革命戦士ゲバラ! ▲70
’69年、アメリカ映画
原題:“CHE!”
製作:サイ・バートレット
監督:リチャード・フライシャー
脚本:サイ・バートレット、マイケル・ウィルソン
撮影:チャールズ・F・ウィーラー
音楽:ラロ・シフリン
オマー・シャリフ チェ・ゲバラ
ジャック・パランス フィデル・カストロ
’69年のアメリカ映画、娯楽映画のリチャード・フライシャー(『海底二万マイル』)は、時代的に、チェ・ゲバラを否定的に描かざるを得なかった。
この一言に尽きる。
折りしもベトナム戦争の最中。
まるでカストロを操って、キューバ危機を起こさせたのがゲバラ、と描いているけれど・・・
アイゼンハワーの行ったキューバへの経済封鎖と、ケネディがキューバ侵攻を許したことは描かれず、
CIAとナチスがボリビア政府に加担したことや、ゲバラに賛同したがために鉱山で行われたボリビア鉱夫の大虐殺も少しも描かれていない。
脚色をしている、とは言いません。でも、語る事実を“ピックアップ”している。
ただ、高慢で理想を追い求めた、そのためボリビア失敗、とこういった具合。
でも、今の時代だからこそ、発展が遅れたがためにボリビアが今どういう現状になっているのか、そうした考察が後から出来るのかもしれない。
ソダーバーグの『チェ』二部作が淡々としているので、こちらの方が分かりやすい、と思う人も、ことによるといるかもしれない。ドラマチックで、言いたいことが分かりやすいので。
児童用の伝記作品(“ヘレン・ケラー”とか”湯川秀樹”とか読みましたね)みたいに、すんなり頭に入ることは確か。
七年かけて調べたソダーバーグと、あっという間に撮影されたという今作とを比べるのは、公平とは言えないのかもしれないけれど。
この作品はちなみに当時すごく評判が悪かったらしい。
オマー・シャリフがカッコイイというだけが取り得ですね。
2009/05/10 | 映画, :ドキュメンタリー・実在人物
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コメント(3件)
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おはようございます
原題がいかしてますね
『CHE!』ただ一音(笑) ソダーバーグの二部作も、このタイトルにあやかったのかしら
記事読むとややアンフェアなところもあるようだけど、『人食い大統領アミン』よりはまだまともそうな伝記映画みたいですね
先日スペイン・ロドリゲスという人が描いた『グラフィック・バイオグラフィ チェ・ゲバラ』(原書房)という本を読みましたが、マンガだったんでとにかくわかりやすかったです
SGA屋伍一さんへ
こんばんは〜♪コメントありがとうございました。
原題が『CHE』だけってなかなかいいですよね!
『人食い大統領アミン』は結局まだ見てないんですが、こちらも見なくっちゃーなんて思いますね。SGA
さんはごらんになったのでしょうか
ゲバラの漫画本なんてあるんですね。SGAさんは漫画をよくご存知ですね。私は漫画で簡略化されてるのって苦手なんですよねー
ちなみに池田理代子の書いた『漫画 ギリシア神話』も1冊で耐えられなくなりましたー。
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