144●私がクマにキレた理由(ワケ)
アメリカでベストセラーになった、『ティファニーで子育てを』(原作:エマ・マクローリン&ニコラ・クラウス)の映画化作品。
スカーレット・ヨハンソン主演の、ほのぼの系ラブコメ。
ストーリー・・・
アニー(スカーレット・ヨハンソン)は、大学を卒業したものの、これから何の職業に就くべきか、考えあぐねていた。ある日、ひょんなことから、ニューヨークはマンハッタンの富裕な家の子供の命を助け、さらにその奥さん(ローラ・リニー)に、「アニー」という名を「ナニー」と取り違えられた。人類学という専攻をしていたアニーは、そうした金持ちの生態に興味があったこともあり、人類学の基本、フィールドワークを行うことに。
フィールドワークとは、研究者自らが、研究の対象となっている出来事や現象が起きている現場、つまりフィールドに出向き、その場に参加しながら対象となっている出来事や現象が生じる過程を学ぶこと。
つまり、「その民族を知りたければ、そこで一緒に暮らしてみる」という、文化人類学の研究方法。
そこで、いかにもマンハッタンの富裕層の家庭の妻であるその人を、Mrs.X(ローラ・リニー)として対象を定めた。
4歳の息子が40度の熱を出してもスパ旅行に出かける、自宅に客を招くときは息子はバスルームで食事をする、息子の手作りのクリスマス人形はプロが手掛けるリビングのツリーには飾らせない…。ニューヨークのマネー・エリートの家庭の子育てのエグさを”子守は見た!”。・・・
’07年、アメリカ、シャリ・スプリンガー・バーマン&、ロバート・プルチーニ。
こういう、いかにも軽いラブコメを見たのは久しぶりだったせいか、妙に楽しめて見てしまった。
スカーレット・ヨハンソンはやっぱりかわいくて、ローラ・リニーは、嫌な感じのする奥さんの役を、精一杯演じていてやはり上手いし。
ポール・ジアマッティは、登場の仕方、顔の表情からして、妙な映され方をしていて面白かった。
しかし、太ったなあ、ポール・ジアマッティ。太ると、この年齢の人は、妙に年取って見えるような?
いかにも家庭に居て、疲れた顔しか見せてくれない、父親の鏡とは決して言えないエリートサラリーマン。そんな役を、この上なく見事に表現してピッタリでした。
アニーの友人役で、少し出てくるアリシア・キーズは、『スモーキン・エース 暗殺者がいっぱい』で見て以来、二度目の出演。この人は最近、女優業に精を出しているらしい。
それから、「Havard Hottie」(“ハーバードのイケメン”)を演じたクリス・エヴァンスも、女性にとって、いかにも理想のタイプの男性像。好演していて素敵でした。
映画自体は、なかなか自分になつかない子供(ニコラス・アート)との奮闘から、だんだん家庭の有り様が見えて来るといった展開。ナニー(子守)として過ごすうちに、「ニューヨークの妻たちのデスパレート」ぶりを目の当たりにしてしまうのでした。
セレブたちって、それはそれはオカシナ世界。
シビアでビターテイストな、人生の苦味を味わってしまうナニーのアニーなのだけど、いろんな苦労を平気でこなしていく姿が、頼もしくもあり。
だって普通なら、絶対根を上げてしまいそう。でも、我慢強いアニーは、超我儘で人の話を聞かない、雇い主ミセスXと、奮闘して文句も言わずに働く。その姿がエライのよね。
アニーはちゃんと幸せになれる、素敵な女性って気がした。
私も見習おうっと。
2008/11/17 | 映画, :コメディ・ラブコメ等
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コメント(8件)
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私がクマにキレた理由
『なりたい自分がきっと見つかる。マンハッタンのお仕事探し。』
コチラの「私がクマにキレた理由」は、セレブ家庭の実態を描いた、エマ・マクローリンのベストセラー小説「ティファニーで子育てを」をスカーレット・ヨハンソン主演で映画化した10/11公開のコメディな…
私がクマにキレた理由(わけ)
(原題:THE NANNY DIARIES)
【2007年・アメリカ】試写で鑑賞(★★★☆☆)
エマ・マクローリンのベストセラー小説「ティファニーで子育てを」を映画化したコメディ映画。
人類学を専攻し優秀な成績で大学を卒業したアニー・ブラドッグ(スカーレット・ヨハンソン)。母…
こんにちは、とらねこさん♪
ラブコメはこれくらいほのぼのしてた方がいいですよね。
(お馬鹿満載のも嫌いじゃないですが…・笑)
普通の庶民(?)を演じるスカちゃんが意外に可愛かったのが、新鮮でしたわん。
ともやさんへ
こちらにもコメントありがとうございます〜♪
うん、ほのぼのしてて、憎めないスカちゃんが、
なかなかにかわいかったです^^
ラブコメってたまに見ると本当面白いんですよねー。
とらねこさ〜ん、ちょっぴりごぶさたです!すっかり寒くなりましたが、お元気ですか??
ところで、とらねこさんには、すっかり見抜かれてますね〜(笑)そうなんです、ブログ、迷ってます。書きたいと思う気持ちがときどき無性に高まる一方で、未練たらしくブログを残してないで、消そうか悩んでるというか・・・まだ答が出ないので、とりあえずそのままにしておこうかな、という感じです。でも、大好きなとらねこさんのおところには、変わらず通わさせていただきますので、どうぞよろしくお願いいたします!!
本作。原作名のほうが、多くの人をつかみそうな印象なのですが、どうしてわざわざ「わたしがクマを〜」にしたのでしょうね!?でも、とらねこさんの感想を拝読して、わたしも観たくなりました。CS放送されたら、必ず観ま〜す(^^)
JoJoさんへ★
おはようございます〜♪コメントありがとうございます!
お久しぶりです〜!お元気でいらっしゃいましたか?
イエイエ、見抜いているだなんて‥
本当はブログ、また始めたくなったり、そんな気持ちもあるんじゃないのかな?と思うんですが‥。
でも、全部消去してしまうのは寂しいもんですよね!
こうして時々顔を見せてくれて、とっても嬉しいです!ありがとうございます〜。
ところで、この作品。
『ティファニーで子育てを』というタイトル、『ティファニーで朝食を』を思い出す方には心を引くタイトルなのですが、実際には全然ティファニーは出て来ないんですよ〜。
とは言っても『私がクマにキレた理由』も、クマ自体はあんまり関係ないんですけどね‥。
私がクマにキレた理由(わけ)
なりたい自分がきっと見つかる。マンハッタンのお仕事探し。
発売予定日は2009年11月6日
「私がクマにキレた理由」
アニーじゃなくとも、あれにはキレそう