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江戸川乱歩猟奇館 屋根裏の散歩者 ▲4

江戸川乱歩猟奇館 屋根裏の散歩者 渋谷シネマヴェーラにて、“官能の帝国ロマンポルノ再入門2”特集にて見て来ました〜!

ロマンポルノって、あまり見ない分野。
うわー、エロい!エロい!と言いつつ、なんだかんだ楽しんでしまいました。


ストーリー・・・(シネマヴェーラ説明より)
屋根裏を徘徊し、住人たちの私生活を覗き見ることで快感を覚える郷田(石橋蓮司)は、道化師(夢村四郎)に身を任せる貴婦人、美那子(宮下順子)に出会う。救世軍に熱中しながらも女中を玩ぶ男(八千康二)、モデルの女(秋津令子)をいたぶる女流画家(渡辺とく子)、様々な痴態を屋根裏から覗き見るも貴婦人の姿を忘れられない郷田。一方の貴婦人も覗かれる快楽の虜になっていたのだった・・・。
鬼才、田中登の「昭和史三部作」の第二作。


’76年、田中登。
出演:宮下順子、石橋蓮司他


江戸川乱歩の『屋根裏の散歩者』をポルノにアレンジし、他乱歩の短編『人間椅子』を加えて、ラストを作り変えた意欲作。

’94年実相寺監督『屋根裏の散歩者』と、’06年三原光尋監督の同名作品は見ていないのだけれど、多分これが一番エロ全開で楽しい〜♪


乱歩作品『屋根裏の散歩者』原作と違うのは、探偵明智小五郎が登場しないところと、前述したように、『人間椅子』が加えられているところ。
「奥さま、奥さま・・・」と言うので、「もしや?」と思ったら、来た!『人間椅子』!
と、乱歩ファンも喜ぶ作りになっていて、かつエロ描写が楽しくて。
「うーん、これは正しいロマンポルノだわ」なんて、嬉しくなってしまった。見て良かった!


作品全体の完成度としてはそれほど高くはないし、エロ描写ももう少し思い切ってくれても良かったように思うものの、題材が良いので決して悪くはない。


人生の愉しみをほとんどやり尽くし、退屈しまくっていた厭世感漂う主人公、郷田三郎に関しては、もっと丁寧に描いてくれた方が、作品の完成度や、説得力は増したと思うし、
人々の生活を覗き見ることが背徳的に楽しみになっていたその辺りや、「屋根裏から覗く」という映像表現は、もっと丹念に描いてくれるべき、さも美味しい良い題材だと思うのだけれど、これはロマンポルノに期待する完成度ではないんでしょうか(笑)

個人的に一番良かった描写は、裸にボディペインティングをダリ風に行う女流画家。
この辺りは、乱歩の原作には出て来ないシーンなのに、いかにも乱歩好みなテイストを感じれられて、なかなか。

ボディペインティングってとってもエロいと思うんですよね。
もっとこう時間をかけて、丹念に描いてくれよー、という思いでいっぱい(笑)
芸術的にもなりえたと思うし、エロさももっと感じたと思うのね。ああ、もったいない。
エロも殺人も、淫靡に描ける題材のはずなのに、ちょっとアッサリしている感じ。
もっとネットリしてください、お願いします〜(懇願)。


でも、金持ちのダンナ相手では萌えず、道化師とのセックスに生き甲斐を見出すヒロインは、なかなか素敵。


ところで、私の後に入って来たお客さんが、外人の中年のカップルだったんだけれど、彼らが日本語が堪能で、
「乱歩のはどれですか?」
と受付のところで質問をしていて、なんだか面白かったな。


外人のカップルさん、“ロマンポルノ”ってご存知なんでしょうかー(笑)。
私は普段ほとんど見ないポルノ描写なので、結構おっかなびっくり見に行ったんだけど、二人とも乱歩が好きなのか、どちらかが乱歩好きなのかな?大丈夫かな。
乱歩好きに出会えるなんて、なんだか嬉しかった。

・江戸川乱歩猟奇館屋根裏の散歩者@映画生活

 

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コメント(6件)

  1. ラストの大震災、赤い井戸水の展開、好きなんです。そうか、そこは原作にはないのですね。
    この作品の「覗く」行為はさほどいやらしくないと思いましたが、覗かれると燃える女心はいやらしくなってたと感じます♪

  2. わーん、悔しや。今回の特集でこれは行けなかった。ロマンポルノってよく観る分野。過去に1度見ているからいいか。でも、もう一度観たい映画リスト(そんなのないけど)上位の作品。田中登のなかでも好きな1本です。
    年末年始の特集では何かと忙しく、困ります。

  3. アンバーさんへ
    こんにちは〜♪コメントありがとうございました。
    おお、アンバーさんもこれご覧になっていたんですね☆遊びに行ったら無かったってことは、結構前にご覧になったのでしょうか♪
    ラストの血の井戸水は、きっとあそこでヒロインや郷田の死体が見つかるんでしょうね。
    結び方としては面白かったですよね。
    厄災は万人に降りかかる〜
    覗かれると萌える女心、良かったですね。

  4. imaponさんへ
    こんにちは〜♪コメントありがとうございます!
    おお、imaponさんはこの特集、通われているのではないかなあ、なんて期待しておりました♪
    こちらは、以前にご覧になっていたのですね☆
    そっかー、今回は都合がつきませんでしたか。残念。
    自分は同時に上映されていたもう1本の方が面白かったんですが、そちらの方はimaponさんはご覧になっているかな♪
    UPはもう少し先になるかと思いますが、またお話しできたらいいなと思います^^

  5. こんばんは
    この上映は、もしかしたら『K-20』公開に合わせて決められたものなんでしょうか
    「本物の乱歩とは、こういうもんじゃーッ!!」みたいな
    海外における乱歩の認知度ってどんなもんなんでしょうかね。エドガー・アラン・ポーと混同されたりしないんでしょうか
    そういや前にこんな本見つけたことがありました
    http://www.esquire.co.jp/event/2007/svank/
    あと全然関係ないですけど『カールじいさんの空飛ぶ家』、ようつべでも見られました
    http://jp.youtube.com/watch?v=I789Pr5wLUc
    良かったらドゾ

  6. SGA屋伍一さんへ
    こんにちは〜♪コメントありがとうございました。
    えーっと、こちらの作品は、特別に『K-20』に対抗して上映されたわけではなくって、ロマンポルノの特集だったんですよ。
    単に私が面白いから並べただけなんです。
    http://www.cinemavera.com/bc.html?mode=view&no=49
    海外における江戸川乱歩の認知度は、なかなか高いと聞いたことがあります。
    谷崎潤一郎とか、魅力ある文でありながら、日本文学ならではの分かりにくさがないから受け入れらすいのではないか、って。
    たとえば泉鏡花なんかだと少しエキゾチックに感じるそうです。確かに泉鏡花は今の私達から見てもちょっと入りずらいものがありますよね。
    シュヴァンクマイエルの挿絵入りの『人間椅子』『鏡の国のアリス』他作品があるんですね!面白そう。夢の世界(悪夢?)が拡がりそうでいいですね。
    カールおじさんて、白髪に黒縁眼鏡、さらにしっかりしたアゴ。。これ、ユダヤ系の人を描く時によく描かれる特徴ですね。
    とある監督を思い出しちゃうんですけど。




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