114●881 歌え!パパイヤ
シンガポール映画って、すごく珍しい!とそれだけで見に行った作品。
これ、シンガポール映画で、本国では、去年’07年で10人に一人が見ているという、大ヒット作らしいと聞いて、
思わず期待してしまったのでした。音楽映画好きだし。
ストーリー・・・
リトル・パパイヤ(シンディー・オン)とビッグ・パパイヤ(ヤオ・ヤンヤン)の小さい頃からの夢は、ゲータイ(歌台)の歌手になること。2人はパパイヤ・シスターズと名乗り活動を始めるが、歌に感情が込められていないと言われ、お針子のリンおばさん(リウ・リンリン)に猛特訓を受けることに。リンは2人のために、長年疎遠になっていた双子の姉“ゲータイの女神”(リウ・リンリン@一人二役)に助けを求め、女神は2人に願いをかなえることを約束する。女神のパワーと2人の努力で、パパイヤ・シスターズは徐々に人気が出始めた・・・
’07年、シンガポール。
何でも、’04年の『TIME』誌に、「アジアのヒーロー20人」に選ばれたという、ロイストン・タン監督。ちなみに、日本からはその年、柳楽優弥とドラエモンが選ばれたとか。
この映画を見る時に、そもそも“ゲータイ”(歌台)って何だろう?と。
HPによると、シンガポールでは、7月になると、地獄の門(鬼門)が開いて、霊が現世に戻ってくる、という信仰があって、
その帰って来る霊たちを慰め、楽しませるために、開かれるのがゲータイなんだそう。そして、この時期に、祖先や無縁仏たちを供養する、という、「ハングリー・ゴースト・フェスティバル」というお祭りが開かれるそうです。
シンガポールの他には、香港・台湾・ベトナム・マレーシアにても、同様の期間が設けられているそう。
こうして見ると、随分と派手そうに見えるんだけれど、祖先や無縁仏を供養する、というと、日本ではお盆かな・・・?それにしては、この派手さ!国民性のあまりの違いに、もはや羨ましいような気すらしてしまう。
ゲータイ、一度見てみたいな。
正直、ストーリー自体は、お粗末な感じはある。
物語の展開がベタで、思いっきりZ級。何か聞いたことありそうな成功物語なのだけれど、途中から難病ものになって来て、ベタな上にさらに面倒くさくなってしまった(苦笑)
もっと爽やかに仕上げてくれればいいのに、悲しげなテイストが好まれるのかな?(左画像は、リトル・パパイヤ役の、シンディー・オン)。
恋人も作らず、性欲も諦めて、清く正しくゲータイ歌手の道を歩んだはずが、いつしか恋に・・・という辺り、もう少し面白くしてくれてもいいような題材だったのに、すっかり空振りな状態で、あまりにガッカリ。
そして、途中からリトル・パパイヤがガンが発病。
エンタメ作品であれば、普通は、「明るく元気に!」と行きそうなところだけど、このゲータイそのものの持つ気質のためか、
歌詞があまりに暗く悲惨で、庶民的の悲しさを描いた歌詞が多い。
さらにはメロディーも、前時代的マイナーキーでグイグイ推してくるので、ノリノリになることも(私に限っては)出来なかったのでした。
もともと、こういうテンポの音楽が苦手だからかも・・・。
この楽しげな衣装と、うらはらに、あまりに悲しいその歌詞。
衣装の楽しさで目が楽しむ一方で、悲惨極まりない歌詞にドン引きしたり、
そのギャップが面白いっちゃー面白いんだけれど、
途中ですっかりおなかいっぱいになってしまったのでした。
敵役のドリアン・シスターズも、単に悪役というだけでなく、もっとキャラ立ちしていたら楽しかったな。
で、一番キャラ立ちしていた、というとこの人だったんですよ。
リンおばさんと、ゲータイの伝説の女神役の、一人二役を演じたリウ・リンリン。
この人自体、ゲータイの歌手をずっと続けていた人、ということなので、この人が本気を出して歌うシーンが欲しかったところ。
終わってみれば、この人の印象が一番強烈で、主人公パパイヤ・シスターズの印象もかすむぐらいだった!
シンガポール映画ということで珍しいなあと思って見てみた訳ですが、
変わった珍妙な果実を食べてしまって、腹を下しそうになった、という感じ。
でも、ストーリーはおいておいて、この手の音楽が好きな人には、楽しめる作品かな。
・881 歌え!パパイヤ@映画生活
2008/09/03 | 映画, :音楽・ミュージカル・ダンス
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コメント(5件)
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『881 歌え!パパイヤ』
ただショーを見せてくれればオッケー。
ゲータイ(歌台)の歌手になることが夢だったリトル・パパイヤとビッグ・パパイヤの2人はパパイヤ・シスターズを結成する。シンガポール映画というのは、ほとんど観たことがない。『フォーエバー・フィーバー』をVIDEOで観たくらい…
こんにちは♪
何年か前に「フォーエバー・フィーバー」
っちゅうシンガポール映画を恵比寿で観た
ことがありますよ。
トラボルタの「サタデーナイト〜」とB・
リーに憧れる青年の青春ダンスコメディと
言った感じなんですが、まぁこちらもお粗
末感は否めないと言ったところです。
が、それでも決して嫌いじゃない作りでした。
ここ数年タイの映画がオモシロいこともある
んで、シンガポールなりベトナムなりともっ
と東南アジアの作品を観たいと思っている
今日この頃でもあります♪ (゚▽゚)v
とらねこさん、084!
同じく私もこのテンポの音楽にはどうものれず…。
笑いあり涙ありで盛りだくさんのはずなのに、どちらにも着いていけなかった感じ。
シンガポールの人たちはどちらも楽しめるのかにゃあ。
ホント、珍妙な果実でした。
でもまぁ、物珍しさがよかったっす♪
風情♪さんへ★
おはようございます♪コメントありがとうございました!
>フォーエバーフィーバー
あ〜!私も見ました!これ、なかなかでしたよね!
私はブルース・リーが世界一カッコいいと思ってるんで、見ないわけがありません!
『サタデーナイト・フィーバー』、実は見たことなかったので、この次に借りてみました。
比べるとこの2つ、またさらに面白かったな〜!
タイ映画、面白いのありましたか?
私ね、今トルコ映画で面白いのないかな〜って、探してるんですよぅ〜。
かえるさんへ
こんばんは!コメントありがとうございました★
かえるさーん、ゴーゴー7188♪
084て!かえるさんてばユーモアのセンスもいい感じス。
本当、シンガポールの人達には、この笑いあり涙ありなテイストが、一粒で二度美味しいって楽しめるんでしょうか^^;
私には、あの最後の、カメラがグルグル回って髪が抜けてくシーンとか、ビックリしちゃいましたぁ〜。