父親たちの星条旗 ▲82
’06年、アメリカ
原題:Flags of Our Fathers
監督:クリント・イーストウッド
脚本:ウィリアム・ブロイレス・Jr、ポール・ハギス
製作:スティーブン・スピルバーグ、ロバート・ローレンツ、クリント・イーストウッド
原作:ジェームズ・ブラッドリー、ロン・パワーズ『硫黄島の星条旗』
撮影:トム・スターン
音楽:クリント・イーストウッド
美術:ヘンリー・バムステッド
ライアン・フィリップ (その後)ジョージ・グリザード
ジョン・“ドク”・ブラッドリー
ジェシー・ブラッドフォード レイニー・ギャグノン
アダム・ビーチ アイラ・ヘイズ
トーマス・マッカーシー ジェイムズ・ブラッドリー
バリー・ペッパー マイク・ストランク
ジェイミー・ベル ラルフ・“イギー”・イグナトースキー
ジョセフ・クロス フランクリン・スースリー
ベンジャミン・ウォーカー ハーロン・ブロック
ジョン・スラッテリー バド・ガーバー(財務省PR担当官)
ニール・マクドノー (その後)ハーヴ・プレスネル
デイヴ・セヴェイランス大尉
ジョン・ベンジャミン・ヒッキー (その後)レン・カリオー
キース・ビーチ(海軍PR担当官)
スターク・サンズ (その後)ジョージ・ハーン
ウォルター・ガスト
ポール・ウォーカー ハンク・ハンセン
めちゃめちゃ、ハマりました。一分の隙のない映画。
第二次世界大戦、日米の視点を、アメリカ側と日本側から見る硫黄島二部作。そして、こちらはアメリカ側からの目線のもの。
ネタバレで語ります。
以
下
、
ネ
タ
バ
レ
この原作を書いた人物でもある、ドクの息子ジェイムズ・ブラッドリーが、インタビューをする、という部分と、硫黄島の国旗掲揚の英雄となったジェイムズの父親である、ジョン“ドク”ブラッドリー、通称“ドク”の目線を追う、バック・トゥ・バック形式で進む物語。
初めに見た時は、あのハリボテの山を登りながらドクが思い出す、他の3人の死の真相。これらがここで、観客に初めて分かるように描かれていたことに、特に感じ入った。そして、国旗掲揚の真相がいかに皮肉なものであっただろうと言うことにも。
普段、映画はいつも一度しか見ない私なのに、続けて3度も見てしまった。一度見て、「ナレーションは誰だったんだろう?」ということになった。最後の方でナレーションしているのは息子のジェイムズだけれど、最初のナレーションはドクじゃない、あれは誰だったんだろう、と私が言ったのと、更にはイギーの死んだ場所とタイミングを、正確を期して確認したくなったため。
IMdbと睨めっこしながら、ケンケンガクガク、あーでもない、こーでもないと言いながら二度目、見た。すると、(ジェイムズがインタビューする形で)ナレーションが挟まれているのは、硫黄島の当時海軍として居た誰かであり、海軍PR担当官であるキース・ビーチ、さらにドクが負傷して救護所に運び込まれる時にそこに居た人物、ということになった。だけどそれだと、人物像が一致しないのね。名前が出て来ないので、余計に誰だか分からなくなった。さんざん話したのに、まだ諦めがつかなくて、もう一度だけ一人で、確認してみようかと・・・すると、『父親たち〜』は4回、『硫黄島〜』は5回見た、原作も読んだという方のサイトを見つけた。
特にココのページでは、ナレーションが誰かということに絞って、書いてあるページを見つけ、助かった〜!
1人目のインタビュー相手は、デイヴ・セヴェイランス大尉(マイクの上官。古参のマイクを熟考の上、戦地から別の場所に送ろうとした人物。マイクはそれを撥ね退け、「全員を生きて戻る」と、前線に残ることを希望する。インタビュー中では、「戦争は善と悪、ヒーローと悪者と割り切れる物ではない」「もっと想像を絶することが行われている」と言う台詞が印象的。)
2人目は海軍PR担当官、キース・ビーチ(作品中では、財務省担当官バド・ガーバーより、彼ら3人を思いやる態度を見せる。アイラが戦地に戻ることを決めた時に、「自分が」と言って告げに行くシーンが印象的。6,7年後に、セールスの仕事をしている時に、道でアイラを見かける。)
3人目はウォルター・ガスト。(ドクが負傷した後、30分かけてドクを探し出す。救護所に運び込まれる時に、担架の横に居た人物。ドクと同じ衛生官である気持ちを語る部分が印象的。インタビューの時は、眼鏡をかけている人物。ただし、この人の部分はほとんど脚色されているとか。)
4人目は息子であるジェイムズの語り。
つまり上記3人までは、ジェイムズにとって、“父親たちの話”に当たると言える。
3度見ても、いかに脚本が素晴らしいかを痛感してしまう。
そして毎回、フランクリンの「自慰許可証」のところは笑ってしまった。
アイラの抱える葛藤の重さ。アイラの文句のつけようのない数々の印象的な演技。
アイラとレイニーとの間に流れる空気の冷たさと、彼らの違い。
「制服でカッコいいから海軍を選んだ」というレイニーが、マイクに「イイ奴だけど、戦地向きじゃない」と、メッセンジャーにされること。政治家の見栄のためにと二度目の国旗掲揚があり、そこでメッセンジャーとして行き旗を揚げる
2009/06/04 | 映画, :とらねこ’s favorite, :戦争
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コメント(12件)
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父親たちの星条旗
『アメリカから見た硫黄島 戦争を終わらせた一枚の写真。その真実。』
コチラの「父親たちの星条旗」は、硫黄島の戦いをアメリカ側の視点で描いたクリント・イーストウッド監督作品なんですが、10/28公開になったので、観てきちゃいましたぁ〜♪
確か教科書にも載…
「父親たちの星条旗」クリント・イーストウッド
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2006アメリカ
監督:クリント・イーストウッド
製作:スティーヴン・スピルバーグ、クリント・イーストウッド、ロバート・ロレンツ
原作:ジェームズ・ブラッドリー、ロン・パワーズ
出演:ラ…
ナレーションの主体にこだわることは必要ですよね。ワタシは考えもしないで見過ごしてしまいました。マズいマズい。
アイラはネイティヴアメリカンの彼でしたっけ?彼の背負ったものは心痛みますね。最も印象深いことの一つです。
とはいえ、もうすでに内容をはっきり覚えてないので^^;また観てみたいです。
映画『父親たちの星条旗』(お薦め度★★)
監督、クリント=イーストウッド。脚本、ウィリアム=ブロイレス=JR.、ポール=ハ
manimaniさんへ
こんばんは〜♪コメントありがとうございました。
いやー、みんな今頃!?、なんて呆れられるだろうなあ、なんて思ったんですが、反応してくださりありがとうございます♪
そうなんです、これって、ドクの息子であるジェイムズがインタビューをする相手が居て、そのインタビューがナレーションの形を取っているんですよね。しかし映像としては、ドクの視線で進行する物語にカブさっているという。
ところが、このナレーションに関して、当時見た人の感想を何人か読んだのですが、間違っているか、気にしてない人が多かったみたいです。
アイラ・ヘイズはネイティブの血を持つ彼ですよ。彼が居ることによって物語の深みの増し方が全然違うんですよね。いやー、この俳優さんの演技も完璧で素晴らしかったです!
私は時々急に粘着質になってしまうのですが、良かったらmanimaniさんも是非!
もう一度見て、いろいろ語りましょうよー
待ってます〜♪
「父親たちの星条旗」
TOHOシネマズの注意案内ががらっと変わりました。今月からでしょうか。海賊版撲滅キャンペーンは相変わらずでしたが・・・。さて、いまやすっかり巨匠のクリント・イーストウッド最新作は、日米双方からの視点で描いた硫黄島2部作。まず公開されたのは、激戦の地に星条旗を…
戦争はまず情報戦からとよく言われますが、本当にあの写真一枚で人生を大きく揺さぶられた兵士たちの苦悩が悲しかったですよね。
戦争に勝者はいないという言葉を改めて実感した映画でした。
にゃむばななさんへ
こんばんは〜♪コメントありがとうございました。
特に苦悩を感じていたのはアイラ・ヘイズでしたよね。
レイニーはそうした周りの状況を素直に喜ばしく受け入れていこうとしているところがありましたし、そのアイラとレイニーの意識の違いもも興味深かったです。
戦争に勝者はいない、本当にそうですね。
素晴らしい映画でした!
父親たちの星条旗
摺鉢山に星条旗を掲げる米兵の写真。私は銃弾飛び交う中、必死になって掲げた様子を写したものだと思っていましたが、真実は全く違っていたんですね。
硫黄島での戦いに参戦した衛生兵ら3人があの写真で英雄として祭り上げられてしまい、そのことに対して葛藤する反戦映….
父親たちの星条旗
父親たちの星条旗’06:米
◆製作総指揮:ポール・ハギス◆監督・製作:スティーブン・スピルバーグ/クリント・イーストウッド「ミリオンダラー・ベイビー」「ミスティック・リバー」◆出演:ライアン・フィリップ 、ジェシー・ブラッドフォード 、アダム・ビーチ 、ジェイ…
【映画】父親たちの星条旗…俄かイーストウッドファンなピロEK(その1)
「ハッピーフライト」の記事で予告したとおり、本日もう一個の投稿です{/face_yaho/}
今日の午前中の行動です。
モンスターハンターのイベントがあると聞き付け、友人宅に宿泊した息子を回収後、西日本総合展示場まで行ってみました{/cars_red/}{/dododo/}
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父親たちの星条旗/FLAGS OF OUR FATHERS(映画/DVD)
[父親たちの星条旗] ブログ村キーワード父親たちの星条旗(原題:FLAGS OF OUR FATHERS)キャッチコピー:戦争を終わらせた一枚の写真。その真実。製作国:アメリカ製作年:2006年配給:ワーナ…