122●シティ・オブ・メン
“銃と暴力のファヴェーラ・サーガ第二章”・・・
そう聞いてしまったら、見ざるを得なくなってしまって。
『シティ・オブ・ゴッド』に震えるほど感動し、映画にブン殴られるような思いをしたのが、もう’02年、6年も前のことなのね。
フェルナンド・メイレレス監督は、製作に携わり、別のパウロ・モレッリ監督がメガホンを撮った今作。
あの傑作である前作、『シティ・オブ・ゴッド』には、足元にも及ばない作品かもしれない。
前作とは、全く別物の話。・・・とは言え、これはこれで面白く見れたし、私は満足。
激しい男同士の戦いを描けば描くほど、その中で煌く男同士の友情こそ、価値のあるものだ、と・・・。あ、これだけ見ると『DOA』ですわww
ブラジルの貧民街であるファベーラを舞台に、繰り広げられる物語。
TVのシリーズにもなって、人気も博したらしい。
もはや衝撃度の高い作品、というより、共感を得るべき物語として、ブラジル本国では、見方が定着しているんだろうなあ。そんな風に想像できた。
ストーリー・・・
子供の頃から、一緒に過ごし、まるで兄弟のように一緒に育った、ラランジーニャ(ダレラン・クーニャ)と、アセロラ(ダグラス・シルヴァ)。
この二人が、大きくなるにつれ、実は二人を真っ二つに分かつかのような、出生の秘密がそこにあったのだった。・・・
ラランジーニャとアセロラの二人の友情物語。バディ・ムービーの好きな人には、つい心を開いてしまう物語なんじゃないかな、と。
背景にあるのが、あの悪名高いファベーラ、ブラジルの貧民街であっても、いや、だからこそ、人と人との絆が一番尊い、ってことに、気づいたり、泣いたり・・・爽やかな思いが駆け巡るラストは、男泣きすること、受け合いなのだ。
以降、ネタバレで語ります::::::::::::::::::
撃ったのは確かに後姿だったのよね。
だから、事実だけを見れば、二人は憎しみ合い、殺し合う運命だった、てことだろうな。
だけど、事実はそうじゃない、というのがそこにあって。観客は知っているんだけれど、二人は知らない。
この辺り、もう少し上手に見せてくれれば、二人が対峙するあの緊張感に、もっとギリギリ感を与えられるとたのに、と思わなくもない。
二人は、まっすぐに目を見つめ合うことで、彼らの本当の思い、というのをもう一度、確かめることが出来た。
二人を取り巻く状況と、どうしても消せない過去にも関わらず。
あの二人の緊張感、あそこをもう少し究極的に描くことが出来たら、この作品に関する評価はもっと高くなったに違いない、と思った。
フェルナンド・メイレレス監督が撮ったら、どうなっていたかな。
少し知りたいところではあります。
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コメント(11件)
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『シティ・オブ・メン』 Cidade dos Homens
この街で生きてきた男たちはたくましい。
リオデジャネイロの貧民街区“ファヴェーラ”で生まれ育った二人の少年、アセロラとラランジーニャは親友同士だった。『シティ・オブ・ゴッド』の衝撃は忘れられないよねぇ。決してバイオレンスな映画は好きな方ではないのに、ア…
お久しぶりでございます。
僕も“銃と暴力のファヴェーラ・サーガ第二章”という謳い文句につられて観に行ってしまいました。
てゆーか『シティ・オブ・ゴッド』を観た人ぐらいしかこの映画観に行ってないんじゃないでしょうか?
『シティ・オブ・ゴッド』は本当に衝撃作でしたからね〜
あのリトル・ゼのイカつさにかなうギャングはいませんよ!(ジミヘンにちょっと似てるし)
あの作品と比べてしまうのがいけないのですよね、この作品はこの作品でよく出来た内容だと思います。
てゆーかとらねこさんのような女性の方でも男泣きするのですか?(笑)
セパルトゥラぐらいしか知らなかったけど、ブラジル映画はBGMがカッコいいですね〜
関係ありませんが明日、カーカスのライヴ観に行ってきます。
シティ・オブ・メン/City of Men
1960〜1980年代にかけてのリオデジャネイロ、貧困にあえぐスラム地域を舞台に、
強盗、麻薬ディーラーなどをして金を稼ぐモレーキ(ストリートチルドレン)たちの抗争が
実話を基にして描かれたフェルナンド・メイレレス監督の2002年作品『シティ・オブ・ゴッド』
ずっと気…
とらねこさん★
あはは、違いましたのね〜^^
でもとらねこさんとは同じ都内だし
観てる作品も同じの多いし
(すきな監督もかぶってるしネ)
どこかでニアミスもしくは会ってても不思議じゃいですね★
いつかちゃんと会いたいですね〜♪
で、この作品
わたしも『シティオブゴッド』がすごく良かったのでこちらの方が落ちちゃったけど、、、。
あちらの方がすごくリアリティありましたよね。
衝撃だった〜!
(って今回の映画の話になってません^^;)
あましんさんへ
こんばんは〜♪コメントありがとうございました!
あましんさんてば、久しぶり〜!
私のこと、覚えていてくれて、ありがとー
アハハ、確かにこの作品て、前作を好きだった人が、つい見に行っちゃってた感じ!
面白かったよね〜、ゴッド。
リトル・ゼ/リトル・ダイス、イカつかった〜!
あんなのが目の前に居たら、走って逃げますね、まず間違いなく。
それなのに、こちらの作品では、全く違うアセロラ役で・・・さすがでしたね!
えー!ジミヘンに似てましたか(爆)^^
ぷぷ・・確かに出っ歯は出っ歯だったけど、ジミヘンほど色男ではないと私はおもー。
アハ、男泣きしてしまいましたw
体育館座りで、泣き声を殺して、ういっ、ひっくと泣きましたね
そうですね、ブラジルの雄って言えば、第一にセパルトゥラが来ますよね。ILL NINOとか出て来たら、あましんさん、やるな!って思うんだけどな。
ILL NINOって、ブラジルのハードコア/ミクスチャーバンドで、HM寄りで面白いですよー。
カーカス、懐かしいッスね〜♪
自分はデスメタルはそれほど聞き込んでないので、せいぜいセパルトゥラ(『Arise』時代)、カーカス、カニバル・コープスぐらいしか聞いてませんでしたよー。
migさんへ
こんばんは〜♪コメントありがとうございました!
そうですね、どこかでmigさんに会っててもおかしくないですよね!
うん、何かと共通点はあるような?って思いますよ〜!
ホラーが好きだしw
ホラー好き女子はあんまり居ないですからねー。てへ♪
どこかでお会いしたら、声かけてくださいね〜☆
私も勇気を出して、声かけちゃうかも!?
migさんはこちら、ちょっといまいちでしたかー。
比べちゃうとどうしてもそういう感想になっちゃうかな?
ブライドネスも楽しみですね〜!
こんばんは。
今更ですが観てました。
相変わらず壮絶なスラムでの生活と男の友情にぶん殴られました。
ですが、父親のエピソードはいただけなかったです。
明らかに背中を撃ってるし、警察に窃盗で捕まるのもなんかしょぼかったです。
ギャングのリーダーが死んでしまうのも残念でした。
面倒見のいい人なのに残念です。
『シティ・オブ・メン』 2008年86本目
『シティ・オブ・メン』 2008年86本目 10/5(日)仙台フォーラム
ブラジルのスラム街での男の友情とギャングの抗争を描いた『シティ・オブ・ゴッド』の続編。
COGは壮絶だった。
少年達のエピソード。ギャングンの抗争。友情と裏切り。
力が支配する世界での友情。…
健太郎さんへ
こちらにもコメントありがとうございます。
そうですね、男同士の友情ものでしたね、これ。
父親のエピソード、受け入れられませんでしたか?
>明らかに背中を撃ってるし
その時の押し問答の様子で、本気で撃たれる直前に、相手を撃つ事を選んだのですが、
ふとした瞬間に武器を取ろうとしたところ、相手に向けて発砲すると、背中に当たるのでしたね。
>ギャングのリーダーが死んでしまうのも残念でした
前の作品『シティ・オブ・ゴッド』では、生き残る人がほとんど居ないというぐらい死んでしまいますね。
この映画、ほとんど人が死なないことの方に、自分は驚いたのですが。
>背中を撃つ
これも感覚の違いなんですかね?
私には卑怯に感じます。
やるかやられるかの世界ではそんな事行ってられら無いのですね。
>ギャングのリーダー
面倒見がいいので生き残ってほしかったです。
粗方死んだメンとは違い、生き残ったのも多かったですからね。
健太郎さんへ
こちらこそTBコメントありがとうございました。
そうですね、私は「背中を撃とうとして発砲した」シーンとは思わなかったんですよね。
つまり、「真実がどこにあるのかは、当人しか知りえないこと」であって、物語の根本にある問題とは思わなかったので。それほど自分は気には止めませんでした。ジュニア世代の彼らが、親の仇ということで、脈々と恨みの連鎖を繋げていかなくて良かったと思ったのですが。