アンダーカヴァー ▲7
期待せずに見ると楽しめる、なかなかの出来。
たまにしか映画を見ない人より、映画好きの方が楽しめるかも。
ストーリー・・・
1988年のニューヨーク。名の知れたナイトクラブのマネージャーとして働くボビー(ホアキン・フェニックス)は、名字も変え自分が警官一家の出である事を隠してきた。オーナーとの関係も良好なボビーだったが、そのオーナーの甥に麻薬取締班が目をつける。それを指揮するのはボビーの実兄のジョゼフ(マーク・ウォルバーグ)と父のバート(ロバート・デュヴァル)。彼らはボビーに協力を求めるが、ボビーは申し出を断る。しかしジョゼフが撃たれ、父にも危険が迫り、ボビーはどちらの側につくか決断を迫られる。・・・
’07年、アメリカ
ジェームズ・グレイ監督作品。
前作、『裏切り者』は、自分の知っている映画館では、たったの1週間しか上映されていなかった(全国では分からないけれど)。
「ホアキン・フェニックスとマーク・ウォルバーグ、シャーリーズ・セロンが出ている映画」としか知らず、全然期待せずに見に行って、なかなか面白いなあ、と思ったのだけれど、
「全く期待せずに見て、割に楽しめる」というのは、映画好きにはたまらない感覚なのだ。
今回も、主演のキャストが同じ、ホアキン・フェニックスとマーク・ウォルバーグが出演。
サスペンスタッチなヒューマンドラマかな、と、安心して見に行くことが出来た。
見た後の感想もどことなく前作と同じタイプというか、
やはり期待しないで見て、面白く見れるタイプの映画だったと思う。
“父と子”原型、“カインとアベル”原型(もしくは兄弟葛藤)、という二つの柱(ユング派心理学では、“原型”と呼ばれる)が描かれるサスペンスドラマ。
対照的に描かれた兄弟だが、家族愛も同時に絡み合って、どの人物にも共感し、入り込めるようになっている。温かな感動が心の中にじんわり広がるものとなっていて、安心して見られる。
とは言え、刺激を求める人にとっては、サスペンスの描き方には今一つ、盛り上がりに欠ける、と思われる人もいるかもしれない。
予告を見ると、『インファナル・アフェア』もしくは『ディパーテッド』のような、もっと壮大なドラマを予想してしまうから?キャストにマーク・ウォルバーグが出ているし・・。
加えて、タイトルが『アンダーカヴァー』という割に、潜入捜査がそれほど中心に来るというわけでもない(原題とは全然違うのにね)。
この辺りも前作を思い出すというか、「エッ、『裏切り者』って、まあ確かに裏切りはあったけど・・・」と、微妙なタイトルがつけられちゃってるところもまさに同じような感覚。
見所は、なんと言ってもロバート・デュバル!
表裏のない善意の父親で、彼のせいで悔しいかな、泣かされてしまう。
兄のジョゼフに比べれば、出来の良い弟ではなかったロバート(ボビー)も、まっすぐで、悪いヤツでは全然なく、後半の展開も納得がいくのは、こんな父親に育てられたからだよね・・・。
ラストの台詞は、兄弟の居る人には、きっと心に沁みるものとなるに違いない。
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コメント(18件)
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良かったですよねー。前作を知らないで見たのですが、普通に楽しめました。
兄弟の葛藤など、ヒューマンドラマなのがまたツボでした。
お父さん!確かに彼の存在は泣けました。あぁいうお父さんに育てられれば、根っこはまっすぐに育ちますよね。
コチラにもきちゃいました!
>全然期待せずに見に行って、なかなか面白いなあ
なんか分かる気がします!
でも、、私こないだもお話しましたが ちょっと違った方向に期待しながら観てしまったから、その差分に物足りなさを感じてしまったようです!
でも、、面白い映画ではあるんですよね〜
うーん
これ観たいんですよね〜
一部ではイーストウッドの次はこの人と呼び名の高い・・
『アンダーカヴァー』
2008年の映画納めで観たのは、ホアキン・フェニックス、マーク・ウォールバーグ主演の『アンダーカヴァー』。
仕事を少し早くあがって、新宿ミラノ2に駆け込みで鑑賞。予告はすでにはじまっていて本編がはじまる直前に映画館に入れました。
間に合って観れてよかった。
…
ふみかさんへ
こんにちは〜♪こちらでは初めまして!コメントありがとうございました。
そうですね、ヒューマンドラマなテイストなんですうよね。器用に丁寧に見せるわけではなくて、よくあるテーマを、大事に見せる感じがしますね。
このお父さんのおかげで、根っこがまっすぐに育つ、本当にその通りだなあと思います。
「あったかいオヤジ」で、本当に好きでした!
アンダーカヴァー
(原題:WE OWN THE NIGHT)
【2007年・アメリカ】試写で鑑賞(★★★★☆)
第60回カンヌ映画祭(2007年)コンペティション公式選定作品。
運命に翻弄された兄弟の復讐劇を描くクライム・サスペンス映画。
1988年、ニューヨーク。ボビー・グリーン(ホアキン・フェニック…
こんばんは、とらねこさん♪
>「全く期待せずに見て、割に楽しめる」というのは、映画好きにはたまらない感覚なのだ。
これはまさしくそうですよね〜♪
日本では興行成績ランキングにも入らない作品でしたが、上位にいる「地球が●●する日」なんかより格段に面白かったですわん。
manimaniさんへ
こんにちは〜♪コメントありがとうございました。
おや、manimaniさんはこれ見たいですか★ちょっとそれは意外です・・。
いや、普通にしっかりした人間ドラマだったりするんですが、基本、アメリカ映画ばっかり見ている人が見て面白いというか、しっかりしたヨーロッパの文芸派作品を普段からご覧になる人が、本気で面白い映画かどうかは正直、分からないですよ・・。
ともやさんへ
こんにちは〜♪コメントありがとうございました。
ともやさんもなかなか楽しめましたか★良かった!
手放しで最高!っていう訳ではなくて、ブラっと入って意外に面白かった、っていう感覚がすごくいい感じの今作でしたよね^^
「地球が○○する日」は多分映画館では見ないかもしれません・・。
本当にこのタイトルはひどいですよね。
ちょっとネタバレな上に、まだ警官じゃないからアンダーカバーじゃないし。
「俺たちの『ゴッドファーザー』を作るんだ!」という意気込みは感じました。
あ、けんてー一応作りました。誤字とかありそうだけど、明日以降ちゃんとします。
「アンダーカヴァー」
「アンダーカヴァー」、観ました。
1988年のニューヨークが舞台。警察一家に生れた兄弟が、それぞれに道を進み対立する。そんな中、ロシギ..
コブタさんへ★
きゃー!コブタさんごめんなさい!私うっかりしてました。
せっかくコメントいっぱい書いてくれたのに、一個飛ばしてました‥本当にごめんなさい!
これに懲りず、今後もどうぞよろしくお願いします!
で、気を取り直してこの映画ですが、そうですね、私は素直に面白く見れましたよ。
真面目に正攻法で取り組んだ感じがします。
オオブタさんとあの時話しましたが、カーチェイスシーンが良かったんですよね。
ハリウッド映画の華々しい派手さではなく、リアル感溢れる怖いカーチェイスでした。
クマノスさんへ
こんばんは〜♪コメントありがとうございました。
そうなんですよね、タイトルは確かにちょっとヒドイです。
確かにまだ警官になる前の話ですしね。
アンダーカバーとちょっと意味違くない?っていう。
でもこの映画ってあれですよね。
ブラっと入って見に行ったら、意外にもしっかりした映画だった、ってタイプの映画でしたよね♪
うん、自分なりの『ゴッドファーザー』ではあったのかもしれません。
けんてーは、またじゃんじゃん作ってください♪
どんどん遊びに行きますので。
アンダーカヴァー◆潜入捜査
相対照的な兄弟は、一発の銃弾で絆を呼び戻す!
1月22日夕方、新京極シネラリーベにて鑑賞。何と言っても、ホアキン・フェニックスの演技に涙するくらい、感動をおぼえた。
「グラディエーター」の彼の存在がいまだにインパクトがある。今も鮮明に覚えている人も多い…
アンダーカヴァー
NY市警市場、最も危険なアンダーカヴァー(潜入捜査)!!
「アンダーカヴァー」
兄弟の難しさ、良さ、家族への複雑な思い、愛・・いろいろ描かれてました
アンダーカヴァー
2007 アメリカ 洋画 アクション
作品のイメージ:感動、カッコいい、ドキドキ・ハラハラ
出演:ホアキン・フェニックス、マーク・ウォールバーグ、エヴァ・メンデス、ロバート・デュヴァル
クライム・アクションだと思って鑑賞したが、意外にも家族愛がテーマのヒ…
アンダーカヴァー
『NY市警史上、最も危険な潜入捜査<アンダーカヴァー>』
コチラの「アンダーカヴァー」は、1988年ニューヨークを舞台に繰り広げられるPG-12指定の本格派リベンジ・アクションです。主演は、ホアキン・フェニックスとマーク・ウォールバーグ。2人とも製作にも名を連….