チェ 28歳の革命 ▲28
胸がいっぱいになった。
まさしく、チェ・ゲバラ、決定版。
やっぱり、ゲバラを描くなら、中途半端にされるより、ここまで徹底的にやってくれると、本当に嬉しくなるね。
『ゲバラ日記』に感動した人に!

医者として旅をしながら貧者を助けようとしたチェ・ゲバラ(ベニチオ・デル・トロ)は、フィデル・カストロ(デミアン・ビチル)との運命的な出会いによって、自らの人生の矛先を変える。それは、たった12人で独裁政権の国キューバを革命するという、無謀な闘いであった・・・
’08年、アメリカ・スペイン・フランス
スティーブン・ソダーバーグ監督作品。
’03年の『モーターサイクル・ダイアリーズ』(監督・ウォルター・サレス、日本では’05年に公開)、これは大好きなロードムービー、青春映画ではあったけど、ゲバラの好きな人には、ちょっと・・いやだいぶ物足りない作品ではあった。
だけど、当たり前に青春を謳歌していた時代もゲバラにあったんだな、と思って、私は、これまで身近に感じたことのなかった、カリスマ的な魅力をもった人物であるゲバラを、身近に感じることが出来たし、(ガエルくんはカッコ良かったしで)、自分にとってはかなり好きな作品ではあったんですよ。
とは言え、その後のゲバラを描いた、同じくガエルくんが演じた『トラベリング・ウィズ・ゲバラ』の方は、私は正直、劇場公開されていなかったこともあって、存在自体知らなかったのだけど。
しかし、今回のソダーバーグの渾身の二部作、『チェ 28歳の革命』と、『チェ 39歳別れの手紙』、連続公開で、後半部分はこれからの公開になるけれど、39歳の方がまた楽しみでたまらなくなってきた!
ソダーバーグが7年をかけて調査したというこの作品は、ゲバラを演じるベニチオ・デル・トロが本当に素晴らしかったことも相まって、感激の“ゲバラ決定版”になった。
ナレーションが彼自身のものであることから、自然と、『ゲバラ日記』を彷彿とさせ、目頭が熱くなってくる。
自分の身近なこと、出来ることを、淡々と行う彼の姿。普通にしていながら、魅力溢れる人物であるゲバラの姿が、本当に自然に伝わってくる。身の回りをきちんとしていて、革命に関する理想が少しもブレを見せない辺り、誰しもが彼のカリスマ性に納得できることだろうと思う。
当時の政治状況、キューバと諸外国との関係、アメリカとの関係、全てまんべんなく描かれていて、きっと初めてこの辺りを知る人にも、よく分かるようになっているのではないかな。
正直、『ゲバラ日記』を読んでいて、描写的に頭の中で描きずらかった部分や、少し退屈してしまった部分も、この映像では難なくクリアに伝わって来て嬉しいばかり。
映画化するなんて、一体どんなものなんだろうと思ったけれど、さすがに知的なソダーバーグ。
時間軸を少し切り替えたり、別の時代背景を差し挟むことによって、退屈せずに楽しむことが出来た。これがなかったら、もっと単調で淡々としたドキュメンタリータッチになっただろうと思うところ。
NYで行われた、国連の会議のシーンでは、わざと高音で喋るデル・トロ。
全く違う声なので、思わず驚いてしまったよ。きっと、丹念な役作りの賜物なのだろうなあと。
さりげないのに、素晴らしいデル・トロ。
最後、『39歳〜』の予告が流れたのだけれど、もうすでに涙が・・・気が早いよ、私ああ、次が本当に楽しみだ!
P.S.ラミレス役の俳優さん、(ユル・バスケスが演じている)始めはデル・トロの推薦で、ライアン・ゴスリングに決まっていたらしい。本物のラミレスにも会って、スペイン語の勉強までして下準備に臨んでいたそうだけれど、降板に・・・。やはり、ラテン系の俳優さんで揃えることになったのかな、ちょっと見たかった気もします。
2009/01/19 | 映画, :ドキュメンタリー・実在人物
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コメント(26件)
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「チェ 28歳の革命」彼は如何にして、革命家となったのか?
[チェ・ゲバラ] ブログ村キーワード
20世紀最大のカリスマ、チェ・ゲバラ。今も世界中の人々から、熱狂的な支持を受け続ける彼が、如何にして革命家となったのかを描いた本作「チェ 28歳の革命」 (ギャガ・コミュニケーションズ/日活)。ソダーバーグ監督とデル・…
もうごらんになったんですね〜。
これ見たいのですが、地元ではまだ公開されていないようだし、DVDになるにしてもあともうちょっと先なのでやきもきとした状況です。
ゲバラ日記は読んだことありませんが、ゲバラについての本は数冊読んだので、それが映像になるとどんな感じなのか興味あるところです。
とらねこさんにはなかなか高評だったんですね。
見たらまたお話付き合ってくださいませ♪
Che: Part One (2008)
邦題:チェ 28歳の革命
監督:スティーヴン・ソダーバーグ
出演:ベニチオ・デル・トロ、デミアン・ビチル、サンティアゴ・カブレラ、ウラジミール・クルス、エルビラ・ミンゲス、ジュリア・オーモンド、ホルヘ・ペルゴリア、エドガー・ラミレス、カタリーナ・サンディノ・…
観たのですねぇ!かなり興奮している様子で?笑
7年もかけて下調べなどをしていたなんて知らなかったです。凄いなぁ、やっぱり映画作りって。デル・トロも本物のカストロに会ってきたらしいですね。
デル・トロの役作りは半端なかったでしょうね。変な話、ゲバラがカリスマ的なのか、デル・トロがカリスマ的なのか混乱してしまいました!あれれ、この人俳優だったよなぁって。
ライアン・ゴズリングの話、面白いですね。でも、彼じゃなくて良かった気がします。
あすかさんへ
こんばんは〜♪コメントありがとうございました。おお、あすかさんはDVD待ちでしたか♪
そうなんですか、ゲバラの本を読んだことがある方だったら、きっと楽しめると思います!
なんか、これあんまり評判が良くないみたいなんですよ。
自分は結構面白く見れたんですが、人の感想を読んでちょっとがっかりしちゃいました・・・。
寂しい
でも、うん!あすかさんの感想お待ちしています〜♪
アヤさんへ
こんばんは〜♪コメントありがとうございました。
ああ、アヤさんも珍しく評価が高い人で嬉しい!
なんだか、あんまりパッとしないみたいで、今回、みんなとちょっとズレたかなって寂しい思いをしていたところでした。
そうなんです、デル・トロもカストロに会ったと聞きました。
『コマンダンテ』もこの調子で見ないといけないな〜。
私はゲバラのカリスマ性はもう全然疑う余地がないぐらいなんで、デル・トロはすごく自然に演じてくれたと思いますよ。
正直、本物はもっとカッコいいと思うんですけどね。
そう、ライアン・ゴスリングはいい俳優さんなんですが、スペインの威勢のいい俳優さんが演じてくれたから、良かったと思います。
とらねこさん、私はこれが今年の劇場鑑賞の1作目だったんです。あ〜、こういう人がいたのだ、とつくづく思える幸せ〜!!日にちを置いての公開ではなく、連続で2作を観たかったです。
デル・トロの熱演は凄かった、乗り移っているようではないか・・・とどきどきしながら観てました。
rubiconeさん★
おはようございます〜♪コメントありがとうございました!
rubiconeさんはこちらが劇場鑑賞一発目だったのですね!
うん私も、次が早く見たいです。
時間が開いた公開は、前作を見ずに後半だけ見る、というのを避けるためなんでしょうか?
本当に、デルトロの自然体な姿、ゲバラのイメージを裏切らなくてすごく良かったです。
役作りもわざとらしくないところが◎!
本編終了後の予告編で涙腺が緩んだのは私も同じでした。
別に泣く事はありませんでしたが、久しぶりに素晴らしい一人の男の生き様を見ているという感じがしましたからね。
続編公開が本当に待ち遠しいですよ。
にゃむばななさんへ
こんばんは〜♪コメントありがとうございました。
予告編で、グっと来ちゃいましたよね。
早く次が見たいですね。
男だったらこんな風に生きてみたいです。
『チェ 28歳の革命』カリスマの秘密
エルネスト・チェ・ゲバラに興味を持ったのはつい数年前だ。『モーターサイクルダイアリーズ』はゲバラが中南米の統一を夢見るようになるまでを描いた素晴らしい作品であるが、この映画はある意味その政党続編になっている。監督:スティーヴン・ソダーバーグ出演:ベニチ…
「チェ 28歳の革命」
カリスマの一つの形に過ぎないことを忘れてはならない。言わずと知れたラ米の歴史的カリスマ。しかし、恥づかしながらその人となりについては、これまでまったく知らなかった。ゲバラの生涯のうち、キューバ革命を成し遂げた栄光の前半を綴った本作。フィデル・カストロの…
「チェ 28歳の革命」 判断保留
チェ・ゲバラ。 顔は知っている、街で売られているTシャツにその顔がプリントされて
【チェ 28歳の革命】
監督:スティーヴン・ソダーバーグ
出演:ベニチオ・デル・トロ、デミアン・ビチル、ジュリア・オーモンド
「医者だあったチェ・ゲバラは、フィデル・カストロと出会うことで、人生を共にし革命に挑んだ。
たった12人で独裁政権の国キューバを革命するという、無謀
チェ 28歳の革命
1955年、メキシコ。 ラテン・アメリカの貧しい人々を救いたいと南米大陸の旅を続けるアルゼンチン人の医師エルネスト・ゲバラは、独裁政権に苦しむ故国キューバの革命を志すフィデル・カストロと意気投合。 わずか82人で海を渡り、2万人のキューバ政府軍と戦うというカスト…
こんにちは♪
やっぱり本作は「ゲバラ日記」等を
読んでる人の方が楽しめる…と言う
か入り込み方?が大きいみたいですね。
ボクなんかTシャツのデザイン程度
だったんで、何故に彼がカリスマと
称されるのかを知ろうと思って足を
運んだんでんですが、本作は彼の人
となりが解っただけで、今のところ
伝わって来るものが無かったです。
後半でこの辺がガッツリと綴られて
いることと確信してるんで、今から
楽しみです♪ (゚▽゚)v
チェ 28歳の革命
アメリカ&フランス&スペイン
ドラマ&伝記
監督:スティーヴン・ソダーバーグ
出演:ベニチオ・デル・トロ
デミアン・ビチル
サンティアゴ・カブレラ
ロドリゴ・サントロ
【物語】
1955年、メキシコ。アルゼンチン人の青年医…
風情♪さんへ
おはようございます〜♪コメントありがとうございます!
そうですね、この映画、やっぱりある程度の予習が必要だったみたいですね。
分かりずらいと言ってる人が多いみたいですが、少なくとも『モーターサイクル・ダイアリーズ』を見た人にはこの映画の良さを感じる事が出来た人もいるようですね♪
>Tシャツのデザイン
確かに、日本では単なるファッションアイコン以外の何物でもない、という人もいるかもしれませんね(苦笑)
後編がすごく楽しみです!
そこで評価が変わる人もいるかもしれませんね!
「チェ28歳の革命」「チェ39歳別れの手紙」スティーヴン・ソダーバーグ
「チェ28歳の革命」「チェ39歳別れの手紙」
チェ 28歳の革命
CHE: PART ONE THE ARGENTINE
2008アメリカ/フランス/スペイン
監督:スティーヴン・ソダーバーグ
脚本:ピーター・バックマン
撮影:ピーター・アンドリュース
出演:ベニチオ・デル・トロ、デミア…
こんにちはー。実は1/11のオフ会でお会いしているのですが、あまり会話らしい会話もなかったので覚えてらっしゃらないかと思いますが..。
この作品、ようやく昨晩観てきました。他の方の評価や感想をチラ見してしまって「チェ・ゲバラなる人物をほとんど全く知らない自分には退屈かも」と思ってスルーしかけていたのですが…。いや、観ておいて良かったです!!
私が最も印象に残ったのは(意外かも知れませんが)チェがフィデルと出会うシーン、あのなんてことはない、よくありそうな出会いに「あぁ、人に感染するってのは、力強い言葉に感動するとかじゃなくて、こういうことなんだな」と教えられたような気がしました。
とにかく、続編をすぐに観なくては!と思ってウズウズしています。(^^;
では、今後ともよろしくお願いします。m(__)m
マサルさんへ
こんばんは〜!初めまして!コメントありがとうございました。
おー、そうですか、睦月さんのお別れ会の時ですね。
私はあの時、空腹にワインをガブ飲みしたせいで、すっかり後半は記憶がありません・・・。
と言うのも、ほとんどの時間をトイレの床に突っ伏して寝てたからなのですが、
顔をトイレの床に一体化させようとしてたのかっていう凄まじさでしたよ(笑)
さて、この作品ですが、ご覧になられて感動されたなんて嬉しいです!
TBはいただいていないようですが、映画の感想を書いたりなされるのでしょうか?
こちら、ゲバラをほとんど興味のない人には、全く面白く見れなかった、という人も中にはいるようですが、マサルさんは面白く見られたのですね!嬉しいです。
ゲバラがカストロと出会うシーンが心に残られたのですね♪確かに歴史的な瞬間でした。さりげなく描かれていたけれど。
後半も、見られたらお話したいですね☆
こちらこそ、今後とも是非よろしくお願いします!
チェ 28歳の革命
キューバ革命のゲリラ指導者にして革命家のチェ・ゲバラを描いた2連作の1作目、「チェ 28歳の革命」です。渋谷のヒューマントラストシネマ文化村通りで鑑賞してきました。
…
『チェ28歳の革命』を観たぞ〜!
『チェ28歳の革命』を観ました『トラフィック』のスティーヴン・ソダーバーグ監督とベニチオ・デル・トロが再びタッグを組み、伝説の革命家エルネスト・“チェ”・ゲバラの人物像とその半生に迫る伝記ドラマ2部作の前編です>>『チェ28歳の革命』関連原題: CHE:PARTONE…
チェ 28歳の革命
『かつて、本気で世界を 変えようとした男がいた─。』
コチラの「チェ 28歳の革命」は、20世紀最大のカリスマ、チェ・ゲバラ(ベニチオ・デル・トロ)の一生を描いた2部作の前編となるバイオグラフィー映画です。本作は、邦題に28歳と入っておりますが、27歳ぐらいか….
みました。 とてもよかったです。前編の「チェ・28歳の革命」では バティスタ政権の圧制や 軍の統制に 苦しめられながらも カストロや地元キューバの農民たちからの熱い支持が得られて ついにバティスタを追い出し キューバ革命に成功しました。
むろん、 それでも それは 多数の同志たちが 命を捨てる覚悟でゲバラたちと力を合わせた賜物です
国連の演説シーンでも 女性記者の質問に革命に必要な要素は?
ゲバラの答えは”愛”が必要と言ってましたが それも 名言でしょう。 「人間への愛 真実への愛 正義への愛」
ゲバラ語録にしっかり掲載されてます。
zebraさんへ
こんばんは〜♪コメントありがとうございました。
おお、懐かしい!これ、ご覧になられたのですね。うん、私も当時とっても気に入っていました。
この28歳の革命の前半部分は、革命の成功がとても上手く行き
彼を英雄にしたんですよね。その時のキューバに必要だったものがピタっとハマったんですよね。
少なくても、南アメリカの国々に、希望の指標が見出だせたし、自分たちの国は自分たちで動かす!という国民の意志が眩しく感じた出来事でした。
「愛が必要」という言葉は、陳腐なようにも思えますが、実際これを見ると納得が行くんですよね。
そして、この言葉に説得力を持たせることが出来たこの映画は、成功だったように思います。