少年メリケンサック ▲40
何もかも宮崎あおいのおかげ!
彼女の生き生きした演技に、全て許されてしまう映画。

メイプル・レコード新人発掘部門のかんな(宮崎あおい)は、会社退職予定のその日、動画サイトに投稿されたパンクバンド、少年メリケンサックに釘付けになる。イケメンベーシストがギンギンに弾きまくり、凶暴なパフォーマンスでファンを熱狂させているのだ。早速、バンドとの契約に乗り込むと、そこにいたのはイケメン青年ではなく、昼間から酔っ払ったオッサン(佐藤浩市)。動画に投稿されていたのは25年前のライブ映像で、メンバーは50代になっていた!・・・
’09年、監督・脚本: 宮藤官九郎
篤姫は一度も見ていないのだけれど、宮崎あおいが生き生きと動き回るなら、見て損はしないだろう、と予告を見て思った。・・・やっぱり思った通り!
そこそこ楽しめて、笑える箇所もあって、・・・とは言え、大好き、と言えるほどではないけど、まぁいいやって。ユルい気分で許したくなる、そんな作品。
折りしも、昨今の大物バンド復活ブーム。
クドカンが、今の音楽業界をどう見てるか、その辺りに共感してしまう部分が多々あったんだ。
たとえば、『さくら』と名のつく曲がいかに売れるか・・・
かんなの癒し系ボーイフレンド、ミュージシャン志望のマサル(勝地涼)が作る曲、「さくら〜さくら〜さくららら〜♪」が、何を暗示しているかなんて、言わずもがなだけど、
きっとクドカンは、こういうヌルい曲、癒し系のPOPソングが本気で嫌いなんだと思う。
さくらと聞いて連想する曲、こちらを見てもらうと分かるけど(→コチラ)・・・
「さくら〜」と名のつく曲の、売れていること、売れていること。
そして、私もこんな癒し系ソングなんて、でーーーっ嫌い!!!
そりゃ、音楽業界も、映画業界も、エンターテイメントに属する世界と来たら、売れてナンボのハナシ。才能ばかりでなく、運が左右する世界では、精神論をいかにブチかまそうと、「しょせん売れてないし・・・」ということになってしまう。
ましてや、売れそうもない、と判断された暁には、デビューする機会すらもらえないという現実。
だから、この今の時代に、大昔の知られざるパンクバンドのYouTubeが偶然他人の手によってUPされ、それを見たかんながカッコイイ!とガツンとやられてしまう、なんていう辺り、
私はすごく気に入ってしまったんだな。
全体的には、ストーリーを追うというより、かんなの反応が楽しくって。
ハチャメチャなメンバーたちにトホホになりながら、オヤジパンクバンドと一緒に、全国ツアーを回る。
「バンドは、つぎはぎの怪獣みたい。それぞれの別の個性があれこれ合わさって出来上がったもの。上手くいっている時はいいが、いつしかそれぞれのエゴが剥き出しになり、方向性を見失った時、怪獣は動けなくなってしまう」
と、こんな感じだったかな。“バンド”についての台詞は、すごくよく分かるものだった。
ここでは、そうしたことは良く分かっているかつてのメンバーたち、「もう二度と会いたくなかったんじゃないか」、という程の中の悪いヤツらが、雁首を合わせてのツアーだったものだから、ハナからほころびだらけのメンバー同士。もう最低の全国ツアー。
こんなものを見せるこの作品なので、それこそ、かんなも、見ている観客も「パンクとは!」と目覚めるわけでは決してない。
「パンクの良さ」も「バンドの素晴らしさ」も表現しようとは、ハナから狙ってすらいない。
だけど、ここには、何度か台詞に出てくる言葉があって、
“パンクとは、初期衝動”という言葉、・・・これだけが心に残る。
コギレイにまとめた今の『さくら』POPシンガーたちや、ナチュラルな格好したメガネバンドたち、それらにないものが、確実にここにあった。
演奏が下手だろうが、メチャクチャだろうが、“本物”ですらなくたって、構わない。
観客と気持ち良く合唱する、という、ヌルい“共存感”ではなく、今にもブッ壊れそうな危険な感じ。パンクが本来持ってたはずの“アブナさ”、簡単に近寄れれなさ。
そこに共感し、ただ、バカだから、つっ走るのだ。
・・・と、クラッシュやRANCIDを聴きながら私は思う。
むしろ、この映画の“カッコ悪さ”に、ヤラれてしまったのだ。
「パンクは若死に」という大前提があって、ここで描かれているのは「生き残ったオヤジたち」なので、全然パンクでもカッコ良くもないんだよね
つまりは「パンクのカッコ良さを描いた作品ではなかったなあ」という。
本当のアナーキズムも描かれてはいなくて、むしろ「カッコ悪いままに生きてく人達」ってのに対する温かい目線とか共感の思い・・・
少なくてもチャラい音楽で売れようとする若者よっかナンボもカッコいいと思うわけです。しょーもねー生き方でも。
とは言え、グループ魂の存在が今まであったり、木更津キャッツアイで見た氣志團がやたらとカッコ良かったからこれを評価する気になれる、という感じでしょうか。
P.S.ところで、小ネタは、TELYAがやけに気に入っちゃった。
ミッチーをイメージし、名前はTERUみたいな、ワケワカランアーティストぶりがラブリー(笑)
アンドロメダオマエダ、何人だ?
アンドロメダオマエダ、宇宙人だ
ところで、私の本気のオススメYouTubeはこれだ
“あふりらんぽ” 大阪出身のガールズバンド
田口トモロヲが役作りで参考にしてたのって、この人じゃない?
the Swankys (みさん、サンキュー!>>comment #7)
シメに町田町蔵。 ・・・MCに注目
2009/03/16 | 映画, :音楽・ミュージカル・ダンス
関連記事
-
-
『沈黙』 日本人の沼的心性とは相容れないロジカルさ
結論から言うと、あまりのめり込める作品ではなかった。 『沈黙』をアメリ...
記事を読む
-
-
『エブリバディ・ウォンツ・サム!! 世界はボクらの手の中に』 アメリカ亜流派のレイドバック主義
80年代の映画を見るなら、私は断然アメリカ映画派だ。 日本の80年代の...
記事を読む
-
-
『湯を沸かすほどの熱い愛』 生の精算と最後に残るもの
一言で言えば、宮沢りえの存在感があってこそ成立する作品かもしれない。こ...
記事を読む
-
-
『ジャクソン・ハイツ』 ワイズマン流“街と人”社会学研究
去年の東京国際映画祭でも評判の高かった、フレデリック・ワイズマンの3時...
記事を読む
-
-
『レッドタートル ある島の物語』 戻ってこないリアリティライン
心の繊細な部分にそっと触れるような、みずみずしさ。 この作品について語...
記事を読む
コメント(14件)
前の記事: ヤッターマンの地味な舞台挨拶に行って来ました!
次の記事: ストーン/クリミアの亡霊 ▲41
宮崎あおいさんの華とパンクの表層 「少年メリケンサック」
「少年メリケンサック」
僕は眼鏡をかけているので、パンクのコンサートとかに行くと、殴りあったり暴れてる人が大勢いたり、ダイビングしたりする人がいるので、かなん。近所迷惑な人たちが多いんです、パンクのギグって、ほんとーに迷惑、こっちはそーゆーつもりじゃない…
これもまた観たい邦画のひとつなんですよ。
あおいちゃん、好きなんです〜。
(篤姫、もうすっかり嵌ってしまいました。大河今まで観たことなかったんですが、あおいちゃんと一緒に泣いて、笑っての50回でした。機会があれば是非〜)
クドカンも好きだし、佐藤浩一も好きだし!
他のブログさんのところでも感想読みながらみたいーー!なんて思ってるところです。
あすかさんへ
こんばんは〜♪コメントありがとうございます!
へえ、あすかさんは『篤姫』毎回見てらしたんですね!日本のNHKドラマも、アメリカで見れるんでしょうか?
NHKとしてはちょっと変わった選択だったのかな、と思ったりするんですが、ハマった人は多いみたいですね。
結構評判になったようだとは思ってたんですが・・
宮崎あおいが好きだったら、この作品すごく彼女が輝いていて良かったですよ!
鑑賞してから1ヶ月経ちましたが、やっぱし「宮崎あおいちゃんの今までのやつの中では一番可愛かった」とゆー感想しか残っていません。
でもユースケサンタマリアが飲み屋の主人遠藤みちろうに「パンクとはなんぞや」とゆー能書きを垂れているのに遠藤みちろうは聞こえていないよーにシカトしているシーンは、なかなか小ジャレタ演出だなと思いました。ヒカゲが花屋さんとゆーのもイイ感じでした。ってゆーかこれを期にヒカゲは俳優さんになるべきだと思いました。
STAR CLUBは現役です
http://www.thestarclub.com/flash/top.html
イースタンユースのビデオ僕も持ってまっせ〜。ランシドは売れっ子なんでチケット取り辛く現物を肉眼で見たことなんです。でも宮崎あおいちゃんのNHK朝の連続テレビ小説「純情キラリ」は毎回欠かさず見て毎回ブログに感想を書いておりました。
ちなみに「さくら」関係の歌を歌ってる奴らには殺意さえ感じます。惨殺されてバラバラに遺棄されてしまえばイイのに・・・と思いますが、今日の緒方直人と薬師丸ひろこと志田未来ちゃんの「さくら」ドラマは観ます。
すいません。毎年四月になると「桜をモチーフにした甘い曲を作って、一発大儲けできないかなあ」と考えてしまいます。作曲なんてできもしないくせに(笑)
音楽業界でいらだったことというと、TK全盛時代あまりにも「永遠という○○」「抱きしめたい」という歌詞が多かったので、「君たちもう少し語彙を増やそう」とよく思いました
かと言って「○○飲ませろ」というのも、何か違う気がしますが
あふりれんぱ、すごいですね。とらねこさんもかつてはこんな風に演奏されてたんでしょうか。ユニット名の意味を調べたら「特に意味はない」と出てきました。ヤラレタ
ついでにオススメのクリップを
たぶんロック
http://www.youtube.com/watch?v=AYgLJ_2mENs
たぶんパンク
http://www.youtube.com/watch?v=FPMSXxtABm4
たぶんひくと思う
ギターでは殴るものではない 宮藤官九郎 『少年メリケンサック』
ぼく パンク・ロックが好きだ 中途半端な 気持ちじゃなくて ああ 優しいから好き
あ、「あふりれんぱ」じゃなくて「あふりらんぽ」でした
失礼m(_ _)m
gsさんへ★
おはようございます〜♪コメントありがとうございます。
そうですね!私も時間が経てば経つほど“宮崎あおいがかわいかった”ぐらいの感想しか残らなそ〜な予感です(;^_^A
宮崎あおい、NHKの昔の朝の連ドラの時からお好きだったんですね。
なんか光るものがある女優さんですよね♪
>遠藤みちろう、ヒカゲ、STAR CLUB
ああ、あの方たちは絶対ソレ系な方々だと思いました!
カタギじゃないよねって、思いながら見てました。
誰か知ってる人いるかなあ、って思ったんですよ〜♪
オーラとかビシバシ出てたし、飲み屋の店員も花屋も美味しくって♪
>ユースケサンタマリアが飲み屋の主人遠藤みちろうに「パンクとはなんぞや」とゆー能書きを垂れているのに遠藤みちろうは聞こえていないよーにシカトしているシーン
本当このシーンも好きでした!
「パンクとはなんぞや」で語られても、聞く方はウザイだけ。この映画もそれだけはやっていないですもんね。
あそうそう、グループ魂はおっしゃる通りパンクじゃないんですが、楽しいからなんか好きだったんですよ(笑)
こんばんは♪
『遠藤ミチロウ全歌詞集』解説より
〜中一で初めてスターリンのレコードを聞いた時、オレ、なんだろう、ボッキした
クドカン良いこと書いてんなぁw
映画観ながら…
「電動コケシ」や「猟奇ハンター」をお家で爆音で聞いてたらママンに「うちの子大丈夫でしょうか?」て投書されたりSWANKYSやGASTUNKのライブでボコボコにされたりした甘酸っぱい青春の思い出が蘇ってきましたヨw
だいぶ湯加減はヌルめにしてましたねー
「NYマラソン」オチはあの程度の歌詞じゃあんなに騒然としないだろーと
多分タイマーズの夜ヒット事件が元ネタじゃなかろか思うんですが…あんときは大爆笑したからなぁ
ばちかぶり時代のトモロヲ氏の狂気はジミー役の約100倍(当社比)!
>あふりとEastern
すっぽんぽんロックとthe 元祖和エモとは!
渋いチョイスですネーw
SGA屋伍一さんへ
こんばんは〜♪コメントありがとうございました!
「桜という名前のつく曲は売れる」なんて、日経エンタ辺りで特集が組まれそうなタイトルですよね〜(実際にもあるのかな?)
本当、これで一発当てたらいいのになーって思いますね。
一発屋で終わって、後は無駄使いをせずに死ぬまで働かずに生きる!理想ですよネー。
>音楽業界でいらだったことというと、TK全盛時代〜語彙を増やそう
そうそう、最早今となっては過去の人になってしまいましたが、当時の勢いは凄かったですよねー
私は歌詞とかあまり重要じゃない方なんですが、メロディが、TKとか、エイベックスお得意のメロディってのがあって、それがつい気になっちゃいました。
(それも売れると言われてるんですけどね・・)
>オススメYouTube
SGA屋さんのことだから、きっとソレ系で来ると思いましたw思ったとーりぃ(爆)
みさま
こんばんは〜♪コメントありがとうございました!
わーい、嬉しいでっす!
>遠藤ミチロウ全歌詞集、クドカンの解説
うおおーっ!素敵な一文♪
本当、いい一言ですね!
へー、みさまはスターリン好きだったんですね!
自分は、ほぼ洋楽しか聞かない時代、というのがあったんですが、その頃ですら、スターリンの名前はやたらと耳にしました。
パンクの好きな人には必ず挙がる名前ですよね!
みさまに言われて今回初めてYouTube見ましたが、いーな!「電動コケシ」のライブ。これ名作ですね!
スリムジーンズの下半身にずっと突っ込まれた手・・・素晴らしー!感嘆。
そっか、BOOWYが化粧してたのも、この人に憧れてたからだったんですね!1st『MORAL』なんてモロ、スネアの絞り方から、ギターのリフまで似せてたんだ!
>SWANKYS
へー、九州出身の伝説的インディーズバンドですか!
てゆーか、この人じゃないですか!トモロヲの役がモデルにしてるの。
腰を思い切り曲げて歌う姿なんて、トモロヲすげっ!ソックリに役作りしてたんだ!
SWANKYSって外国でも有名なんでしょうか?
こんなもん見つけました
http://www.youtube.com/watch?v=t3xrA57WC08
>GASTUNK
へえ、みさまもライブに行ったりしてたんですね!私の友達もハマってたました!ちなみに、この人は本人に会った事あるんですよ。10年前のことですが。その人はGASTUNK好きから始まって、こんな道を辿りました。
→JERONIMO(曲)→映画『ジェロニモ』→小説『ジェロニモ』→映画『ラストオブモヒカン』→自分もモヒカン頭
この人、当時30過ぎてたんですけど、今どんなやさぐれオヤジになっているやら!?
>渋いチョイス
確かに、私は、昔の日本のパンクとかあんま知らないんですよねー。唯一好きだったのはINUぐらいで。
また見てたら、やっぱここに載せなきゃーと。上にUPしました♪
「少年メリケンサック」
やばい、大好きだ。「流星の絆」がおもしろかったんだよね。それに宮崎あおいでしょ。そりゃ観るでしょ。・・・くらいの気持ちだったのだが、ことごとく宮藤官九郎が繰り出す笑いの穴にハマってしまった。最近の自分の感情とシンクロしてるのかなー。キャラ設定に抜けがない….
ども再び
>SWANKYS
ネットで盛り上がって復活てまんまSWANKYSやなーと
博多まではさすがに行けなかったけどまさかの第二章でLOFTでやってくれましてねぇ
♪バカども相手にフルコーラス
で、オヤジPUNKS咽び泣きw
やーあのGIGはサイコーでした
現役バリバリの頃は殺気充満してて怖かったですヨー調子こいて前の方いくとスタンドとかベースでボコられんの!客も血の気の多いヤツばっかりでねぇw
>GASTUNK→略→自分もモヒカン頭
ウハハ!GUSTUNK好きモヒカン説!
わたくしの友達もモヒカンのヤツ皆GT好きだったなー
きっと今頃禿げてると思うけど
ダイエースプレー使い過ぎの後遺症でw
>INU
オススメ動画です
http://www.youtube.com/watch?v=BxQGLXxW1A0
シンクロ率の高さにフイたw
みさま
ぎゃー!自分のブログなのに、コメント数のオーバーで、書いたやつが消えてしまった!さておき・・
>ネットで盛り上がって復活てまんまSWANKYSやなーと
おー!!そうなんですね!この辺りからして、SWANKYSまんまストーリーだったんですね〜!
で、LOFTでライブ!おお、関東圏のファンは喜んだだろうなあ・・。
やっぱ、ホールじゃなくてライブハウスって箱で見ないとですよね!
そんな殺気立ったライブなんて、私経験ないかも。どんな激しいバンドでも、洋楽アーティストの客とは違って、日本の一昔前のパンクバンドとかの方が、客のムードが全体的に出来上がってそうですよね。
そんな危険な時代もあったんですね〜。
自分はPANTERAの初公演で、あろうことかスケスケレースで行ってしまって、胸揉まれたり痴漢に合ったりして、以来懲りて毎回Tシャツでしたけど、モッシュにはいつも積極的に突っ込んで行く人でした。
友達にはダイブして首の骨折ったり、脊椎の骨折ったり、指の爪剥がす人もいましたが、私は一度も救急車で運ばれたことはないですね。
>GASTUNK好きモヒカン説
しかも、“パンクファッションで”モヒカンにするわけではなく、GASTUNK好きは曲『ジェロニモ』から“アメリカ原住民の悲しみ”に敬意を評してモヒカンにするのかしら♪
ちなみに私の友達は、かなりのイケメンな上に、全身タトゥーで、そんなモヒカン野郎はかなり怖かったですよ!
しかも『ペイ・フォワード』を見たらウツが発症してしまって・・・その上モヒカンなんだから、もう怖くてね〜・・・
>INU
ブヒャヒャヒャ!!オススメYouTube、かなりウケました!!
こんな曲でエアロビしたくねー(爆)