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129●ざくろの色

ざくろの色’71年、ロシア(当時だから、ソ連というべきかな?)
監督:セルゲイ・パラジャーノフ、セルゲイ・ユトケーヴィチ
出演:ソフィコ・チアウレリ、M・アレクヤン、V・ガスチャン


18世紀の詩人、サヤト・ノヴァの生涯。アルメニア、グルジア、アゼルバイジャンが舞台。


宗教的で神秘的、観念的で、台詞が極度に少ない。なので初めはとまどってしまいました。
だが、第一章が終わる頃には、自分のこの作品に対する見方を変える必要がある、と強く感じざるを得なくなっていました。

一編の映像詩によって綴られる、詩人の生涯。
書物に興味を覚え、恋をして、囚われの身となり、そして生涯を終える。
だが彼の残した詩は、芸術は、誰かを点す灯りになり、宇宙的な拡がりを持って、残っていく。

宗教の儀式の部分は、自分に知識がないため、どう捉えるべきなのかは分かりません。
だけど、一つ一つの章ごとに見れば、そこに描かれていることを発見するのは、全く難しいことではないです。
象徴的に描かれているというよりは、そこにある映像を感じるために描かれている。だから、感じよう、とするだけで埋めることは可能なんですよね。
絵を見て、それを楽しむのと全く同じ。むしろ、解釈する必要すら覚えないところが、清々しく、清々しい気持ちで鑑賞することが出来る、そんな作品でした。

絵画が映像となったら、ちょうどこんな風に映るのかな、そう思いながら、楽しむことが出来る作品でした。

静かな、静かすぎる一つひとつの章は、全てのストーリーを繋ぎ合せながら見ることすら、拒否する映像、と言えるかもしれない。
だが、最後になって、ハッと気づくと思います。これが一番言いたいことだったのだと。
少なくても私は、最後の情景を見て、心が震えました。
あの蝋燭を見て、心を動かされずには居られなかったです。

この詩人、サヤト・ノヴァの遺した詩が描かれていない、ということにも注目すべきことかもしれません。


ただ、静かすぎて究極に眠くなるので、スペアミントを噛み過ぎて、終わる頃には口の中が辛くなってしまいました。
そんなことを言ったら台無しですね。ごめんなさい。
でも、絵に興味のある人には、この映像もきっと、心を打つものとなると思います。

ざくろの色@映画生活

 

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コメント(12件)

  1. 「ざくろの色」セルゲイ・パラジャーノフ

    ざくろの色コロムビアミュージックエンタテインメントこのアイテムの詳細を見る
    1971ソ連
    監督:セルゲイ・パラジャーノフ
       セルゲイ・ユトケーヴィッチ
    日本最終上映とかで劇場鑑賞
    したんだけど、ここちよくてすやすやと寝てしまったな。
    断片的に観た感じだ…

  2. こんばんは
    寝ましたとも。それはもうすやすやと
    という内容でTBしてしまいました。
    すみません。
    機会があったらもう一度観たいです。
    >絵に興味のある人には、この映像もきっと、心を打つものとなると思います。
    そうそう。そう思いますね〜

  3. どうもはじめまして。
    映画系のブログを書いているheavenSmileといいます。
    もしよかったら相互リンクをお願いできないかと思い、ご連絡させて頂きました。
    すでに私のサイト内にリンクは設置済みです。
    こちらに掲載しておりますのでご確認下さい。
    http://hasevenlime.seesaa.net/
    もしリンクして頂けるようなら
    下記を参考に当サイトへのリンクをお願いします。
    ■サイト名
    Watch IT!
    ■URL
    http://hasevenlime.seesaa.net/
    リンク頂けた場合は、当サイトのコメント欄及びメールに
    ご連絡いただければと思います。
    それではよろしくご検討下さい。

  4. とらねこさん、こんにちは。
    ちょうど『落下の王国』つながりで、『ざくろの色』の話をしていました(latifaさんとかと)。
    関西では9月に「最終上映」があったのですが、私は行けませんでした。
    とらねこさんは、劇場でご覧になったのですか?
    映像が、凄いらしいですね。。いつか、絶対観たい映画の一つです。
    でも、「最終上映」ってもう観られないのかなー、ガーン!!
    アンコールして欲しいです。。
    ではでは、また来ますね。

  5. 人間は二種類に大別される
    タル寝派とパラ寝派である
    大脳生理学的には、視床下部視交叉上核から松果体ニューロン受容体に至る連鎖反応の応答性に、外部刺激がタル波動かパラ波動で個人差があることに起因するものと考えられている
    〜「寝る子は育つ映画論」
    マイク・ハルオビッチ著 民明書房刊
    スイマセン!てきとーぶっこきました(笑)
    でも、わたくしタルコフスキーは鬼門だけどパラジャーノフは平気なんですよね〜

  6. manimaniさんへ
    こんばんは〜♪コメントありがとうございました。
    そうですかmanimaniさん、またまた寝ちゃったんですね
    いつもそうおっしゃってTBをいただいている気がしますが(笑)寝てしまった時でも遠慮なく!お待ちしていますんで(笑)
    絵画の一枚一枚のシーンみたいで、心奪われますよ。

  7. heavenSmileさんへ
    こんばんは!初めまして。
    コメントありがとうございました。
    リンク申請ありがとうございました。
    相互リンクですが、現在は数が増えすぎてしまったので、折りをみて、とさせていただいております。
    申し訳ありませんが、しばらく様子を見させてくださいませ。

  8. 真紅さんへ
    こんばんは〜♪コメントありがとうございました。
    >最終上映
    そうなんですよ、東京では、8月15日〜8月22日まで、シアターイメージフォーラムというところでやっておりました。
    大阪でもやってたんですね〜。
    記事をUPするのが遅くてすいません。これ、だいぶ前に書いてたんですが、すっかりUPするのを忘れてました。
    ちなみに私が見たのは、最終日でしたが、拍手しているお客さんが居ました。
    真紅さまも、見れる機会が来るといいですね・・。

  9. みさま
    こんばんは〜♪コメントありがとうございました!
    おお、タルコフスキーよりパラジャーノフの方が好きなのでしょうか?
    みさまは、タル波動よりパラ波動派なんですね。うむー。
    でも。本当はみさまは、ホド波動の方がよりビンビンキてるんじゃないですか?いかがでしょう?図星?
    みさまがタルコの方が眠いなんて、ちょっぴし寂しいですー。
    ところで、みさま、話が変わるんですけどね・・
    あの、蔵六が・・いやなんでもない

  10. ざくろの色:内容は理解困難だけど映像はすごかった シアターイメージフォーラム

    タルコフスキーと並び評されるセルゲイ・パラジャーノフの動く絵画。 日本最終公開につられて行ってきました。 タイトル:ざくろの色 監督・原案:セルゲイ・パラジャーノフ 出演:ソフィコ・チアウレリ 製作:1971年アルメニア この映画は詩人の一生を通して、西アジア….

  11. これまでの対戦成績
      対タルコ軍     対パラ軍
    ソラリス   轟沈 火の馬     生還
    鏡      撃沈 ざくろの色   完走
    ストーカー  轟沈 スラム砦の伝説 完走
    ノスタルジア 完走 アシク・ケリブ 完走
    サクリファイス生還
    なぜか圧倒的にタルコ軍に対して分が悪いんですヨ
    眠い=ツマラナイ訳ではなく好きで何度も観に行ってるんですけどネ…
    パブロフ状態なのか?タルコレプシーて病気なのか?
    >ホド波動
    図星ですね(笑)
    側座核A10神経近傍がドーパミン過剰に…
    て、そりゃS食った際の作用ですな
    タルコもパラも作品が理性的かつ静謐な印象なんですけど、ホドはもっとイド臭いというか、ほっとくとドンドン下世話な方に行く感じが(笑)
    端的に言うとキチ○イ風味高めな所がラブ!
    >・・いやなんでもない
    もしや、ケッコ…!?

  12. みさま
    軍歴状況早見表、ありがとうございますー★
    なんと、見事にタル寝派でいらっしゃいましたか。
    私は、ここにある全部をまだ見てないのですが、今後もここを参考にさせていただこうと思いますー。でも、自分にとって、『ストーカー』はもしかした
    ら、最高傑作じゃないかと予想してます。
    なのでタルコレプシーなんて聞くとちょっと悲しい・・
    ホドはイド臭いですね(笑)確かに、タルパラにはない下世話さw
    カーブ手前で、芸術に分類される快感
    みさまのキ○ガイ★ラブ具合って、とっても素敵♪
    「醜いものこそ美しい」的ハイセンスな美的センスの持ち主だけが享受できるものなのカモしれやせんが
    ホドはその点、いい具合にイドチックですもんね。
    輝男も分類ホドですしね〜
    ところで、みさまは、私の大好きなショーン・ペンはいかがでしたか?
    やっぱり、現実社会生活に馴染むが故に、形而上学的思考が一切相容れない派?
    >もしや
    今度メールしますね(気が向いたら)




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