170●ザ・ローリング・ストーンズ シャイン・ア・ライト
音楽ドキュメンタリーというよりは、ライブ映像を楽しむものだったけれど、
映像にこだわりを持って、これだけクオリティの高いライブ映像が見られるなんて、珍しいのでは!?
ゴダールの方を見てないので、「ストーンズ決定版!」とは言えないんだけどね・・・
ストーリー・・・
ザ・ローリング・ストーンズのライブを映画として撮り上げる企画が立ち上がった。監督のスコセッシは撮影するライブを、ミックが予定していたリオでの野外コンサートから、NYのビーコン・シアターでのライブに変更。以後ライブ当日まで、ストーンズとスコセッシの演出に対するせめぎ合いが続いた。そしていよいよ幕を開けるライブ・・・
’08年、マーティン・スコセッシ監督。
「どうせ映画を作るなら、当代髄一の監督で」ということで、スコセッシがメガホンを撮ることになった、とのことだったのだけれど、
最初の方の映像で、スコセッシ自身が登場し、なかなか決まらないセットリストに頭を悩ませるところなんて、正直自分は「あーあ」なんて思いながら見ていたのね。
だってセットリストなんて、どんなビッグネームのバンドでも、いや、巨大すぎるバンドであればあるほど、我儘というか・・・
「セットリストがなかなか決まらないなんて、よくあることじゃない」と思ってしまったのね。
とは言え、スコセッシともなれば、やはり映像をコントロールする上で大事なのだろうし、仕方がないのか・・。だけどそこは、バンドも長くなればなるほど、自分のフィーリングに合ったセットリストでないと、やる気が出ないに決まってるし、
それを巨匠がメガホン撮るからってことで、セットリストをポンと出せるわけなんて、ないじゃないか。・・・と、映画製作側からというより、バンド側に寄り添った意見で、見てしまった私だったのでした。
裏方であるはずのスコセッシが画面上に現れるというのも、あまり面白くは思えなくて、これ失敗したかな、と思ったのも束の間。
そんな心配は杞憂に終わったのでした。いや、さすが!
「セットリストがせめて最初の2曲だけでも知りたい」、と言い始めたスコセッシは、必死だったと思うのね。この映画製作のバックステージには、元アメリカ大統領ビル・クリントンも現れ、やれ何の下院議員だとかまで来てるんだもの。
なのに、セットリストが渡されたのは、ストーンズが舞台上に現れて、ライトが落ちるその瞬間だよ!アハハ、このタイミング最高!
手を叩いて喜んでしまいました。
そして鳴り響く『Jumpin’ Jack Flash』。
かっけー!超かっけー!
感動してしまった。よりクオリティの高い映像を撮ろうと、様々な計算をしていたスコセッシも形無しだね。
でも何より良かったのは、この後スコセッシが一度も登場しないこと。
初めにこれだけ“ライブ前映像”で出て来てのに反比例して、「この後はストーンズの本領発揮する場」と言わんばかりに、監督の姿は出て来なくなる。
そして、代わりに一曲をそのまま映したり、ライブ映像中心の作り。
それは、“ドキュメンタリー”とすら言えないような映画の構成だったのでした。
さすがだね!スコセッシ、見事です!
「バンドは、やはりそのライブを、音楽を中心に語らないと」と主張するかのように、ライブ映像が丹念に描かれていて、自分は感激してしまったのでした。
ストーンズという、これだけのビッグ・ネームを前に、彼らが起こした功績や、売ったレコード&CDの数でもなく、つまりは彼らの歴史ではなくて、よりイマのストーンズの姿、これをフィーチャーした作りになっているのよ。
で、それは単に「オジサンバンド」ってことじゃない、彼らがこれだけのライブ・パフォーマンスが演れることに対する、自信がそこにあるから。
もはや、尊敬の念が生まれてしまったのでした。
これこそ、今のストーンズの姿!
そして、それは相変わらず、ここまでカッコいいんだ!
ミック・ジャガー!
ここまでパフォーマンスがその年で出来るなんて、アンタは怪物なのか?(爆)
最高にカッコいいんですけど。
その細い腰も、疲れを知らない煽りも、もう凄いとしか言いようがない。
自分は、それほどストーンズに関して知識はなく、せいぜい6曲ぐらいしか知らないのね。だから、ストーンズ好きを代表するつもりは全然ないんですよ。
『Jumpin’ Jack Flash』と『Brown Sugar』はコピーしたことある。後は『As Tears Go By』、『悪魔を憐れむ歌』、『Start Me Up』(このMTVは繰り返し繰り返し何度も見たなあ〜)、『(I Can’t Get No)Satisfaction』ぐらい。
『悪魔を憐れむ歌』に関しては、『インタビュー・ウィズ・バンパイア』でGN’Rがカバーしているのを聞いて(最後に流れる曲だよ。)、「この曲カッコイイな」と初めて知ったぐらいだったし。。。
本当に有名な曲を知ってるぐらい。
途中、クリスティーナ・アギレラも登場。
普段のアギレラの曲はそれほど好みでない私も、ここでのパフォーマンスは、さすがだな!と納得。
シャウトも思いっきりしているし、ミックとの画もバッチリでした♪
でも、一番最高だったのは、さすがのバディ・ガイ。
『Champagne & Reefer』でバディ・ガイが登場し、(超感激なんですけど!)一曲歌うんだけど・・・彼の歌声の見事さ!
まさに「ローリング・サンダー」とも言うべき、堂々たるブルースの嘆きに、会場全体が気持ちのいいバイブレーションに包まれるのを、目の当たりにするかのようだったなあ・・・。
ギターはいい音させるしね、いい声しているしね、もうバディ・ガイってば美味しいとこ持ってっちゃって。
他には、WHITE STRIPESのジャック・ホワイトも登場!ホワイト・ストライプスに関しては、音楽好きぐらいしか知らないかな?私は以前、ココでちょっとだけ言及したことがあったのと、あとはこの映画の中で、主役のエレン・ペイジが一言「ソニック・ユースをホワイトストライプみたい」、って言うシーンがあったよね。
・ザ・ローリング・ストーンズ シャイン・ア・ライト@映画生活
2008/12/19 | 映画, :ドキュメンタリー・実在人物, :音楽・ミュージカル・ダンス
関連記事
-
-
『沈黙』 日本人の沼的心性とは相容れないロジカルさ
結論から言うと、あまりのめり込める作品ではなかった。 『沈黙』をアメリ...
記事を読む
-
-
『エブリバディ・ウォンツ・サム!! 世界はボクらの手の中に』 アメリカ亜流派のレイドバック主義
80年代の映画を見るなら、私は断然アメリカ映画派だ。 日本の80年代の...
記事を読む
-
-
『湯を沸かすほどの熱い愛』 生の精算と最後に残るもの
一言で言えば、宮沢りえの存在感があってこそ成立する作品かもしれない。こ...
記事を読む
-
-
『ジャクソン・ハイツ』 ワイズマン流“街と人”社会学研究
去年の東京国際映画祭でも評判の高かった、フレデリック・ワイズマンの3時...
記事を読む
-
-
『レッドタートル ある島の物語』 戻ってこないリアリティライン
心の繊細な部分にそっと触れるような、みずみずしさ。 この作品について語...
記事を読む
コメント(15件)
前の記事: 169●クラウド9
次の記事: 171●『252 生存者あり』
シャイン・ア・ライト:とにもかくにも圧倒的なライブフィルム
★監督;マーティン・スコセッシ(2008年 アメリカ) TOHOシネマズ二条にて。 ★あらすじ(Ya…
こんばんは。
この映画は洋楽ロック好きのとらねこさんにはぜひ見ていただきたかった。そういう意味で本当に嬉しいです。まあ、かくいう私もストーンズについてはショボい知識しか持っていないのですが(汗)見ている間はヤバイくらい放心状態でした。それにしても60過ぎてミックのあのセクシーな腰つきはスゴイですね反則ですね。
3人のゲストについてはほとんど知りませんでしたが、おっしゃるとおりバディ・ガイのパフォーマンスは良かったですね(特にあのぎょろっとした眼が!)。ああいう人と一緒にセッションなんかしたら最高に楽しいだろうなと思いました。
ゴダールの『ワン・プラス・ワン』では「悪魔を憐れむ歌」の作曲・録音風景が何度も出てきます(映画自体はかなり微妙な印象でしたが)。へえ、ガンズもカバーしていたのですか・・・。
皺くちゃ至近距離「シャイン・ア・ライト/ザ・ローリング・ストーンズ」SHINE A LIGHT
「SHINE A LIGHT」
THE ROLLING STONES
at Beacon Theatre 2DAYS
October 29, 2006
November 1,2006
DIRECTOR:Martin Scorsese
結局、この土日で2回観ました「ザ・ローリング・ストーンズ/シャイン・ア・ライト」
とにもかくにもエレガントなミック・ジャガーの肉…
「ONE +ONE」=
SFTD Sessions Pt. 1http://www.youtube.com/watch?v=ggys99Z5Yrg
SFTD Sessions Pt.2http://www.youtube.com/watch?v=BQibxnbOY0s
1968年
ワン・プラス・ワン/悪魔を憐れむ歌
このシネマはローリングストーンズとゆーバンドが「悪魔を憐れむ歌」ってゆー曲を作って…
自分はほぼ全てのSTONES関連の音と映像に接している種類の人間です。
ここ24年ぐらいのSTONES関連はちっともさっぱりヨロシクなかったので、今回のこれはかなり冷め切った気分で見に行ったのですが、鳥肌立ちっぱなしで「やっぱり兄さん!」ゆーてしまいましたがな。これはやっぱりスコセッシの方法論が正しかったと言わざるをえません。同時期のLIVEのDVDの映像は糞監督が撮ったものでSTONESは完璧に糞バンドに成り下がってました。それはスタジアムとゆー場所は音楽を演奏する場所ではないとゆー簡単な事実に大多数の方々は気付いていないからです。日本公演も最低最悪でしたし。レイジングブルを撮ったスコセッシはバンドマンのスケール感も非常によく理解しておられます。ROLIING STONESとゆーバンドは今でも最高にHIPな「パブバンド」なんですよねー。
椀さま★
こんにちは〜♪コメントありがとうございました。
いや本当、これは洋楽好きには必見の映画でしたね!
ライブを収録した音楽DVD(やビデオ)と比べても、この映画の音響や映像の方が上なんじゃないか、と思ってしまいました。
ミック・ジャガーのあの腰の細さ、セクシーでしたね!
若さはやっぱり腰元で判断すべきなんでしょうか!?
バディ・ガイを始めとするゲストの飛び入り参加、私も知らなかったですよ、全く!嬉しい驚きでしたね‥ってもしかして椀さまは、他の二人をご存じないって意味でしょうか?
ま、いいんですケド‥
ゴダールの『ワンプラスワン』は(椀+椀?)『悪魔を憐れむ歌』ですか。ふむ。
『ザ・ローリング・ストーンズ シャイン・ア・ライト』
(原題:Shine a Light)
—-へぇ〜っ。これってマーティン・スコセッシが監督したんだ。
「うん。彼は音楽にも強く『ウッドストック/愛と平和と音楽の三日間』では
助監督と編集を兼任。
ザ・バンドの『ラスト・ワルツ』や
『ボブ・ディラン ノー・ディレクション・ホー…
gsさんへ★
こんばんは〜♪コメントありがとうございました!
gsさんはそんなにストーンズに詳しい方だったんですね!
そうですか、やっぱりそれら全ての音楽DVDと比べてもこの映画は傑出してましたか!
本当、スコセッシも上手いことやってくれましたよね。
こうしたドキュメンタリーでここまで感動出来るとは思いませんでした。
本人が始めしか出て来ないのも面白かったです。
スコセッシというと自分は『レイジング・ブル』のデ・ニーロ・アプローチがまっ先に思い浮かぶんですが、今後スコセッシに対する見方も変わってしまいそうです!
こんにちは。
『ワン・プラス・ワン』は
ラスト、突然の展開を迎えますよ。
そうか、本作のラストは
あれを意識していたのかと、
いま気づきました。
ところでぼくは音楽にそう詳しくないので、
セットリストがなかなか決まらないのに
驚いたクチです。
それだけに、いきなり始まるところは
もうスリリング。
スリリングと言えば
『ザ・フー:アメイジング・ジャーニー』、
こちらの感想もぜひお窺いしたいです。
えいさんへ
こんばんは〜♪ちょっぴりご無沙汰しております。
コメントありがとうございました。
なるほどー!この作品のラストは、ゴダールのラストを意識したものに出来上がっているのですか。
自分は、大物我儘バンドが、セットリストをなかなか出さないのって、大好きなんですよ(笑)
どんなバンドにとっても、ライブの間は特別な空間だと思うんですよね。
レコード会社とも、プロデューサーとも関係なく、自分たちで精一杯盛り上げよう、いいものにしよう、と考えていると思うんです。
大物だろうが、まだまだ新人バンドだろうが、ステージに立ったら立場は同じなんですよね、観客と自分たちバンドだけの空間という。
真剣勝負だからこそ、セットリストがなかなか出せなくても、仕方がないのではないか、・・・なんて思ってるんですよ。
映画を作ろうが作るまいが、それは同じじゃないかと。
ところで、ザ・フーの映画をえいさんはお気に召されたのですね!
この作品は、自分はかなり気に入ってしまったので、映画評論家であるえいさんが、こちらの作品より印象深い、だなんて・・・、
それは期待してしまうなあ
「ザ・ローリング・ストーンズ シャイン・ア・ライト」
当サイトではStoneがつくバンドと言えばStone Rosesというのがお約束でしたが、今回は珍しくThe Rolling Stonesの話題です。
ストーンズ好きの相方曰く??..
ザ・ローリング・ストーンズ シャイン・ア・ライト
ザ・ローリング・ストーンズ シャイン・ア・ライト’08:米
◆原題:SHINE A LIGHT◆監督: マーティン・スコセッシ「ディパーテッド」「ギャング・オブ・ニューヨーク」◆出演: ザ・ローリング・ストーンズ、クリスティーナ・アギレラ、バディ・ガイ、ジャック・ホワイ….
「ザ・ローリング・ストーンズ シャイン・ア・ライト」 永久の化学反応
本作はマーティン・スコセッシがディレクターを務めたザ・ローリング・ストーンズのド
ザ・ローリング・ストーンズ シャイン・ア・ライト■ストーンズ…
ニューヨークのビーコンシアターにおけるザ・ローリング・ストーンズのライヴの一夜をフィルムに凝縮したのが、この作品。圧倒的なエネルギーに満ちたスペクタクルである。冒頭から、スコセッシのこの作品にかける思いと現場でキャメラをどこに配置するかの検討が映しださ…
ザ・ローリング・ストーンズ シャイン・ア・ライト
普通の音楽ドキュメントとしてみたけど…。
ザ・ローリング・ストーンズ シャイン・ア・ライト デラックス版 [DVD]posted with amazlet at 09.07.10ジェ??.