76●ゼア・ウィル・ビー・ブラッド
映画にコテンパンにしてやられた感じ。
腹にこう、ボフっっっっ・・・と思い切り入って、効いたよホント。
しかも、後から後からジワジワくるボディブローでもあり。
終わった後、ご飯食べる時、喋るのが面倒にさえなって、口数が少なくなってしまった。
ストーリー・・・
一攫千金を夢見るダニエル・プレインヴュー(ダニエル・デイ=ルイス)は、幼い1人息子、H.W(デイロン・フレンジャー)を連れて石油の採掘を行っていた。ポール・サンデーと名乗る、とある青年(ポール・ダノ)から、「故郷の広大な土地に石油が眠っている」と聞いた彼は、パートーナーのフレッチャー(キアラン・ハインズ)と共に米西部の小さな町、リトル・ボストンに赴き、安い土地を買占め、油井を掘り当てる。しかし、油井櫓が火事になり、幼い息子は聴力を失う。精神に混乱を来した息子を、プレインビューは彼方の土地へ追いやってしまう。・・・
’07年、アメリカ。
ポール・トーマス・アンダーソン監督・脚本・製作総指揮。
ダニエル・デイ=ルイスは、アカデミー賞主演男優賞受賞。
撮影賞も受賞。
『ブギー・ナイツ』、『マグノリア』、『パンチドランク・ラブ』のポール・トーマス・アンダーソン。
自分的にはこれまで、それほど好きというほどでもなかったこの監督だけれど、今回は、堂々たる気迫がみなぎっていて、思わず圧迫されそうになるほど。
破壊力は抜群。
おそらく、何かと『ノーカントリー』とは比べられるだろうな、と思う。
同じように、アメリカの闇を描いた作品であるし、アカデミー賞関連ということも手伝って。
究極的な言い方をすれば、
私から見ると、『ノーカントリー』より、こちらの作品の方が、より本当のことを言っている分、怖ろしくてキライ。
こちらの作品の方が、より完成度は高いと自分は思うけれど。
そして、のっけからイキナリ不協和音を奏でる、この秀逸な音楽は・・・
誰かと思えば、ブリットロックの大御所、Radioheadのギタリスト、ジョニー・グリーンウッドですって!?
うーん、素晴らしい仕事ぶり。彼を選んだそのセンスがまた、ヨイネ。
先にあらすじだとか、映画の基本的事項をチェックした人には、分かっているであろうけれど、
何も知らずに見た私には、この物語の途中までずっと、ダニエル・プレインビュー(ダニエル・デイ=ルイス)を、それほど一般的な人間像からかけ離れた何か、とは決して思わなかったよ。
アメリカン・ドリームの闇、だとか、そこに渦巻くドス黒い欲望、つまりそういう、「自分たちの全然馴染みのない、どっか異世界の人間」のようには思わなかった。
むしろ、前向きで、ひたむきで、夢をかなえるために労苦を惜しまない、苦労人のようにすら見えてしまった。
底にずっと流れる、不安感を感じさせる、落ち着かなさ。
嫌な物事を感じさせるような、怖ろしい予見。
素晴らしい音楽の力でもって、ずっとそんな思いが横たわってはいるのだけれど、
ダニエル・プレインビューは、基本的には、最初から決して“単なる嫌な男”でもなければ、欲に駆られた究極的なモンスター、ではないのだ。
むしろ、一つ一つの行動を積み重ねることで、罪をドンドン深く重ねてゆき、
一つの出来事がまた一つの出来事を呼ぶ形で、だんだんに罪を重くしてゆく。
石油の発掘という、大変な事業を行うからには、そこはいつも平和というわけにはいかない。
大事故に繋がることもあれば、競争相手を負かさなければならない。
そんな難しい状況の中、しゃかりきに頑張るダニエルの姿にはむしろ、映画の説明にあるような、「欲望に駆られたモンスター」とは始めは思えないはずだ。
「人間は、誰のことも、どこかしら好きだと思えない部分がある」と言う、ダニエル・プレインビュー。
この台詞を聞いた時は、正直、「自分もそうかもしれない」とすら、私は思った。
「思い切りお金を稼いで、人から離れて暮らしたい」、というダニエル。
この頃はまだ、私は共感すら感じながら見てしまった。
人間に対する、基本的な不信感は、競争が激化する商売を執り行ってゆく上で、それほどもの珍しい感情ではないはずだ。
だが、だんだんに物事は、狂気の様相を増してくる。
その、少しづつであるところが、本当に怖ろしかった。
息子HWとの決別の姿は、私は本当に残念で、心が冷たく、重く、冷え切ってゆくようだった。
愛するものに対して、裏切られた時に見せる、卑劣なばかりの冷酷さ。
HWは、そんな言葉を浴びせられて、どれだけ傷ついただろう。
HWを愛していたからこそ、裏切られたのが許せなかったのかもしれない。
だけど、HWを追い込んだのも彼自らが招いたこと。
苦しくて、やりきれなくなった。
許せない隣人である、伝道師を嫌うその気持ちは、むしろ、近しい関係だからこそ。
イーライ(ポール・ダノ)を徹底的に嫌い抜くその姿。
憎しみは年を追うごとに、深まっていったかのようだ。
正直、偽善者で嘘つきの伝道師を嫌う、という、その気持ちを理解できる部分があればあるだけ、
彼の感じる憎しみに同調できる部分があるからこそ余計に、その憎しみの根の深さに反吐が出そうになる。
孤独さはまるで彼の心に取り憑いたモンスターのようで、怖ろしくて底が知れない。
誰も愛することが出来ない人間、隣人を愛することが出来ない人間、
息子として育てていながら、その愛から離反された人間、憎しみの渦、そのスパイラルに呑み込まれ、罪を犯した人間。
頑迷で孤独な、罪深い人間の姿がそこにあった。
これが、何年後かの自分の姿でないと誰が言えよう?
人を嫌い、人を呪い、
まっすぐの愛情を与えることが出来ない人間の末路だ。
真実って怖ろしい。
この先、見た人だけ読んでください。ネタバレ:::::::::::::::::
ところで、HW(息子)は、なぜ放火をしたのだろう?
兄の日記を読んで、ヘンリーが偽者であることを見抜き、それを知らせたかった、と今では私は考えているんだけれど、
見てすぐ後は、どっちだろうかと考え込んでしまった。
だって、何かを知らせるにしては、夜中の放火って変じゃない?
むしろ、証拠を隠滅しかねないでしょ?
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コメント(41件)
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ゼア・ウィル・ビー・ブラッド
「お前のミルクシェイクを飲み干してやる!」
ゼア・ウィル・ビー・ブラッド
『欲望と言う名の黒い血が 彼を《怪物》に変えていく…。』
コチラの「ゼア・ウィル・ビー・ブラッド」は、4/26公開となった欲望にとりつかれた人間の悲喜こもごもを描いたPG-12指定のヒューマン大河なのですが、観て来ちゃいましたぁ〜♪
NY、LAの批評家協会賞で…
>その、少しづつであるところが、本当に怖ろしかった
哀生龍も、そこが人間だれもが持っている恐ろしい可能性のように感じました。
最初は、本当に身を粉にして働き、時には事故にも遭い、それでも働き続けて汗を金に替えてきた頑張る労働者だったんですよね。
ただ人より少しだけ金や成功に執着し、少しだけ汚い手段を用いただけ。
「アメリカン・ドリーム」と言うなのモンスター級の大成功は、人間の歯車を狂わす怖い存在ですね。
>ネタバレ
哀生龍は、別の理由だと思っています。
本当のところは・・・?
ゼア・ウィル・ビー・ブラッド/ダニエル・デイ=ルイス
監督や出演者についてほとんどたいした知識がないんだけど、短い劇場予告編からだけでも、何かただならぬ貫禄みたいなものをを感じさせる印象で、これは絶対観なくちゃと思ってた作品です。長編大作らしいので気合いを入れて鑑賞ォ。
出演はその他に、ポール・ダノ、ケヴ….
ゼア・ウィル・ビー・ブラッド
PTAことポール・トーマス・アンダーソン監督の作品は基本的に暗喩が多用されているため、見る人によっては理解し難く退屈に思える映画が多いです。そのためこの作品に関してもPTA好き以外にはやはり難解だったらしく、映画館には団塊世代のおじさまたちがたくさん駆けつけて….
怪物的映画といいましょうか、PTA監督のセンスとダニエル・デイ・ルイスの怪演がこの映画に悪魔のような凄い魅力を吹き込んだ気がしましたよ。
PTA監督の次回作がすごく楽しみになるとともに、ダニエル・デイ・ルイスも靴作りをやめて本格的に俳優業に復活してほしいですよ。
ゼア・ウィル・ビー・ブラッド・・・・・評価額1750円
「ゼア・ウィル・ビー・ブラッド」というタイトルと、半分死神の様な主人公のポスターを見たとき、これはサスペンス映画なのだと勝手に思い辮..
こんばんは。
何か、人間と言うものの原罪というか、やるせない部分を見せ付けられたような感覚になりました。
しかしどこかでダニエルに引かれる、というかダニエル的厭世なものを自分の内面に感じたのも事実で、
ある意味で恐ろしい映画でした。
ゼア・ウィル・ビー・ブラッド
ゼア・ウィル・ビー・ブラッド(2007 アメリカ)
原題 THERE WILL BE BLOOD
監督 ポール・トーマス・アンダーソン
原作 アプトン・シンクレア 『石油!』
脚色 ポール・トーマス・アンダーソン
撮影 ロバート・エ…
こんにちは。
これは、どうもずどーんとやられる感じでしたよね。
「ノーカントリー」を見て、これを観て、
なんかしばらくこういう映画はいいや……と思ってしまったところでした。
でも、確かに人間、いつどこでこの彼のようになってしまうかわからないものですからね。
哀生龍さんへ
こんばんは★コメントありがとうございました。
そうなんですよね。ダニエルは本当は、すごく頑張り屋で、自分の全てを投げ打って、自分の事業を大きくしようと、一生懸命だったんですよね。
そのために、いろいろなことを我慢し、激しい競争の中で人嫌いが激しくなっていく・・
成功した人の姿って、このダニエルにどこか似ていないか?なんて思ってしまいます。
>ネタバレ
別の理由ですか・・・何でしょう?
にゃむばななさんへ
こんばんは〜♪コメントありがとうございました。
そうですね、ダニエルの演技は、すごかったですね。
この映画の真の恐ろしさは、ダニエルの演技の肉付けの仕方。おっしゃる通りだと思います。
そうなんですよね、『ギャング・オブ・ニューヨーク』の時に靴屋をやってたんですよね。
私もあの頃靴屋だったんですよ(関係ないけど)。
『ゼア・ウィル・ビー・ブラッド』
ドロドロの美学に圧倒。
20世紀初頭のカリフォルニア。鉱山労働者のプレインビューは、石油採掘事業
に乗り出し、息子のHWとともに石油が沸く源泉があるというリトル・ポストンへ向かう。愛しのポール・トーマス・アンダーソンの久しぶりの作品が高い評価を浴びていて、…
とらねこさん
お久しぶりです!
>より本当のことを言っている分、怖ろしくてキライ。
うはは、とらねこさんらしい!なるほどー。
自分は土地とか街ってこういう風にして
誰かのモノにいつのまにかなってしまうんだなぁと
思いました。
そうそうあの二人はすごく似てたんですよね。
人の弱みにつけこむというか、恐怖や不安から
安心させる口ぶりで実は奪っているという。
だから特にダニエルはムカついて仕方なかったん
だろうなって。
ゼア・ウィル・ビー・ブラッド:今回は思いきり外しまくっています(笑)
★監督:ポール・トーマス・アンダーソン(2007年 アメリカ) 京都シネマにて。 ★あらすじ(Yah…
こんにちは。
私にとってこの主人公はそれほど共感の対象にはなりませんでしたが、あの不敵な表情といい、言動といい、キャラクターが放つアクの強さは凄かったと思います。予告編を見たときはもっと暴力的な部分がクローズアップされた作品かなと思っていましたが、直接的な暴力性というよりむしろ、その気配を前もってじわじわ感じさせるところが怖かった。バックに流れるオーケストラ、ストリングスの音色も秀逸でした。
ノラネコさんへ
こんばんは!コメントありがとうございました。
そうですね、人間存在をまるごと捉えたような、すごく大きいテーマを感じました。
これを見た後、しばらく他の映画を見たくないような気にさえなりましたもん。
ダニエルに共感出来なければ、もっと見やすい映画になったはずでした・・。
あすかさんへ
こんばんは〜♪コメントありがとうございました。
確かに、この重さはズッシリ、こたえましたね・・。
今年の中でも傑作の部類に入るのは、見た後思ったのですが、それにしても無口になってしまうぐらいでしたよ・・。
あすかさんはこれ、書いてないんですね?
kazuponさんへ
こんばんは〜♪コメントありがとうございました。
>土地とか街ってこういう風にして誰かのモノにいつのまにかなってしまうんだなぁと
うん、そうですね!私はこの辺り、手塚治虫の小学生の時に見たアニメを思い出しました。
一日の夕日が沈む前に、四角の形で歩いた分だけ土地がもらえる、という条件で歩くんです。
欲に駆られた主人公の顔が怖くて、忘れられないんですよ。
>人の弱みにつけこむというか、恐怖や不安から安心させる口ぶりで実は奪っているという
そうですね!この二人がどう似ているか、ということを的確に表現されていて、さすがですね。
本当に、憎しみを感じる人って、どこか自分に似ているのかもしれませんね。
こんばんは〜♪コメントありがとうございました。
そうですね、ストリングスの音って、使い方によっては、すごく抽象的で難解な音になるんですよね。
映画を見ている間中ずっと、自分は、大学の頃に聞いていた唯一のクラシック、シェーンベルグを思い出していました。
確かに、暴力の方がずっと単純ですね。
人間の心の内に巣くうものが怖かったです。
ゼア・ウィル・ビー・ブラッド
PTA(ポール・トーマス・アンダーソン)監督!待ってましたの
「パンチ・ドランク・ラブ」以来5年振りの新作。
20世紀初頭のアメリカの石油掘削で財を成した
男の物語。
ただ他者を信じる事の出来ない主人公と対立する牧師の二人は、
ほとんど共感出来ない…
ゼア・ウィル・ビー・ブラッド
公式サイト。アプトン・シンクレア原作、ポール・トーマス・アンダーソン監督、ダニエル・デイ=ルイス、ディロン・フレイジャー、ポール・ダノ、ケビン・J・オコナー。石油の一滴は血の一滴に勝る。There Will Be BloodはThere Will Be Oilのもじりだろう。原作小説「Oil!….
多分、この映画が作られたのは、地球温暖化と関係していると思いました。わずか100年で今は氷の解けた北極海で石油採掘らしいですから恐ろしい欲望の世界ですね。
こちらにも
>ところで、HW(息子)は、なぜ放火をしたのだろう?
・お父さんの仕事のせいで耳が聞こえなくなった
・一番そばにいてほしい時に油井の方へ行ってしまった
・そんで怪しいおじさんと妙に仲良くしている
そんな風に親父への不満が積もり積もって、「ちょいと困らしたれ」くらいの気持ちで火をつけちゃったんでは、と考えています
そんな悪さをしくさったHWを、それでも叩くことができないダニエル。それはやっぱり「そこに血がない」ことに対する引け目なのかな、と思いました
そこにオイルがある限り ポール・トーマス・アンダーソン 『ゼア・ウィル・ビー・ブラッド』
♪ まっくろけのけ まっくろけのけけけっ (爆風スランプ 『まっくろけ』) 本日
佐藤秀さんへ
こんばんは!コメントありがとうございました。
「石油採掘に欲望が渦巻く」ですものね。
自分はもっとベタに、石油が原因で起こったまだ終わらない戦争と、アメリカのパワーポリティクスとを考えました。
SGA屋伍一さんへ
こちらにもコメントありがとうございました〜♪
このコメントはネタバレをしています
::::::::::::::::::
>そんな風に親父への不満が積もり積もって、「ちょいと困らしたれ」くらいの気持ちで火をつけちゃったんでは
あれ?それ、途中の「HWが、夜中に本物の弟の日記を見つけ、それを読んだ。」
これが抜けてますね。
わざとでしょうか・・・?
口が聞けないHWが、何かを知らせようとした、というのは全くナシですかー?
あの夜、HWを叩けなかった理由ですが、
私は、自分が耳を聞こえなくしてしまったことに対する罪悪感と思ったのですが。
連日失礼します
日記に関しては、もしかしてまだ見ぬ兄への思いみたいなものが書いてあって、そういう兄弟の絆に嫉妬したんじゃないかな、と
まあ上のコメントも含めてワタクシ個人の解釈ということで
とらねこさんの解釈はとらねこさんの解釈でアリだと思います
つか、そっちの方が正しいかも(^^;)
>自分が耳を聞こえなくしてしまったことに対する罪悪感
その理由もあると思います
あとメアリーちゃんとの会話の中で「子供をぶつなんてなんてひどい親だ!」と妙に憤慨していたので、子供がぶたれることになんかトラウマでもあんのかなーと
SGA屋伍一さんへ
連日ありがとうございます(笑)
>日記に関しては、もしかしてまだ見ぬ兄への思いみたいなものが書いてあって、そういう兄弟の絆に嫉妬したんじゃないかな、と
弟っていうのはダニエルの弟ヘンリーのことですよ。HWから見れば叔父に当たります(当時はまだ血縁だと思っていたので)
「誰ソレの解釈」ということでなしに、「あった事実を把握出来てます?」と言いたいんですよ。ゴメンネ。
二度目のコメントを読んだら余計そう思ってしまいました。
「ゼア・ウィル・ビー・ブラッド」
監督 ポール・トーマス・アンダーソン出演 、ダニエル・デイ=ルイス、ディロン・フレイジャー、ポール・ダノ、ケビン・J・オコナー暗い映画だということは覚悟していた。長い映画だということも覚悟していた。しかし期待していたのは、アメリカを象徴するような男の大…
「ゼアウィルビーブラッド」
愛と憎しみの不協和音。冒頭から10分超あったかと思われる主人公ダニエルの立身出世ダイジェスト。セリフいっさいなしで続く地下坑での闘いはかなりの緊張感だった。誰も頼れない状況に置かれた経験は、その後の彼の行動様式を決定づける要因となった。「他人の成功が嫌い…
ゼア・ウィル・ビー・ブラッド
「そこには、血があるだろう」
意訳すると、「どうせ、血が流れるんだ」という、厭世的で投げやりなタイトルがクールだ。
もちろん「ブラッド」は、「血」と「石油」のダブルミーニングなわけだが、そんなタイトルなら当然映画の後半では、石油の権利をめぐる血で血を洗う…
あの音楽は気になりましたね。何も起きないところでも常に可能なまでに不安感をあおる。Radioheadの人だったんだ。なんか、納得。
たしかに、息子が放火するところは唐突で、私もよく分かりませんでした。父か叔父を殺そうとした感じではなかったし、日記を焼こうとしたようでもないし。叔父と言う人物が現れたことで、自分の存在が薄くなることへの抵抗だったのかなあ。
トラバします。
denkihanabiさんへ
こんばんは〜♪二度目まして!(ですよね?)
おっしゃる通り、あの音楽の鳴り方には、不安を掻き立てられましたね。
わざとだとは思うのですが、地面の下からまるで、ドス黒い石油とともに、不安感が噴出して、そこに漂ってました。
ゼア・ウィル・ビー・ブラッド
【映画的カリスマ指数】★★★★☆
強欲な自力主義者、執拗な他力主義者
お前のミルクを吸い上げている
140「ゼア・ウィル・ビー・ブラッド」(アメリカ)
20世紀初頭、一攫千金を夢見る鉱山採掘業者のダニエル・プレインヴュー。父親が採掘中に事故で亡くなり、孤児となった子供を拾い、自分の息子H.W.として連れ歩いていた。
ある日ポールという青年から、自分…
「ゼア・ウィル・ビー・ブラッド」
ひとりの石油採掘人の強烈な生き方を描く。
ダニエル・デイ=ルイスの演技のうまさと、ポール・ダノのうさんくさい存在感。
これは良かったですね。
いまのところ今年のナンバー2かな?
「ノーカントリー」より好きです。私がアカデミー会員だったら、作品・監督賞も、こっちに投票でしょう。
衝撃のラストまで、全編すばらしいものでした。
ボーさんへ
こちらにもコメントありがとうございます♪
そうですか★
確かに、すごく完成度が高かったですね。
あのラストのシークエンスで、追いかけっこする辺りが喜劇風に思えてしまったんですよ。笑っていたらドーンと、さらに落とされて。
あの辺り、少し意地悪に思えましたね、唐突感も感じました。なので少し評価が自分的には落ちました。
「ゼア・ウィル・ビー・ブラッド」
「パンチドランク・ラブ」や「マグノリア」「ブギーナイツ」の作品で知られる米国の監督、ポール・トーマス・アンダーソン(PTA)が2007年、アプトン・シンクレアの原作「石油!」を映画化した大河ドラマ「ゼア・ウィル・ビー・ブラッド」(=血は流れるだろう、米、…
『ゼア・ウィル・ビー・ブラッド』’07・米
あらすじ石油ブームに沸く20世紀初頭のカリフォルニア。鉱山労働者のプレインビュー(ダニエル・デイ=ルイス)は石油が沸く源泉があるという情報を耳にする。息子(ディロン・フリーシャー)とともに石油採掘事業に乗り出すが・・・。感想石油屋VS宗教家勝つのはどっ…