. 「デーモンラヴァー」

    ストーリーとしては難解な部分が多く、ややもすると???と置いてけぼりを食ってしまうのだが、かといって2時間、まったく退屈を感じさせない。

  2. レビューUPされましたね。
    変な映画なんだけど、変なモンが好きなんで、やっぱりこれも好きでした。
    そこへ行くと「クリーン」てどうなでしょうか。予告編などから推測すると私はスルーの雰囲気なのですが・・・
    ところで、とらねこさんは鑑賞直後にメモとか残しておられるのですか?時間がたつとどんどん記憶が薄れて困ります。

  3. imaponさんへ
    こんばんは〜♪コメントありがとうございました。
    そうですね、コレまたちょっと変な映画でしたね(爆)
    私も後から考えたら結構面白かったナ〜なんて思います。ぷくく・・・
    そうですね〜、『クリーン』は私はとっても良かったのですが、imaponさんはどうでしょう?
    私はimaponさんが挙げられたのと同じ理由で、『夏時間の庭』を思わずスルーしてしまったので、人のことをあまり言えなかったりするのですが・・DVDで見てみようと思います★
    >とらねこさんは鑑賞直後にメモとか残しておられるのですか?
    お、鋭い★普段は私はメモしないんですが、この記事に関してはメモ取りました。
    なぜなら、固有名詞で面白かったのを思わず載せたくなっちゃったんですw。
    でも、普段はメモは全然取らないですよ。
    あとちなみに、下書きのストックも結構持ってたりします・・。




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