61●ジェイン・オースティンの読書会
『高慢と偏見』(『自負と偏見』というタイトルのものもある)の大好きな私にとって、ジェイン・オースティンは、大好きで、尊敬してやまない、イギリス最高の女流作家。
ストーリー・・・
結婚歴6回を誇るバーナデット(キャシー・ベイカー)、ブリーダーで独身主義者のジョスリン(マリア・ベロ)、突然夫に離婚を切り出されるシルヴィア(エイミー・ブレネマン)、その娘で情熱的なアレグラ(マギー・グレイス)、ハイスクールのフランス語教師プルーディ(エミリー・ブラント)が読書会を立ち上げる。取り上げるのは彼女たちの愛読書ジェイン・オースティンだ。ここに唯一の男性としてSF愛好家のグリッグ(ヒュー・ダンシー)が加わり、オースティンの小説6冊を読み解いてゆく。それは6人それぞれが人生と向き合う体験だった。・・・
ジェイン・オースティンの生きた時代こそ18世紀〜19世紀とは言え、そして扱ったのもイギリスの中流階級で・・・。
それなのに、描かれた内容は決して古くならず、むしろ深い洞察のために、普遍的な人間性を感じさせる、そんな物語。まあそれは実は、素晴らしい文学には常に共通するものかもしれないけれども。
知的で機知に富んだ文。決して皮肉や暗さがないのに、諷刺的でもあって。
そして人間というものに愛情を感じさせるところが素晴らしくて、人間の温かさや、女性の柔軟な思考が感じられて、私は好き。
特に、『高慢と偏見』を読んだ時は、何て理想的な素晴らしい作家なんだろう!
と、惚れ込んでしまった。女性ならではの、細かい心配りがあって、そして知的なところばかりをひけらかすことは皆無。むしろ、彼女の思慮深さに感動してしまう。そんな女流作家だった。
この映画の中で一緒に名前の出た、シャーロット・ブロンテとエミリ・ブロンテ(確か、バーナデットが普段読む本、として出て来たかな)、この全員私も読んだけど、一番好きなのは私はジェイン・オースティンだな。
ただ、私は全作、何度も読み込んで、ここのジェイン・オースティンの読書クラブに顔を出せる、って人達には、全然適わないですよ〜。
でも、こういうのやってみたいなあ!って思っちゃった。
今、こうしてブログをやっているから、映画感想なんかを、人と一緒にコメントし合ったりはしているのだけれど、でも、こうしてネット上でやり取りをするより、対面で、何人かと、一つの映画について掘り下げるのは、きっと全然違う体験なんだろうな、って思うんだ。
この映画では、そうした一つの読書クラブが産声を上げた瞬間から描き始めて、その半年間(1ヶ月1冊で、6冊=ジェイン・オースティンの全作分)を取り上げる。
仲良い人同士だけが集まったわけじゃないから、その中で、何となく不安なものもあったり、その中での人間関係も、だんだん月を重ねる毎に変わってきたりする。
ジェイン・オースティンをその内容として取り上げる、というだけで、自分には何となく、「これ」といった予想があったけれど・・・
その予想は、全く裏切られることなく、予想通りの素晴らしさで、私は嬉しくって仕方がなかった。
女性の人生というものを、丸ごと捉えた作品、そしてそこに優しさが感じられる作品。これらに、駄作はないと思う。
彼女たち、それぞれに個性があって、それぞれに悩みがあって。
完全に自分の好みの映画、という感じだった。
みんな、本の感想を述べるけれど、実は、いつの間にか自分の悩みについて語っている。その登場人物の、どこに共感し、どこが受け入れられないか。
自分が嫌いなのは、実は、自分の価値観を変えるような何かであったりする。
それは、普段から、人の映画の感想を読んでいても、私には同じように感じることがあるので、よく分かることだった。
映画の登場人物について文句が出るときに、自分はなぜその人の「その部分が嫌いか」。ある登場人物について語るときに、自己弁護になっていないか。
正直に言えば、私自身も全く同じで、私が嫌いな人の特徴を挙げるならその形容詞は実は、自分の嫌いな自分と全く同じだったりする。
自分にあるとは認めたくない部分だったり、そこには実はトラウマが隠れていたりね。
だから、本や映画の感想を述べるのは、人生について考えを廻らすことでもあるんだよね。
映画の中で、ここに出てくる女性たちと一風変わった、紅一点ならぬ、白一点のグリッグがなかなか。
ヒュー・ダンシー、なかなか素敵な男性でした。この人、人気出そうですね。
2008/04/22 | :ヒューマンドラマ
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こんにちは。
そうか、この映画に対してはこういうレビューの仕方があったのか。
ぼくはジェイン・オースティンを読んだことがないので、
この作品のやり取りの細かいところが分からず
結果、ブログには書かないままでした。
実は『タクシデルミア』も『ザ・フィースト』も
切り口が見つからず書いていません。
そうそう、昨日、livedoorの方に
フリーメールさせていただきました。
よろしくご検討ください。
トラネコさんのご感想を伺いたい映画です。
こんにちは。
これ、私も楽しめました。
もっとちょっとチープな感じかなと思ってたのですが、キャラクター構成がしっかりしてたせいか良かったと思います。
本当に観終わったあとにちょっと幸せな気持ちになりました。
それぞれの女性がまったく違う状況に置かれてて、それぞれがまったく違う悩みをかかえているのも面白いなと思いました。
ヒュー・ダンシーは「いつか眠りにつくまえに」では「ん?」と思ったくらいでしたが、これでは好青年な感じで素敵でした。
あんな設定の凝った家に遊びにいってみたいです(笑)
リンクに加えたのですが、大丈夫でしょうか?
えいさんへ
こんばんは〜♪コメントありがとうございました。
あと、お誘いもありがとうございました。
また次回ございましたら、よろしくお願いします。
でも、私のことを思い出していただけただけで、とってもうれしかったです。
この作品ですが、ジェイン・オースティンの好きな人には、言わなくても通じる何か、
というのがあったような気がします。
私もそれがきちんと表現できなくて歯がゆい思いをしました。
「タクシデルミア」は、えいさんのレビューがなかったですもんね。
私的には、「ザ・フィースト」はえいさんの好みの映画じゃないかなあ、・・などと思いました。
あすかさんへ
おはようございます〜♪コメントありがとうございます。
この作品、私はすごく好きなので、あすかさんも気に入られたご様子が、すごく嬉しいです^^
リンク、もちろんOKです。ありがとうございます。
出てくる人達の設定も、描き方も、すごく無理なく自然で、そこが良かったですよね!
それぞれの悩みも、共感できるものでした。
こういう読書クラブ、私もやってみたいなあ、と思いましたよ・・
そうですよね、私も『いつか眠りに〜』の方は、ヒュー・ダンシーの存在は、全然気にも留めませんでした。
役柄のせいでしょうか?酔っ払いのボンボンで、ロクデナシでしたもんね・・・(笑)
あの家はすごく楽しそう!私だったら間違いなく好みです(爆)
こんばんは、とらねこさん。
オースティン、私は『高慢と偏見』くらいしか読書記録として記憶にありません。
でも、この映画は、ほほ笑ましくなったり、せつなくなったり、そして、考え込んだりしながら、よい意味で心を忙しくさせながら観ました。少々甘い感じもしたけれど、でも、こういう物語には、ああいうラストがふさわしかったなぁ、とお腹がいっぱいになって。
オースティンにお詳しいとらねこさんには、もっと感慨深いものがあったことでしょうね。レビューを拝読していて、「私も、もっとオースティンの作品を読み込んでおけばよかった」と感じました。
読書クラブ(映画クラブも、もちろん)みたいなのを、いずれ機会があったらやってみたいなぁ、なんてことも思っちゃいました。
『ジェイン・オースティンの読書会』
よーく考えてみたら、4月になってこれが初めての劇場鑑賞作品です。
やっぱ3月のハイペースがたたったかw。
4月で一番観たい作品だった『ジェイン・オースティンの読書会』を観に、渋谷のBunkamuraル・シネマに行ってきました。
仕事が17時過ぎには終わってたんで、最終…
香ん乃さんへ
こんにちは〜♪コメントありがとうございました!
香ん乃さんも『高慢と偏見』読まれたのですね★
イギリスの田舎の社交界という、小さい世界でのお話しなので、現在の日本人が読むには、ちょっと想像力が必要になるのかもしれませんね・・。
読書クラブ、私も是非やってみたいです!
香ん乃さんが一緒にやってくれるなら、絶対一緒にやりたい!です。
映画クラブでもいいんですが、映画だとたかだか2時間ですし・・
他人の意見が聞きたくなるほど難しい作品てそうないから、作品選びが難しそうですよね。
でも、映画の方が人は集まりそうですね。
もしやる時があれば、一緒にやりたいです〜★
ジェイン・オースティンの読書会/キャシー・ベイカー
以前に観た映画でも読書会の場面があったけど、アメリカでは読書会なるものがブームなんだとか。この映画では「高慢と偏見」などの小説で知られるジェイン・オースティン作品を題材にして個性的な女性たちの再生の姿を描いていきます。
出演はその他に、マリア・ベロ、エ….
一人の作家の作品について同行者が集い感想を語り合う。たんなる趣味の集いのように思えたテーマにとても深い悲喜こもごものドラマがあるんですよね。
小説の世界に深く入り込むことで実は自分自身と向き合っている。とても感慨深い味わい深い作品でした。
かのんさんへ
こんばんは★コメントありがとうございました。
そうなんですよね、なんだか、映画ブログを普段からこうしてやっているおかげで、すごく気持ちが分かりませんでした?^^
なかなかに味わい深い作品でしたよね。
ジェイン・オースティンの読書会 を観ました。
観たい作品はすべて時間が合わず、でもステキな作品に出会いました。
ジェイン・オースティンの読書会
ワインとおしゃべり、時々 恋──
それが女たちの読書会。
原題 THE JANE AUSTEN BOOK CLUB
製作年度 2007年
上映時間 105分
原作 カレン・ジョイ・ファウラー 『ジェイン・オースティンの読書会』(白水社刊)
監督 ロビン・スウィコード
音楽 アーロン・ジグマン
出演 …
とらねこさん、こんにちは♪
劇場で予告を観た時から惹かれていたんですが、
地元のシネコン上映までじっと待っていました。
「ル・シネマ」苦手になっちゃって(笑)
時間帯がダメだったのか2度ほど「ウリキレ」の文字が(◎_◎;
超人気で、なんか嬉しかったです♪
一見素敵な女たちのダメっぷりが可愛かったです(^^;
ヒュー・ダンシーが今度は幸せでヨカッター
kiraさんへ
こんばんは〜♪コメントありがとうございました。
kiraさん、ル・シネマだめなんですね。私もあんまり好きじゃないです・・・。
映画館の作り自体が見ずらくて、人の頭が邪魔に感じるんですよね。
ここでやっていたために、スルーした作品て、結構多いですよ。
でも、東京でスルーしてこの手の作品が来る近郊の方というと、真っ先に川崎辺りかな?なんて思うんですがw
ヒュー・ダンシーは、おっしゃる通り『いつか眠りに〜』と違って、ラストでハッピーに終わって良かったですよね★
「ジェイン・オースティンの読書会」よく出来た本を読んだような
「ジェイン・オースティンの読書会」★★★☆オススメ
キャシー・ベイカー、マリア・ベロ、エミリー・ブラント、エイミー・ブレネマン、ヒュー・ダンシー主演
ロビン・スウィコード監督、2007年、アメリカ、105分
友人の離婚の悲しみを和らげてあげようと
本を…
ジェイン・オースティンの読書会
『ワインとおしゃべり、時々 恋── それが女たちの読書会。』
コチラの「ジェイン・オースティンの読書会」は、アメリカで流行している読書会のメンバーの人間模様を描いた、4/12公開のロマンティック・コメディなのですが、遅ればせながら観て来ちゃいましたぁ〜♪…
こんにちは☆
とらねこさんはジェイン・オースティンの作品を
読んでいるんですね!だったらこの作品は
私以上に楽しめたんだろうなぁ。羨ましい♪
私も十分に楽しめたんだけど次回は6冊を
制覇してからもう一度DVDで鑑賞しようかな
なんて思っています。
私も彼女たちのように感想を話し合ったり
したいからブログを続けているようなものだけど
やっぱり直接会って話できるのとは違うし
読書会って憧れですね。
ジェイン・オースティンの読書会
かなり大きくなったお腹でシネ・リーブル梅田までの道のりはきつかったけど観てよかったと素直に思える素敵な映画でした。
結婚歴6回を誇るバーナデット、ブリーダーで独身主義者のジョスリン、突然夫に離婚を切り出されるシルヴィア、その娘で情熱的なアレグラ、ハイ…
ALICEさんへ
こんにちは〜♪お久しぶりです。私のこと、覚えていてくださって、ありがとうございました!
ALICEさん、次はオースティン作品を全部読んでから・・なんて考えられていらっしゃるのですか!
それを伺うだけで、ALICEさんがいかにこの作品に共感なされたか、伝わってくるぐらいですよ。
私も、オースティンを制覇したくなりました。
ALICEさんにそう言っていただけて、とても嬉しいです!!
そうなんですよね、ブログでは、好きなことが書けて楽しいんですが、
人との意見交換という意味では、全く違うんですよね。
こういうブック・クラブ、あったら是非やってみたいです♪
ジェイン・オースティンの読書会
ジェイン・オースティンを知ってるかい?
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【ジェイン・オースティンの読書会】
監督:ロビン・スウィコード
出演:キャシー・ベイカー、マリア・ベロ、エミリー・ブラント、エイミー・ブレネマン、ヒュー・ダンシー
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夫の不倫が原因で離婚したばかり
THE JANE AUSTEN BOOK CLUB (ジェイン・オースティンの読書会)
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ジェイン・オースティンの読書会
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ジェイン・オースティンの読書会
サントムーンの二本目です。地味ですがいい映画でした。(6月22日 清水町 サント
mini review 08342「ジェイン・オースティンの読書会」★★★★★★★★☆☆
『高慢と偏見』などの小説で知られるジェイン・オースティンの作品に、読書会のメンバー6人の人生を描き込んだヒューマンドラマ。全米ベストセラーとなった小説を基に、『SAYURI』の脚本家ロビン・スウィコードが初メガホンを取った。『プラダを着た悪魔』のエミリー・ブラン…
『ジェイン・オースティンの読書会』(2007)
離婚歴6回のバーナデットは、愛犬の死に落ち込むジョスリンを元気付けるために、オースティンの読書会を思いついた。
メンバーは他にジョスリンの高校時代からの友人で、20年以上連れ添った夫から突然別れ話を切り出されたシルヴィア、シルヴィアの娘で恋多き同性愛者の…
ジェイン・オースティンの読書会
2007 アメリカ 洋画 ドラマ ラブロマンス
作品のイメージ:ほのぼの、おしゃれ、ためになる
出演:キャシー・ベイカー、マリア・ベロ、エミリー・ブラント、エイミー・ブレネマン
ジェイン・オースティンのファンの方におススメというか、それも熱烈な
ファンの方にお…
『ジェイン・オースティンの読書会』を観たぞ〜!
『ジェイン・オースティンの読書会』を観ました『高慢と偏見』などの小説で知られるジェイン・オースティンの作品に、読書会のメンバー6人の人生を描き込んだヒューマンドラマです>>『ジェイン・オースティンの読書会』関連原題: THEJANEAUSTENBOOKCLUBジャンル: ドラ…