惑星ソラリス ▲121
’72年、旧ソ連
原題:СОЛЯРИС/SOLARIS
監督・脚本:アンドレイ・タルコフスキー
原作:スタニスラフ・レム 『ソラリスの陽のもとに』
脚本:フリードリヒ・ガレンシュテイン
撮影:ワジーム・ユーソフ
音楽:エドゥアルド・アルテミエフ
ナタリア・ボンダルチュク ハリー
ドナタス・バニオニス クリス
ユーリー・ヤルヴェト スナウト
ウラジスラフ・ドヴォルジェツキー アンリ・パートン
アナトーリー・ソロニーツィン サルトリウス
ニコライ・グリニコ クサスの父
『ストーカー』同様、SFの概念を覆すような斬新なアイディア。『ストーカーがとても気に入った自分には楽しみだった作品。SF的というより観念的で哲学的。
『ノスタルジア』に出てきたシーンのように、潜在意識に残る湖畔近くのロッジの美しい映像が、忘れられなくなりそう。
ハリー役のナタリア・ボンダルチュクがとーっても美しいの。J.Loに似てる。彼女が酸化水素(だったかな?)を飲み込んで、死に至り、彼女がまた生き返るシーンが、不気味のような美しいような、何とも言えないシーンだった。
日本の首都高が出てきたシーンには驚いた。未来都市をイメージしているのに、日本が使われたなんて。日本の首都高は、やっぱり複雑すぎだよねえ。日本人にとってはくすぐったいような、なんだか嬉しい気がする。っておめでたい人?
でも実際、当時日本ではこの作品、とても人気があったとか。異例のロングランヒットだったらしい。約1年ほどの上映期間だなんて、なんて長いんだろう。
この作品のテーマが、人々に驚きを与えたのはよく分かる。
人を失くしてしまった人には、特に心を捉えるだろう。甘くて人を惑わせる、背徳の幸福感に満たされる。
ただこのテーマの部分は、自分にとっては、スティーブン・キングの『ペット・セマタリー』と同じだった。おそらくキングの方がタルコフスキーのこの作品、もしくはレマの原作SFを、パクった・・・いや、自己流にアレンジした・・・インスパイアされた、のだろうけれど。
私はこの『ペット・セマタリー』にはかなり衝撃を受けて、恐ろしくて以来しばらく3年はキングを読むことができなくなったぐらいのショックだった。
キングの方は、観念SF的に描いたわけではなくて、キングならでは、それをゾンビで描いたのだけれど。
先にこちらの映画を見ていたら、すごい衝撃を受けたかもしれなかった。
タルコフスキーの映画を、「キングを先に読んでしまったから、衝撃度が薄れた」などと言ったら、シネフィルさんに怒られてしまいそう・・・。でも、私このテーマは、キングの時に取り憑かれたように、考えてしまったことだったから・・・。うーん、ごめんなさい。

近未来。事故を起こした宇宙ステーションに原因究明のため、科学者クリスが調査に出発する。惑星ソラリス上に浮遊する宇宙ステーションに到着したクリスは、そこで数年前に自殺した妻を目撃するのだった・・・
2009/08/23 | 映画, :SF・ファンタジー
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コメント(16件)
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アンドレイ・タルコフスキー「惑星ソラリス」
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この映画、もう20年近く前のことだと思うのだが、TVで深夜放送されたのを観たのが出会い。
その後再度TVで放送したものを録画し、繰り返し観た。
ところでそのTV放送版は、大幅にカットされた版だったので…
とらねこさん。こんにちは。
スタニスラフ・レム 『ソラリスの陽のもとに』高校の頃、読んだ本で大変衝撃を受けました。
映画は観て無いです。
映画になっていることは知っていたのですが、原作で受けた衝撃を大切にしたいと思っていたので、あえて外している作品なんです。
もう、ずいぶん古い衝撃ですから映画で振り返るのもいいかもしれません。
思いおこさせてくれてありがとう。
こんにちは
しまった、TBしっぱなしでコメントを忘れていました^^;
原作は邦訳はハヤカワ版『ソラリスの陽のもとに』と国書刊行会『ソラリス』がありまして、前者はロシア語翻訳版を、後者はポーランド語原典版を底本としています。
前者は少なからぬ部分カットされているもので、今読むならば後者のほうがおススメであります。
テーマとしているものが小説と映画とはかなり異なります。ワタシはどちらもそれぞれに興味深いものだと思っています。両方接する価値はあろうかと思います。ちなみにソダーバーグ版は置いといても差し支えないかと思います(笑)
で、
>ナタリア・ボンダルチュクがとーっても美しいの
まったく同感です。が、某サイトにて近年の彼女の写真を見ましたが・・絶句(笑)
ではでは
度々すみません
レムの名前は「スタニスワフ」ですね。
ポーランド語のアルファベットでエルに似た字で発音はwの文字があって、そいつです。日本では紹介され始めたときに字面で「スタニスラフ」と表記されたことが多くて、最近では改められていますね。
と、小姑のようなコメントでした〜^^;
ではではでは
de-noryさんへ
おはようございます〜♪コメントありがとうございました!
おおーっ、de-noryさんは高校生の頃に読まれたことがあったんですね!素敵〜☆
自分は、名前を聞いたことがあるなあ、程度の勉強不足でした・・・
タルコフスキーの映画は、ハリウッド的な“商業的に構築された物語空間”から完全に自由な、映像を堪能することができ、とても興味深く見れましたよ。
良かったら見てみて欲しいです〜^^*
感想お待ちしていますネ。
manimaniさんへ
おはようございます〜♪コメントありがとうございました。
イエイエ、こちらこそ、いつもTBありがとうございます。
特にいつもコメントをつけなければならない、ってことはありませんから、お気になさらずにTBつけて下さって構いませんので〜☆
で、訳が二つ存在し、タイトルも違うのですね。なるほど、教えていただきありがとうございました。
どうやら初めに日本に入って来たのがロシア語訳だったらしいのですけれど、元はポーランド語で書かれたものなのですね。
カットされていないものを読みたいなら、今なら『ソラリス』の方を読むべきなのですね。なるほど!
私が一番最初に見たのはソダーバーグの『ソラリス』でした。映画館で、かつてここまで爆睡した映画はこれぐらいです・・・。
あのピンクの惑星が、眠くないのに強引にレム睡眠にさせられ、レムの意味を誤って使いそうなほどに・・・(え、まさかここ出典!?)
>ナタリア・ボンダルチュク
本当に綺麗な人でウットリしますよね。
なんだか素敵な幻影のように見えてくるのは、ロシア美人ならではなのでしょうか。
>スタニスラフかスタニスワフか
STANISLAW LEM(アルファベット表記分)
LEMの部分はレムと読むけれど、LAWの部分をラフと読むのがロシア語読み、ワフと読むのがポーランド語読みなのですね。
同じLの発音でも違ってくるのですねえ。
確かに、スタニスラフと表記しているところと、スタニスワフと表記しているところの二つがあるようですね。なるほど、スタニスワフと読むのが今は正しいのですね。
小姑のようなコメントはうちにはよくあることなので(笑)、気にせずどんどん教えてくださって結構です。
こんにちは〜
調子にのりさらにコメントを重ねますと、ポーランド語だと、レムのほうは「l」(小文字です)なんですけど、スタニスワフのほうは「ł」←こういう文字なんですよ。英語表記だと一緒になってしまうらしく混乱のもとですね〜
ソダーバーグ版はさらにさらにレムの原作とは違うモノですよね〜〜どういうことだ?レム睡眠がねらい?
たびたびたびたび恐縮です
「ł」
これで表示できるでしょうか?
^^;ごめんなさい何度も
肝心の文字が表示できないみたいです〜
うちのブログではだいじょうぶなのに
ということで、ゴミコメいっぱいですみませんでした〜m(__)m
manimaniさんへ
うーん、そうですね、表示されてませんね。
うちのコメント欄も、通常のHTML記述は出来るんですが、その数字の羅列で、“かぎカッコ綴じ”では表示されていませんね。試しに
ごめんなさい、自分の知識ではもうこれ以上無理ですー
とにかく、l(小文字)の次の表記ってことは了承しました〜。
こちらこそ、何度も試していただいて、ありがとうございました〜。
P.S.やっぱり反映されてませんね。文字コード入力は諦めモード・・(T▽T)
お久しぶりです。学生時代に観たタルコフスキーが懐かしくてお邪魔しました。『惑星ソラリス』は公開したての『ノスタルジア』の後観に行ったのですが、『ノスタルジア』が眠くて仕方なかった私にはこんなに胸を揺さぶる作品もあったのかと驚いた思い出があります(笑)細かくは覚えてませんが「妻」が本当に美しかったですね。遺作となった『サクリファイス』は途中又眠くなってしまったのですが(苦笑)
『ペット・セマタリー』は未見なのです。今度DVDがみつかったら是非観てみたいです。
シリキさんへ)正直、とてもオススメできるような代物じゃないんですー><
こんばんは〜!二度目まして!
コメントありがとうございました。
以前、一度お話させていただいたことがありました。・・ですよね?
ええ、リアルタイムで『惑星ソラリス』ご覧になったのですね!わあ〜、素敵ですね!
確か、岩波ホールでしたよね〜♪
今回、アテネフランセで見たので、そこから白山通りを通って神保町に移動したのですが、「あそこで当時やってたんだよなあ」なんて思って、勝手に感慨深く思っていました
そうですね、『ノスタルジア』よりこの作品の方が、より素直に、心の琴線に触れる経験となりそうですね!
『ペット・セメタリー』の映画は(『〜セマタリー』は、原作のタイトルなんです←細かくてごめんなさい
キングの映画化作品て、本当限られたものしかダメで・・。
もしよろしければ、原作の本の方の『ペット・セマタリー』を読んでみてくださ〜い、なんて言ってみたりして・・・。
でも、惑星ソラリスの幻影がキング版では、ゾンビですのよ、ゾンビ・・・。
でも、日本の神話にも似たような物語あるんですよね。「その愛のため、死人を甦らせる物語」と言えば、「イザナギイザナミ」の話ですもんね。
あとはギリシア神話でもオルフェの竪琴なんかがありますね・・・。
覚えていただいてありがとうございます!はい、随分前にかえるさん経由でブログにお邪魔しております(笑)
『惑星ソラリス』は初公開が70年代なのでリアルタイムではないですー。『ノスタルジア』が83年公開なのでそのへんです。当時はタルコフスキーがちょっとしたブームで特集上映を観る機会も多かったような。『僕の村は戦場だった』は素直に感動できる作品でしたね。
『ペット・セメタリー』は原作が面白いんですね。スティーブン・キングって面白いてきくのに読んでないので、いい機会だと思って探してみます。お邪魔しました^^
シリキさんへ
シリキさんのこと、もちろん覚えておりますとも〜♪
いつもかえるさんのところでお見かけしております。。
あちらではアルファベット名でカキコなさってますよね?そしてかえるさんがそれを気にせず「シリキさん♪」と呼びかけていらっしゃる、そのシリキさんですよね〜^^*
あ、リアルタイムでご覧になったのは『ノスタルジア』の方だけだったのですね。そして、『惑星ソラリス』の方は特集上映でご覧になったのですね。
私が見た回は、お客さんが口々に「何回目」だとか、「○○年ぶりに見た」等と言ってる方が見受けられました。
私が見た回は満席でしたよ。ブームが去っても恒常的に人気なのでしょうか。
『僕の村は戦場だった』は、是非次の機会に見てみたいと思います。今回で見るつもりだったのですが、どうしても抜けられない用事があったのでした。あと『サクリファイス』も見たいです。
スティーブン・キングの話までしてくださって、ありがとうございます*^^*
でも、かなり恐いですよ、『ペット・セマタリー』は・・・。キングでもそれほど恐くなく、面白いものもありますよ〜。
くどくてごめんなさい(笑)ちょっと説明を。そうなんです、エキサイトで登録するときにユーザー名になると知らずにいい加減に入力してしまい直せないのでそのままにしておりますー。事情を知らない方にはおかしな感じですよね。ではまた
シリキさんへ
ただいまです〜。不在にしていて、コメント返信が遅くなってしまいました。すいません><
そう、エキサイトブログの登録でIDとしてクッキー情報が保存されているってことですよね。単にクッキー情報じゃないのかしら、あれは・・?なんて疑問に思ってました(笑)
livedoorでも、クッキーは保存されるんですが、私は自分の投稿名を変更して書いたりします★
さっき、自分のトルコ旅行記を読み返していたら、シリキさんのコメントを発見して、嬉しく思いました。
こちらこそ、今後もよろしくお願いします〜♪