劔岳 点の記 ▲102
監督・撮影:木村大作
原作:新田次郎
製作:坂上順、亀山千広
プロデューサー:菊池淳夫、長坂勉、角田朝雄、松崎薫、稲葉直人
脚本:木村大作、菊池淳夫、宮村敏正
美術:福澤勝広、若松孝市
編集:板垣恵一
音楽:池辺晋一郎
浅野忠信 柴崎芳太郎
香川照之 宇治長次郎
宮崎あおい 芝崎葉津よ
松田龍平 生田信
新井浩文 新聞記者 牛山
仲村トオル 小島烏水
役所広司 古田盛作
夏八木勲 行者
モロ師岡 木山竹吉
螢雪次郎 宮本金作
仁科貴 岩本鶴次郎
蟹江一平 山口久右衛門
小市漫太郎 岡野金次郎
安藤彰則 林雄一
國村 隼 矢口誠一郎
小澤征悦 玉井要人
立山連峰の山々が、息も呑むほどに美しい!
立山黒部アルペンルートって、皆さんご存じでしょうか?関東からは少し行きずらいのだけれど、私は「何て凄い場所が日本にあるんだろう!」と驚いてしまったことがあります。美しい室堂の景色が、忘れられないんですよね。それをまざまざと思い出してました。(近隣にある黒部ダムも、ついでに行ってみてくださいね!)
映画は、いかにも王道の、クラシックな日本映画の佇まい。少し退屈しそうかなあ、なんて敬遠してしまいそうだったんだけれど、山登りの話と聞いて、それなら見たいかも、と。キャストも、私の理想に近い、ツボを押さえたキャスティング。何って、“下手な人が出てない”のがポイント。望むことは、それだけなんですよね。
加えて、“世界の黒澤”に鍛え上げられた、名だたるカメラマン・木村大作の初監督作品、・・・などと聞いたら興味津々で。
実際、CGを一切使わない、自分自身の足で登った、こだわりの山の映像には驚愕するばかり。思わずハッと胸を貫かれるほど美しい映像に、心がいっぱいに喜びで満たされた。むしろ、「荘厳」とさえ言える美しさ。泣きそうなほどに。
物語で強調されていることは、むしろ山を登るその厳しさ・辛さ、主人公の立たされた窮地、苦しい状況まで、一切“味付け無し”のリアルなテイストにこだわる。そのあまり、少々淡々とした内容と思われてしまいそうなほどの素っ気なさも感じる人もいるかもしれない。
私はと言えば、むしろその“鬼の一徹さ加減”が気に入った!こういう邦画が見たかった!様々な欠点を補って余りある真剣さに、心打たれた。
CGのなさにこだわったこの映画は、まるで“素材の良さに、ちょっぴりの醤油”が引き立つ、日本料理みたい。背中を凛と真っ直ぐに伸ばしたくなる。身の引き締まるような思いがした。
この映画実は、母と一緒に見たのでした。母が私の見たいものに合わせてくれたのだけれど。
「あんまり変なのじゃ、お母さん嫌よ」と言いながらだったので、全く何も知らない様子のところ。母が喜んでくれて、私まで嬉しかった。さすが『八甲田山』を撮った撮影監督。
母は、「立山黒部アルペンルートに、絶対行くわ!」と言っていた。
私は私で、山登りをやってみたくてたまらなくなった。3,4時間程度の、登山グッズを使用しないハイキング中級〜上級程度ならやったことはあるけれど、泊まり込みの山登りに行ってみたいな!

明治40年、地図の測量手として、実績を上げていた柴崎芳太郎は、突然、陸軍参謀本部から呼び出される。「日本地図最後の空白地点、劔岳の頂点を目指せ」―当時、ほとんどの山は陸地測量部によって初登頂されてきたが、未だに登頂されていないのは劔岳だけだった。柴崎らは山の案内人、宇治長次郎や助手の生田信らと頂への登り口を探す。その頃、創立間もない日本山岳会の会員も剱岳の登頂を計画していた。・・・
2009/07/17 | 映画, :ドキュメンタリー・実在人物, :ヒューマンドラマ
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コメント(15件)
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劔岳 点の記
まずは、景色をご堪能。山々の美しさ。厳しさ。
そして、俳優面々の演技のすばらしさをご堪能あれ。
こういう日本映画好きだ。
ハリウッドや、他国に無い日本的な作品だと思う。
「何をしたか。では無く何のためにしたが」が重要。
とかく、結果を求めがちな世の中。明治維…
とらねこさん。お邪魔してます。
正にこれぞ邦画!といった感じ。
日本の映画の良さを十分に感じることのできる映画ですよね。
私の方は、絵もいいのが描けたのでまた寄ってください。
実は、実家が比較的剱岳に近い。
黒部峡谷もそんなに遠くなく行けるのです。
岐阜県の最北の町ですので。(あー田舎!)
しかし、行ったこと無いです。
de-noryさんへ
こんばんは〜♪コメントありがとうございました。
本当、邦画の味わいを感じる映画でした。正当派ですよね。
古い日本家屋を見ているだけで癒されるので、「ああ、自分て日本人だなあ」って思います。
囲炉裏の炉端でご飯食べたのなんて、乳頭温泉に行った時ぐらいです。芋汁に感激しました。
墨絵がさぞかし似合う映画でしょうねえ!遊びに行かせていただきますね。
実家が結構近いのですか!それなら帰郷された際に、ついでに行けそうですね♪
劔岳には登るのは大変ですので(笑)、とりあえず立山のトロッコを乗り継ぎ、立山ロープウェイで山頂まで
夏でもひんやり涼しいんですよね。
「剣岳 点の記」夏に涼しい映画
夏はホラーと誰が決めたの?
観るなら、こんな雪山登山がいいかも♪
勿論、吹雪いて、遭難しかけて、雪崩に埋まったり・・・・・ほ??ら、涼しくなった??
剱岳 点の記
ここ一週間、がらにもなく風邪をひいてしまいました。
新型とか深刻なものではなく、37℃前後をうろうろ、寝込むほどではなくダラダラ。
やっと時間ができたので部屋の片付けやブログ更新頑張るぞ!の意気込みはどこへやら、
横になってDVD三昧、のつもりが・・・気がつ…
劔岳 点の記
劔岳 点の記
’09:日本
◆監督:木村大作「憑神」「ホタル」(共に撮影)
◆出演:浅野忠信、香川照之、宮崎あおい、小澤征悦、井川比佐…
劔岳点の記■「仲間たち」が作った映画!
この作品は日本映画ではトップクラスの撮影監督である木村大作の初監督作品。原作もあり、また彼自身の中で明確な構想はあったであろうこの作品の製作過程においても彼自身において「何故、この映画を撮るのか?」という自問自答の連続ではなかったろうか?それはこの作品…
劔岳点の記■理性で見るべく作られた映画
この映画を見た感想としては、まず「久々に本格的な映画を見た」という思いである。しかし、この映画、よくよく考えれば、かなり異色の内容である。人間側のドラマが非常に淡白である。そもそも対立がなく、悪役が存在しない。それどころか人間側の主人公がほとんど不在で…
映画「劔岳 点の記」
監督:木村大作(巨匠キャメラマン)
出演:浅野忠信(◎)香川照之(すばらしい!)松田龍平
出演:仲村トオル 宮??あおい 役所広司 夏八木勲
明治時代、軍の命令で日本地図唯一の空白地点だった未踏峰、
富山県にある剱岳の測量を行った測量士たちの物…
「劔岳 点の記」 感動からエナジーを得よう
「劔岳 点の記」
山岳映画の金字塔
【原題】
【公開年】2008年 【制作国】日本 【時間】139分 【監督】木村大作 …
No.204 劔岳 点の記
日本地図を完成させるため、未開拓の剱岳を目指す男たちのドラマ。
日本地図といえば、中学生のときに記憶に残っているのは
伊能忠敬だったかな・・・そんな記憶を辿りながら
当時の測量技法について関心深く、観賞しました。
TB有難うございました。
この映画を見ていると、自分の生き方
人生について自問自答してしまいました。
何をしたかではなく、何のために…
映画で語られる言葉も胸に突き刺さりました。
今度、訪れた際には、
【評価ポイント】〜と
ブログの記事の最後に、☆5つがあり
クリックすることで5段階評価ができます。
もし、見た映画があったらぽちっとお願いします!!
シムウナさんへ
こんばんは!こちらこそ、TBありがとうございました!
人生について自問自答してしまいましたか。
作品中で語られる、登場人物の人生に対する真摯な態度に、思わず襟を正したくなる思いがしましたよね。
ポチっとはしましたよ。
『劔岳 点の記』’09・日
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