130●パコと魔法の絵本
ファンタジー風彩りの、大人の絵本物語。
クドカンのドラマでも見ているかのように、ゲラゲラ笑いながら楽しめてしまう♪
真面目な映画ファンにはとてもオススメできないけど、たまには馬鹿もいいかもー、って楽しめる人は大勢居そう!
ストーリー・・・
一代で会社を作り、我侭放題に生きてきた大貫(役所広司)は、持病で入院していた。病院には、患者も医者も看護婦もクセのある者ばかりが集まっていた。その中で唯一、ピュアな心を持っていたのが、交通事故で入院した少女パコ(アヤカ・ウィルソン)。ワガママな大貫だったが、パコの優しい心に打たれ、毎日、絵本を読み聞かせるように。しかし、事故の後遺症でパコの記憶が一日しか持たないと知った大貫は、パコのために絵本をお芝居にしようと病院の人々に呼びかける・・・
’08年、監督・脚本:中島哲也
原作は、後藤ヒロヒトの舞台劇、『Midsummer Carol ガマ王子vsザリガニ魔人』。
原作のタイトルを最後に見て、「なるほどー」って思っちゃったのよね。
『Midsummer Carol』の部分がね。
Midsummerと言えば、『A Midsummer Nitght’s Dream』。あの舞台劇のシェイクスピアの『真夏の夜の夢』ね。大勢の登場人物が代わる代わるに登場し、真夏の夜に繰り広げられる、夢か幻か、といった、お喋りでハイテンションな舞台劇の傑作。
それから、Carol、この部分は、『クリスマス・キャロル』。
意地悪なスクルージが、とある出来事をキッカケに人間性を回復する、ヒューマニズムな物語なの。ね、なんか、ぴったりね。
この物語も大勢の登場人物が、次々に登場して、本当に楽しかったな。
妙ちきりんなキャラクターがどんどん登場して、嬉しくなってしまった。
とは言え、この物語で一番ノレなかった部分はというと、実はパコの難病が分かった時点だったりして。馬鹿バカしさに大喜びしていたのに、突然「はあ・・難病モノですかあ・・面倒くさっ」と思ったりもした。だけどまあ、そこら辺は仕方がない。最後までつきあうしかないな、こりゃ。だって、楽しいんだから。
何より、一人ひとりのキャラクターが、それぞれにトンガってて、楽しかったな。
大貫(役所広司)、パコ(アヤカ・ウィルソン)は文句なく、
自分的には、ピーターパン症候郡の医者、浅野(上川隆也)とか、ガラの悪い看護婦、タマ子(土屋アンナ)なんかが、お気に入り。
でも、“空気の読めない謎の人”、堀米(阿部サダヲ)はもっと好きッ
小池栄子も頑張ってたし、妻夫木もすごくイイ!
言ってみれば、みんなが皆、やってくれそうで、すごく楽しかったのでした。こんな楽しくってバカバカしいのは、邦画の主流なのかな?なんて思いそうなほどに。
そう、大勢の登場人物の設定なんかが、面白いから、基本のストーリーがここまでシンプルでも、楽しめちゃうのよね。
一番悪者なはずのザリガニ王子の役どころを、トラウマを持つ室町(妻夫木聡)が演じていたけれど。そんな風に、ここには悪人が出て来ないのね。そこも良かったな。
子役俳優の持つ悩みなんて、映画好きには「うんうん」と、納得せざるを得ないものがあったし、新鮮に感じたな。ドリュー・バリモアへのコンプレックスに関しては、「あーでもあの人、若い頃一時期売れなかった時代もあったからさー」、なんて声をかけたくなってしまったし。
『ET』で有名になりすぎて、青少年期はかなり苦労してたもんね。アイスクリーム屋のバイトとかやってたっけ。苦労するから今があるんだよー、って言いたくなっちゃったw
お金目当てで結婚した、雅美が一番の悪者(沼エビの魔女)なんぢゃー?!なんて思いそうだったんだけど、「歯ごたえのない亭主」、浩一(加瀬亮)が何とも優しい心の持ち主で、癒されちゃったし。多少、お金や出世に五月蝿いぐらいのしたかさなんて、誰しも持ち合わせているものなのかも、って思っちゃって。
ここの仲間の中に、調和しちゃってるから、まーいっかー、なんてさw
でもって、最後の最後で、まさかの感動がw
みんなで作った舞台劇が始まるところで、この映画の評価が決まっちゃったな。
今までの全てが、ここのところに集結してくるんだ、って勢いの、クライマックスの描き方。
「待ってました!」の喝采、やんややんやと言いそうになったよ、私。
ニコニコ顔で、泣きそうになりながら、楽しめちゃったのでした。
こういうエンタメ娯楽作品、悪くないよね!
バカバカしさ、幼稚さ、そういうものに付き合える、“大人子供”にピッタリの作品だったよ。
とか言いつつ、一番好きだった台詞はというと、木之元(國村隼)のこの台詞なんだけどね♪
「男はコーヒー、女はミルク、
混ぜて混ざってオカマはカフェオレ」
*メモ*
・役所広司・・・大貫・・・ガマ王子
・アヤカ・ウィルソン・・・パコ
・妻夫木聡・・・室町・・・ザリガニ魔人
・土屋アンナ・・・タマ子・・・メダカ
・阿部サダヲ・・・堀米・・・ヤゴ
・山内圭哉・・・龍門寺・・・ミズスマシ
・小池栄子・・・雅美・・・沼エビの魔女
・國村隼・・・木之元・・・ガマ姫
・上川隆也・・・浅野・・・タニシ
・劇団ひとり・・・滝田・・・サカナ(通行人)
2008/10/27 | 映画, :SF・ファンタジー
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コメント(30件)
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「パコと魔法の絵本」
思い返しただけで涙が溢れてくる。中島哲也監督の前作「嫌われ松子の一生」のときもそうだった。満員の客席で、隣に座ってた小学生の男の子には奇異に映ったかもしれない。でも大貫と同じ。涙の止め方が分からないのだ。それも早々と中盤で。毎日元気な笑顔で絵本を広げて…
「パコと魔法の絵本」中島哲也
パコと魔法の絵本
2008日本
監督:中島哲也
原作:後藤ひろひと
脚本:中島哲也、門間宣裕
美術:桑島十和子
出演:役所広司、アヤカ・ウィルソン、妻夫木聡、土屋アンナ、阿部サダヲ、加瀬亮、小池栄子、劇団ひとり、山内圭哉、國村隼、上川隆也
前知識一切なく観…
むむっ!スクルージとの繋がりを読むとは鋭いですねっ!!まったく気がつかなかった。さすが。
ワタシもこの映画とても楽しんだけど、でも少し寝たんですよね〜またかい^^;
おかげでなんでパコがホッペにばんそこしてるのかがよくわかっていない(あとで子供におしえてもらいましたけど)
この原作の舞台、とても好きな作品なんです。
タイトルの部分は、とらねこさんの読みどおりです
パコと魔法の絵本
『昨日をなくした女の子と明日がいらない大人達のミラクル感動ファンタジー』
コチラの「パコと魔法の絵本」は、2004年に上演された「MIDSUMMER CAROL ガマ王子vsザリガニ魔人」という舞台をベースに、日本映画では初となる3DのフルCGキャラと実写を融合させ映画化し….
あたし的にはアンナちゃんのナース姿を見れただけ
でも充分満足な映画だったのですが(´▽`*)アハハ
笑って泣いて大忙しの映画でした。
本当キャストがハジけまくりで楽しかったですよね〜♪
「パコと魔法の絵本」
パコと魔法の絵本
http://www.paco-magic.com/index.html
『下妻物語』
http://blog.goo.ne.jp/tagomago1021/e/029a649fa6f863832fd958212207134c
の中島哲也監督の映画やし
『嫌われ松子の一生』
http://blog.goo.ne.jp/tagomago1021/e/9d19c8403c03a62d313e695978875a…
こんにちわ。
たしかに、このハイテンションのバカバカしさに
突然難病ネタは面倒クセーって思うかもです(苦笑)。
でも、おバカと感動をここまで絶妙なバランスで
ドッキングさせるだなんて、なんだか中島監督らしいな
と。
予想以上に笑えて泣けて、とっても楽しませてもらった
作品でしたー♪
manimaniさんへ
こんばんは〜♪コメントありがとうございました★
お、お子さんに物語を教えてもらったんですかー。この映画をお子さんと見に行くなんて、素敵ですね!
そうそう、大貫はスクルージだなーと思いましたよー。
ochiaiさんへ
こんばんは〜♪コメントありがとうございました。
おーっ。ochiaiさんは、この作品、舞台からご存知でいらしたんですね!
これ、舞台も面白そうですね^^
miyuさんへ
こんばんは〜♪コメントありがとうございました!
アハハ!土屋アンナ、柄の悪い看護婦って、本当地でやってるのがモロバレで!なんか可笑しかったです
本当、みんなハジけてて楽しそうってのはいいですよね。
睦月さんへ
こんばんは〜♪コメントありがとうございました。
>難病ネタ
うん、自分の場合、難病ネタって難病ネタが、とにかく根絶したいほど嫌いなので、
この作品じゃなくてもムッと来たと思います
文化祭では、頑張る気なかったのに、いつの間にか本気で取り組んでいた高校生の如く、
私もこの熱気にいつの間にか押されてましたよ♪
この物語の登場人物たちの役柄がまさにそうだったように。
怒涛の不思議ワールド全開の展開に、呆気にとられつつしっかりその世界にはまってしまっていました。バカバカしくも楽しく、笑いながらほろりとさせられて・・・。
登場人物がみ〜んなハイ・テンションでハジけていて、こんなに好きにしていいんだ〜、という妙な(?)爽快感が気持ちよかったです!!
パコと魔法の絵本
*公式サイト
2008年/日本/105分
監督・脚本:中島哲也
原作:後藤ひろひと
出演:役所広司、アヤカ・ウィルソン、妻夫木聡、土屋アンナ、 阿部サダヲ、加瀬亮、小池栄子、劇団ひとり、山内圭哉
『下妻物語』『嫌われ松子の一生』の中島哲也監督の…
rubiconeさんへ
こんにちは〜♪コメントありがとうございました。
うん、そうですね^^
まさに、「呆気にとられつつ、しっかり世界にハマってしまった」同感です
とにかくハイテンションな映画でしたよね!
変な登場人物ばっかりでした^^;
患者だけでなくその関係者や医者や看護師まで
病的で何かしか体や心に病を抱えてて、表現が
下手なのに賑やかで・・・他人から見たら滑稽で
も実際は本人たちは真剣だったりする。
少々表現はオーバーだけど、オイラもけっこう
不器用な人生を歩む一人として、なんだか妙に
親近感わきました。(⌒▽⌒)
オイラはパコが健気に「今日はパコの誕生日なん
だよ♪」って言う度に涙が・・・。やっぱ子役の演技
ってズルいよ!(T△T)
でもこの映画好きさ☆ヾ(@^▽^@)ノ
「パコと魔法の絵本」
ゲロゲーロ! ゲロゲーロ!
ガマの王子はわがまま王子。ガマの王子は嫌われ王子。
中島監督、期待にたがわず、楽しませてくれました。
アヤカちゃんはかわいいし。予想外にあんな話(病気のことですが)にしたもんだから、泣かされてしまいましたー。
この監督は要チェックですね。
ガンヘッドさんへ
こんばんは〜♪コメントありがとうございました。
うん、本当、賑やかで滑稽で♪
病院を舞台にした、色彩色豊かな変テコ箱庭世界、
なかなかに堪能できました。
私も、共感できましたお!
ガンちゃんもだったなんて・・カワユス!
パコが「今日は誕生日」っていうたんびに泣いちゃったんですか★
うぁ・・そいつは、素敵だ!
なんて泣き上戸な御仁だらうー!
うんうん、私も思い出したら泣けてきたよ・・ビエエエエン
ボーさんへ
こちらにもありがとうございます♪
この監督さんをボーさんはお好きだったのですね。
「人のために何かをする」というのは、本当に貴重なことですよね!
パコと魔法の絵本
【映画的カリスマ指数】★★★★☆
ホッペの合図でスウィートメモリー
映画:パコと魔法の絵本 を観てきました。
前回の映画関連記事を書いたのが10/5なので、映画ブログのくせに約1ヶ月ぶりの映画記事です。
しかも観てから記事を書くまでに気がつけば2週間たってしまいました!!ちょっと記憶が薄れ気味です(^^ゞ と言うわけでパコと魔法の絵本を観てきました。
パコと魔法の絵本
公式サイト。中島哲也監督、役所広司、アヤカ・ウィルソン、妻夫木聡、土屋アンナ、阿部サダヲ、加瀬亮、小池栄子、劇団ひとり、山内圭哉、國村隼、上川隆也。「お前に名前覚えられるだけで不愉快だ」という傲岸不遜の偏屈じじい大貫(役所広司)が、決して自分の名前を覚えて….
最近映画を見ていなかったせいか、がーんときて涙出ちゃいました。一番来たのは満を持してザリガニ魔人が登場するところだな。お子様キャラなのは分かってたけど、あの過剰さには笑いすぎで窒息しそうだったでちゅー。
denkihanabiさんへ
こんばんは〜♪コメントありがとうございました。
映画しばらくご覧になってなかったんですね。
ザリガニ魔人は、本当とうとう登場か!という感じでしたね。
私はその前のヤゴで大喜びしていたんですがw
こういう、みんなが楽しめる映画いいですよね!
また映画見たい〜、って気持ちを促してくれますね。
【2008-215】パコと魔法の絵本
人気ブログランキングの順位は?
子どもが大人に、読んであげたい物語。
パコと魔法の絵本
気分転換だと思って、お薦めに名前を挙げている人も多い『パコと魔法の絵本』のDVDを見た。
何の予備知識もなく、名前からして、Disneyだのピクサーだのが作りそうな、大人のファンタジーとは名ばかりの子供向け映画か、ティム・バートンあたりが撮るような不思議世界か…
【映画感想】パコと魔法の絵本(役所広司×阿部サダヲ)[2009-074]
「嫌われ松子の一生」の中島哲也監督が監督した『パコと魔法の絵本』を観ました。
予告編を見ていて、すっかり子供向けの映画だとばっかり思っていたんです。が、実際は全然違いましたね。
笑いあり、感動あり、涙あり。美しい映像美と独特の世界観、個性溢れるキャラクタ…
『パコと魔法の絵本』’08・日
あらすじ舞台はちょっと変わった人たちが集まっている、とある病院。中でもわがまま放題のクソジジイ・大貫は病院中の嫌われ者。そんな大貫がある日、パコという名の女の子と出会います・・・。感想『下妻物語』、『嫌われ松子の一生』の中島哲也監督の作品。後藤ひろひと…
パコと魔法の絵本
2008年:日本
原作:後藤ひろひと
監督:中島哲也
出演:役所広司、妻夫木聡、土屋アンナ、阿部サダヲ、加瀬亮、小池栄子、劇団ひとり、山内圭哉、國村隼、アヤカ・ウィルソン、上川隆也
一風変わった人たちが集まっている、ある病院。病院中の嫌われ者でわがまま放….