74●ハンティング・パーティ
「この映画は、まさかと思うところが真実である」
という言葉から始まる物語。
「事実を基にしています」と言ったらやたらと非難を浴びるであろうところを、
返って逆手に取った文言なのでした。
ストーリー・・・
かつて紛争地域から、伝説的なレポートを送り届けていたサイモン(リチャード・ギア)とカメラマンのダック(テレンス・ハワード)。しかしある事件がもとでサイモンは仕事をクビになる。一方、本国に戻ったダックは出世していた。その二人が数年ぶりにボスニアのサラエボで再会する。「大きなネタ」を持っていると言うサイモン。それは虐殺事件の首謀者であり、戦争犯罪人フォックスの情報だった。それを聞きつけてやって来たのが、ハーバード出身でジャーナリストを目指す、本当は副社長の息子という、頭でっかちのベンジャミン(ジェシー・アイゼンバーグ)。
フォックス(リュドミール・ケラケス)を求めて、彼らは危険地帯へと足を踏み入れる。・・・
’07年、リチャード・シェパード監督・脚本。
サラエボ・ヘルツェゴビナの民族紛争での、実在の戦犯、ラドヴァン・カラジッチというのが“フォックス”の基になった人物。
原案は、実在のジャーナリスト、スコット・アンダーソンが、『エスカイア』誌に寄稿した、『私が夏休みにしたこと』という記事を基に、インターメディアの映画プロデューサー、マーク・ジョンソンが膨らませていった物語、とのこと。
このサイモン・ハントをとりあえず(イヤイヤ?)頭として出発するハメになったこの一行、“ハンティング・パーティ”(ハントは苗字でもあったのね♪)。
彼らのジャーナリスト「らしくない」その姿はむしろ、「ジャーナリストと言う名のゴロツキw。
私としてはそこが面白かった。
アメリカの映画でこうして時々、フリーで活躍する報道家の姿というのを目にすると、面白そうだなあと思って見てしまう。
もらえる報酬というものを、そのネタの大きさで変わってしまう、生き馬の目を抜く世界で生きているフリーの報道家。
日本でのジャーナリストの常識と全く違う文化があるそこに、何となく憧れと恐ろしさを感じてしまうんだ。
TV番組のプロデューサーだとか、スポンサーの意向だとか、局アナとはまったく違い、小さな箱の中に居るわけではなく、
自分の思うように満足の行くまで取材をする、自分の足で取ってくるネタで食っていく強者たち。
ピューリッツァー賞等を取った人達というのは、この手の人達の最高峰、ということになるんだろうね。
『ブラッド・ダイヤモンド』でのジェニファー・コネリー扮するジャーナリストなんかは、その理想化された姿なのかもしれないけど。
この映画の中でサイモンは、局アナのトップとして活動していた、華々しき時代はもはや過去のこととなり、
記事のネタを探しにウロつくサイモン。
返り咲きを期待するのは、頂上作戦だ。
民族浄化の名のもとに、大量虐殺を行った、ラドヴァン・カラジッチ。この賞金500万ドルの戦犯を、自分たちだけで捕らえようなんていうのだから、キ○ガイ沙汰もいいところ。
物語が進めば進むほど、「ええっ、これって本当?」と言いたくなるようなことの連続で、「事実ベース」というのが一体どこからどこまでなのか?
やればやるほど、嘘臭さ、B級感が漂ってくる。
ここはきっと、評価の分かれ道になるんだろうな〜、なんて思う。
このB級感が許せる人には、微笑ましいエンターテイメントに映るけれど、真面目な人は怒ってしまいそうな予感はする。
和平締結後、重要な戦犯なのに、未だに捕まっていないラドヴァン・カラジッチ。
「てことは、この話ってもしかして・・・」と言いたくなる終わり方ではある、カモ?
三年半の抗争で、死者約20万人、そして避難民は約200万人だという。
ちなみに、シネトレさんより、ノベライズ本をいただきました。ありがとうございました。
私は、ダック役のテレンス・ハワードが素敵で、それだけで楽しめてしまった今作。
テレンス・ハワードを見て、その演技に感激したのは、私は『ジャスティス』から。
(『エンジェル・アイズ』は覚えてないですね)
『Ray レイ』、『クラッシュ』、『ハッスル&フロウ』と、なかなかに好演を連発。
私は、彼の声が好きで。
ハスキーで、セクシーなんだよね〜。
で、アフリカ系アメリカ人特有のアクセントというものも、彼の口から出ると、心地よい音楽に聞こえる。
音感良さそうな、彼ら特有の喋り方というのは、元々私は大好きだったんだ。
でも、『クラッシュ』を見て以来、「ブラックのアクセントで喋れ」なんてわざわざ要求されるというのは、彼らにとっては歯がゆいものなのか・・・、なんて考えるようになった。
とにかく、彼の目力が好き。キラキラしてて、すごく美しい瞳なの。
そのくせ、笑うと、すごくかわいくなっちゃう
役柄によって、突然老けて見せることも可能だし、年齢の幅が広いところも、演技が上手いところも頭ひとつ抜け出ているテレンス・ハワードなのだ。
2008/05/18 | :サスペンス・ミステリ
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コメント(24件)
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ハンティング・パーティ
【THE HUNTING PARTY】2008/05/10公開(05/13鑑賞)製作国:アメリカ/クロアチア/ボスニア・ヘルツェゴヴィナ監督・脚本:リチャード・シェパード原案:スコット・K・アンダーソン出演:リチャード・ギア、テレンス・ハワード、ジェシー・アイゼンバーグ、ダイアン・ク….
ハンティング・パーティ
『狙った獲物は《最上級》 アメリカを出しぬいたのは、 わずか3人のジャーナリストだった・・・』
コチラの「ハンティング・パーティ」は、実在のジャーナリストと重要戦争犯罪人の驚愕の追跡劇を映画化した5/10公開のヒューマン・サスペンスなのですが、早速観て来…
>このB級感が許せる人には、微笑ましいエンターテイメントに映るけれど
哀生龍は、許せる口でした。
色々考えさせながらも、バディ・ムービーとして映画を楽しむ事ができました♪
>アフリカ系アメリカ人
皆さんから↑で今一番と大プッシュされていたテレンス・ハワード。
声も顔も演技も確かに良い!!
でも哀生龍にとっては、すっきり綺麗にまとまっているのがあだとなって、引っ掛かりが無いんですよねぇ〜(^^ゞ
哀生龍が引っかかりそうな癖のあるキャラを演じている作品があったら、今度紹介して下さいね!
とらねこさん、こんばんは〜☆
そっか!苗字が「ハント」だったのね!今更ながら気付きました(苦笑)
重い話なのにB級ちっくなノリが結構好きです。
テレンス・ハワード、目が綺麗で可愛いですよねぇ、目の中に星がある感じで。
こんばんわ。
≫真面目な人は怒ってしまいそうな予感はする。
たしかに結構怒っている人はいるみたいです(笑)。
シビアなテーマを扱っているにも関わらず、
結構オフザケ甚だしいですもんねー。
でも私はそういう感じが好きだけど(笑)。
そうそう。テレンスの声、素敵ですね。
『ハッスル&フロウ』の彼のパフォーマンスは
とっても見ごたえありましたです。
キツネを生け捕れ!〜『ハンティング・パーティ』
THE HUNTING PARTY
花形戦場レポーターだったサイモン・ハント(リチャード・ギア)は生中継で失態
を演じ、キャリアを失う。彼とコン??.
とらねこさん、こんにちは〜。
うんうん、私もテレンス・ハワード素敵〜♪ と思いましたよ。
彼って目が綺麗ですよね、赤ちゃんみたいって思います。カワイイし、汚れてない感じ!
スタイルもいいし、大好きです。
ストーリーはテンポよく面白く観られましたが、ラストの「現代の神話」以降は邪魔だと思いました。
空港で、三人が走り出すところで終わってたらな〜、と感じました。
でも、意外に楽しめましたね〜。
ではでは、また来ます〜。
哀生龍さんへ
おはようございます〜♪コメントありがとうございました。
月曜から体調が悪くて、お返事が遅くなってしまいました。すみませんでした。
哀生龍さんの好みのB級映画タッチでしたでしょうか?
胡散臭い感じが面白かったです〜^^v
私も、バディ・ムービーって弱いんですよね!
テレンス・ハワードは、哀生龍さんにはちょっとイマイチでしたか。。。
でも、すっきりまとまりすぎている、という意見も分かる気はします。
哀生龍さんと私で今のところ、「この人はイイ」と意見が合ったのは、シャイア・ラブーフ、ポール・ダノ、ヒューゴ・ウィービング、ウィル・フェレルぐらいでしょうか?
彼らには、引っかかりが凄くありますもんね。
テレンス・ハワードは、演技の良さで勝負すべき俳優さんだと思ってます。
ジェイミー・フォックスみたいに、大きな当たりが欲しいところです。
ヨゥ。さんへ
おはようございます〜♪コメントありがとうございます。
そうですね!元々扱っているところは、極めてシリアスでしたけど、何このB級ノリ!?って、笑えましたw
本当本当!テレンス・ハワード、目がキラキラ
すごく目がカワイ〜んですよね!キュート
睦月さんへ
こんにちは!こちらにコメントありがとうございました。
そうなんですか、やっぱりこの作品、怒ってしまう人も結構いるんですね。
私は、国際社会が注目した内国紛争を描いた、社会派な作品というより、
どうしても夢を追いかけたくてしまう、盛りを過ぎた男たちのロマン(と意地)を描いた、B級娯楽作だと思ったので、
怒る気持ちになれませんでしたよ。
そうですね、『ハッスル&フロウ』では、歌も歌ってましたよね。
そういえば睦月さんは『ブレイブ・ワン』も見てましたよね。
私はそういえばまだだわ・・。DVDで見てみます。
真紅さんへ
こんばんは〜♪コメントありがとうございました。
そうですね!テレンス・ハワード、「目が赤ちゃんみたい」という発言、うんうんまさに!と思ってしまいました。
すごーくピュアそうな目をしているんですよね。
あれにはコロっと騙されてしまいそうです〜
おっしゃる通り、ラストの部分は、どんどん怪しさが増していく感じはありましたね。
社会派なテイストの映画の好きな真面目な方からすれば、全く言語道断な作品なのかもしれませんね。
ハンティング・パーティ☆サラエボでの現状をリアリティに描いた作品
何と、現地サラエボでの撮影。かなりのリアリティ作品です。
5月16日、京都シネマにて鑑賞。この作品も字幕は戸田奈津子さん。確か、リチャード・ギアとは親交が深いとか・・・・。彼は日本が好きな俳優さん、しかも京都が好きだということ。仏教にも興味を持って…
『ハンティング・パーティ』
男は狩猟民族なのだ。
かつては有能な戦場ジャーナリストだったサイモンは、ボスニア紛争レポートの失態を機にテレビ局を解雇され、やがて姿を消してしまった。一方、サイモンと組んでいたカメラマンのダックは順当に出世し、ボスニア紛争終結後の2000年に、テレビ局の新…
ハンティング・パーティ
【映画的カリスマ指数】★★★★☆
イカレ具合が頼もしい、皮肉り社会派映画
「ハンティング・パーティ」
「ハンティング・パーティ」、観ました。
リチャード・ギアとテレンス・ハワード主演のボスニア紛争にまつわる社会派サスペンス。
まあ??.
『ハンティング・パーティ』
映画サイト「シネトレ」さんの公認ブロガー枠で、有楽町のよみうりホールにリチャード・ギア主演の『ハンティング・パーティ』の試写会に昨日行ってきました。
もっともっと、社会派ドラマ然としたシリアスなだけのドラマなのかなと思っていたら、シリアスさを感じさせる中…
まさか!? の部分が真実?
146「ハンティング・パーティ」(アメリカ)
一流戦場レポーターとして活躍していたサイモン・ハント。相棒のカメラマン、ダックと共に命知らずのレポートで、栄光の座に就いていた。しかし、ある時サラエボの虐殺現場で??ブチ切れた??中継を送り、テレビ局を解雇され…
とらねこさん、こんばんは。
テレンス・ハワードってよく見ていた気がするんですが、注意し出したのは、やっぱりここ2,3年ですね。
「ジャスティス」に出てたんでしたっけ?
予告編の印象から、結構コミカルな作品なのかなと思っていたんですが、実際はシリアスな題材だったんですね。
ちょっと期待を外されたかな?
CINECHANさんへ
こんばんは〜♪コメントありがとうございました。
そうですね、ここ最近になってメキメキ目立つ存在になって来ましたよね。
私は『ジャスティス』の演技が気にいって、以来好きなんですよ。
確かに、あのクラッシュの、♪I Fought the law〜がかかると、もっとノリノリなエンタメ作品かと思いますよね。
でも、これ、全然社会派テイストじゃないところがいいのかも★
こんばんは。
エンドロールでのネタバレは楽しかったのですが、一体何処までがホントに実話なのでしょうか?
ジャーナリストがあんなラリラリ野郎ばっかなのかと思うと幻滅ですが、あんな過酷な現実では仕方のない事なのかもしれませんね。
ドーナッツ大好きな将校と、CIAと勘違いしてアフリカに飛ばされた将校が印象的でしたが、あんなんで国連の平和活動は大丈夫なのでしょうか?
国際社会の「本音と建前」共々不安になりました。
『ハンティング・パーティ』 2008年40本目
『ハンティング・パーティ』 2008年40本目 5/15(木) 仙台フォーラム
ボスニア・ヘルツェゴビナ紛争:ユーゴスラビアの解体に伴い、セルビア人、クロアチア人、モスレム(イスラム教徒)が混在する国であったボスニア・ヘルツェゴビナで起きた紛争。セルビア共和国の….
健太郎さんへ
こちらにもコメントありがとうございました★
ああ、すごくタイミングが良いですね。
先週でしたっけ、カラジッチ逮捕されてましたね。
ニュースで見て、ビックリしました。
>一体何処までがホントに実話なのでしょうか?
これ、原案は、実在のジャーナリスト、スコット・アンダーソンが、『エスカイア』誌に寄稿した、『私が夏休みにしたこと』という記事ということです。
この記事を読めれば、それとこの映画の違いとが、脚色部分、というのがはっきり分かりそうですね。
>国際社会の本音と建前
そうですね、『ノーマンズランド』でもそうでしたけど、どの程度あるのか知りたいところですよね。
こんにちは。又来ました。
コメント&TBありがとうございました。
>カラジッチ逮捕
国際社会で何かあったんでしょうか?
ラリッタジャーナリストが追い詰めたんですかね?
とか思っちゃいました。
思いテーマを軽快な作品に仕上げたのは素晴しいですね。
健太郎さんへ
おはようございます〜★
こちらこそ、TB&コメントありがとうございました。
そうですね、カラジッチの逮捕劇・・
裏に今度は何があったんでしょうね?