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インクレディブル・ハルク オリジナルアニメ &映画 ▲58

ハルクオリジナル『インクレディブル・ハルク』
’96-’97年にアメリカで放映された、オリジナルアニメ。『Return of the Beast Part1』他4作品

監督: リッチ・トゥルーブラッド、レオ・サリヴァン、ダン・トンプソン、エルネスト・ロペス
原作・脚本・撮影・音楽 スタン・リー

ストーリー・・・
科学者のブルース・バナーは、新型爆弾の実験現場で、通りがかった青年を助け、代わりに大量のガンマ線を浴びてしまう。致死量以上のガンマ線を浴びたがブルースは生還。しかし怒りを感じると、巨大化し凶暴になってしまう緑色の巨人、“ハルク”に変身する体質になってしまった・・・

・・・じ、実は、間違って借りてしまいました。パッケージで気付けよ、っていう(苦笑)
「もうこうなったら、’08年の映画とオリジナルで較べるつもりで見よう」、と覚悟を決めて見た。しかし正直、オリジナルはあまり面白くない作品だったかな・・・。

※注・・・原作コミックとアニメは内容が少し違っているかと思われます。

ハルクは変身してしまうと、元々ブルースが持っていたはずの知性も、記憶も全て失ってしまう。二面性を持つハルク。ここが本来は彼の悲劇なのだけれど、言葉も喋ることが出来ず、ただ凶暴なばかりになってしまう、強すぎるハルクに、あまり思い入れを感じることが出来ない。軍がどんな攻撃を仕掛けようと、結構平気で、いつもピンピンしているので、心配する余地がない、とも言えるし。
「ハルク・・・ベティー・・・」と、科学者のベティ・ロス(美人)、彼女のことだけは認識しているようで、彼女だけはいつも守る。
しかし、そのベティも、ロス将軍の娘。ロス将軍が先頭に立ち、ハルクを捉えようとするそこに、毎回ベティも加わっているので、何故ベティはもっとハルクを庇ってくれないのだろう、と不満も残ってしまうのだった。

さらにハルクは、助けに来たはずの友人のリック(ハルクに助けられた青年)も、時々認識できず、攻撃してしまったりする。認識すると、「ハルク・・・友達・・・」とハッと我に帰り、怒りも収まって、変身も元に戻ったりする。すぐに怒っては変身し、またすぐ元に戻るので、彼の哀しみやドラマ性も薄くなってしまうのだ。

3話の途中で「アイアンマン」というキーワードが飛び出し、終わりには「トニー・スターク」が登場!そこでガバっと真剣になった。「やったー、これ見て良かった!」ぐらいに喜ぶ。
トニー・スタークは、おヒゲで黒髪ロンゲのオジサマだった。なんだ、『アイアンマン』で「中年のヒーロー」なんて時に呼ばれたりして、ちょっぴり傷ついていた私だったけれど、元々オジサマなんじゃん!と納得。
(でも、アニメよりもず〜っと素敵なロバート・ダウニーJr!)
アイアンマンの助けにより、ピンチを乗り切ったハルク。このアニメはここで終わっていた。いかにも続きが気になる終わり方だ。

インクレディブル・ハルクさて、もう一つ、ついでにUP。

『インクレディブル・ハルク』
’08年、アメリカ

原題: The Incredible Hulk
監督: ルイ・レテリエ
脚本: ザック・ペン
製作総指揮: スタン・リー、デビッド・メイゼル、ジム・バン・ウィック
製作: アビ・アラド、ゲイル・アン・ハード、ケビン・フェイグ、エドワード・ノートン(ノークレジット)
撮影: ピーター・メンシーズ・Jr.
音楽: クレイグ・アームストロング
美術:カーク・M・ペトルッチェリ

出演:
エドワード・ノートン  ハルク、ブルース・バナー
リブ・タイラー  ベティ・ロス
ティム・ロス  エミル・ブロンスキー(アボミネーション)
ウィリアム・ハート  ロス将軍
タイ・バーレル  レナード(精神分析医)
ティム・ブレイク・ネルソン  サミュエル・スターン教授
ロバート・ダウニー・Jr.  トニー・スターク

なんと、オリジナル・アニメと較べてみれば、この『インクレディブル・ハルク』映画作品は、見た人がドラマ性を感じることが出来るように、苦心して仕上げられた作品なのか、それがよく分かった。

たとえば、ブルース・バナーが、変身していない時に、怒りをコントロールするやり方を身につけようとしていること。元は科学者であるブルースが、自身、何とかして元に戻ることが出来る方法を、見つけようとしていること。それから、攻撃された時の印象を、元の人間ブルースの姿になっても、PTSDのように(まるで『ランボー』のように)覚えていて、苦しみながら生きていること・・・。

ベティも、アニメでは最初から、ブルースが変身した姿を知っていたし、更にブルースを捕まえるロス将軍の下で一緒に働いているけれど、映画の設定では、将軍の娘であり、かつてブルースと恋仲であった、ということが感じられるが、前線で活躍する科学者とはちょっと違っている。さらに、ブルースの変身した姿を知らなかった、という前提になっている。だからこそ、初めて気付くベティの姿が印象的だ。
一番大きな違いは、ハルクの力を羨望し、自分もその圧倒的パワーを身につけようとする、エミル・ブロンスキー(アボミネーション)の存在。これもアニメには出て来ないもので、ハッキリした敵の居なかったハルクにとって、戦うべき人類共通の敵の存在を設定したことにより、彼に寄り添って見れることが出来る、そんな作りになっている。

ただ、パンツは巨大化してもいつも破れることはなく、ちゃんとゴムのパンツを選んで買っているシーンがある。細かいところに気を使っている!(やっぱ、パンツ破れたくないんだ!)

ニューヨークに辿り着いて、危険性を回避するために(「ニューヨークの人間が世界で一番攻撃的な人種だ」)、地下鉄でなくタクシーに乗るのだけれど、タクシーの運転が非常に荒っぽくて、女性蔑視発言も多い。ハルクはキレないのに、ベティがキレちゃうところが笑えるw。
「怒りをコントロールするいい方法が・・・」とおずおずと言うブルースに、「黙って」と答えるリズ。さすがアメリカ女性、気が強い(笑)

私は、’03年の『ハルク』(アン・リー監督)がどうにも好きになれなくて、一番アメコミの中で、好きになれないのがこのハルクだった。
今作では、エドワード・ノートンがノークレジットで製作に携わり、頑張って作ったとは言え、依然として『インクレディブル・ハルク』は、アメコミ原作モノの中で、一番下の方になってしまうのでした・・・。ごめん。
ただ、’03年の『ハルク』の方が良かった点が一つだけあって、それはエリック・バナ。彼の風貌なら、変身前のブルースと変身後のハルクの姿が、顔立ちとしては似ている。
それに較べれば、エドワード・ノートンは、(私は大好きだけど)顔が細面で、ゴツイ顔した変身後のハルクにちっとも似ていないのよね・・・。ま、余談でした。

この後、最大のネタバレ::::::::::::::::::::::::::::

ブルースのその後や、トニー・スタークが出て来るなど、いかにも続きそうな終わり方。しかし、ハルクの血を浴びたサミュエル・スターンズ教授のその後は描かれてはおらず、あの大量のハルクの血もどうなったのか、全く描かれないまま。もしかして、この後『アイアンマン』の続編にハルクも登場しちゃうかもしれない!?

 

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コメント(11件)

  1. インクレディブル・ハルク

     『その「力」、ためらうな。』
     コチラの「インクレディブル・ハルク」は、2003年にも「ハルク」として映画化されたMARVELの「超人ハルク」をエドワード・ノートン主演でより娯楽性を高く実写再映画化した8/1公開のアメコミ映画です。
     公開初日は映画の日!もちろん…

  2. 【映画】インクレディブル・ハルク…この緑色も割と燃える↑

    夜勤週のピロEKです。
    今日{/kaeru_fine/}は天気が宜しいですなぁ{/kaeru_fine/}…仕事行きたくないなぁ{/face_hekomu/}
    この4月からはアニメがなにやら豊作みたいですね。
    先日の日曜日から始まった「鋼の錬金術師 FULLMETAL ALCHEMIST」{/hakushu/}{/up/}とか、こちら…

  3. 新宿駅に小田急ハルクってありますよね。ハルクのテーマパークなのかと期待していったら、影も形も見当たらず、とてもガッカリしました
    で、このアニメ版はわたしも見たことないなあ(実はアン・リー版も・・・) 負けたぜ・・・ アメコミファンとして・・・
    アニメではハル君と鉄ちゃん仲いいのね。漫画ではあんまし仲よくなくて、ハルクがトニーに瀕死の重傷を負わせてしまい、それがアイアンマン誕生のきっかけになる・・・なんてヴァージョンもありました
    新作映画のほうは、古の東宝特撮のようなノリが楽しい作品でした。考えようによっちゃ相当おバカな話なんだけど、それにはあえて気づかないフリをして、「そうだ! 悪いのは人間と戦争だ!」と拳をたたきつけて見るのが正しい見方ですね
    ちなみにハルク・ホーガンってこのハルクから名前を取ったという話。とらねこさんはミッキー・ロークの『レスラー』って見る?

  4. ハルクは激怒した ルイ・レテリエ 『インクレディブル・ハルク』

    それは、いつ生まれたのか誰も知らない・・・ 暗い、音の無い世界で、一つの細胞が分

  5. SGA屋伍一さんへ
    こんばんは〜♪コメントありがとうございました!
    ふふふ、小田急ハルクのネーミング、それも確かにハルクですねえ!私すっかり忘れてました!働いていたこともあったのにー。
    どこの売り場かは聞かないでくださーい。ゴムのショートパンツ売り場じゃありませんw
    ’03年の『ハルク』といい、『インクレディブル・ハルク』といい、どうもあんまり評判は良くないんですってね。ハルクって題材が難しいんでしょうか?
    公開後叩かれたものとして、以下のアメコミ作品が挙げられる、と聞きました。『ハルク』、『ゴーストライダー』、『スポーン』、『バットマン&ロビン』、『エレクトラ』、『パニッシャー』、『スパイダーマン3』だ、と。
    それを聞いたら逆に見たくなってしまいまして。だってこのうち、私は『ゴーストライダー』も『バットマン&ロビン』も『スポーン』も面白く見れてしまったんですよね。まだ見てないものを片っ端から見てみようかな。
    >アニメではハル君と鉄ちゃん仲いいのね〜(中略)〜なんてヴァージョンも
    ああ、ごめんなさい。このオリジナルアニメは、『ハルク』の続編バージョンなんだと思いますよ。だって、英語の副題も『the Return of the Beast』ですからね。
    アイアンマンは、出てきましたが、あのアイアンスーツはバージョンとしては新しいものだったようです。鉄男も、ハル君とは以前に戦ったことがあったのかも。
    ごめんなさい、そういう丁寧な説明をちっとも記事の中でしていなかった!
    タイトルも違うし、エピソードの原題を書けば『ハルク』とは違うものと分かるかなーなんて思ってしまったのでした。
    つまり、おっしゃるようなSGAさんの話は、ハルクの方で出てくるのではないでしょうか。

  6. SGAさんへ
    (つづき)
    コメント欄の文字数が足りなくなってしまった!
    でも、SGAさんのおっしゃるのはアヴェンジャーズのその後の物語なのかな?
    じゃあ、もしかしたら私のちょうど見てない、この後の話なのかなあ・・。
    私が見た最終話では、ハルクが瀕死になって、アイアンマンが居なかったらハルクは絶体絶命だったんですよ。それなのに助けに来たアイアンマンをハルクがぶっ飛ばしてしまうんです。それというのもアイアンマンを敵と勘違いしてなんです(ハルクは知能が低くなってしまうから、敵と味方の区別ができないんですよね)
    ハルク・ホーガンの名前の由来になった、っていうのはWikiに書いてあったのを読みました。
    ハルクが“廃船”という意味だった、というのはこの映画に出て来てましたね。遠くから見て、人間の目には巨大な廃船に見えたとか。
    『レスラー』はダーレン・アレノフスキーなんですよね〜。私この人、実はすっごく新作が見たいと思ってる人なんですー。ぐふ

  7. ども。しつこいようですが説明の補足そのほかをば・・・
    新作の『ハルク』は一般層はともかく、マニア筋には受けはいいみたいですよ。ほら、某大槻氏なんて年間1位に選んでたし(笑)
    わたしが知る限り数あるアメコミ映画でもワーストの名をほしいままにしているのは『スーパーマン4』と『キャットウーマン』ですね。怖くてどちらもまだ見てません
    『バットマン&ロビン』はわたしも好きですよ。「人間ってこんなに簡単に解凍できるんだ!」みたいな豪快さが(笑)
    評判悪いけど個人的に好きなものというと、『デアでビル』『スパイダーマン3』かなあ
    アニメ版の位置づけ、理解いたしました。最近流行ってるみたいですね。映画の補完エピソードをアニメでやるというのが
    で、やっぱしケンカしてんじゃん(笑) でもこの場合はトニーは悪くないですね。ハルクが異常にケンカっぱやいだけで

  8. で、アニメ+映画はもう原作とは完全に別世界の話だと思います
    わたしの言った別バージョンとは、90年代に展開された『ヒーローズ・リボーン』というプロジェクト
    30年前から続いてる話を、主人公たちを平行世界に転生させることで今風に新しくしちゃおう!という企画だったんですね。そちらではアイアンマン誕生のエピソードはそんな風になってたんです
    さらにマーヴルでは(DCもか)別バージョンやら別次元の話やらが腐るほどあるので、いいかげんげっそりします・・・
    『アヴェンジャーズ』も『アイアンマン』と同時進行で30年前から続いてるタイトルです。これについては前に書いた記事をTBしときますんで、気が向いたら目を通されてみてください
    そういえばミッキー・ローク、『アイアンマン2』にも出演するらしいですね。よし! これで話がつながった!

  9. 集まれスーパーヒーロー マーヴルコミックス 『アヴェンジャーズ』

    今回はいきなり映画『インクレディブル・ハルク』と『アイアンマン』のエンドロール後

  10. SGA屋伍一さんへ
    >新作の『ハルク』は一般層はともかく
    『インクレディブル・ハルク』、日本ではそんなに人気がないけど、本国では評判、それほど悪いってわけじゃないらしいですよね〜。
    ああ、私も『キャットウーマン』はダメでしたね〜。
    ハル・ベリーがあの格好をするっていうのが見たくて見たんですが、それだけだったかな・・でも確か、脱ぎっぷりは良かった気がします。あんな作品でも。ま、彼女のことだから、いつものことですけどね(笑)
    『スーパーマン4』は見ないかな。自分は少し暗めのヒーローの方が好きなんで。
    『デアデビル』は私も面白かったですよ。
    コリン・ファレル結構好きなんですよね。当時、大当たりすると必ず「ブルズアイ!」とか言ってましたもん>私
    ええ、普通に戦ってましたよ。ハルク>アイアンマンと
    >ヒーローズリボーン
    本当だ、リボーンていうだけあって、本当に誕生から、ストーリーを変えてしまってあるんですね。
    平行世界か〜。アメコミもいろいろ考えますね。
    ミッキー・ローク、アイアンマン2にも出るんですね。
    ミッキー・ロークの人生も本当、山アリ谷アリですよね。
    アカデミーノミネートされただけあって、今後しばらくキャリアは安定しそうですね。良かった良かった。
    Dr.マンハッタンのマネしちゃった草薙も、今後いつの日にか復活するといいですね。ミッキー・ロークのように。よし!繋がった。

  11. インクレディブル・ハルク / 65点 / THE INCREDIBLE HULK

    他のアメコミもんの完成度が高すぎるんで、イマイチ感がハンパ無いっす!
    『 インクレディブル・ハルク / THE INCREDIBLE HULK 』 2008年 アメリカ 112分
    監督 : ルイ・レテリエ
    脚本 : ザック・ペン
    出演 : エドワード・ノートン、リヴ・タイラ




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