13 thirteen ノイズ ▲38
アメリカのTVドラマシリーズ、『マスターズ・オブ・ホラー2』改め、『13 thirteen』。
今回は、静かでありながら、気迫の漂う意欲作。さすが、映画監督が作るドラマは全然迫力が違う。
ブラッド・アンダーソン監督作品。
ストーリー・・・
ソフトウェア開発会社のテクニカル・サポートセンターで働くラリー(クリス・バウアー)。彼の仕事は部下たちの顧客サービスを管理することだ。
実はラリーには、人に言えない秘密があった。6歳になる息子が倒れた時、息子の腹部から奇妙な音を聞いてしまう。息子は悪性の腫瘍で亡くなるが、ラリーの聞いた音は悪性腫瘍が細胞を蝕む音だったのだ。それ以来、彼の聴覚は異常なまでに発達し、あらゆる音が彼の耳を襲い始める。そしてとうとう・・・
監督・脚本: ブラッド・アンダーソン(『マシニスト』、『セッション9』、『ワンダーランド駅で』)
原作: マイク・オドリスコル
見せ方が上手い。単にドラマと言っても、見せ方の違いでこうまで違うものなのか、と。
TVドラマでありながら、ほとんど台詞に頼らず、とことん映像で見せるところが映画的で、とっても気に入ってしまった。
静かだけれど、人嫌いだというのが伝わるラリー。彼の忘れられない息子の死、そのトラウマと葛藤が丁寧に描かれる。
ホラーというか、怪奇現象というべきか、異常なまでに聴覚が発達した彼なのだけれど、それは深い心の傷によるものだということが分かる。
今回のどの物語より、きっとリアルに感じることが出来る、良く出来た秀作だと思う。
見ている方は、決して楽ではないけれど。なぜなら、彼の負った心の傷が、あまりに痛いから。
自分のトラウマの中に囚われでもしたような、そこから抜け出ることが出来なくなってしまった悪夢が、ひしひしと伝わってきた。
そして、言葉や台詞が少ない代わりに、聞こえてくるノイズの五月蝿いこと。
静寂を愛するこの男なのに、人の囁くような声がざわめくような大声に聞こえてくる。こんな描写も見事だなあと。
トラウマの中に囚われてしまった人の心の中にこそ、ホラーの要素があると思っている自分には、
こういう地味な作品に意外にヤラれてしまう。
2009/03/12 | :ホラー・スプラッタ 13 thirteen
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コメント(4件)
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>今回のどの物語より、きっとリアルに感じることが出来る、良く出来た秀作だと思う。
前のシリーズも見たい俳優さんの出演作だけピックアップして見たのですが、この作品も抱き併せのもう一作が見たくて借りたついでに見ました。
だから特に期待もせず、“あまり怖くないと良いなぁ〜”と思いながら(笑)
何しろホラーは見慣れていないので秀作かどうか判断できないのですが、ドキッとさせてショッキングな演出で怖がらせるのではなく、短い作品なのにジワジワと忍び寄ってくる怖さをじっくりと見せられたような印象でした。
哀生龍さんへ
こんばんは〜♪コメントありがとうございました。
おー!哀生龍さんも見てらしたんですね!
そうですね、以前の時もピックアップしてご覧になってましたよね♪
この作品、確かにジワジワ系ですね。怖いというより、自分は悲劇のようにも感じました。
なかなか素晴らしい作品でした!大満足です。
今回の中で、一番自分は気に評価が高い作品だったりします。
哀生龍さんもこれを見てくれたなんて、すごく嬉しいです。
こんにちは。
コメント頂き、ありがとうございました。
この頃、私の方からもTBが送信しにくくなってマス。その内、解消すると信じつつ。。。
>静かでありながら、気迫の漂う意欲作。
確かに、そこがいいところなのかもしれませんね。
通常は、何てことない音が。
もの凄い大音響で聞こえる描写は、興味深かったかもしれません。
私はコレを見た時、このシリーズには視覚をえぐるような映像を期待していたところがあった感じで。
その分、この作品の印象が薄れてしまったのかもしれないです。
と、今更ながら思い出してみました。。。
となひょうさんへ★
おはよーございます〜♪コメントありがとうございました。
TB、調子が悪いのですね。ココログさんでも、普通に反映される人もいるんですよね、あれはなぜでしょう‥
人間の聴覚とは思えぬほど、発達してしまった人に、どのように音が聞こえるか、という描写がかなり素晴らしかったと思います。
オーソドックスなホラーを期待してしまうと、あまりに違うかもしれません。
私が読んだ感想の中には、これがすごく心に残った、という人と、となひょうさんのように地味な作品、と感じた人と2種類いるみたいですよ。