ワールド・オブ・ライズ ▲5
レオナルド・ディカプリオは、自分でこうした脚本をわざわざしっかり選んでるようだ。
なのでレオが出るなら、期待が出来ちゃうんだな。
・・・そういう意見、ありだと思いまーす!
ストーリー・・・
米国の諜報機関・CIAの中でも、最高の腕をもつ敏腕工作員ロジャー・フェリス(レオナルド・ディカプリオ)。中東からワシントンまで世界を駆け回っている彼の命運を握るのは、安全なアメリカから電話で指示を出す、冷徹なベテランCIA局員エド・ホフマン(ラッセル・クロウ)だ。彼らは、地球規模の爆弾テロを画策するテロ組織リーダー、アル・サリーム(アロン・アブトゥブール)を追いかけていた。時には身内にまで嘘をつきながら、熾烈な頭脳戦で情報をかき集めていくロジャーとエドは、ついに大きな賭け・・・
’08年、リドリー・スコット監督作品。
これもそんな期待に適度に答えた、男くさい物語だった。こういうレオはやはり映える。
舞台を中東に、テロ組織を追いかけるCIAを扱ったストーリーであったにしては、社会派というよりほぼエンタメ、娯楽作品だったけど。ガツンと来るというより、むしろ気軽に楽しめるタイプの映画。
でもこの映画の魅力の中核になっているのは、間違いなくレオナルド・ディカプリオ。『ブラッド・ダイヤモンド』が大好きだった私には、この作品と比べてしまうという点で、かなりのマイナスになってしまっていた面も、悲しいかなあったかもしれない。
やっぱりキビキビ働く、有能で働き者の男前の姿は、見ていてかなり気持ちイイ。
眉間に皺を寄せて、難しそうな顔してるロジャー・フェリス(レオ)は、かなりのキレ者。危険な任務をその背にしょって立ち、朝から晩まで働いて超過勤務時間の中、寝不足でも「疲れた」なんて文句も言わない。
(私なんか、一日8時間しか働いてなくて、夜もバッチリ睡眠取ってるのに、「朝起きるのが辛い」なんて言っちゃうんだけど。)
機転を利かせるのがイチ早く、清濁併せ呑むCIA工作員のトップに立つフェリス。危険と背中合わせの毎日の中、その社会にでも溶け込んで、自分の仕事を完璧にこなすのは、並大抵の才能じゃなさそう。
そんなスパイ工作員の仕事を見るのは、映画を見る中でも至上のヒトトキだったりする。
いいなあ、私も駆けずり回って仕事がしたい。じっとしてるデスクワークは、やっぱり性に合わないんだ、性に!
なんて、余計なことばっかり考えながら見ていたような。
今一番自分がなりたい職業、それはスパイなんです。
(関係ない話ばっかりしてごめん)
地元社会で円滑に自分の仕事を進めていくには、やはり地元住民の協力が不可欠。情報提供者となるのは、いわばその国を何らかの意味で裏切った人達。中にはアメリカに逃亡を希望する地元民など、そんな人達を上手に操って、必要な情報を得るのはこの活動の中核の一つだ。
実際に活動する工作員フェリスの指令を出すのは、だが、アメリカ国内で家族と暮らしながら、電話一本で指令を下すエド・ホフマン(ラッセル・クロウ)。かなり冷酷で、まるでチェスゲームでもしているかのように、電話一本で駒を動かす。
働く中で、バッサーム(オスカー・アイザック)のような優秀な助手を失って、「報奨金の話が第一に来るべきじゃないのか」と話すフェリス。
人を動かすのに政治的圧力やパワーポリティクスで、いかにもアメリカ的に物ごとを解決しようとするホフマンと、
指令を守りながらも人の心を忘れずに居ようとする男フェリスの、そのパワーバランスを見るのは、この映画の楽しみ方の一つだ。
だが、自分にとっては、このもう一人の男、ホフマンが全く好きになれず、イライラしてしまったところが、少し残念に感じた。
地元のアラブ情報局の局長であるハニ・サラーム(マーク・ストロング)との連携プレーでは、「自分に嘘をつかないことが絶対条件である」と聞かされるフェリス。
一方、自分に遠くから指令を出すホフマンは、「何があっても自分を信頼しろ」と言うのだ。
この台詞はまさに対照的に響く。ホフマンは“信頼”と言う言葉から何て遠いんだろう、と。
物語はもっと大きな“嘘”をフェリスが行うことで、話が一気に膨張を見せる。
この辺りは、いかに非道なことをアメリカが行うかを考えると、
これが全くの夢物語ではないのではないか、とすら思えてきそうな展開だった。
ラストがあっさりしているので、少し拍子抜けしてしまい、見た後の評価がだいぶ下がってしまったのが残念だったけれど、それなりに見ごたえのあるドラマ。
自分としては、『スパイ・ゲーム』が大好きだったので、こちらと比べるとだいぶ落ちるかな。
2009/01/14 | 映画, :サスペンス・ミステリ
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コメント(16件)
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ワールド・オブ・ライズ
『どっちの嘘が、世界を救うのか。』
コチラの「ワールド・オブ・ライズ」は、12/20公開となるPG-12指定のアクション・サスペンス超大作なのですが、試写会で観て来ちゃいましたぁ〜♪アメリカでの興行成績はイマイチぱっとしない感じだったようなので、あまり期待し….
とらねこさん こんばんは
レオはよく頑張ってましたね〜
いつのまにこんなにハードボイルドの似合う
骨太な役者さんになったんだろって感動しましたね。
私の中では永遠の美少年であってほしかったレオですが
もうそんな時代は過ぎて新たなレオの魅力を発見したって感じです。
ホフマンはイヤな野郎だったけど,アメリカという国を象徴していたのでしょうね。
あんなにかっこ悪い役に徹したラッセルにも
御苦労さんと言いたいです・・・。
私も『ブラッド・ダイヤモンド』好きです。
レオはルックスから、王子様・スター的なものを求める人も多いと思うけど
私はむしろ、レオはちょっと汚れたような役こそ、彼は輝くと思います。
この作品、キャッチコピーをはじめ、どのあらすじ見ても、
レオVSクロウの嘘による知能戦っぽい書き方になってますよね〜?
だから、男のドラマ好きな私は、知的な駆け引きを期待していたのですが…
レオVSクロウの嘘合戦になってないですよね?コレ。
クロウはレオに嘘ばっかりついてるけど、その嘘も、知的な駆け引きの
嘘じゃなくて、反省してない子供が「もうしませーん」っていうような(苦笑)
後半にやっと大掛かりな嘘があるけど、それはレオVSクロウの構図じゃないし。
自分は安全なところにいて、ぶくぶく肥えて横柄で俺が世界を守ってやってる
というホフマンは、まさに他国から観たアメリカの姿なんでしょうし、
正義感に燃え現場に身体を張って行くフェリスの姿は、アメリカの理想の姿
なんでしょうね。
でも、嘘のつき方も、大人としての対処の仕方も、ヨルダン情報局のハニが
一番スマートだという(笑)
ななさんへ★
おはようございます〜♪コメントありがとうございました。
おお、ななさんはこの作品でレオの新たな魅力を発見されましたか。
私は『ブラッド・ダイアモンド』で確信しました!
でも彼自身としては『ギャング・オブ・ニューヨーク』で、自分の今後の方向性を掴んだのかもしれないですよね。
ほんと、ラッセル・クロウ自身がアメリカを体現なんでしょうね。
今現在のアメリカはさすがに今後変わっていきそうですけど。
その節はありがとうございました。
確かにラスト近くの盛り上げ部分、あのタイミングであれっていうのは普通すぎて全体の質を下げてしまっていたかも。
私はかなり満足だったけれど、主演がでかぷでなければ普通によかったと思ったかも。
ブラッドダイヤモンドは、アフリカの抱える重大な問題のこともしっかり受け止めたいのに画面に映し出されるでかぷのお顔にもどうにも見とれてしまい、すごく胸が苦しい鑑賞でした。
こちらはでかぷが主演でなくても、変わらず高評価だったと思います。
ochiaiさんへ
こんにちは〜♪コメントありがとうございました。
>キャッチコピーをはじめ、どのあらすじ見ても、
レオVSクロウの嘘による知能戦っぽい書き方になってますよね〜?
あ、本当にそうですよね!タイトルからはそんな風に想像してしまって、そういう話なのかな、と思って見ると、実際は違いますよね!
確かにそれぞれ、嘘というのは大きな一つのテーマではあったけど、どっちがいつ嘘をつくか、どういう嘘なのかは、ちょっと違ってましたね!
>ぶくぶく肥えて横柄で俺が世界を守ってやってる
というホフマンは、まさに他国から観たアメリカの姿なんでしょうし、
>正義感に燃え現場に身体を張って行くフェリスの姿は、アメリカの理想の姿
なんでしょうね
うん!こちらもそのとおりですね。前半のラッセル・クロウがアメリカを体現しているんじゃないか、ていう意見は、割とよくみんなの感想出てくるんですが、後半部分の、フェリスの姿が本当の意味でアメリカの理想なのではないか、こうあったらいいのに。。という姿だったのは、あんまり見ませんでした。
うん、その視点、さすがだと思います。
本当、ハニが一番スマートで、一番見事に嘘をついてましたね。
こういう相手に嘘をつくのが一番怖いと思いました。
ぼんべいさんへ
こんにちは〜♪こちらでは初めまして!コメントありがとうございました。
>その節はありがとうございました
イエイエこちらこそ♪初めてぼんべいさんと一緒に見た映画でしたね^^
また一緒によろしくですー★
ぼんべいさんはそんなにでかぷのファンだったんですね〜。
私も結構好きですよ。真面目な顔して眉間に皺寄せたでかぷはいいですよね
本当、物語もなかなか面白かったし。
ぼんべいさん、私は、「結局反省せずに相変わらず同じことを続けるアメリカ」の姿を見せるラストで、すごくムッとしてしまったんですが、
それはむしろ作品の完成度より、アメリカに対しての気持ちだったかもなのです。
ワールド・オブ・ライズ
どっちの嘘が、世界を救うのか。
原題 BODY OF LIES
製作年度 2008年
上映時間 128分
原作 デイヴィッド・イグネイシアス 『ワールド・オブ・ライズ』(小学館刊)
脚本 ウィリアム・モナハン
監督 リドリー・スコット
出演 レオナルド・ディカプリオ/ラッセル・クロウ/マ…
こんばんは!
残念なところは私も同じ!
私も身体動かしてる方が、脳を動かしてるより合ってるほうです(笑)
もともとが好きなジャンルでしたが、
やっぱレオが出てくると、作品自体が動く気がします♪って、やっぱり欲目でしょうか〜(笑)
こういう、アメリカバンザイじゃない作品にも出るレオが益々スキ
ラッセルも、、頑張って厭なアメリカ的体型から戻してきて欲しいですよね(^^;
ワールド・オブ・ライズ を観ました。
第2弾も話題作…最近骨太系になって気に入り始めたレオの作品。
kiraさんへ
こんばんは〜♪コメントありがとうございました。
へ〜♪kiraさんも体動かす方が好きなタイプの方だったんですね!
実は私もですー!
レオナルド・ディカプリオ、かなりいい感じになってきましたよね!
そういえば今日、オバマ大統領の就任式がありましたが、レオもかなり押してたんですよね、CMまで作ったとか。
これからアメリカがどう変わるか見たいですね。
「ワールド・オブ・ライズ」 アメリカが嫌われる理由
最近、全世界的にアメリカの不人気が高まっているように思います。 具体的には本作で
『ワールド・オブ・ライズ』を観たぞ〜!
『ワールド・オブ・ライズ』を観ましたCIAに雇われた元ジャーナリストの男が、ヨルダンで大規模なテロ組織を追跡する姿を描くサスペンス・ドラマです>>『ワールド・オブ・ライズ』関連原題: BODYOFLIESジャンル: サスペンス/アクション上映時間: 128分製作国: 20…
ワールド・オブ・ライズ
2008 アメリカ 洋画 アクション ミステリー・サスペンス
作品のイメージ:ドキドキ・ハラハラ、カッコいい、スゴイ、ためになる
出演:レオナルド・ディカプリオ、ラッセル・クロウ、マーク・ストロング、ゴルシフテ・ファラハニ
スリリングかつドキドキ・ハラハ…
ワールド・オブ・ライズ
どっちの嘘が、世界を救うのか。
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「ワールド・オブ・ライズ」(BODY OF LIES)
「ブレードランナー」「エイリアン」などの作品で知られる、英国出身の米映画監督リドリー・スコットが2008年にメガホンを執ったスパイ・サスペンス・ドラマ「ワールド・オブ・ライズ」(米、128分、ウィリアム・モナハン脚本、ワーナー映画配給)。この映画は米中東…