ミーアキャット ▲15
ただもうウットリと画面に見入って時間を忘れた、去年の『アース』、『ディープ・ブルー』と同じ、BBC製作の今年の映画、
これは、何ともかわいらしいミーアキャットが主役の、成長物語だった。
ストーリー・・・
暑く乾燥したアフリカの砂漠地帯に生息するミーアキャットは、暖かい日には後ろ足と尾で立ち、おなかをあたためて日光浴。ある日は、あまりの気持ち良さにコテンと突然寝てしまう…。その姿は、どこかユーモラスで、時として人間を彷彿させる・・・
’08年、イギリス
監督:ジェームズ・ハニーボーン
前述の、大迫力の『ディープ・ブルー』『アース』といった壮大な物語と比べてしまうと、
公開規模もそれより小さい、この小動物を主人公にした物語は、おそらく見劣りがしてしまうのは否めないかも。
でも、動物が出てくる物語が大好きな人だったら、間違いなく楽しめること受け合い。
故ポール・ニューマンのナレーションで語られるこの物語は、『アース』で少々説教臭さの力説ぶりがラスト、ちょっぴり気になってしまった人も、
こちらでは気にせず、すんなりとこの物語を楽しむことが出来そう。
アフリカのカラハリ砂漠、夏には灼熱の40度を越すこの地域、ツワル・カラハリ保護区。ここは、ミーアキャットだけでなく、彼らの天敵であるゴマバラワシを始め、他の動物も棲息する地域だ。
ミーアキャットは、哺乳鋼食肉目、マングース科。学名はスリカータで、和名・英明がミーアキャット。
食すのは昆虫、ヘビ・サソリ、植物の根。
生まれたばかりのコロは、まだ3週間目のオチビちゃんだ。
映画の中で、お兄ちゃんに教えられながら、サソリを初めて食べるシーンなんかは、とっても面白い。
どう見ても、サソリに思いっきり噛まれながら、「ふぎゃぎゃぎゃぎゃ、ふぎゃぎゃぎゃぎゃ」と格闘していた。
マングース科だけに、ヘビやサソリを恐れない。
小さかったコロが、物語終わりには、立派なミーアキャットの雄として、仲間を誘導する立場の青年に成長している姿は、思わず誇らしい気持ちにさえなってくるだろう。
派手派手しい技術の最先端さよりも、随所随所で、「これ一体どうやって撮っているんだろう」なんて思うことの多さに驚くだろう。
自然動物なのだから、的確にタイミングを捉えるしか道はないと思うのに、
ストーリーに、カメラが、物語がピッタリ合っているのだ。
そして、「これ明らかに人間が引き起こしているだろう」というのが少々感じられ、恣意的に感じてしまった人も居るだろう、『バグズ・ワールド』とは違って、もっとずっと自然そのまま、ということが感じられたのが、良かった、ホッとした。
それにしても、彼らの立ち姿は、本当にカワイくて、まるで人間ソックリに見えた。
鳴き声や、驚いた声なんかも、言語に訳すことが出来そうなほど、感情が豊かに伝わって来て、そこが面白い。
・ミーアキャット@映画生活
2009/01/29 | 映画, :ドキュメンタリー・実在人物
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コメント(3件)
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実写のみでここまでのものが作れるのは凄いですよね、
まりっぺさんへ★
本当ですよね!CG使わずこれだけの画が撮れたなんて驚きますね。
月にキツネとキャット
「ザ・ムーン」
「きつねと私の12ヶ月」
「ミーアキャット」