ロシア革命アニメーション Aプログラム ▲84
1.ソヴィエトのおもちゃ(1924) 監督:ジガ・ヴェルトフ
2.用心を怠るな(1927) 共同制作:ニコライ・ホダターエフ他
3.ファシストの軍靴に祖国を踏ませるな(1941) 監督:アレクサンドル・イワーノフ、イワン・イワノフ=ワノー
4.百万長者(1967) 監督:ヴィトールド・ボルジノフスキー、ユーリー・プルィトコフ
5.予言者と教訓(1967) 監督:ヴャチェスラフ・コチョノチキン
6.狼に気をつけろ(1970) 監督:エフィム・ガムブルグ
7.電化を進めよ(1972) 監督:イワン・アクセンチュク
8.射撃場(1979) 監督:ウラジーミル・タラソフ
ゲージュツではなくプロパガンダを目的とした、ソヴィエト政府により作られた、人民洗脳アニメーション。などと聞いて思わず、一体どんな表現方法が行われているのだろうと興味津々だったワケである。まさに、まさに、ロシアならではの不思議な世界。
やかましく主義主張をがなり立て、共産主義国家の世界観をストレートに打ち出す、映像と奇怪なアニメ。間違いなくこれは、歴史的に特異な位置を占めるであろうと考え、ソヴィエトのその時代(1924年-1979年)の人の気持ちになって見よう、なんて思う図々しいワタシ。何か決定的な、資本主義社会を否定する「これぞ」というシコリを自分の中に刻みつけたいとか思っていた。だがモノによっては、そのガチガチの世界観に息苦しさを感じ、退屈してしまうことも。
だが、ウラジーミル・タラソフ作品だけは別だ。決して目をそらさせない強烈さ!その内容にも、絵の持つ強烈な個性にも、強く惹きつけられてしまう。思うだにしない視点に置かれた斬新なカメラと、モノクロを際立たせたポップな色調に目がくらむ。退屈とはかけ離れた表現方法も、驚くばかりに完成度が高い。人々を狂わせ、支配し、隷従させる金の力について効果的に表現されていた、『射撃場』。
私が見たのは、タラソフ作品は今回、Aプログラムの『射撃場』のみ。Bプログラムでは『前進せよ、今がその時だ』との二つで、どちらのプログラムにもトリに持って来ている。よって、最後まで気を抜かないよーにっ!
UPLINK Xにて鑑賞。
2009/06/06 | 映画, :アニメ・CG等, :カルト・アバンギャルド
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コメント(10件)
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ウホッ!また誰も観なさそうな渋いとこついてきましたネー(笑)
アバンギャル男の私がちょと寄らせて頂きますヨ
ロシア・アバンギャルドと聞いたらば…
やはりポスター群が好きでねぇ
近代フィルムセンターでやってたこんなの行ってみたり
http://www.momat.go.jp/FC/FUKURO/index.html
プラカートの新着気にしてみたり
http://www.plakat.jp/
もち、t.A.T.uを聴きながらネ!
なんかこう…
間違った方向に洗練されてる感じにグッとくるのです!
この系統のアニメーションは余り観たことなかったんですがタラソフのは気が狂っててよかったですねー
わたくしもコレ断トツだと思いましたわ
ま、啓蒙はされないんですけどね(笑)
今回もオススメひとつプロパガンダ繋がりで
『金日成のパレード』
マンセーな傑作です(笑)
みさまそうなんです、「ソッチの方向へ突き進むとまた違ったものが見えている」世界を、垣間見たいんですよね。「そこにもドアが!」
こんばんは〜♪誰も来なそうなところへ、コメントありがとうございます〜♪ひゃははっ、嬉しいです!
「アバンギャル男」って(笑)
“ギャル男(お)”の使い方間違ってねーか、って辺りがさすがにみさん、上手いゾと!
フィルムセンターでやってたロシアのプロパガンダポスター展、これもなかなかに面白そうでしたね〜♪
私はこないだ友人と、「Bunkamuraでやってた『青春のロシア・アバンギャルド展』、行けば良かったよネー!」なんて話してて、今年『忘れえぬロシア』には行こうかな、なんて思っているところなんですが、みさんの素敵チョイスには勝てそーにないッス・・・。
そしてプラカートは、ポストカードやポスターが買えちゃうサイトー!なんとなんと。面白そうですね!
t.A.T.u懐かしー!一瞬で消えて行きましたが、当時は一世を風靡していましたね。ロシアの癖に商業主義の消費音楽産業にドカドカ土足で踏み込んでくるところが何とも頼もしかったのですが。私の周りでも、彼女ら大人気だったんですよ。
>間違った方向に洗練されてる感じにグッとくるのです!
分かる分かる
タラソフは文句ナシでしょうね!これはホンマモンでしたね。Bプロの方も見に行きたいんだけれど、タラソフだけでいいなー。
>『金日成のパレード』
へえ、これポーランド映画なんですね!’89年ですか。なかなか面白そう。レンタル扱いはしていないですし、DVDも売ってないんですね。でも見たいなー。この時代に金日成に目をつけたドキュメンタリーがあった、ていうだけでも価値ある代物ですよね!
みさんはどこで見たんだろー。回答、次回でもいいので。
こんばんは♪
KY(濃すぎて澱ます)な話をしに再び
>『金日成のパレード』どこで?
今は無き中野武蔵野ホールにて…
全国3000人(推定)のマスゲームマニアには『アリラン祭2002』と並んでマストアイテムな傑作なのですが、さすがにレンタルにはありませんでしたか
観れないもん薦められても、ですよね…すんません
そこで今日はお手軽に観れるヤツをば!
映画マニアの彼岸もしくは最果ての地
「教育啓蒙映画」群…
その名もポリスチャンネルビデオライブラリー!
http://www.police-ch.jp/video/
ゆうこりん主演の『なくせ!ストーカー』
冒頭から飛ばしまくる『Trap 罠』あたりがオススメですかね〜
DD/TA(飲酒運転/交通事故)ものに傑作が多いのですがここにあるのはイマイチですね
まぁ誰も来ないとこだろ〜と大暴れ(笑)
みさま
こんばんは〜♪コメントありがとうございました。
>KY(濃すぎて澱ます)
わ、この標語久しぶり!そう言えばSEIYUの標語も「KY」(=カカク、ヤスク)なんですよね。これ、どうなんでしょう?(どうでもいい情報)
>『金日成のパレード』
レンタルにもなくて、goo映画や他の映画サイトにもDVD情報がなかったんですが、アマゾンにはあるんですねえ!
いやー、私の探し方が足りなかったみたいで。失礼しました。と言っても買う予定はないんですが
>ポリスチャンネルビデオライブラリー
また変なこと知ってますねー。確かに「日本政府(警察関連)が作った啓蒙ビデオ、と言ったらここら辺になると!なるほど、なるほどー。
振り込め詐欺なんか結構気合入ってるみたいですね。
『振り込め詐欺撲滅!!騙されないための合言葉 「いかそうめん」』『振り込め数え唄』この辺りちょっと気になります。銀行辺りで流しているやつもこの辺ありそうですよね。
『きいつけや〜 あんたのことやで そのバッグ』
この辺りは、引ったくり犯罪なんですが、関西弁のノリがなんか微笑を誘いますね。大阪のTVで流れてるCMも、関東のCMと違ってますが、そのノリな感じで。
ゆうこりんが主演しているビデオなんてのもあるんですね。
>DD/TA(飲酒運転/交通事故)ものに傑作が多いのですが
これ、教習所でゴールド免許じゃない人が受ける講習みたいな感じでしょうか?
あれ本当怖いですよね。結構洗脳上手なのって確かにあそこら辺ですよねえええ。
あれ出来れば受けたくないですモン。
「ロシア革命アニメーション1924-1979」 Aプログラム
プロパガンダアニメなんてやっぱり眠ってしまいそうだし、と鑑賞躊躇していましたが予告編でチラッと登場するあるアニメ画像を見て、これは絶対見ておかなくっちゃって気になりました。そのアニメはシンガリに控えるタラソフ
映画みるようになって、それまであまり良い印象のなかったロシア(ソ連)ですが、見方が変わってきました。
それにしてもタラソフ・・・
これはちょっと興奮してしまいましたね。Bプログラムの「前進せよ!」はもっと前衛的とのことで楽しみ。
imaponさんへ
こんばんは〜♪コメントありがとうございました。
あ、imaponさんもこれをご覧になられたのですね!
ロシアものの中でも特殊な価値の一品でしたよね〜。
Bプログラムもご覧になられる予定なのですね!私もタラソフだけ見たいんですよね〜。タラソフだけやってくれないかな、なんて思いました。
『ロシア革命アニメーション』
ロシア革命アニメーション─1924〜1979─ロシア・アヴァンギャルドからプロパガンダへ@渋谷UPLINK X
アニメは洗脳する!!
『チェブラーシカ』や『雪の女王』あるいはノルシュテインの切り絵アニメをロシア・アニメーションの表の顔だとするならば、こちらはわれわれにはこ…
こんにちはお久しぶりです
お元気そうですね。TB失礼します。
私もタラソフの2本にびっくりしまして、DVDがあったら欲しいくらいです。
冬のマーケットさんへ
こんにちは〜♪コメントありがとうございました。
返事が遅れまして申し訳ありません!
本当にお久しぶりです!二年ぶりぐらいでしょうか?
タラソフの二本、ご覧になったのですね!ということは、AプロもBプロもご覧になられたようで!?
私もDVDがあったら欲しいです!もっと見たいですね。